2021年春ドラマ-イチケイのカラス一覧

イチケイのカラス 11話(最終回) 感想|これはなるべくしてなった大団円。

 

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いやはや…「エンターテインメント」を心から楽しんだ作品でした。

 

周りを振り回すほどの曲者の主人公がクビの危機!

彼のために「辞めないで!」「どうか撤回して下さい」と大勢で直談判しにいく仲間達…

という展開はいろんな作品で見てきているけど、本作ほど相応しいと思った事はないなぁ。

あれ…なんか最終回で急に漂白されてません?

絆の強さを滲ませているものの、そんな信頼しているような部分って描かれましたっけ…

ってモヤモヤする人物描写が多かったので(笑)

本作の場合は、なるべくしてなった大団円でしたね。

やっぱり、積み重ねって大事なんですよ…

弱っているみちお(竹野内豊)に喝を入れて、円陣を組むために彼の手を取ろうとする

坂間(黒木華)の頼もしさには涙腺がやられてしまいました。

 

前回で「最終回に繋がる事件」という謳い文句があったけれど、

さり気なく提示された謎を回収していくよりかは、

個人的には、イチケイメンバーの卒業式を見ているような感覚に近かったです。

それはもちろん、上からの"忖度""圧力"に押しつぶされそうになったり、迷いが生じたりしても、

みちおや駒沢(小日向文世)などのサポートで

改めて人を裁く意味の大きさを知り強くなっていく成長的な部分も含まれているけど、

あらすじや小ネタと、今までの要素を随所に散りばめる形で

視聴者に「そう言えばこれもあったね〜」などと"思い出"を振り返らせる部分も含まれています。

本作で描かれる登場人物が好きで、皆それぞれの正義感を持って目の前の案件に向き合う

メンバーの仕事ぶりも好きで見続けてきたので、

アバンの約2分間を使って今までのダイジェスト版を作るのにも何ら不満はなく、

むしろ「これから描かれるのは、彼らがみちおから学んできた事を実践する

集大成なんだろう」というワクワクした気持ちで見る事が出来ましたし。

ヘビやパック型ジュースだけでなく、川添(中村梅雀)の変質者疑惑のくだりまで

きちんと触れてくれる所には妙な感動がありました(笑)

原作があるとは言え、脚本家自身も、役を演じる役者にも愛着が湧いてきて、

本作を書かれていて楽しかったんだろうな〜…というのが伝わって来る内容だったと思います。

 

以前だったらシュッとされていた印象のある竹野内豊さんも、

今ではテレビで向ける顔は、丸みの帯びた優しげな表情ばかり。

素敵な選TAXI」辺りからちょっとずつおとぼけた役が増えてきたのもあって、

本作のみちおも、今だからこそしっくり来るキャラクターでしたね。

これも私の好きな竹野内豊さんだったなぁ。

ハマリ役だったランキングがどんどん更新されていく。

温和な性格で、落ち着いた声から出る言葉の重みにハッとさせられるギャップが

主人公を魅力的に仕立て上げていて、みちおを演じるのは竹野内さんしかいないと思えましたし。

前の感想にも書きましたが、「ふはは」笑いも心の緊張を和らげてくれるようで…

ああ、もう聞く事はなくなるのかな…という寂しささえ覚えます。

(秘書役の篠井英介さんの「はは」の乾いた笑いが余計憎たらしく感じた分…w)

 

「HEROっぽい」って散々言われてきたけど、

活躍を素直に見守りたくなる登場人物が揃った作品がここで終わりなんて勿体ないですよ。

事件の描き方自体に小難しい印象があった法廷モノも、図解や場面転換などで分かりやすく、

かと言って回想シーンでは多くを語らず、視聴者に委ねる事で

思わず考えさせられてしまうような人情劇に落とし込んだ作りになっていたのも珍しい。

勿体ない点に関しては…「入間みちお、またいつか会う事になる…」という

匂わせ台詞を吐いた佐々木蔵之介さん…

続編作りやすくして下さってありがとうございます!って感じです(笑)

蔵之介さんも、人縄筋では行かない佇まいが似合ってらした。

もう出演は決定ですね。

でも、みちおVS安西編は映画館で見てみたいかなぁ…って気持ちもある。

 

熊本での仕事ぶりを劇場版で描いて、

そこから何年後かに東京に戻ってきて、イチケイメンバーが再集結する様子を

Season2でぜひとも描いて欲しいですね。

正直言うと、たまに無難な回もあったので…諸々パワーアップして

また本作のチームにお会い出来る事をお待ちしております!

