2020年夏ドラマ-MIU404一覧

MIU404 11話(最終回) 感想|今立っている道を信じるのみ

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

選択肢Aと選択肢Bの世界を両方見せる展開は予想しておらず、

ちょっと戸惑いが隠せない気持ちでした。

正直、ピタゴラスイッチ&巻き戻し演出は本作の持つ疾走感を削いだような気はするし、

ここ最近は緊迫感で張り巡らされたシリアスな話が続いたため、

最終回は登場人物を限界の所まで苦しめて、苦しめて…

ある1つの手がかりをきっかけに一気に立場が逆転する、

例えば久住(菅田将暉)を再集結した4機捜が捕まえる

ドラマチックなどんでん返しになるのだろう…という思い描いていたものとは違いましたが、

逆にあの展開にした事で、軸となる「スイッチ」のワードが活きる

ラストになったのではないかとも思います。

 

もし2つのバッドエンドが、伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)が薬に侵されて

ラリっている状態で見た幻想だったとしたら、

「オリンピックが予定通りに行われる世界」もラリっている世界な訳で。

しかし、九重(岡田健史)からのラインをきっかけに、どんどん有利な方に流れていくのも

あまりにも上手く行き過ぎていて、本当にこれが現実なのか穿った目で見てしまう。

 

でも…コロナ禍を生きる2人こそが真実なのだと願いたいし、

それならば無事に助かって、上手くやって行けているのだとも信じたい。

物語の本当の結末がどちらなのかがはっきりと明かされなかったからこそ、

脚本上では描かれない未来の話に自分の望んでいる世界を重ねて、

「きっとあの人ならこうして行くんだろうな」などと4機捜のみんなの今後を想像させる事で

心の中で本作は生き続けるんだろうなぁ…と考えると、

続編は作らずにこのまま潔く完結させてしまった方が"らしい"のかも。

間に合った事。間に合わなかった事。間に合う"ように"した事。

様々な壁に直面し、どう乗り越えて行ったかは今までも描かれてきたから。

 

「不可逆」「自分の信じたいものだけを信じる」

「アンナチュラル」でも本作でも野木先生はずっとこれらを書き続けているので、

最終回でも必ずコロナの話題も絡めてくるだろうと思っていて。

どんな状況に立たされたとしても今の自分を信じるしかないし、

現実が悪い方向に傾いているのだとしたら、そうならないようにと自分で動くしかない…

そんな 避けては通れない現実に向き合っていなかければならないという

ある種の"ドラマの正攻法"を、社会問題を絡めて清く、美しく、まざまざと

魅せて行く作風がやっぱり好きです。

 

表向きは刑事もので、最早定番のコンビものでもあるんだけど、

コンビ以外の各登場人物にも、自分にしかない"正義感"で動く見せ場がしっかり用意されており、

九重や陣馬(橋本じゅん)、桔梗(麻生久美子)といった仲間達から、

REC(渡邊圭祐)や麦(黒川智花)などの脇役的存在まで、

どの人達にも「生」が感じられるキャラ造形も魅力的でした。

井戸の底を思えば…と言う麦の晴れた表情にこちらも救われたし、

陣馬は大丈夫だろうかと1週間心の底でソワソワしっぱなしの

時間を味わえたのもかなり久しぶりだったなぁ…。

 

 

で、来週からまた刑事×コンビものの作品が始まる訳ですが、

まぁ…本作の出来が良過ぎる上にインターバルもないから、

自然と比べられてしまうでしょうね。

正直言うと、私はあんまり期待していないのです(苦笑)

同じジャンルの作品を同じ枠で続けてやる企画力以前に

(状況が状況なので、間に違う作品が入っていた可能性はあるかもしれませんが)、

なんとな〜く、良くも悪くも「ケイジとケンジ」の二番煎じみたいな感じがしてしまうのは

気のせいでしょうか…(汗)

 

 

↓前回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

↓今までの感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

 

 


MIU404 10話 感想|爆破テロも久住の真相もNot Found!

