2022年夏ドラマ-プリズム一覧

プリズム 9話(最終回) 感想|プリズムから生まれた出会いと別れ…そして繋がり

 

 

3人がお互いに夢のために再出発し、再会してはまた1つの夢へと向かう事になる最後のくだり…

個人的には、同局で放送されていた「古見さんは、コミュ症です。」

「今目の前に広がってる海は、世界中どこでも繋がってるよ」「だから心も繋がってるよね」

というやり取りを思い出しながら見ておりました。

 

その作品は、繊細で不器用な人々が、深い友情関係を築いていく姿を描く作品であり、

上に書いたやり取りはあくまでも、引っ越しが迫ってきていて、

初めて出来た大切な友達との別れを惜しんでいる人を励ますために生まれたものだから、

本作のテーマとはちょっと違うんですけども。

でも…離れ離れになったとしても、何か叶えたい夢や目標があればすぐに共有したい、

会って話がしたい…で集まれる関係性って、歳をとればとるほど減っていって。

"今"を生きる人にとって、そんな繋がりを持続出来る事が

いかに貴重かを考えさせられる点では、ある意味共通していると思うんですよね。

 

男女とか結婚とかは関係なく、離れていても相手の存在を感じながら

"パートナー"として自由に愛する事を決めた3人。

3人はまだまだ若いし、仕事も板についてきたばかりで

この先どう転んで行くかも分からないから、いろんな可能性がある。

これからに向けてのワクワクした気持ちをテラリウムに閉じ込めたかのようなラストも…

それぞれが抱く希望や未来を感じさせて良かったです。

 

一方で、「パートナーシップ制度」で"認められる関係"を作ろうとしている2人もいて。

一見すると、結婚にこだわっているとも取れるけれども、

制度を使う事は不正や犯罪を生ませない、

人生をより過ごしやすくするための1つの手段でもあるから、

こういった形で幸せを育んでいくのも、それはそれで素敵だなぁ…と思わされたのでした。

 

他にも、陸の妹・香蓮(小野莉奈)が恋に落ちた相手が還暦の人だったり、

綾花(石井杏奈)が子供を授かったり、梨沙子若村麻由美)にモテ期が到来したり、

まさにプリズムと言わんばかりの多様な恋模様を

最終回に一気にぶち込んで来たのにはびっくりしましたが(笑)

でも…皐月(杉咲花)と陸(藤原季節)、

耕太郎(吉田栄作)と信爾(岡田義徳)の関係性を通して、

複雑な心境を抱えている人々がほんの僅かな一歩を踏み出すまでの過程が

今までに描かれてきたので、盛り込み過ぎよりも、

みんなが幸せであって欲しい…と願う気持ちの方が勝ってしまいましたね。

 

中々変えられない自分に苦しんでいる…

そんな朔治(矢島健一)の本心にも触れられていたように。

現実世界ではこういう人が多いのだろうという事も、

LGBTも尊重しようという風潮が広まりつつあると分かっていて

それに順応していかなければならないのに、

自分の価値観がつい妨げてしまう人がいるという事にも十分に理解のある、

どの世代にも相手に目線を合わせて手を差し伸ばしてくれる

優しさに包まれた作品だったと思います。

…と同時に、皐月が自身のモヤモヤしていた感情を大きな声でぶつけられるまで、

自分の意志で自分の道を切り開いていくまでの姿を描いた成長記としても

興味深く視聴しました。

杉咲花さんの幼げな顔付きのお陰で、見守りたくさせられた部分もあったのかもしれません。

 

重くて辛い…場合によっては視聴者を選んでしまいそうな題材を、

緑いっぱいの自然と原由子さんの主題歌で和らげて、見やすさに繋げてくれる

バランスのとれた作りも好きでした。

 

で…来週からは、本作の余韻を吹き飛ばした「オリバーな犬」の続編ですね。

最終回でいかにも続編ありますよ風の予告を作っていたので、

こりゃないだろうな〜と思っていたら…本当にやるんだから驚きですよ(笑)

次回作も別ベクトルで楽しみます〜♪

 

 

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プリズム 8話 感想|誰も傷つかない世界なんてない

 

 