 

 

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イチケイのカラス 10話 感想|法廷界で繰り広げられるミステリー

 

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へぇ…この手のドラマにしては、最終章に突入しても

あくまでも1話完結型の作りを貫くんですね。

てっきり前後編だと思ってました。

 

内容自体は、今回の事件に関わる登場人物全員がついている嘘を

みちお(竹野内豊)の洞察力で見破っていく…という、

心理戦の絡んだミステリーを見ているかのような感覚。

普段は優しい人のイメージが強い彼が

「だからって嘘をつくの?法に」と核心に迫る時の怖い表情には、

青山(板谷由夏)が正直に打ち明けてしまうのも仕方ないと思えるくらいには

ドキッとさせられました。

それにしても…少年達の方が普通に犯罪を犯していたし、

無免許なのが時効なのもあって、御手洗(板尾創路)よりも罪は重いんじゃないんでしょうか。

彼らは暴行を働いたのはもちろん、偽証もしてましたからねぇ(苦笑)

「嘘」がテーマだから、その嘘を見破られた彼らからも

本音を聞きたかった気がしなくもないんですが、

青山に背中を押された御手洗が、今度は純(小野田晃良)の背中を押す事になる…という

良心から出るバトンタッチ的展開には安堵感と爽快感があったので、

これはこれで良いのかなぁと思ってます。

 

でも、強いて言うなら、公式がうたっていた

「最終回に繋がる事件」らしさは感じられなかったですかね。

最終回に向けて、いろんな所からガチガチに関係を結びつけていく形で

エピソードを壮大に仕立て上げたのでしょうが、

料理次第では通常回でやってもおかしくないような内容に見えました。

時々こっそり尾行する記者(?)を終盤間近でまた登場させるなどして

"正しさの中に潜む影"を演出してみても良かった気がしますし。

果たして途中で出てきた政治絡みの事件が、今回のエピソードだけのものだったのか、

それとも最終回に繋げるために用意されたものだったのかも

イマイチよく分からずじまい…。

前回のストーカーも、なんか想像以上の執念と怨恨を抱えてそうに見えたんですけど、

あれで解決したのか…?という疑問も残ります。

 

いや、もしかして、「最終回に繋がる」とうたった理由は、

最後に描かれたみちおの任期の件が関係しているのか?とも考えられますが、

それにしては、エピソードの差し込み方がちょっと唐突ですよね。

ここまで1話完結型=通常通りで物語が進んでいったのに、

最終回でいきなり王道の「主人公との別れ」のパターンなんですもん。

 

まぁ、クライマックスの段階に差し掛かったのもあり、いつもとは違った緊迫感の漂う話を

無意識に欲していた部分もあったのかもしれません。

最終回のゲストは佐々木蔵之介さんとの事で…

私の好きな俳優同士が法廷で対峙するシーンを見られるのも含めて、

どんな結末になるのか、楽しみに待とうと思います。

 

 

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イチケイのカラス 9話 感想|優柔不断なのも思いやりの1つ。

 

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裁判員裁判の話は初めて見るなぁ。

そもそも、それ自体あんまりイメージ掴めていなくて、

提示された証拠や証言をまとめた書類を元に

最終的な判決を裁判員に委ねる…みたいな流れだと思っていたから、

まさかあんな風に自由にディスカッションさせるのかと驚きましたよ。

私は大人数の前で意見出しづらい人間だから無理だ(笑)

まぁ、ドラマ用に多少誇張はされているかもしれませんが、

色々発見があって、これはこれで新鮮な気持ちで見られました。

「辞めて抜けても良い」「事件の概要はSNSで呟いても良い」もなるほどねぇ…。

 

