2024年夏ドラマ一覧

新宿野戦病院 11話(最終回) 感想|ペヤングの美味さは世界共通?

 

 

ワクチンの陰謀論、緊急宣言事態解除後のお祭り騒ぎ、ホテルでの療養生活に医療逼迫…

未来の話だけれど到底そうは思えないエピソードが続く中で、

感染者と同じくらい医者の助けを必要としている人がいるにもかかわらず

先送りにされてしまう話も描く。

これも、宮藤官九郎さんがコロナ禍で常々感じていた事だったのかもしれませんね。

"過去のもの"になり、時を経て忘れ去られてしまう事に対する怖さと、

もしまたパンデミックが起きた時には、どうか少しでも変わっていて欲しいという僅かな願い。

前回と最終回は、そんな複雑な感情が入り混じった内容に仕上がっていました。

 

後半のヨウコ(小池栄子)が陽性になってからの展開はやや駆け足な気がしてしまって、

「無免許で数々の患者を治療」という、いつか向き合わなければならない問題を

抱えていたからこそ、もっと尺が欲しかったかな?とは思ったんですけど、

ヨウコが逮捕される際に、いつもの「ここは新宿歌舞伎町〜」から始まる

享(仲野太賀)のナレーションを重ねながら、様々な国籍の外国人やトー横キッズが駆け寄ってくるシーンには

考えさせられるものがありました。

日本の医師免許を取らずに医療行為したのは法律上ダメな事で、雑な治療だけれども、

享の言う通り、なぜアメリカの医師免許では認められないのか?という謎は残るし、

彼女がいなかったら救えなかった命はたくさんあった。

だから、今までの行為が「正しい」のか「悪い」のか、はっきりと境界線は分けられない。

涙を誘おうと意図して下手に走馬灯のように回想を流すよりも、

彼女と彼らだけにしか見えない強固な関係性を感じて、グッときてしまいました。

最後の手錠で拘束された腕を上げる所も、ザ・ヒロインって感じで頼もしくてね…

全力でやり切った!だから、後はよろしくな!なんて、

まごころのみんなにバトンを託してくれているように思えて、清々しさが残るシーンでした。

 

南(橋本愛)がバラしていた件については、彼女の出番がずーっとなかったので

そうかなぁとは思っていましたが、動機はとても今時で、繊細なものでした。

「怖いのはウイルスよりも人間の心」本当にそうだと思います。

コロナ禍もSNSによる誹謗中傷が多かったと記憶しております。

パンデミックが起こって、制限が課せられて家に留まる日々が続けばストレスは当然溜まる。

でも、発散出来る場所が他にないから、

ほとんどの人は手軽に使えるSNSで考えを吐き出しがちになる訳で…

そうなるといろんな人の考えに触れる訳で、嫉妬したり、比較して落ち込んだりで

ネガティブな感情が膨らみやすいんですよねぇ。

そんな彼女も最終的には、聖まごころ病院内のカウンセラーとして、新たな居場所を見つける。

「まごころ」という名前がつくのにも説得力が増して、ちょうど良い所に落ち着きましたね。

 

今期の医療ドラマの中では、何だかんだで(!?)

本作が最も医療ドラマらしい仕上がりだったと思ってます。

日曜の方は続編だし、枠のカラー的にエンターテインメントに走る事は分かっていましたが、

月曜の方は王道路線かと思いきや、個人的な事情と理不尽てんこ盛りでしたからね(苦笑)

現代社会ならではの出来事を通して、強さ、弱さ、がむしゃらさ、ポンコツさ…

いろんな感情を見せながら、目の前の患者に等身大で向き合っていくヨウコたちの姿は

良い意味で生々しく、人間臭さが詰まっていてとても魅力的なキャラクターに映りました。

白木(高畑淳子)の名前いじりも毎回の楽しみにw

当初こそ、クドカン脚本と、ほぼ関わりのなかったフジテレビの演出家の組み合わせで

相性は大丈夫なんだろうか?という心配を勝手にしておりましたが、

最終的には、どちらかがどちらかの作風に合わせるんじゃなく、

お互いが良い塩梅を見つけて歩み寄っていく…そんな作品になったのではないかと思います。

 