約11分半にもわたる告白大会…いや〜………圧倒されっぱなしでした。

もう今回はそれに尽きますよ。

しかも凄いのは、本音をぶつけ合うにも、どこかカフェや家に移動して、

話の最中で机を叩いて感情的になったりだとか、

途中で逃げ出して誰かが追いかける…といった、いわゆる"動"の展開じゃなくて、

森をバックにワンカット長回しで、彼らの様子をずっと映してきた所。

誤魔化しの効かない構図だから、その分、3人の演技や台詞が

目や耳にダイレクトに伝わって来やすい。

そして…いつもだったら、淡い光に照らされる登場人物のアップが多いイメージがあるんですが、

このシーンだけは引きの画で撮られ続けていたのもまた"違和感"に繋がっていて、

その"違和感"が物語への没入感を高めさせていたとも思います。

 

で…ずっと引きで撮っていた…と書くと単調にも捉えられですが、決してそうではなく。

例えば、悠麿(森山未來)と顔を向かい合わせて話している時は、

輪から外れ気味の陸(藤原季節)が画面からフェードアウトしていって、逆もしかりで、

3人で考える問題にぶち当たったら、3人が画面内に収まって…というように。

相手と話す機会を逃したくない、自分の心が、お互いが納得行くまで

とことん話し合いたいという皐月(杉咲花)の強い想いが反映されたともとれる

映像の変化のつけ方も合わせて、興味深く視聴しました。

 

話を切り出したのは皐月で、皐月を中心に話が広がっていっているんですけどね。

でも、陸と悠麿の関係性は誰にも手の届かない遠い場所にあって、

それくらい深い情で結ばれたものなのだというのが、画面越しでも十分に伝わってきて。

(陸の今までに聞いた事のない、悠麿と話す時の声の高さで察しましたよね…)

彼女が何か本音をぶつけようとすればするほど、

そこには到底辿り着けない疎外感を感じさせて、見ていて苦しい気持ちにさせられました…。

 

「無傷で人を愛すなんて、そんな生易しい事出来ますかね!?」

まぁつまり…誰も傷つかない世界なんてない。

私は優しい世界で溢れた作品が好きではあるけれども、

娯楽として作られる"フィクション"だからこそ、そういった世界は成立するのであって、

実際には、みんな上手くいくなんて事は早々ないのかもしれませんね。

何話か前の感想に「3人で過ごす線もアリなのかも」と書いた件、反省しております…。

もちろん、軽はずみな気持ちで書いたんではないんですが。

 

約11分半、見ていて辛かった……

トラックで移動するくだりが無音でサラ〜っと処理された辺り、

きっと車内でも無言を貫いていたのかも……と思うとしんどい話ではありましたが、

その後の正直過ぎるコミカルパートにはかなり救われました。

ああいう分かりやすい緩急があると、助かります。

いや〜…それにしても、陸に本当に振り回されっぱなしでしたわなぁ(泣)

せめて最終回では、皐月のイキイキとした表情を見たいです。

 

そうそう、あと書き残したい事と言えば…

何かと活発な役が続いたソニンさん、本作での役は新鮮に映りましたね。

子供の頃から温かく見守ってきたような故郷のご近所さん感(?)がぴったりハマってました。

 

 

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プリズム 7話 感想|このままでは皐月の立場が…(泣)

 

 

「僕とあなたの願いは同じです」

なるほどねぇ…。悠麿(森山未來)のこの台詞が一番ハッとさせられましたな。

 

本作の登場人物って、年代から人生経験まで全てバラバラの人が集まって、

各々の心情に平等に踏み込んで描いていっているからか、

毎回新鮮な"気づき"を得られる事が多いんですよね。

今まで相容れない者同士だと思っていたのに、根本的な考えは一緒なんだ…と。

今回の場合で言えば、悠麿も朔治(矢島健一)も

「陸には幸せになって欲しい」が共通の願いだった。

けど…どちらかと言うと、「"普通"が絶対」という思考から抜け出せなくて

囚われ過ぎてしまっているのは悠麿な方な気がします。

 

「これで彼が世間から排除させられる事はないんだ」なんて強い表現、

今でも彼にほんの少しでも未練がなければ言えないでしょうし、

そもそも、朔治に会って説得しに行こうと考えもしないでしょう。

愛が…愛があまりにも重くて深い……(泣)

「幸せは2人で作るもの」という固定観念をなくして

3人で過ごすオチになるんじゃないかと思った時もありましたけど、

あの状況じゃ皐月(杉咲花)は到底敵いません…。

皐月ではなく、悠麿を想って涙を流したのが"答え"みたいなもんですよね。

 