勝手に自己紹介、探偵気取り、本題から逸脱したお喋り…

個性がぶつかり合う人々の前では、

さすがのみちお(竹野内豊)も入る隙がない所が面白い。

だからと言って、裁判員達の威力に押されて主人公の存在感が薄まる事もない。

周りの意見を頷きながらじっくり聞いて、素っ頓狂に意表を突いてくるかと思えば、

時にストレートな言葉で攻めてくる。

 

犯行をきっぱりと否定し、黙秘権を使った高見(春木みさよ)が

悪女っぽく映ったのは、実は娘を傷つけたくないがための計算だった。

最初はガヤガヤ盛り上がっていた裁判員達も

裁判員制度をやる意味や事件の真相に気づくごとに、

徐々に物事に向き合うようになる真面目な面を見せてきたり、

考えた末に「分からない」と率直な意見を述べる者が出てきたり、

強気だったのにもかかわらず自信がなくなって下りる者が出てきたりもする。

 

被害者を助けるべきだったのか。それとも死なせてあげるのが正解だったのか。

被告人、裁判員、みんなそれぞれ意見が違っていて、

1つの答えを導き出すのに迷いが生じている姿が

有罪にするか無罪にするかで悩む裁判官達の姿とリンクします。

日高(草刈民代)の件もあり、人の人生を決める重みを知っている裁判官だからこそ、

みちおの言葉に続けて自分なりの考えを重ねながらフォローを入れる

坂間(黒木華)と駒沢(小日向文世)の描写が印象的でした。

 

また、劇中の台詞「悪人の中にも善意がある。決して一色には染まらない」でもあったように、

人間は見た目だけでは計り知れない、複雑な感情を抱える生物であるという事を

裁判官側、裁判員側、被告人側の心理に絡める形で見せてきた、

人本来の魅力に触れるお話でもありました。

 

結末自体は重たいものでも、凄くぐったりした心地にならなかったのは

裁判に向き合うみちおの柔軟な思考や行動でバランスを保てているからなんでしょうね。

私の好きな「ふはは」笑い。今回はいっぱい聞けて嬉しかったです。

あの笑いが入るだけで、心が少しほぐれた気分になります。

 

それにしても、終盤のストーカーの件は…

頭打って気絶したまま来週まで引っ張るのかと思っていたので、安心しました。

でも、あれだけでは終わらなそう。

 

で…姪っ子、誰!?(笑)

 

 

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イチケイのカラス 8話 感想|甥っ子の正体は武井壮!

 

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前回で縦軸は完結したため、多少の燃え尽き感は否めませんが…

内容をよくよく見てみると、要素が意外とてんこ盛りですね。

 

書記官・川添(中村梅雀)の悲喜こもごもに、

イチケイメンバーの仕事ぶりに感化される研修生2人。

万引き犯が万引き犯を捕まえる事件への疑い。何やら平穏ではなさそうな夫婦関係。

そして、旦那に育児や家事を押し付けられた奥さんと、

教師を退職してから生きる希望が見つからなくなってしまった元教師による2つの"苦しみ"。

 

こんな感じで、立場も年代もバラバラな登場人物が揃っていた今回。

しかし、冒頭の川添による痴漢疑惑のエピソード、

「疑いの目で見てる?」といった台詞のお陰で、

今回は「先入観」がテーマなのだと早い段階で掴む事が出来、

全体の複雑さを和らげてくれていたように思いました。

 

冒頭で"燃え尽き感"とは書いてしまったものの、

前回で山場は超えたと感じている視聴者が多くいるのを逆手にとり、

あえて脇役を裏の主人公に据えるスピンオフ的な作りにして

今までとは違う形態で見せてきたのは、機転が利いていて良いですね。

それも、中村梅雀さんにスポットが当たるっていうのがまたしみじみとした味わいがあります。

まるでテレ東深夜ドラマを見ているかのような趣…。

事なかれ主義なのに貧乏くじばかり引かされてしまう

憎めないおじさんっぷりが可愛らしいです(笑)

 