感想を数話書いてそのままフェードアウトかな…と思うくらい、途中までは本作にノれなかったんですが、

5話からエンジンがかかったように感じて、そこから面白くなる可能性を信じて、最後まで書き続けて良かったです。

(そして、最終回の感想をやっと完成させられました。毎度毎度遅くて、申し訳ありません。)

やっぱりクドカン作品は、私にとってはじわじわハマっていくタイプなんだな…(笑)

 

 

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新宿野戦病院 10話 感想|もう経験したくないはずなのに、歴史は繰り返されていく。

 

 

「歌舞伎町ウイルス」かぁ…中々ニクいネーミングですね。

キャバクラや風俗店が立ち並んで、トー横にホームレスにパパ活に外国人に…と

雑多な人間が集って、実際に犯罪も多いからこそ

物騒で近づきたくないという偏見の目で見られがちな街ですもんね。

最初の感染者がたまたまそこでホストをやっていたのを良い事に、

誰かが上記の通称をつけ始め、拡散されていく。

感染源はアメリカですし、ヨウコ(小池栄子)の言う通り、

その患者はアメリカから帰ってきた後はそのまま隔離病棟にいるのに。

「自分は関係ないから」「自分は"そっち側"の人間じゃないから」と蔑視しているから

そんな名前がつけられるし、広まっていくんですよね。

皮肉にも、歌舞伎町が舞台である事が活きたネーミングと展開だな…と思ってしまいました。

 

内容自体は、フィクションとノンフィクションの境界線があやふやな作りで、

まるで追体験をしている気分にもなりました。

あまりにもリアルなもんですから、思い出して苦しいだけなのになんでこの話を…と

嘆く視聴者がいても決しておかしくはないし、否定するつもりもないんですけど、

宮藤官九郎さんが描きたいのはきっと、

「コロナ禍で『もう二度とあんな経験したくない』と学んだはずなのに、

歴史は繰り返されていく」なんだろうと考えています。

聖まごころ病院の面々を見てみても、マスクを直用したがらない人もいれば、

食事中というマスクを外さざるを得ない状況にもかかわらず

パーテーションを頼りに大声で喋る人もいるし、

聞き取りづらいのか、そのパーテーションをずらす人もいる。

「コロナで"良かった"」と言われるほど強力な感染力を持つウイルスが流行っているのに…です。

時間が経てば、人々の多くは経験を学びに変えず、"昔の事"として忘れ去ってしまう。

慣れって恐ろしいなと、ヒヤヒヤしながら見ておりました。

私も今年の2月にコロナにかかったので…改めて引き締まる想いでした。

 

「人間の言う事は聞かないのに、ウイルスの言う事は聞くのかよ!」と怒りを露わにする

南(橋本愛)の発言もグサッと刺さりましたね。

あれだけ尽くして働いていた日々が無駄だったと言われているかのようで、

一気に虚しさを覚えてしまう。彼女の気持ちには共感出来ます。

Not Aloneだけでなく、警察官、ボランティア、介護士などなど…

歌舞伎町で働く人は同じ感情を抱えているのかもしれません。

けれども、病気になったら、命の危機に晒されていると感じたら

人間は皆平等になるのもまた事実であって。

南にとってはやるせないけれども…果たして、歌舞伎町を離れてしまうんでしょうか。

 

内容が内容だけに、さすがにいつもよりもシリアスな雰囲気にはなっていましたが、

「ありがとう、変態。良い患者です!」とか「そんなのビズリーチじゃん!」とか、

クスッと笑える台詞も健在な所は、やっぱりクドカン作品らしいです。

特にビズリーチに関しては、芸人さんのツッコミくらい切れ味が鋭かったですね(笑)

"抜け"の部分が散りばめられているので、話も重苦しくなり過ぎずに見られます。

 

宮藤官九郎さんも、コロナ禍初期に感染されていたご経験者です。

そんな方だからこそ、視聴者に言いたい・伝えたい言葉はたくさんあると思います。

最終回でどのような答えが出されるのか…見守っていきたいです。

 

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新宿野戦病院 9話 感想|色濃い日常からの…ロックダウン再び?