大事なタイミングで朔治が自分に寄せた手紙を陸に見せてしまうのも

結構反則だと思っていて。

嫌悪の目を向けていた悠麿からの手紙をなぜとっておいたのかは…

彼の本音を知るのが怖くて、でもこのままで良いのかと葛藤する自分もちょっといて、

それで長年捨てずにいたままだったとも考えられますけど…。

うーん…陸に見せてきたのに関しては、自分がいかに心を閉ざしていたか、

見向きもしなかったかの反省の表れでもあるのかな?とも。

けれども、"今"やるべきではなかったですよね…。

時間が経ってから、朔治があの行動を起こしたのかの理由を何とか考えてみたものの、

リアルタイム視聴時では本当に理解出来ませんでした(汗)

 

思う所がいろいろあって、何だか内容への具体的な感想が多くなっちゃったので(苦笑)

ここで少し視点を(というほどでもないですが…)変えた感想を書くとするなら…

今回はバイオリンの弦の音が、全体の雰囲気を上手く引き締めてくれましたね。

前回の鉄筋と言い、本作の劇伴って基本シンプルな印象があるんですけど、

あくまでも台詞を際立たせる程度の挿入頻度で収まっているからか、

台詞と相まって妙に頭に残るんですよねぇ。

特に悠麿と朔治の対峙のシーン…感情を高ぶらせる事もなく、絵面も地味目ではあるものの、

バイオリンの劇伴がうっすら流れているお陰で、緊迫感がびっしり張り巡らされていて、

あのシーンから早く逃れたい気持ちにさせられてしまいました…。

 

トラックで2人の間に挟まれる皐月の様子も、中々来るものがありますね。

画面の1カット1カット、どれも台詞以上の想いが

登場人物から滲み出ているような感覚を覚えます。

そして、自然や緑が少ない代わりに1対1で向き合うシーンが多かった分、今回は重い内容でした。

次回もどうやら重そうで、このままクライマックスへと向かうんでしょうけど、

さて、どんな結末に辿り着くのか…?

正直、浅野妙子さんが携わられた作品の最終回は

あまり満足に終わった試しがないんですが…本作はどうかな??

 

 

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プリズム 6話 感想|ユリとすずらんのような関係になれたら

 

 

ポップコーンのくだりが微笑ましい。

以前の感想でも、3人で仕事の休憩中に

おにぎりを食べているシーンについて言及したんですけど、

本作はそんな何気ない日常を尊いものに見せるのが上手いなぁ…とつくづく思います。

それは「演技している」と感じさせない、役者さんの自然体さも関係してはいるんですが、

そこからさらにキスシーンを盛り込んだり、胸キュン要素をスローモーションで撮ったり…など、

作りようによってはいくらでも甘くてドラマチックなラブストーリーに出来るものを、

徹底して"心情"を深く掘り下げようという事に終始している

作り手の真摯な姿勢が大きいのかもしれません。

 

球根に毒を持ったすずらんがユリを守っている…という話もタメになりつつ、

今回の内容を立体的に見せるキーアイテムとしても上手く活かされていた気がします。

元々は"そういう関係"に憧れを抱いていた悠麿(森山未來)が、

自分の代わりに実って欲しくて皐月(杉咲花)に託そうとした所から出た豆知識ですが、

広義的に言えば、それは皐月と陸(藤原季節)の関係性だけに留まらず、

皐月と綾花(石井杏奈)、皐月と梨沙子若村麻由美)、梨沙子と耕太郎(吉田栄作)の

関係性にも当てはまるんじゃないかなぁって思うんですよね。

 

やっとの思いでチャンスを掴んだにもかかわらず、

夢を諦め別の道へと進んだ皐月の方が充実していそうだと気づき、

いつしかプライドが芽生えて、相手と自分を比べては嫉妬する日々を送ってしまっていた綾花。

以前は帰省すら拒み、母親とはなるべく距離をとろうとしていた皐月。

そして…愛人がいるという事実のみを知り、「騙された」という悔しさが先行して、

旦那が入院するまではずっと疎遠だった梨沙子

でも、今では関係がこじれる事なく、お互いに仲を取り戻しつつある。

それは文字通り「隣り合っている」から。

 