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

「薬はお前ら一人一人を中毒にして、金も人生も全部しゃぶり尽くす」

「安全な所から人を操って、人の人生ぶっ壊して楽しいか?」

「何言われても反論しない相手は叩きやすい。みんな誰かを捌きたくて仕方がないんだ」

ひゃあ〜〜凄い…野木先生の怒りの感情が

伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)を通してだだ漏れだ。

 

以前にも「ニュースを見て日頃から感じている怒りを…」といった旨の感想を書きましたけど、

本作は脚本家の生身の言葉がとにかくダイレクトに伝わって来るんですよね。

きゅるきゅるとした二人の掛け合いの楽しさで表向きはカジュアルな作品に見せる分、

深堀りしていくと突然鈍器で殴られたような衝撃と、ずっしりとした痛みが

時間をかけて襲ってくる感じ…。

特に後半の話になってからはメッセージ性が顕著に現れている印象があります。

 

誰でも呟けるSNSが時に人を傷つける凶器にもなりうるというテーマを扱った話は

近年だと多く作られてきてはいますが、一昔前の「2ちゃんねる」「ニコニコ動画」みたいな

"状況に振り回される人々"を羅列させた形で表面的に見せるのではなく、

一般人が加害者になってしまう"瞬間"が、会話の台詞においても演出においても

しっかり出せているのが伝わる安心感。

社会情勢を描く面においては、野木先生は一昨年のSPドラマ「フェイクニュース」から

また進化されたんじゃないかなぁ…。

終盤のバーチャルテロが、その作品の可視化された戦争シーンと重なって見えちゃいましたし、

よくよく考えたらうどんが共通していますしね(絡め方はちょっと違うんだけども)。

 

大騒動になるとよく爆発する映像が出て来ますが、

「物語上ではこれで臨場感出してるのかもしれないけど、まぁCGだよね」って

少しツッコミながら見てしまう所を逆手に取った結末もズルい。

最終章にふさわしい派手な内容。

 

次回は最終回って事で…え?15分拡大で足りるの?という感じではあるものの、

逆に15分拡大SPだからこそ、本作らしい密度の濃い話になっているんじゃないかと

今からワクワクしています。

陣馬(橋本じゅん)は多分無事なはず!

来週は包帯ぐるぐる巻きにされながらも

「やっちゃったよ〜」なんて笑みをこぼしている姿が見られるはず!!

良いドラマほど主要人物を瀕死状態にしてお涙頂戴に走らないって信じております。

そして、「間に合った」「間に合わなかった」2つの経験を経て

逞しい変貌を遂げた伊吹と志摩だもの…最後は久住(菅田将暉)も捕まって、

スカッとハッピーエンドであって欲しいな。

 

 

↓次回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

↓前回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 


MIU404 9話 感想|まさにノンストップな密度の濃さ!

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

今回のアバンは、事件の内容をチラ見せするいつもの形ではなく、

蒲郡小日向文世)が伊吹(綾野剛)の目の前で逮捕されるという

前回のおさらいから始まりました。

この時点でもうズルいんですよねぇ…。

だって、あんなショッキングなシーンを改めて見せられてからでは、

ますます伊吹に感情移入しながら見てしまうに決まっているから。

それを更に煽ってきたのが「或る一人の死」というサブタイトル。

前回の事があったために、「死」のワードにはかなり敏感になってしまう。上手すぎる流れ。

サブタイトルの効果もあり、

伊吹はかつての志摩(星野源)みたいに一線を越えてしまうのではないか?

今度は成川(鈴鹿央士)と麦(黒川智花)を助けられない悲劇を味わってしまうのではないか?

という二重の意味で、物語全体の面白味と緊迫感に拍車がかかった内容になっていたと思います。

 

「全部表だったら良いのにね」「機捜のみんなが守ってる街だね」

麦の1つ1つの言葉が全部伏線にしか聞こえなくて怖い。

本来ならジーンと来るはずであろう夕陽と穏やかな劇伴も全然落ち着いて見られない。

そんな「どうか助かりますように…」なんて気持ちでいたから、

最後の怒涛の展開にはまんまとやられてしまいましたよね。

 

桔梗(麻生久美子)がそばにいなかったら、危機的状況でも車のナンバーを覚えている

麦の柔軟さはなかったと思うし、

麦の真っ直ぐな言葉と再会がなかったら、成川は後戻り出来なかったかもしれない。

そして、2人を探す警察が伊吹と志摩でなかったら、無事ではなかったかもしれない。

みんながみんな、自分にとっては必要不可欠で、自分の人生を変えてくれる

スイッチ的な存在になっている終盤のシーン。もう…胸が熱い。

中でも一番盛り上がったのは、九重(岡田健史)が成川を救うシーン。

麦をあんな目に遭わせてしまった過ちから、彼女が助かる代わりに

自分は罪を償って溺死しようと思い立ったのを体を張って助けて、

「全部聞くよ!」なんて全てを受け入れる男らしさを見せる所には惚れてしまいましたわ。

目をかっ開いて本気モードをバリバリ出す表情も最高!