 

 

月曜日は休診日で、今日たまたまやってきたアメリカのケーブルテレビ局が

仕事ぶりを撮りたいと言うので、

久々にカンファレンスを開く事にした聖まごころ病院。

1つ1つのエピソード自体が色濃くて楽しめましたが、

カンファレンスで物語を展開していくという発想が、なるほどそう来たか!と思わされましたよ。

 

医療ドラマだと、病院の多忙な実態を演出するためか、

特に繋がりもないような2つの案件を同時進行で描く回は時々見かけますが、

確かに、「その日その日の出来事」としてしまえば、話に散漫さは感じられにくくなる。

元看護師が故に、医者に息子の治療方法を指示しようとし、

終始疑ってかかるモンスターペイシェント母。

大事な部分をカッターで切って搬送されてきたセラピストの男性。

失恋で生きる気力を失い、自殺を図ろうとした19歳の女性。

年齢も職業も動機もバラバラなエピソードが用意された事で、

歌舞伎町にある病院の日常ってこんな感じなんだな…と、

画面上では映されていない日まで想像しながら見られました。

 

そして、秀逸だと感じたのは、それぞれのエピソードと

個性豊かな医療従事者の絡め方にもあります。

例えば…1件目で、星崎(佐津川愛美)が強気な態度に出られたのは、

横山(岡部たかし)の顔が妻から「寝顔を見てると殺意が湧く」と言われるほど

逆撫でる顔だったからなんじゃないか…と周りに言われるのも妙に説得力がありますし(笑)

↑物腰柔らかな感じですもんねw

2件目で看護を担当した堀井(塚地武雅)も、前々回で、自分のカミングアウトで

母は本当は悲しんでいたんじゃないかと悩みを打ち明ける姿が描かれたお陰で、

患者にかける言葉にもより一層重みが増します。

3件目で担当した享(仲野太賀)は…個人的にはどうでも良く感じていた

南(橋本愛)と岡本(濱田岳)との三角関係話がここで活きてくるのか!?と

少し驚くくらいで、彼の着飾らない本音ダダ漏れの嘆きと、

歳の近いマユ(伊東蒼)がそばにいて心強かったからこそ、

患者もまた頑張ろうと思う事が出来た。

横山、堀井、享、マユ…個々のキャラクターが活かされており、

この患者にはこの人がいなければ成立しないと思わせてくれる

バラエティ豊かなエピソードに仕上がっていた気がします。

 

訴えようとしていた星崎のいる狭い診察室に、はずき(平岩紙)、享、啓介(柄本明)と

人が次々入ってきて混雑する流れも、事態はシリアスなんですけど

何だか舞台を見ているようでクスッとしてしまいました(笑)

ヨウコ(小池栄子)の説得により、星崎は改心。

そこからなんと1年が経過し…今回はあくまでも「嵐の前の静けさ」的な回だったのかと

思い知らされるラストで終わり。

嵐の前の静けさとなると、大体、次回に繋げようとして話が停滞する事が多いですからね。

内容が充実していた分、そんな悲劇が待っているなんて…という意外性がありました。

 

宮藤官九郎さんの脚本と言えば、定期的に震災が盛り込まれているイメージですが…

今回はまさかの、新種のウイルスによるパンデミック&コロナ再来ネタ。

宮藤さんからしたら恐らく、震災と同じくらい、ウイルス感染も

「巡り巡って、いつの時代にも起こり得る出来事」と捉えられているのかもしれませんね。

現実世界でも、あたかもコロナが消え去った風潮にはなっているけれど、

ニュースで明るみに出ていないだけで感染者はまた増えつつありますし、

地震、台風、コロナと、生きている間に様々な事を経験した今、

新たなパンデミックが起こってもおかしくはない…

もう「フィクション作品の中での出来事」とは思えないんですよね。

あえてこのタイミングで盛り込んだ意味。

それは…我々現代人への問いかけでもあるのでしょう。

コロナ禍が過去のものになりつつある今、果たして本当に乗り越えられたと言い切れるのか?

再び新種のウイルスが猛威を振るおうとしている時、

学びを活かしてきちんと向き合う事が出来るのか?