信爾(岡田義徳)が「分からない事でもなんでも聞いて、たくさん話したら、

不安も消えていた」と言っていたように、

ありのままの気持ちを話して相手と向き合ってみようとする行為は、

年齢も性別も恋愛も超えて、全ての人々が出来る事で。

向き合ってみようとするのに比例して関係性もどんどん深まっていくのが、

人間ならではの凄味ではあるんですよね。

純粋に"パートナー"として共存し合えたらどんなに素敵か…という、

"人との繋がり"の持つ可能性や希望の兆しを感じさせる内容にまとまっていたと思います。

 

特に梨沙子と耕太郎の件なんて、皐月が病院前にいる母親を呼ばなければ、

梨沙子が顔見合わせをしに旦那の自宅までお願いしに行くなんて事はなかったでしょうからね。

今までの様子から考えると、あそこまで変われたのが本当に信じられなくて…

「私も一緒に説明するから」「それが…本当の"皐月のため"って事だと思う」と話してみてからの

主題歌のタイミングと言い、その言葉が刺さったともとれる耕太郎の横顔のアップと言い、

ラストには泣かされてしまいました。

 

今回は陸のカミングアウトから始まって、

台詞を紡ぐのには最も難しく、慎重さが問われる内容だったと思いますが、

カミングアウトされて複雑な感情を抱いている人も、前を向こうとしている人も

どの立場も否定する事なく、あくまでも「相手はなぜその気持ちになっているのか」を

尊重しようとしているのが伝わる言葉選びが随所に施されていたのも良かったです。

そして、今更ですが、主題歌を歌う原由子さんの声も、本作の世界観にぴったりなんですよね。

毎回放送が終わった時は、自然とサビの歌詞を口ずさんでしまう自分がいます(笑)

 

 

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プリズム 5話 感想|他人には推し量れない"相手を想う気持ち"の線引き

 

 

今回は何だか、核心を突く台詞が多かったですね…。

中でも、一番ハッとさせられたのは

「やっぱり普通ってさ、結局、誰かが作った基準でしかないよね」

という悠麿(森山未來)の言葉。

 

生きてきた時代も、年代も、住んでいる環境も

バラバラの人たちが同じ1つの星にいるのだから、

人それぞれ「普通」の尺度は違っていて当たり前ですし、

彼の言う通り、誰かの考える「普通」が最も正解って事もないんですけど。

「普通」に囚われ過ぎて、浮かないようにそれに合わせなきゃいけない…っていう

生き方になってしまうのが、残念ながら、現代社会では付き物なんですよね。

 

そう考えさせられるきっかけ作りとして、婚姻関係のないパートナーがもたらす影響を

"問題提起"ではなく、あくまでもさらっとメインエピソードに溶け込ませるように

取り入れてきたのも良く出来ていたなぁと。

「私が一生面倒見る」と言い切ってくれる人が、家族として見なされない悔しさ。

同性婚を受け入れる証明書を発行してくれる公的機関がまだまだ少ないという現実。

耕太郎(吉田栄作)が入院したケースだけに限らず、

あらゆる場所で"壁"にぶち当たったり、自分たちの居場所のなさを痛感したりする経験は

今までにもたくさん味わってきたのだろうという事が

耕太郎のしわの刻まれた細い手の長めのカットで察せられて、

何だか胸がキュッとなってしまいました…。

 

一方で、耕太郎に気持ちをぶつけたお陰で、初めて心が少しだけ軽くなったように見えた

妻・梨沙子若村麻由美)の立場も、決して"悪"ではないんですよね。

夫が今でも当時の家族での思い出を、パートナーに嬉しそうに語り続けるのと同じで、

梨沙子も夫と娘を愛し続けているし、想い続けている。

"想い"がまだ残っていれば、騙された…と感じてしまうのは自然現象だと思います。

でも、長く親身に寄り添ってきた関係性だったから、

耕太郎が誰も騙していないという事は梨沙子自身も分かってはいて。

分かってはいるんだけど、2人に近づいたら自分の気持ちが否定されそうで怖くて…

そんな彼女に必要なのは、背中を押してくれる存在だった。

 