そして、今まで純粋に脇役に徹してきたイメージのある桜井ユキさんも、

今回では縁の下の力持ちらしい存在感を残す。

女性同士、子持ち同士、同世代だからこそ声をかけられる

「たとえ離婚しても、蛍のお母さんである事は変わりない」

「娘を一番知っているのはお母さんだから」という手厚いフォロー。

 

浜谷のサポートがなかったら…

痴漢犯じゃないのに間違われる川添の経験談がなかったら…

恵子(真凛)が本音を言葉にする可能性はなかったのかもしれません。

適材適所ってやつですね。

先入観の件、万引き犯に同情する話自体に既視感はあっても、

役者さんを上手く使えば、物語の流れに説得力を持たせられる事が証明されたような内容でした。

 

 

あと…まさか、甥っ子が武井壮さんだったとはねぇ(笑)

甥っ"子"=子供とは限らないという、視聴者にも先入観を捨てる事の大切さを問うオチ。

でもさ…40過ぎの大人がいちいち哲学的な質問をしていたと思ったら、

それはそれで不思議じゃない?

誰かにすぐ聞かないで自分でググって…と思ってしまいましたw

 

 

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イチケイのカラス 7話 感想|日高も白いカラスの1人だった

 

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「正義は複雑」と日高(草刈民代)と言っていたけれど、

正義はストレートに"正義"である事が示された回。

 

11年前の真相に迫る件は、通常だったら最終回まで引っ張りそうな内容ですし、

そこまでの展開で、上層部の闇を小出しに見せていく形で

視聴者が憎い感情を持つよう煽ったり、法廷内でラスボスを悪人に仕立て上げて

懲らしめたりする事も出来そうなものですが、

勧善懲悪あるあるの暗くて重いエピソードの積み重ねじゃなくても

痛快劇は描けるんだなぁ…という新たな発見がありました。

 

ここまで、みちお(竹野内豊)の自由奔放さにどんなに呆れていたとしても、

時には調査を禁ずるよう上から命じられたとしても、

それでも互いで足りない部分を補い合いながら、正しい事は正しくあるべきだと考えて

目の前の仕事に全力を尽くしていくイチケイメンバーの姿が描かれてきました。

天秤を持った像をバックに、みちおや駒沢(小日向文世)から

11年前の案件について問いかけるシーンもあったし。

もちろん、日高を慕っている坂間(黒木華)との関係性も。

これら全ての要素は、今回のエピソードに集約されていて…

自分はどうあるべきなのか?と葛藤を見せる日高を表現するための伏線になっていたのですね。

 

正義をもって職務を全うし続けるメンバーの仕事ぶりを見てきて、

日高も本当は彼らに近い想いを抱えていたら良いな…

いやでも、初心を忘れて、やっぱり上からの権力に呑まれてしまったのかな…などと、

最終的にどんな答えを出すのか緊張しながら見守っていた分、

間違いは間違いだと潔く認める彼女の姿には気持ちの良さが感じられました。

上に行けば行くほど、認められない人も多いですから。

 

そして、個人的にみちおらしいなぁ…と思えたのが、

終盤で日高に白いカラスの置物をあげるシーン。

確か初回で「何にも染まらないから法服は黒い」「イチケイのカラスになれよ」と

言っていたのを思い出しました。

みちおも弁護士だった頃は、検証をやりたくても裁判員の判断でやらせてもらえず、

合議制による多数決で自分の意見を聞いてもらえなかった過去があった。

日高も同じで、モヤモヤとした部分が頭の片隅に残っていても、

周りからの「君は間違ってない」という言葉に流され、今に至った。

弁護士から裁判員になったみちおと、高裁の判事を辞職した日高。

それは自分らしい正義感を貫き通せた証=黒いカラスに近づけた瞬間でもあり、

その気持ちをどうか忘れないで…という意味合いで、

応援のつもりで"何色にも染まってしまっていた"頃の置物を渡してきたんでしょうね。

 

坂間が日高の事を尊敬しているのを普段から知っているからか、

法廷で"あの発言"をした事に対しても、今どんな心境なのかも

あえて聞かずにそっとしておく所も、みちおなりの優しさを感じさせます。

どこが好きなのか率直に聞いて坂間の心に寄り添おうとする青山(板谷由夏)も、また優しい。

「心の中で泣いている入間くんの分まで泣いてるんですよ」

という駒沢の台詞もありましたけど、

多分、坂間も、日高が正しい人だと知れて、安堵の気持ちで泣けてしまったはず。

良かったねぇ…。

 