そんな考えが含まれていそうです。

 

来週は再び、病院がパニック状態になりそうですね。

最終回に向けて、どう着地させていくのか…ますます気になります。

 

 

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新宿野戦病院 8話 感想|お互い円満な形で区切りをつけられたのが救い…なのかな。

 

 

今回のOPのナレーションは日本語。

使われるとしたら最終回だと勝手に思っていたので、なぜ8話で?とちょっと意外に感じていたら、

旦那がハプニングバーにいるんじゃないかと推測した白木(高畑淳子)の怒りを

時代劇風にコミカルに演出するためっていうのもあるけれど(笑)

今回描かれた事件で、あぁなるほど…と納得。

「様々な事情を抱えた人が雑多にやってくる歌舞伎町」を表現するためか、

毎回異なる言語でその街が紹介されてきた訳ですが、

あえてこのタイミングで日本語にした事で、本作はあくまでもフィクションだけど

2024年の、現在の日本と地続きなのである…というのをさらに印象付けていたように思います。

 

それにしても、今回起こった火災事件とその実態はより一層リアリティがあって、

どうしたってあの某制作会社の事件を彷彿とせずにはいられませんでしたね。

本作の場合は雑居ビルですし、犯人特定までの流れも一捻りあったんですが。

犯人が重傷で優先的に治療されるというシチュエーションと、

犯行動機が「むしゃくしゃしていた。誰でも良かった。死刑になりたかった。」となるとね…

重なってしまう訳ですよ。

 

生配信を意味深な様子で見ていたシーンから、

アイドルに付き纏っていた後藤(北野秀気)が逆上して

雑居ビル爆破を実行したんじゃないかと思い込んでいたので、改心していたと分かって安心。

(↑赤いミサンガをつけていたから余計に…宮藤さん、確か朝ドラをご覧になっていたようなw)

別の人となると、じゃあ、ひょっとして白木の旦那なの…?と一瞬過ぎりもしたけれど、

爆破事件に関わっていなければ、無事に戻ってきてそこもまた安心しました。

惨たらしい事件描写の中で、自身がかえで(田中美久)に対して歪んだ感情を抱えていた事、

それで彼女を不安にさせていた事を反省し、

かえでも彼の誠実な態度を受け、心曇りなく卒業出来て

お互い円満な形で区切りをつけられたという所が、

唯一のファンタジー要素であり、救いになっていたのかなと思います。

 

でも、その後が良い方向に向かうかどうかは…。

もしかしたらかえでが、今回の事件の事でフラッシュバックを起こして

芸能活動を休止する可能性だってあるかもしれないですし、

後藤は犯人ではなかったものの、世間からは「ストーカー」として認識されたまま。

2人の今後は大丈夫だろうかと、気になってしまうのでした。

 

火災シーンや爆破シーンの映像は一切差し込まれませんでしたが、

それでもかなり緊張感がありましたね。

山とか、海とか、トンネルとか、そんな大規模な舞台を取り入れなくても惨事は伝えられる

というのが証明された展開・見せ方でした。

…大事故に見せようとしてCGを取り入れたら、

かえって安っぽく見えるケースもありますしね(苦笑)

事件が起こった日の流れを表す時刻の演出と、

「事件の関係者(被害者・加害者)」に誠心誠意向き合う医療従事者と警察の動向に絞って

描かれていた事が、ドキュメント映像かのような見応えに繋がったのではないでしょうか。

そして、肝心の焼けたビルの映像は、ラストにさらっと映して終わりなのは

視聴者への配慮を感じさせると同時に、

南(橋本愛)の「誰でも安心して遊べる、健全かつ衛生的な、若者の街」のナレーションに合わせて映された事から、

そう信じている裏で危険が潜んでいるかもしれないよ?という皮肉も感じさせました。

 

「I'm doctor! 被害者だろうが加害者だろうが人殺しだろうが絶対殺さん!」

「ずーっと交代で見てたんだ。ド素人はすっこんでろ!」

いやはや…ヨウコ(小池栄子)も啓介(柄本明)もかっこよかったなぁ。

特にヨウコの言葉に関しては、いつもそうですが、決め台詞っぽい演出を入れず「これが私のやり方だから」と言わんばかりにナチュラルに魅せているのが最高なんですよね。

医者としての矜持をしっかり持っていて、それを相手に声を大にして伝える所なんかは、"親子"だな…と思わされるのでした。

 

 

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新宿野戦病院 7話 感想|「かわいそう」「大変ね」の裏に隠された繋がり

 

 