相手を想う気持ちの何が嘘で、何が本当かなんて、自分以外の他人には推し量れない。

「誰にも言えない苦しみを溢してみる大切さ」は、昨日のドラマでも描かれてましたね。

新たな関係を築いた者、懐かしい思い出を支えに生きている者…

どの登場人物にも平等に寄り添い、様々な心情を深掘りする事で生まれる豊かさを

感じさせてくれるお話だったと思います。

そして、水川(岡田義徳)が梨沙子に本音を伝えるシーンでかかっていた

鉄筋風(?)の軽やかな劇伴には、かなり救われた感覚がしました。

前回の感想でも書いたように、書き方次第によってはドロドロした雰囲気にもなるだろうに、

それとは真逆の心地良さが終始滲み出ている作風が良いんですよね。

 

次回は、バトンタッチした陸(藤原季節)がいよいよカミングアウトする時。

ドキドキもんです…。

 

 

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プリズム 4話 感想|足踏み状態が余計にそわそわさせられる…

 

 

この作品に原作はないんですが。

回を重ねるごとに、心の機微を描いた小説を、映像を通して立体化しているような

そんな感覚に陥ってしまうんですよねぇ…。

そしてそれは、心の機微を自然体に演じられる役者さんでなければ成立しない…とも言えます。

 

皐月(杉咲花)と陸(藤原季節)、白石(森山未來)の3人でおにぎりを食べながら

素で笑っているかのようなシーンも、

この素朴で幸せな時間がいつまでも続かない切なさを感じさせて印象に残ったんですけど、

個人的には、婚約報告を受けてついつい下を向いてしまう

耕太郎(吉田栄作)の様子が妙にリアルで。

返しが朴訥としている所なんかは"お父さん"らしいなぁ…と。

後でかなり台詞で描き起こされてはいたものの(笑)

あの下を向く演技だけで、自分の秘密や妻との関係性を娘に背負わせてしまった申し訳なさとか、

ゆっくりゆっくり噛み締めていく事で実感する娘の幸せとか、そこから得られる安堵の気持ちとか、

感情がグラデーションに変化していく様を味わえたのは、

流石ベテランの技だな…と思わされたのでした。

 

内容自体は、急展開だった今までとは違い、足踏み状態。

それが逆に、陸と白石の関係性を知り、皐月が大きなショックを受ける事になる

"前触れ"のようにも感じられて、そわそわさせられてしまいます。

あんなに理解出来なかった母の気持ちに寄り添えるようになるのも、時間の問題…。

ガーデンやテラリウムなど、基本的に自然に囲まれた中で物語が進んで行っているから

今の所癒されている"つもり"になっているだけで、

脚本家の浅野妙子さんが本気を出したら、ドロドロした展開が待ち受けているんでしょうねぇ。

 

あ、そうそう。

相手が望まないプライベートな事をベラベラ喋って

さり気なく嫌がらせしてきたあの女性社員の件は、

個人的にベタ過ぎて、あんまりそこの陰湿さで引っ張らないで欲しいな〜と思っていたので、

皐月の人となりをすんなりと理解してくれたのには安心しました。

全体的に雰囲気の悪い職場ではありますが、

チームワークが問われる作業に私情を持ち込まない所は良い。

そして…分からず屋の剛(寛一郎)に

「実家が嫌なんじゃなくて、あんたが嫌なんじゃない?」と

ズバっと言ってくれたのにはスッキリ案件でした(笑)

 

 

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プリズム 3話 感想|愛のある偽装結婚

 

 

皐月(杉咲花)と陸(藤原季節)、それぞれが身を置く"息の詰まる"環境を

じわじわと掘り起こし、展開していった今回。

どちらにも襲いかかってくる「結婚すべき問題」や、

皐月にまとわりつく束縛しい幼馴染み・剛(寛一郎)の存在…

陸と父・朔治(矢島健一)との間にある確執に、

やっぱり諦めきれない白石(森山未來)への想い…

しまいには職場でのプロジェクトの存続危機と

とにかくトラブルが山積みな内容だっただけに、

どこにも逃げ場がない苦しみを、2人の視点で味わうような感覚で

ついつい見てしまっていた自分がいました。

いやぁ…あっという間でしたねぇ。

 