いろんな人々の持つ正義感の根底にある、優しさに触れるお話でした。

面白かったです。

そして、今回で決着した事で、この先の展開はどうするのかが全く読めなくなりました。

高裁の誰が指示したのか…とか、何となく深い所までは追究しなさそうですしね。

 

 

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イチケイのカラス 6話 感想|正しくあるべき人が正しい事をする潔さ

 

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みちお(竹野内豊)と岸田(バカリズム)。

裁判官と被告人の立場なのに、なんとなく醸し出される名コンビ感…(笑)

もっと掛け合いを見ていたかったなぁ。

 

難攻不落で偏屈な性格から出る、長台詞も淀みなく発する役は

バカリズムさんのために用意されたみたいなもので、

脚本家のお仕事もやられているからか、台詞のテンポと間の取り方がとにかく上手い。

法廷や刑事モノでよく主人公に設定づけられる「本当の真相を見つけ出す」キャラでも、

本作の場合は、岸田が度々ボソッと呟く"本音"が逆に

みちおの真っ直ぐな正義感を引き立たせるための効果的な演出になっていて、

定番の設定…ではなく、この人は本当に正しく裁く事にこだわる人なんだろうなぁという

説得力がありました。

「ポリシーに訴える」この台詞にもグッと来ました。

 

今回は珍しく検事側のシーンも描かれましたが、

調査協力を禁ずるよう言われた井出(山崎育三郎)と城島(升毅)が

いよいよ上司からの圧力に飲まれてしまうのか…と思いきや、

イチケイのメンバーが遠回しに喝を入れる事によって

自分のモットーは何だったのか?と目を覚ます流れになっていたのには一安心。

それも…正直に間違いを認めて合流するのではなく、

話をたまたま聞いてしまったかのように促す小芝居で情報を漏らすっていうのが、

いつもツッコミを入れつつも何やかんやでみちおの検証に協力する2人らしくて

面白かったです(笑)

 

冒頭で語られていた「バタフライエフェクト」論は

みちおの常日頃の思想や行動にも繋がりますね。

彼が「どうして?」を追い求めると、周りも「どうして?」を追い求めるようになる。

現に、効率的に裁く事をモットーとしてきた坂間(黒木華)も変わってきた。

今回の事件は、そんな彼に影響を受けたメンバー達が調べ上げた内容と、彼の確固たる意志が

岸田の心を解した…という感じですね。

 

岸田は「人は絶対に傷つけない」とは言ってはいたものの、

人からお金を盗んでいる時点で傷つけているんじゃないの?という疑問が残っていたので、

そこを突いてくれたのもスッキリしました。

バタフライエフェクトのエピソードを提示して、そこに圧力をかけられた検事への

「自分の言葉が自分に一番響くでしょ」という台詞も絡めて、

自分が犯した行動はいかに矛盾していたかに気づかされ、最終的に自白に至らしめる…

伏線回収も含めて綺麗にまとまっていた内容だったと思います。

 

そして、準備を整えて、いよいよ(というか早くも?)国の司法に立ち向かう事になるであろう

終盤の展開には気持ちが高まりますねぇ。

劇伴を大音量で流す演出も、盛り上げ役としてハマっています。

でも、それと同じくらい気になるのは、残り何話あるのかという所。

次のドラマが6月スタートとの事なんですが、いつもの11話構成じゃないんでしょうかね?

あるいは、立ち向かうものの一度挫折して、またリベンジする…みたいな展開なのかどうか。

本作の案件自体はそこまで捻りなく描かれるので、

ボスはそのまま日高(草刈民代)だと思うんですよ。

 

お金が絡んでいるからなのか、再び登場してきた板谷由夏さんの動向も謎ですし…

まずは新聞配達人を殺害した犯人を特定する所から始めるのかな?