主題歌のいつものイントロが聞こえてきた途端、

おお、もう終わったのか!と思ってしまった今回。

思いがけず良いお話でした。

ラストはほぼ毎回、次が気になるような終わり方をするだけに、

子供らしい純粋さが滲み出る、前歯のない少年の笑顔のサムズアップにつられて

周りも安堵から同じポーズをとる…という優しさに溢れた空気感に

しみじみと見入ってしまってました。

 

今回深く掘り下げられた人物は、堀井(塚地武雅)とその母・育江(藤田弓子)親子、

アパートで亡くなった独居老人・田辺の3人。

堀井の境遇は、親には中々理解してもらえないという意味で。

育江と田辺…いわゆる「高齢者」は、認知症や介護問題は中々避けられないのはもちろん、

ニュースではマンションやアパートでの孤独死や、

アクセルとブレーキの踏み間違いで自動車事故を起こしやすい年代として取り上げられやすい

という意味で、世間的には「かわいそう」「大変ね」といった気の毒なレッテルを貼られがち。

しかし、3人の人生はそう辛く悲しい事ばかりでもなかったのです。

 

田辺の場合、1週間前にアパートを訪ねていた娘は

孤独死なんて、情けない」と嘆いていたけれども、

実際は聖まごころ病院の常連さんとの付き合いが多く、ベッドにたくさんのお供物が渡され、

彼はいつも充実した日々が送れていたんだろう…というのが察せられる

エピソードに仕上がっていました。

 

そして堀井に関しては、自身が幼い頃から感じていた違和感を理解してくれた母親がいながらも、

親の望んだ"男らしい"人間にはなれなかった、期待を裏切る事になってしまった

後悔や罪悪感からお父さんを演じていた部分もあったのかもしれませんが、

寝ている母におやすみと言った時の微笑みの表情が何だか忘れられなくて。

男とか女とか関係なく、子供から母親への純粋な思いやりが感じ取れて、

ちょっとほっこりした気持ちにさせられたのかもしれません。

20代で若くして家を出て行った分、あと何年一緒にいられるかも分からないからこそ、

せめて母の好きな亭主関白の父になりきって、

悔いのないように少しでも母を幸せにしてあげたい…

それは立派な親孝行で、仮に演じていると知っていても、本当に知らなかったとしても、

育江は我が子の愛情が嬉しかったんじゃないかと思います。

…親子の時間が育めたから、認知症を受け入れるという現実にも向き合えた訳ですしね。

 

あと、これはあくまでも想像の域ですが、

堀井がお父さんを演じてもなお「ペヤング」というワードを口にしていたという事は、

もしかしたら、父もペヤングが好きでよく食べていたんじゃないかな?とも。

父に影響されて食べるようになったのか、

親子で好きなものが同じだったのかもまた分かりませんが…

気持ちが離れ離れのままだったとしても、父と子を唯一繋ぎ止めてくれたのが

ペヤングだったら良いな…と思ってしまいました。

 

高齢者問題とジェンダー、普段なら交わらないであろう2つのエピソードから見えてくるのは、

自分たちが"その人"を知らないだけで、

目に見えない所で優しい繋がりはあるかもしれない…というもの。

性別ではなく、ただ優秀な看護師が欲しいと言って採用してくれた

啓介(柄本明)も頼もしく映りました。

 

個人的には、5話に並んで…いや、5話以上に?好きな回になりそうです。

 

 

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新宿野戦病院 6話 感想|亀甲縛りに歌舞伎町浄化作戦に検査の重要性に

 

 

あー…前々回と前回は見やすい・分かりやすい内容になっていたのに(苦笑)

またガチャガチャ感がぶり返してきちゃいましたねぇ。

 

それもそのはず、ヨウコ(小池栄子)が日本の医師免許を所持していなかった事、

ヨウコは啓介(柄本明)がリツコ(余貴美子)と関係を持って生まれた娘である事、

南(橋本愛)の裏の顔がSM嬢である事…という

3つの衝撃的な秘密を一気に明かし、1話内で同時に動かしているんですもん。

で、そうなってくると、ヨウコはヨウコで解決しなければならない問題が出てくるし、

享の場合は、元々一目惚れしていた南へのモヤモヤの払拭に走りたくなる。

つまり、単独行動が増える。

 