(その後の陣馬(橋本じゅん)の表情で視聴者の気を一瞬でも和らげてくれる対比も最高!!w)

最初の頃は某中学生のドラマは見ていないので、何とも思っていなかったんですけど、

回を増すごとに九重という人物を通して秘めたる熱意を滲ませているのが伝わる演技に

「ああ、良い顔してるなぁ」なんて魅力的に映る俳優さんになりました。

 

しかし、ハッピーエンドの方向に向かっている所、

忘れかけていたものをふと思い出します。

…あれ?「或る一人の死」だけどまだ誰も死んでな…

…………あーーーーー!エトリ?まさかエトリなのか!?

と気付いた時にはもう遅かった。最後まで翻弄され続けたわ。

麦の言っていた表の話には、裏がないと表は成立しない訳で、

麦と成川が間に合った一方で、エトリは間に合わなかった事となってしまうのかというのと、

後で「或る」を調べてみて、あえてその漢字にしたのは

背景も正体も明かされる事なく消されたエトリにかかっていたのか!などと、

心のどこかで引っかかっていた謎が一気に解き明かされていく

長編を読み終えた読後感さえ覚えました。

 

視聴者にとって一番分かりやすい"盛り上がり"の見せ方は

演出や劇伴の挿入の仕方にあると思うんですけど、

それが連続モノになると、脚本の力が見えてくる。

成川と九重の関係性も、伊吹の支えあっての志摩の行動も、スイッチも…

「このタイミングで以前のエピソードを絡ませれば視聴者の心に響くだろう」

というのがよく計算され尽くした内容だと思います。

アバンでもう証明されちゃってますしね。

 

綾野剛さんの、蒲郡を失ってから常に、頭の角度や身振りを通して

どこかぽっかりと穴が開いているような様子から、

麦が行方不明と知った時のタガが外れた緩急のつけ方も、

声なしで叫ぶラストシーンも…いろんな顔を見せる演技に目を奪われた回でもありましたわ…

そして、あまりにも出来が良過ぎる話だっただけに文章化するのに時間がかかり、

感想を上げるのが遅くなってしまってごめんなさいm(_ _)m

(その割には書きたい事あり過ぎて、まとまっていない感じですけど(苦笑))

 

 

↓次回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

↓前回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

 


MIU404 8話 感想|新たな道を進んで得た"希望"と"代償"

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

良い意味でしんどい気持ちにさせる作品ですよね…これ。

そっか、「アンナチュラル」の中堂の連続殺人オタクネタを持ってきたのは

蒲郡小日向文世)という人物を描くために必要なものだったのか…と腑に落ちました。

 

個人的には、二次創作物でよくある自分の好きな作品同士をクロスオーバーさせるなど、

ファンだけが妄想して楽しむような事を公式がガッツリやってしまうっていう手法は、

完全に受けを狙っている感じがしてそこまで好きではなくて。

本作の世界観が食われてしまうのではないかとも、正直ちょっと心配しておりました。

渡された解剖書にミコトの名前があったりとか、

主要メンバーではない刑事がゲストとして登場したりだとか、

きっとどこかで繋がっているんだろうなぁと想像出来るくらいのコラボで

十分だと思っていたので、今回の件はまたあの舞台とキャラクターに会えて嬉しいような、

いや、でもやり過ぎのような…と複雑な心境でいたら…

ただのファンサービスで終わらせない結末にぎゃふんと言わされた気分でした。

 

本作、やはり「分岐点」が軸になっている作品なんじゃないかと思います。

誰と出会うか、出会わないか。この人の行く先を変えるスイッチは何か。

それは中堂にも蒲郡にも当てはまるし、

蒲郡はもう一人の中堂で、

中堂は"もしこうなっていたら=if"を意味する蒲郡でもあったかもしれない。

二人は元々同じスタートラインに立っていたけど、

中堂にはUDIの仲間達がいた一方で、蒲郡のそばには伊吹(綾野剛)がいなかった。

蒲郡は"誰にも助けを求めない"道を選んだ。

 

残された伊吹は伊吹で、機捜隊としてこれからの生活を共にする

志摩(星野源)のスイッチを押した代わりに、

蒲郡のスイッチを押せないまま別れるという代償を得てしまった。

彼の心境を表すのには、まさしくLemonの歌詞がぴったりだったでしょうね…。

放送開始40分が経過してから、今まで恩師だった人が殺人犯だったと判明するまでの

畳み掛け方のスピードがえげつなくて、

その展開の速さに真っ白になって追いついて行けない戸惑いが

伊吹の「え…嘘だよね…?嘘だと言ってよ…」なんて慌てふためいた気持ちと重なるようで、

視聴後はよりグッタリさせられる感覚を覚えました。

「刑事になりたい」という人生における大事なスイッチの一つを押してくれた人ですもん。

子供のように泣きじゃくる伊吹には共感しかない。

声を荒げなくともふつふつと煮え切った感情を滲ませ、徐々に"闇"の一面を覗かせ、

吸い込まれるような目力の演技で見る者の視線を奪う小日向文世さんと、

心の動きを表情や身振り、声の強弱で表現してみせる綾野剛さんの最後のシーン…

大袈裟に見せず、二人の心情が確かにストレートに伝わって来る名シーンでした。

 