 

 

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イチケイのカラス 5話 感想|ちょっと2サス風味。

 

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なるほど、違う案件から同じ真相を突き止める「併合審理」っていうものがあるんですねぇ。

最近の弁護士ドラマでも取り上げられたのを見かけなかった分新鮮味がありましたし、

食い逃げと傷害事件を絡めてみようという発想は面白かったです。

 

ただ…結局目撃者でも何でもなかった元木(阿南健治)って何だったの?

そもそも併合審理じゃなくて、証言者としての登場でも良かったのでは?

とは思っちゃいましたけど(汗)

全く違う案件から意外な真相が出てくるのかと期待していた分、

今回の結末はちょっと物足りなかった気がしないでもないです。

 

構成自体も「分岐点」が何度も言及されていただけに、

法廷での無罪と有罪の判決はもちろん、バレエ団員は白か黒か、

元木は本当に目撃者かそうでないのか、

坂間(黒木華)とみちお(竹野内豊)の恋は発展するのかしないのか、

そして、石倉(新田真剣佑)が選ぶのは初恋相手か職務か…など、

いろんな要素が盛り込まれていた印象。

だからなのか、案件も、石倉と恭子(生田絵梨花)の高校時代のエピソードも

全体的に薄味に感じてしまったのかなぁ。

バレエ集団、しかも選曲がなぜか必ず「白鳥の湖」で、

相手が恐喝まがいのクズ男で、階段落ちで死ぬ…っていうのも

2時間サスペンスの展開を彷彿とさせて、まぁありがち。

今思えば、笑う所も人情でホロっと来る所もあまりなかった気がします。

というか…恋愛パート、そんなに濃くするの?

 

本作はもしかしたら、各回の内容のクオリティに若干の差はあるのかもしれませんね。

で、偶数回の方が面白い説を踏んでいます。

「分岐点」をテーマにするなら、来週のバカリズムさんゲスト回の方が

"あの作品"繋がりでユニークさが増したんじゃないかと思っていますが(笑)

次回の再共演、楽しみにしております♪

 

 

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イチケイのカラス 4話 感想|感情と不条理な世間への嘆きがシンクロ

 

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冒頭でいつも流れる被告人の犯行現場のシーンですが…

今回は強く「お、なんか違うな?」と目を惹かれましたね。

 

猫がおもちゃのピアノを弾くと出る賑やかで軽い音と同時に映し込まれるのは、

治安の悪そうな小路の中を走る男性という、何やら物騒な場面との不協和音具合。

そして、とある高校生がシリアス調の曲をピアノで弾くシーンと、

らせん状の階段を上って逃走する引きのカメラワークを

重ねる事によって滲み出る「迷宮入り」感…。

この事件には明かされたくない"何か"があるのかも?

一度踏み入れてしまったら深い闇が待っているのかも?と思わされました。

 

要点もアバン内で簡潔にまとまっていて、テンポの良さは抜群。

笑い・怪しい・切ない・悲しい…1時間内でいろんな感情も味わえるお得さ。

何だか面白みが増している。その勘が当たっていたのかどうかを確認するために

演出家を調べてみたら、田中亮さんという本作初担当の方でした。

過去作品で何度かお見かけした名前でも、凄い演出をされるんだなぁと思うほど

今まで印象に残った事はなかったんですが…(失礼…^^;)

冒頭のシーンの中では一番良くて、今後この方の担当される回をまた見たくなってきましたね。

 

高校生がピアノを弾いていたので、この犯行は共犯によるものだと察して、

養護施設の仲良しの子2人が出てきた時点でオチは読めてしまったけれども、

今回のようなストレートな人情話もまた好み。

というか…もしかしたら、今までで最も好きな話だったかも。

 

坂間の妹・絵真(馬場ふみか)が坂間(黒木華)を頼りにしている様子が描かれたのと、

兄妹になろうと誓い合った3人を絡めて「きょうだい」をテーマにしたのも

捻りが効いていましたが、

それ以前に、今回の裁判は坂間にしか出来ないものだという説得力がありました。

 