今回は3話以前のように、個々で物語を展開していく形をとっているため

話が散漫になりがちなのに。

前回と同じく、中々テレビでは取り上げられにくい問題を取り上げ、

宮藤官九郎さんご自身がシャイな性格なのか、

真面目さとバランスを取るかのように小ネタやギャグをふんだんに盛り込むから、

何をどう見て良いやら…背中の痛みを甘く見ちゃいけないのと、

毎年の検査でもがんで手遅れになるケースはあるというのを

伝えたいんだと分かる終盤まで困惑しました(汗)

 

いや、正確には、ガチャガチャよりチグハグに近いんでしょうかね。

1つ1つのネタには笑えるんですよ。享と啓三の弱点とツッコミが一緒な所とか(笑)

だけど、TBSで長年の付き合いである磯山Pや金子監督なら、

あれも書きたい、これも入れたいという宮藤さんのある種の暴走をコントロールして、

絶妙な塩梅に持っていけそうな所を…

本作の演出家陣は、まだそこの連携が上手くとれていないんだろうなとは思います。

言葉を選ばずに言えば、宮藤さんの意思を尊重して、やりたいようにやらせたら

それが内容に反映されてしまったという感じ。

ただ、日本の医師免許不所持の件以外は解決出来たみたいなので、

次回からは4・5話の、1つの物事に聖まごころ病院のみんなが向き合う

路線に戻る事を期待したいです…。

 

次回は最も謎のヴェールに包まれている堀井(塚地武雅)メイン回になりそうで。

初期の頃だけですが、初回放送前からSNSでプチ炎上していた分、

男なのか女なのか問題にガッツリ触れているのにヒヤヒヤしていた部分もあったので…

なるほどな…と思えるオチだったら良いなぁと。

いや、でも…あの人は兄妹(姉弟)?他人の空似??

 

 

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新宿野戦病院 5話 感想|不平等を目の当たりにするヨウコ

 

 

いや〜…今回はキレッキレでしたね。

宮藤官九郎さんが日々過ごす中での憤りが、話や台詞から強く滲み出てきています。

心の叫びが聞こえてくるようで、もうなんか、ただただ頷くしかなかったです。

 

でも、日本とアメリカによる不同意わいせつ罪の最長刑期の違い、意地悪ベンチ、

マイナンバー保険証、猛暑の中での演説、救急車で運ばれてくる人の半分が軽症者…と

"今の日本"を畳み掛けながらも、その合間に和田勉とか、「白木だよ!」とかっていう

小ネタも差し込んでくるのがクドカン作品の真骨頂と言いますか。

取り上げたテーマが一際シリアスなものだっただけに、今回はいつも以上に

シリアスとコミカルのギャップの大きさに頭がクラクラしました(笑)

 

しかし、こう書けばまたガチャガチャ感が増しちゃったのかも?と思われる読者様も

いらっしゃるかもしれませんが、

個人的には、前回から内容が結構分かりやすくなってきていると感じてまして。

前回の感想でも書いた通り、やはり、享(仲野太賀)が美容クリニックの開業や

南(橋本愛)絡みなどでヨウコ(小池栄子)と個別に動く描写が減っていって、

NPO法人「Not Alone」との連携も見えてきて、

物語が「聖まごころ病院」を中心に展開されていっているのが関係しているのかもしれません。

言い換えれば…物語の舞台が「聖まごころ病院」に絞られてきているという事にもなります。

 

後半では、「命は平等」にこだわり続けてきたヨウコが、

初めて不平等を目の当たりにするエピソードが描かれました。

ECMOは1台しかないし、まごころの方が先に来たのに、

後から来た政治家を乗せた救急車が優先されるという理不尽さ。

笑えば脳が錯覚するから、うちらが笑えばシゲじい(新井康弘)も笑ってくれるだろうと

信じてやまず、途中から久々の再会となる息子も加わって心臓マッサージを続けた結果、

シゲじいは微笑みながら旅立つ事に。

"今の日本"への疑問やモヤモヤを描き続けただけに、

きっと、シゲじいにとってはこれはこれで良い人生の終わりだったはず…と、

わずかでも信じたくなるラストに仕上がっていました。

 