スイッチと言えば、伊吹と志摩の立場の逆転劇にもシビれます。

冒頭では盗聴器を仕込んでいる事に気付けなくて落ち込んでいた志摩を

伊吹が共同責任だと言って慰めていたのが、

最後には志摩が相棒に手を差し伸べるほど心強い存在になるなんてズルい。

ファンが熱狂するツボがよく分かっている流れですよ(笑)

主題歌の「お前はどうしたい?返事はいらない」の歌詞が、

黙って俺についてこい的な志摩の頼もしい一面とリンクする所もまた熱い。

 

志摩がいれば、過去の彼みたいに、"こうありたかった自分"を何度も想像しては後悔する事は

ないのだろうなぁと安心させられもしました。

いつも流れる「感電」が、心にぽっかりと穴があいた伊吹をそっと包み込んでくれるような

優しく温かい曲に感じる回でもありました。

 

 

↓次回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

  

↓前回の感想はこちら↓ 

kimama-freedays.ddns.net

 

 


MIU404 7話 感想|それぞれが立っている現在地

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

すごい。すごいすごい!!

キャスト的にも内容的にも、いろんな意味で情報量の多いカラフルな要素を

1時間内であそこまでまとめられるものなんでしょうか。

それに加えて、アクションシーンも、悪い大人も良い大人もいるというメッセージ性も、

道を踏み外した者の人生と後悔を真っ直ぐ描く"野木節"まで盛り込む。

けれども全くとっ散らかっていない。

どれだけ緻密に計算されて今回の話を作り上げたのだろう…と

思わず唸ってしまうほどの出来でした。

 

今回のテーマは「現在地」。

伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)は事件現場となるトランクルームに。

九重(岡田健史)は父の付き添いのためゴルフで接待。

成川(鈴鹿央士)はユーチューバーと面会。

陣馬(橋本じゅん)は息子の結婚式に向かう途中で指名手配犯を見つけ、追っている最中。

そして、指名手配犯の当本人である大熊(三元雅芸)は、ただひたすら逃げる。

それぞれが立っている場所は違うけれど、皆同じ時間を過ごしている。

言わば「現在進行形」の話ともとれる。

それを表すのにはやはり、24時間内で逮捕するという職務を果たす

機捜隊の存在が重要となってくる訳で、今回はその"機捜隊ならではの"魅力が

存分に活かされた展開・演出にもなっていたと思います。

 

ネガポジ反転させたショッキングピンクの映える

ランクルームのカットから始まった時点で「これまた異質な話かな?」という印象を受けた

演出家さんの"クセ"も楽しみましたが、今までと違うと最も感じさせられたのは、

放送開始から最後までほぼ時間軸の行ったり来たりがなく、

基本的に劇中の時間の流れに沿って物語が進んでいた所。

いつもは集結しているメンバーが今回に限ってバラバラの場所にいたり、

中には主人公と全く関わる事のなかった人物がいたりしたのもリアリティがあり、

私たちの近くでもしかしたら事件が起こっているのかもしれないと

錯覚するような感覚も覚えました。

 

そして、劇伴の選曲センスの良い事!

物語が佳境に向かうごとに曲調がヒートアップして行くので、高揚感が堪りません。

大熊を車で追いかけるシーンで劇伴が流れ始め、

そこから徐々にギターの音色も重ねて激しさを増し、

アクションシーンでは見せ場と言わんばかりに演奏楽器が変わってテンポも速くなる。

大熊役の三元雅芸さんは殺陣師の経験もあるそうで、

ナイフを振り回す時のキレも、そのキレに合わせてスローモーションで

動作にメリハリを付けていく演出も、何から何まで夢中になりながら見てしまってました…。

ああ、これぞ「ザ・アクション」だなと。素晴らしいものを見た心地でした。

 

次回から菅田将暉さん演じる謎の男が本格的に動き出しそうです。

"浜田"という男は…前回のラストに後ろ姿だけ映ったあの人なんですかねぇ。

あの人こそが黒幕?