普段はポーカーフェイスを貫こうとしている分、いざ感情を伝えると

心の中で溜めていたものが勢い良く出てしまう所。

(境遇はかなり違うけど)自分の力ではどうにもならない現実を受け入れるしかない所が、

坂間と博人(田中偉登)の2人は似ています。

だから、彼女が入間っちゃうのがとても分かる。

 

「人生は、自分の思い通りにならない事の方が多い。

しかし、いかなる理由があろうと、あなたは罪を犯してはならなかった。」

「あなたが逆境を跳ね返し、切り開いていける事を。

そして、辛い経験があるから今があると、いつかそう思える日が来る事を。」

「心から願っています」

最初はいつもの"真面目""冷静"な坂間らしく、自身の行為を反省させる言葉を

容赦なく投げかけるけれども、

彼の未来を心から願っているのか、その硬い表情が徐々にほぐれて

人間らしい柔らかな顔つきに変わっていく黒木華さんの演技…目頭が熱くなりました。

 

裁判はゲームだと言う弁護士には、同じマネー好きである弁護士を紹介して、

民事裁判なら損害賠償を出せるだろうという事で後にぎゃふんと言わせ。

3人には手術費を捻出して、別の高校への編入を掛け合ってみるかを

みちお(竹野内豊)と検討してみるフォローの手厚さも良いですね。

この描写が少しでもあるだけで、視聴者によっては綺麗事と捉えかねない

上記の言葉をぶつけるシーンにしっかり意味を持たせています。

そして、彼女が泣き止むまで待つというさり気ない気遣いを見せる

みちお(竹野内豊)の懐の深さにやられます…

やっぱり、この裁判官なくして今の坂間はなし…ですね。

 

今回もプロフェッショナルな人々の話を満喫しました。

本作、ここ最近職業モノが続く月9の中でも当たりかも?

 

 

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イチケイのカラス 3話 感想|譲れないものは何か?で変わる分岐点

 

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今回はいろんな意味でイレギュラーな回でした。

 

まずは1話完結型のエピソード。

初回も2話も最初は被告人が真っ先に疑われるものの、

調査してみると実際は不慮の出来事だったり、ある人が招いた印象操作だったりして

結果的に疑惑も事件の謎も晴れて終わります。

しかし、今回の場合は「罪を犯してしまった事」自体は変わりません。

が…真相が真相なだけに、同情したくなってしまいます。

 

生きて罪を償えとはよく聞くけれど、それは被告人だけでなく、

現場に関わった碧(渡邉心結)も自分のせいで彼の開きかけていた人生を

奪ってしまった事を痛感しなければならない訳で、死にたくなるほど辛い…。

逮捕されても、出所しても、これから彼女が過ごす時間は

"大切な人がいなくなった事を噛み締める時間"に変わる…という、

若さ故に守られてきた側の心理も突く、残酷な余韻の残る話。

せめて駒沢(小日向文世)が「あなたはやり直せる。私は信じています」と

藤代(岡田義徳)に言ってくれたのが救いでしょうか。

この先は不透明でも、きっとこの人が何らかの形で

2人を見守っていてくれるんじゃないか、いや、そうしてくれそうだって思えるオチに

少し柔らかな気持ちになれました。

 

もう1つイレギュラーだったのは、

通常だったら関係性も深まるであろう6,7話辺りでやりそうな

サブキャラクターのメイン回を、3話に持ってきた事。

この構成は意外でしたが、駒沢の"自分を信じる"正義感は

今のみちお(竹野内豊)になるまでのルーツにも繋がる気がしましたね。

1話完結型のエピソードだけでなく、初心に帰って改めて案件に向き合おうとする

彼のリスタートの話も味わえる満足感…。

こんな部長がいて初めて自分も刺激をもらえて、

プロ集団とも呼べるチームワークが出来上がっていくんだろうなぁ…という説得力がありました。

で、次回は坂間(黒木華)が職権発動するというので、これまた展開が早いです(笑)

後半はやっぱり、中ボス、大ボスと強者に勝負を挑む流れになっていくんでしょうかねぇ。

 