初めて看取る患者を抱き締めながら大泣きするもなお、

20時は救急が増える時間だからと、

颯爽と仕事に戻ってしまうヨウコのプロフェッショナルさよ…。

ヨウコがやってきてから2ヶ月が過ぎ、享をはじめとした病院内の医者たち、

南、岡本(濱田岳)、啓介(柄本明)と、彼女を評価する声が増えてきたのも

今回で特徴的に描かれていて(享に関しては、半分は不純な動機ですがw)、

その分、彼女が無免許だと啓三(生瀬勝久)にバレてしまうラストは

いつしか避けていた現実を一気に突きつけられるようで、

次回はどうなっちゃうの?聖まごころ病院の行方は?という先への興味に繋がりました。

 

真面目さと涙と笑いが凝縮されており、今までの中で最も充実した回でした。

今期も医療ドラマが複数ありますが、

本作が一番、魅力的に映るような登場人物の深掘りの仕方が上手く、

何を描こうとしているのかが明確に表されていると思います。

 

 

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GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜 3話 感想|その美容整形外科、繁盛するだろうなぁ…w

 

 

おお…そうか〜…今度はそんなトリッキーな話で来たか〜。

佐伯(葵揚)が遺体を見て「違います。美江じゃありません。」と

ハッキリ言ったシーンでおや?となり、

佐伯が梨々香(山本美月)の腕を掴んだ時に目を見開いて驚く様子で疑惑が確信に変わって、

いやまさか、彼女の顔に整形なんてそんな事ある〜?wと

思いながら見ていたんですけど…本当にそうだったのでビックリしました(笑)

 

1・2話は、一旦は遺族が遺体の引き取りを拒否するものの、

主人公の推測に基づく説得に絆されて、考えを改め、引き取る事を決意する…

という人情強めの内容で、3話はその2話とは毛色が違います。

1・2話の路線がこのまま続くと、感動の押し付けになってしまうのでは?と懸念はしていたので、

早い段階で、「遺体を家族の元に帰す」をテーマに作れる話は何も感動話だけではないのだ

という作り手の意思が見えたのはもちろん。

今回の結末自体も、早々に読めていた女性同士の入れ替わりを最大のトリックにせず、

そこからさらに一捻り加えてきた所も良かったのですが。

う〜ん…毛色を変えようと工夫したあまりに、

かなり無理くりな話になってしまった感は否めませんでしたね。

 

美江(東野絢香)が全く別人の顔に整形するなら分かるんですけど、

既に実在して、かつ知名度の高い梨々香の顔に整形してますからね。

個人的には、元々備わっているパーツを綺麗に見せるための手段だと捉えているので…

顔の輪郭も、肌の色も、手も全然違うのに

瓜二つになれるもんなの?と疑問でならないんです。

最終的に声紋調査を利用して不一致と判定されていましたけど、

それなら、活動休止前から視聴してくれている熱心で鋭いファンの中には

「ちょっと雰囲気変わったよね」と思う人(コメントしてくる人)も出てくるでしょうし。

声が決定打になるなら、VTuberの設定にした方がまだ不自然さが拭えたかもしれません。

いや、そもそも、遺書と身分証明書についている指紋が

同一人物のものであるかを調べないのが変…かな。

私がパッとあげてみたのは以上になりますが、

深掘りしたらどんどん矛盾点が出てきそうな設定・展開ではあるんですよね。

 

インフルエンサーだった梨々香が、急にマンホールカードの聖地巡礼専門のYouTuberになり、

唐突に現れた、姿も分からぬヨシエという人と3人で活動するラストも…

ファンからしたら軽くホラーでしょうね(笑)

顔に以前の面影がなくなった美江でも変わらず愛してくれる、

佐伯の心の広さは素晴らしかったですが…。

 

コミカル描写の匙加減は前回より少しマシになりましたが、

キャラの描き分けと言い内容と言い、雰囲気の一貫性と言い、

あらゆる面で何だか惜しさが残る作品ですね。

 

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新宿野戦病院 4話 感想|出産中に重大情報を投入

 

 

おお…?ガチャガチャ感がない。今までで最も内容のまとまった回になっていましたね。

それは、前回途中で終わったマユ(伊東蒼)が家出するくだりや、

ヨウコ(小池栄子)が謎の外国人に首を絞められるラストの"続き"が

冒頭から描かれたのもあるけれども。

前回までヨウコはまごころ病院で救急患者の手術をしたり、マユと一対一で向き合ったり…

一方で、享(仲野太賀)は舞(橋本愛)に惹かれて「Not Alone」に出向いたり

美容クリニックで金儲けに走ったりと、違う目的で個別に動いていたのが、

今回では搬送されてきた心疾患の患者と妊娠した家出少女を救うという、

同じ意志を持ち、同じ方向に向かう姿が描かれた所が、

ガチャガチャ感の払拭に繋がったのではないかと思います。

 