 

宝塚感をバリバリ出しているりょうさんの愉快なキャラクターも、

今後ドラマ業界でも個性派俳優として食べて行けそうな

King Gnuの井口理さんの初演技も楽しみました。

うん、我、満足(笑)

良いドラマほど終わりが近くなるのが早く感じます…。

 

 

↓次回の感想はこちら↓ 

kimama-freedays.ddns.net

  

↓前回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 


MIU404 6話 感想|スイッチを押せなかった人。押してくる人。

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

「あの時声をかけていたら」「もっと俺があいつの異変に早く気づけていたら」

チャンスはいくらでもあったけど、自身の刑事としてのプライドが邪魔をし、

結局押せないまま終わってしまったスイッチ。

そこに「1個1個のスイッチが人生で、大事にしてぇの」「諦めたくねぇの」

まだ押されていないスイッチを見つけたら1つも残さないと言わんばかりに

グイグイ押してくる人が現れる。

相手の考えを否定するでもなく、無理強いするでもなく、

押せないスイッチがあるなら押せるスイッチを増やせば良い…

互いを補い合おうとする伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)の関係性が

深まっていく様を見届けた回でした。

 

2話で志摩が「人は信じたいものを信じる」と言ったのも自分自身を指しており、

夜に屋上を訪れて相棒の背中を押してあげられる自分でありたかったという理想を

脳内で捏造しては何度も想像していた事でしょう。

そして、そうやって過去から逃げていた状態を現実に引き戻してくれたのは、

体を張って真実を知ろうとした伊吹の誠実さと生命力。

道を転がり続けてやがて落ちる玉が志摩ならば、

その玉を受け止めるのは伊吹。

そんな2人の関係性を象徴を示すかのような3話のピタゴラスイッチのシーンに、

4話での銃口を向けた男を睨みつけた志摩の冷たい目線…

今までにばら撒かれた印象的な要素は全て今回の話に繋がっていたのだと思わせる、

ここまで見てきた視聴者が自ら両者の想いを汲み取る形で実感する

"さり気ない"伏線回収の仕方には天晴れとしか言いようがありません。

 

ずっと掛けてたの?と疑問だった垂れ幕の件もしっかり理由が。

物語上で「都合の良い展開」を作り出さないようにする所も抜かりないです。

 

今まではジト目で口角の下がった顔つきのイメージだった志摩が、

妊婦から高坂(村上虹郎)への感謝の言葉を聞いた途端に、

彼は最後まで"警察"だったのだ…という事実に救われるかのように

徐々に表情が和らいでいく姿にはちょっと泣けてしまいました。

星野源さんと言えば、「逃げ恥」の時もそうでしたが

堪えきれないくらいの涙を含ませた声を発する演技が凄く好きで。

なので、今回の変化の仕方には見てるこちら側もホッとしたものの…

 

中間地点で志摩の話を1話分ガッツリ書いてきたとなると、

伊吹にも何か隠された過去があるんじゃないかと気になってしまいますねぇ。

志摩の方は所々で危うさをチラつかせていたため

いつか取り上げられるのだろうという覚悟はありましたけど、

伊吹の方はポジティブでいようとする姿を見せる事が圧倒的に多いので

一人の時は何を考え込んでいるのかとかは全く読めないし、分からない。

俺は死なない!と自信に満ちた表情を見せるシーンで

あえて手がピンボケになっている演出が施されていましたが、

実は生命線が物語に大きく関わって来るんじゃないでしょうかね?

 

次回は菅田将暉さんだけでなく、

りょうさんとKing Gnuの井口理さんも登場されるとの事。

そこまで話題性の高い方をキャスティングしなくても

視聴率は取れるだろうし、欠かさず見るのに!!

本作の予算ってどうなっているんでしょう(笑)

 

 

↓次回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

↓前回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 


MIU404 5話 感想|伊達眼鏡社会を生きる日本人

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

初回の感想で「悪くないね」と書いた当時の自分に、これを見せてやりたい。

最初は「アンナチュラル」を少しライトな方向で仕上げてきたんだろうな〜

くらいの印象だったんですよねぇ。それが間違いでした。

だって…奥深くまで切り込まれた内容に圧倒させられて

何も言えなくさせる話が出てくると思わないじゃないですか…(泣)

 

ドラマの中の出来事だと分かる空想の話なら感想は何とでも書けますけど、

本作の場合は、取り扱った問題は我々にも投げかけている訳で。

伊吹(綾野剛)の言う通り、ロボットにされた何十万人の留学生に対して

一人が謝っても何も変わらない。

だから、素通りしてきた問題をこうやって娯楽の形で伝える事で

多くの人の目に触れさせるしかない。

そこで初めて現実に気づかされて、しっかり平等に接しようと動いてくれる

経営者や店長が出てくるのでしょうが、

逆にそういう権力のある人がアクションに移さない限りは

今の状態は大きく変わる事はないのだろう…という皮肉も突きつけられているようで、

マイ(フォンチー)達の姿を通して、自分がいかに無力であるかを思い知らされた内容でした。

 