実娘の設定はちょっと加え過ぎな気もしたし(なくても支障のないレベル)、

前回は事務総長やその息子に対して"法廷界の闇"をズバッと斬りこむ爽快感があったのに、

忖度して証拠を隠蔽しようとしていた警察は放置したまんまなんだ…

「ただ単に信じる事は、知る事の放棄」など、

みちおや駒沢が言っていた考えさせられる台詞を直接届けるシーンがあればな…

というモヤモヤした部分は出てきてしまいましたが、そこは次の話に期待したいです。

演出家が変わったのか、今までよりもテンポの良さが落ちた気もしましたし。

 

 

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イチケイのカラス 2話 感想|保身は時に刃物にもなる

 

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凄いですね。2話にして完成度を高めてきています。

1本の作品を見たぞ!という満足感さえ感じます。

 

この手のドラマは基本的に逆転判決されるのが鉄板です。

が…視聴者を翻弄する展開が続くので、それとは関係なしに、純粋に面白い。

序盤の段階で「鬼女の微笑み」と呼ばれている深瀬(前田敦子)を始め、

旦那や義母、医師(金井勇太)、事務総長・健一郎(石丸謙二郎)と

その息子・隆久(馬場徹)などいかにも怪しげなキャスティングを用意しては、

誰が本性を見せるのか?誰が事件に関わっているのか?を予想する楽しさがあるし。

見せ方的にも怪しいと思っていた人が案外そうでもなくて、

逆に「そことそこが繋がるのか!」という意外性にやられたりもする。

判決を言い渡される時のちょっとした間には固唾を呑み、

母を覚えていてくれた娘との再会に救われた心地になりつつも、

でも子供と離れ離れだった"空白の時間"はもう戻らない…

旦那も含めて、あの時信じてあげたら、もっとこうしていたら…という後悔=ほろ苦さも残る。

今回の内容をざっくり例えるなら"人生"…そんな言葉が似合う気がしました。

 

また、1話完結で、「有罪」「無罪」の二手の判決を言い渡す裁判が舞台の作品らしく、

最後は間違っている者に対してはっきりと「間違っている」と言い渡すかのような

悪人を懲らしめるオチもあり、

勧善懲悪モノとしても形が出来上がっていたんじゃないかと思います。

一方で、裏では「間違っていない」と言い張る人物が一人…

"ある裁判"によって弁護士を辞めるほどボロボロの状態になっていたみちお(竹野内豊)が、

手柄を得る事で信頼してくれる仲間が増え、そうして経験値を積み、

最終的には最高裁判所判事・日高(草刈民代)に再び挑戦状を叩きつける

RPG的な構図に近づいてきているワクワク感も。

縦軸にも興味を惹かれてしまいますね。

 

前回で「ゆる可愛い止まり」の印象の方が強かったみちおのキャラクターも、

法廷に裁判官を呼んだり、自分の頭をゆすってみるよう提案したりして

大分自由度が増してきていると同時に。

何度も現場検証をして確認する"弁護士っぽい"場面よりも

法廷で活躍を見せる"裁判官らしい"場面が増えて、

従来の作品の既視感を払拭させる描写になっている感じがします。

 

あとは…主人公においても、周りの登場人物においても、

抽象的な表現になってしまうけど、なんか見ていて心地良いんですよね。

本作が一貫して描いているのは「正義感」でも、全然押し付けがましくない。

それは、相手と同じ目線に立って本心を語りかける

みちおの柔らかくて穏やかな口調も効いていると思うんですが、

彼の仲間達に厄介者扱いしたり嫌ったりしている人が

いないっていうのが大きいのかもしれません。

ボヤいたり呆れたりはするけれど、みちおの能力や人間性を認めている部分もあって、

いざという時には完璧なサポートに回って超優秀なチームワークを発揮する…

そんなプロ集団、全員まとめて魅力的です。

 

全員に好感が持てるから、次はどんな案件に向き合ってくれるのだろうと、

来週がますます楽しみになりました。

前回よりもあまりにも仕上げてきたのでね…書きたい事が色々あり過ぎて

文章がごちゃついていると思いますが(苦笑)伝わると嬉しいです。

 

これは本当に期待出来そうかもなぁ…

やっぱり他の2本は録画に回して、月曜日は本作だけ感想を書く事にしようかしら…。

 

 

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