白石が突如海外へと消えてしまったのが7年前。

そして、父が息子と勘当すると決めたのも7年前。

人生のターニングポイントと思われるその"7年前"に何が起きて、

何が決め手となって親子関係が悪化したのかの詳細は明かされませんでしたが…

少なからず分かるのは、お互い愛し合っていたと感じ取れる陸の白石へ向ける言葉を聞く限り、

父が2人を引き裂く行為をしたんじゃないかという事。

そこには、前回の皐月の母(若村麻由美)が抱えていた

「嘘をつかれた」「裏切られた」気持ちもきっと含まれていたのかもしれません。

前回に引き続き、今回も"すれ違う"親子の話…

うーん…親側が悪とは言い切れないし、どちらも想いは共感出来る部分があるだけに、切ないです。

 

それにしても、陸と白石、

1話の皐月の父・耕太郎(吉田栄作)と水川(岡田義徳)の関係性と言い、

内容を見ればジェンダーを取り扱っていると分かるものの、

この2組に対して「LBGT」などのストレートな言葉を一切使わず、

あくまでも"1つの人間関係"として描写している所に好感が持てるんですよね。

そして、人生の形は様々だと思いますが、親から「結婚はどうするの?」と聞かれるのは

大人になったらほとんどが経験している事でしょう。

"ある人たちの話"ではなく、誰にも通じそうな"普通"になるべく落とし込むように、

幸せとは何なのか…というテーマに自然に向き合わせるように、

そんな配慮の込められた作りになっていると思います。

脚本家の件もあって、初回だけだと不安でしたが(苦笑)

本題に入るとさすがのNHKクオリティといった所で、しばらくは安心して見られそうです。

 

某火曜ドラマだとお馴染みの(個人的印象)偽装結婚も、

本作の場合は、多少の差はあるにしろ、

お互いが既に"好き"な状態から始まっているので何だか新鮮ですね。

幸せとは何なのか…だから、

固定観念に囚われない、新たな"幸せ"の形を提示するオチにもなってくるのかも?

そうなると、「プリズム=多面体」って事を考えると、

3人で過ごす線もあるのかもしれないなぁ…と考えております。

 

 

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プリズム 2話 感想|「プリズム」の本質に触れて行きそう…?

 

 

前回が「なんじゃこりゃ」の連続で、

今回は、2人が友達以上恋人未満になっている"状態"からのスタートだった分、

まだ見られるようになったかな…という印象。

終盤の方で「あ、そう言えば胸キュンシーン入れるの忘れてたわ〜」と言わんばかりに

デートシーンを足しているのはちょっと笑っちゃいましたがw

全然許容範囲です。

 

本作が取り扱っている「セクシュアリティ」と「ジェンダー」。

皐月の父・耕太郎(吉田栄作)の恋人が、同年代の水川(岡田義徳)ではなく、

もう少し若い俳優さんだったら

"ズレ"が緩和されたのかもしれませんが…(本人は悪くないです)

どうもメインで描く皐月(杉咲花)と陸(藤原季節)2人が20代で若々しく、

杉咲花さんが童顔なのもあって、2人の恋愛過程がつい少女漫画でありがちな

キラキラしたラブストーリーに見えてしまって(これもお2人は悪くないです)。

脚本家や演出家がそういう意図で作っているにしても、

上記に挙げたテーマが考えさせられる、深いものになっているだけに、

本作の持つ大人の雰囲気と、王道胸キュン要素が画面上で喧嘩してしまっている所に

むず痒さを覚えていたんですよね。

だから、今回は、「嘘をつかれた」と言う母・梨沙子若村麻由美)の心境、

家族の幸せな時間を育んでくれた物は、"家族だけ"の思い出であって欲しい…と考える

皐月の、本人では言葉にしがたいような複雑な気持ちに

スポットを当てた内容になっていたお陰で、

物語の向かう所が大分掴めるようにはなりました。

要は、母と同じ道を辿っていくんですね…何となくハッピーエンドにはならなそうで切ない。

 

それにしても、放送開始から44分でやっと本格的に登場してくる森山未來さん…

うう…焦らしますなぁ(笑)

でも、白石(森山未來)の反応と、その前のバーでの回想で

陸についても少しだけ理解出来ましたよ。

前回のレストランも含め、基本的に人のプライバシーに介入していく性格なのは、

彼女の父と自分が似ていて、少なからず、自分や、自分の家族と同じような

悲しみを経験して欲しくないという想いもあり。

一方で、1対1になると曖昧な反応しかしないのは、自分の気持ちに迷いがあったから…だった。

まぁ、皐月が彼に惹かれた理由はまだ解せないにしろ(苦笑)