遠い国からやってきてくれた人々に対して、

日本にも良さがあるから嫌いになって欲しくない…

日本の文化や自然に触れてずっと好きでいてくれたら嬉しい…

って思ってしまうのも、多分、日本人のエゴなんですよね。

でも、あんな事があっても、終盤で水森(渡辺大知)と見ていた木漏れ日のシーンを見て、

まだ日本が好きである気持ちが残っていて欲しいと期待してしまう。

ああ、なんてわがままなんだろうなぁ。

今度こそは素敵な環境で、素敵な人に巡り会えると良いんですけども。

 

留学生の労働問題=悪い所には目をそらして、良い所ばかり見させる。

そんな伊達眼鏡社会を生きている私たち。

 

ここで伊吹のサングラスを比喩的に使うのは上手いな〜!と感心させられましたし、

社会問題へと話を広げながらも、

最終的にはマイと水森の2人の物語に無理なく帰結出来ている

野木先生の脚本はやっぱり凄い。

本人のTwitterアカウントによると、前回の「手取り14万」の件も今回の「GO TO」の件も

たまたま被ったとの事ですが、

意図して挿入していないから逆に凄いんですよねぇ。

 

渡辺大知さんは視聴時は「べしゃり暮らし」の相棒役だったとは認識出来ず。

心が荒んでいて、自暴自棄になっているのが伝わる上での

「来るなーーーーーーーーー!」と叫ぶ演技には、

その言葉以上に色んな感情や経験談が混ざっているようで印象深いシーンでした…。

 

役者の扱い方が上手いドラマは信頼出来る説。

成川(鈴鹿央士)とユーチューバーが絡み出して新たな相関図が生まれたのと言い、

菅田将暉さんが何者かがまだ読めないのと言い、

志摩(星野源)の過去にミステリー要素が増したのと言い…

早く次回が見たいなぁ。いや、もう一気に見たい!!

 

 

余談:

前回でキーアイテムとなっていた「少年海外協力隊(女の子の顔が写った広告)」は

コンビニ店内の後ろにポスターとして貼られていて、

ウサギさんのぬいぐるみは機捜隊のキッチンの隅っこに置かれてました。

小さなネタでも、別の世界で青池さんは立派に生きているんだろうなぁと

思わされる感じがして良いですね。

(いつもこの手のものには鈍感なもので、

見返した時に初めて発見出来た事がちょっと嬉しくなっちゃって。つい♪)

 

 

↓次回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

↓前回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 


MIU404 4話 感想|1億の女が見た最後の景色

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

不審者が近づき慄いた声で助けを求める緊迫感を漂わせたシーンから

物語の幕が開けた前回が"緩急"の"急"なら、

居酒屋で駄弁る3人の姿から始まった今回は"緩"のお話。

コインが落ちるSEなど派手な演出が少なくなり、青池(美村里江)はなぜ逃げるのか?

彼女の目的は何なのか?といった一人の女性の謎の動きに焦点を当て

その生き様のルーツを第三者目線で探っていく展開になった事からも、

今までとはまた異質な作りのように思いました。

 

2年前の裏カジノ事件で捕まった過去がありながらも「普通の社会人」になれた事に

喜びを覚えたが一転、暴力団が関わっていると知ったショックで

再び汚いお金に手を出してしまった青池。

政治のお金絡みの闇に対して、手取り14万円しかもらえていない事を嘆く姿…

歌い出したくなるほど大金に取り憑かれていく姿…

「私はまたすっかり汚れてしまった」「どこなら綺麗に生きられるだろう」

ここまでだと、普通の人になりたくても"前科"がある以上はそこから抜け出す事が

出来ないのだという彼女の絶望的な人生を自然とイメージさせられるものだっただけに、

最後の呟きの真意が分かった途端「そういう意味だったのか!」という驚きと、

過去エピソードを照らし合わせて自分がいかに色眼鏡で物語の先を読んでいたかという

してやられた感がありました。

 

キーワードは「自分の人生は自分にしか分からない」。

青池は自身の人生に後悔を覚えたまま命を絶ったように見えたけれど、

実はそれは、最後にやりたかった事を成し遂げられた満足感を味わえた上での死だった。

桔梗(麻生久美子)の元で今も「エトリ」の存在に怯えて生き続ける羽野(黒川智花)も

彼女のように自由を手に入れられる日が来るのか?

一つのきっかけで、誰かとの出会いで、その人の運命は大きく変わるかもしれない。

羽野の人生はまだまだ途中であり、ここは前回のテーマだった「分岐点」と

繋がるものになっていたと思います。

 

分岐点と言えば、伊吹(綾野剛)と志摩(星野源)の死生観の違いも露わになりました。

普段はおちゃらけているように見える伊吹だけど、死に関しては人一倍厳しく、

生きる事に対して貪欲であり続ける。

一方で、真面目そうな志摩は、生に対してはどこか無頓着で冷めきっている。

今まで見てきた星野源さんからは想像も出来なかった

あの目に光が宿っていないような目の演技も印象深く、

これから彼のどんな"闇"が浮かび上がって来るのかが気になります。

 

序盤は2人の軽やかな会話劇で視聴者を引き込ませながらも

微かな引っ掛かりを覚える謎を所々にばらまき、

最後にはその会話の内容も伏線も余す事なく回収した上で

現代社会の在り方についても考えさせられる要素も盛り込む。

野木節炸裂!なお話。

見終わった後、上質なミステリー小説を読み終わった感覚を覚えました。

ああ…面白かったなぁ。

 

 

↓次回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

↓前回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 

 

 

 

 

超余談:

本編とは直接関係のない話なので、ここに書きます。

本当はもっと早く感想記事を上げるつもりだったのですが、

あの訃報を知ってからだとどうしても今回の話と重なってしまって…。

「彼女の人生はなんだったんだろうな」

「何言ってんだよ志摩ちゃん。そんなの俺たちが決めることじゃないっしょ」

何が原因で逝ってしまったのかは本人にしか分からないし、

それを赤の他人の自分達が詮索する必要はないよね…なんて、

二人のこの台詞を通して考えさせられもしてしまいました。

そういう意味でも、個人的にはかなり印象に残る話となりそうです。

 


MIU404 3話 感想|最後に陰で笑うのはいつも大人

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

野木さんに高校生の危うさを描かせたらピカイチだ。 

男子高校生がスケベな事にうつつを抜かしたり、

悪ふざけしたりする人ばかりではない事はそうだけれど、

ある程度知識が備わっているのを上手いように利用し、

彼らが道理から外れたレールへと導かれる原因となるのが大人達だというのも

よく理解している脚本だ。

 

「日本語の表現は柔らかくて美しい。だけど重大な問題までオブラートに包んでしまう」

「ネットに情報が広まったせいで、本来受ける以上の社会的制裁を受けている」

野木さんが日頃からニュースを見て感じているふつふつとした怒りを、

成川(鈴鹿央士)達の反抗心に満ちた行動に乗せて、

桔梗(麻生久美子)の的確で現実を突いてくる言葉に乗せて、

伊吹(綾野剛)のがむしゃらで無鉄砲な走りに乗せて、

時に「若者代表」として上司達に対抗する形で自己を確立させようとする

九重(岡田健史)の心情に乗せて…

「私はこれだけ伝えたい事があるんだ!だから聞いて欲しい!」と言わんばかりに

淀みなく訴えかけるような疾走感を感じさせられました。

 

そして残念な事に、その状況下で最後に笑うのは

未成年を陥れた大人というのもまた事実。

ネットで顔が晒されて、学校や名前が特定されて叩かれて、

最悪の場合自殺する可能性も孕んでいて、

いつか学校全体に被害が及ぼされる結果になる事をまるで自覚していない。

志摩(星野源)がピタゴラスイッチのシーンで

「何かのスイッチで道を間違える」と言っていたけれど、

恐らく校長を始めとした大人達は、何かをきっかけに

既に取り返しのつかない段階にまで来てしまったのかもしれません…。

目に見える物だけが注目を呼んで、根本的な要素となった所に何のお咎めもないのは憎い。

けれども、成川達の成れの果てがもしも校長達だったと考えると、

本当に人を精神的にも(肉体的にも)苦しめる立場になる前に少しでも立ち直れて、

まだ"救い"はあって良かった…とも思います。

(成川だけは徐々に闇落ちしていきそうなんだけれども…。)

 

前回の感想では「アンナチュラル」5話の内容と重なる部分があると書きましたが、

今回は高校生が警察や教師に挑戦状を叩きつける点で7話のいじめ回と重なって。

そこの刑事2人も出てきたのも相まって、

本作はその作品のアナザーストーリーでもあるのではないかと想像してしまいますね。

そうなってくると気になるのは、やはり最終章へのたたみかけ方…

不審者役を演じさせたら最早安定感がありそうな岡崎体育さんをまさかの前振りに持って行って、

菅田将暉さんを登場させる贅沢なキャスティングよ(笑)

菅田さんは尾上寛之さんみたいに全ての鍵を握る人物となるのか?