彼の方は、最後まで見て腑に落ちました。

だったら、恋愛を加速させるような事はせず、

初回のラストで何か理由がありそうな描写が施されていたら、

彼もただの空気読めない人間ではないのかも…?と思えて

初回でリタイアする視聴者も少なかったでしょうにねぇ。

本当、私でも「この人無理だわ…」って思いましたからw

 

今目の前にいる人と過ごす時間が"幸せ"だと思う気持ちが本当なら、

あの頃"幸せ"だと感じていた自分は嘘になるのか。

あるいは…あの頃、目の前にいた人と過ごした時間が"幸せ"だと思う気持ちが本当なら、

今"幸せ"だと感じている自分は嘘になるのか。

この葛藤を多方面で描き、それぞれの心の中で揺れ動く"プリズム"になっていく…

そんな物語なのかもしれません。

という訳で、もう少し見てみるつもりです。

 

 

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プリズム 1話 感想|いつ惹かれたの?の連続

 

 

脚本家・浅野妙子さんの新作は、前期に続いて恋愛モノ。

放送局はもちろん、設定や雰囲気も違うから、

比較する前提での視聴はナシにして

純粋に"1つの作品"として見てみようとしたんですけどね…。

見れば見るほど、「恋なんて、本気でやってどうするの?」

根本的には同じなんだなぁ…と思えてなりませんでした(汗)

視聴者を振り落としながら、話を強引に進めていくスタイル。

これ、全4話か5話なの?ってくらい関係性の変化が早くて、

登場人物の心情描写が置いてけぼりになっていたような気がします。

 

始まりは、最悪の出会いからだったーーーと言い、

頑張れば渡れそうな橋を、手を差しのばせる形で手伝ってもらう展開と言い、

水筒を貸してあげるくだりと言い、芋けんp…頭についた葉っぱをとってもらうのと言い、

古典的な少女漫画展開が続くのでちょっと恥ずかしい。

その中でも杉咲花さんの繊細な演技は健在で、内に秘めている物寂しいや心細さが

どうやって光に照らされていくのか?という興味だけで

何とか好意的に見ようとしたんですが、

陸(藤原季節)の性格がとにかく受け付けなくて(苦笑)

今後見続ける自信がなくなってきてしまいました。

私、苦手なんですよねぇ…自分のやる事は正しいと信じて、

初対面の相手のパーソナルスペースにずかずか入り込んでくる人。

 

ずかずか入り込んでいくだけの説得力…

まぁつまり、そこまでするほどなぜ皐月(杉咲花)の事が好きになったのかが

伝わるような恋の揺れ動きが描かれていたら良かったんですが、

説明も不十分過ぎるんですよね。

自分の庭の雑草を間違って抜き取った事、"繋ぎ"で適当に仕事している人に腹を立てる人が、

水筒を忘れてきて、橋を渡れなくてじっとしている彼女に

なぜ1ミリもイラッとしないどころか、優しさを見せてくるのかが疑問で…。

 

皐月が陸に惹かれていく過程も、普段からコミュニケーションをとっている

バイトと常連客の関係性だったらまだ分かるんですけど、

たまにテラリウムを見に来るだけで、まともに話もしなかった彼に

一夜を共にするほど惚れてしまうものなのか?と思えてしまいました。

何と言うか、彼女の方も「多くの人がこういう感情になる」人間的な描写が備わっていなくて、

こっちも不自然さが目立っていたような気がします。

(特に、最悪で終わっていたかもしれない父親とのくだりに関してはね…

センシティブな案件だからキレたくなるもんでしょうよと。)

 

森山未來さん演じる悠麿が2人の間に加わってから

物語が本格始動するって所なんでしょうが、

同時に、設定の詰め込み過ぎ臭も漂っていきそうですね。

本作が描くのは「私が好きになった人は…」から始まる話なので、

同性愛が主人公側にガッツリ絡んで来れば良いですけど、

初回を見た限りだと、上手く落とし込めるのか不安になってきました…。

 

火曜のドラマは裏も微妙なんですが、次回の内容次第でどちらの感想を書くか、

はたまたどちらをリタイア(視聴のみ)にするか決めようと思います。

でも、しれっと辞めてしまう可能性"大"です。

 

 

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