ドーナツEP=ホルマリンなのか??

…まぁ、3話の時点で怪しげな要素が出ちゃっているので、

もっと衝撃の展開が待っているのでしょうが。

個人的には、成川と同じくネックウォーマーの位置を上げる仕草をした

謎の女(黒川智花)の存在も気になります。

姉弟…なのかしら。

 

コンビのやり取りも今回くらいが丁度見やすいですね。

フフッと笑える箇所が増えましたし、

嫌味ったらしさ満々でギスギスした空気もほぼなくなりました。

"あいつ"の良さを買っているという志摩さん。

やっぱり2人の間にどこか心の開きが出てくると、コンビものは楽しくなりますねぇ。

 

 

↓次回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

  

↓前回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

 


MIU404 2話 感想|残された者が抱えた"願い"という名の闇

 

f:id:rincoro_ht:20200627002759p:plain

 

今回の話を見た時、ふと「アンナチュラル」の5話を思い出してしまいました。

あれは確か、大切な人がある日突然死んで、真実も分からぬままの夫が

犯人に復讐する話だったと記憶しています。

「アンナチュラル」の方が"被害者目線"の話ならば、

本作の方は無意識に人の命を奪ったり殺害を犯したりしてしまった"加害者目線"のお話。

内容こそ違いますが、「取り残された人々」を主体にした点では共通しており、

更には、どうしようもない、想いをぶつける所がなくやるせないという

残された者の得体の知れないごちゃごちゃとした感情を映し出す結末も

一致していた事から、二作品の人物を重ねずにはいられませんでした。

 

そして、今回の話の何がエグいって、ただの美談では終わらせず

「これが希望に繋がっていくのかな?」という

心の中がザワザワするような"モヤっと感"を残す着地のさせ方です。

 

犯人はそのまま加々見(松下洸平)だった訳ですが、

彼がある場所に向かおうとしている目的が父への恨みで、

上司と姿が重なり、自分が上司に殺害を犯してしまった原因は父のせいだという動機で

復讐しに行くのは、正直言って尋常ではありません。

しかし、志摩(星野源)や伊吹(綾野剛)から加々見の想いを聞かされても

それでも彼を信じてあげたいと断言し、

犯人だと分かっても未来でまた会う事を約束してくれる夫婦がいます。

 

なぜそこまで庇うのかというと、夫婦もただの優しい二人ではなく、

信じてあげられなかった故に息子を亡くしてしまった苦い過去があるから。

また、顔が似ている事から、彼をまるで息子と同じように接してもいた。

だから、無事に出所されるまで支えていく有難い存在になるのでしょうが、

これはある意味二人の間に"闇"も感じさせて怖かったのです。

「人は信じたいものだけを信じる」

志摩のこの言葉がまさに真理を突いていました。

 

全く血の繋がっていない関係なのに「顔が似ているから」と言うだけで

今までの自分たちの罪悪感を加々見を利用して晴らしている、

「自分たちがこんな親でありたい」という理想像を押し付けているようにも映り、

今後もそうやって依存していくのかと思うと、

最後にまた3人でドライブしようという約束をするシーンも

「守ってくれる人がいて良かったね」というより「この関係はまだ続いていくのか」という

恐ろしさの方が勝ってしまいました…。

ベタに希望を感じさせるハッピーエンドじゃないエンディングなのが良かったです。

 

松下洸平さんは「スカーレット」で認識して、

それから温かくて優しい八郎というイメージが個人的には定着していた分、

あんなに心が屈折して芯がどこかポッキリと折れてしまったような演技は新鮮に映り、

物語が終わってからもしばらく頭から離れない余韻がありました。

生々しい役も良いですね。

 

初回は私の想像していたものから遠ざかっていると感じ、あまりワクワクはしなかったのですが、

今回みたいな話なら期待出来るかもしれません。

というか、「アンナチュラル」スタッフなので、こんな風に容赦ない話が見たかったのです。

初回は奮発し過ぎて空回りしたって事で…(笑)

まだコンビにはもどかしさもありますが、回を増していくごとに

本作の世界観、機捜隊の人々が好きになれたら…と思います。

 

 

↓次回の感想はこちら↓

kimama-freedays.ddns.net

  

↓前回の感想はこちら↓ 

kimama-freedays.ddns.net