本筋と特に関係のない、むしろ逸脱しているように感じていた

パンチの強い小ネタが随所に散りばめられる事もなくなって。

とは言え、2週連続であそこが抜けない下ネタも盛り込んでいますしw、

思わず笑ってしまう会話のやり取りもあるので

本作らしさは健在で、全く別のドラマを見ているよう…という訳ではないんですが。

何だか今回はとても"医療モノ"らしい内容でした。いや、医療モノなんですけどね(笑)

享だけでなく、病院関係の登場人物がほぼ全員集結したので、

手術シーンもより一層、どんな命も救おうとする医者という仕事の大変さ、

偉大さ、緊張感が伝わってもきました。

 

そして、"医療モノ"らしい内容だと感じたもう1つの理由としては、

舞含めた「Not Alone」の出番を一歩後退させたのも大きいのかもしれませんね。

もちろん、裏の顔も含めて描かれてはいます。

でも…先ほども書いた通り、緊張感漂う手術シーンを存分に見せた事で、

NPO法人はあくまでも、行き場を失った子供たちが前を向けるように、

助言をしたり居場所を提供したりしながらサポートをする職業なのだという

医者との役割の違いがより明確になった気がします。

 

中盤で判明した異母姉妹の件については、

妊娠シーンの最中になんでそんなに深刻めいた情報を?という謎が先行してしまい

話があまり入ってこなかった上に(後で見返しました)、

途中で盛り込んだ意味が分からずじまいではあったんですが、

赤ちゃんが産まれてからのシーンでようやく納得。

「勝手に子供作って、勝手に産んで、捨てようと思ったけどやっぱり可愛い?

バカか!想像力が足りない。」

"女だから"医者の夢を諦める羽目になったのに、

親父が浮気して産まれた子供は"女なのに"医者になれている。

大人の事情に振り回されて実際に人生を変えられてしまった者だからこそ、

その言葉に重みを感じさせました。

また、やはり母性には抗えない…という美談にせず、

はずき(平岩紙)の正論で終わらせたのも良かったですね。

キツい発言ではありましたけど、赤ちゃんポストに置いてこようと考えるくらいですから、

あの子はまともに子育て出来る環境に置かれていないんじゃないかと思いますし…。

 

にしても、ヨウコにあんな事情があったとは。

もう既にキャラクターも、病院内での立ち位置も確立出来ているのに、

果たしてその濃い設定が必要なのかどうかは…今後の展開次第ですね。

 

今回で本格的にエンジンがかかってきた気がするので、他の作品も吟味しつつ、

もう少し感想を書き続けようと思います。

 

 

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GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜 2話 感想|前回と違った雰囲気に困惑

 

 

あれ?こんなにコミカルだったっけ?というのが第一の感想。

初回を見て、真面目で堅実な雰囲気とキャラクター描写が気に入って

しばらく感想を書き続けてみようかと決めたのですが…

前回とあまりにも雰囲気が違い過ぎたために、

本作がどんな方向性で行くのかが分からなくなり、かなり困惑してしまいました。

 

海辺での手嶋(阿部亮平)と西本(川瀬莉子)のセクハラ云々とか、

場面が切り替わった途端、利根川吉田鋼太郎)が土下座して

芹沢(柳美稀)に似顔絵作成をお願いするシーンとか、

所長・早瀬(高島礼子)と芹沢のやりとりとか、

科捜研が協力してくれたのを知らずに徹夜で似顔絵を完成させた武藤(半海一晃)に

こちょこちょして見せて下さいよ〜って頼む所とか。

私が「あれ?」と感じた部分はこの数点なんですが、全部お仕事パートにあったんですよね。

コミカルなシーンの挿入は物語に緩急を生む効果があるので、

それ自体を否定したい訳ではないんですが…

題材が題材なので、せめてプライベートのパートで盛り込んだ方が適切なのでは?と思います。

 

今回は、独居老人のフリーワーカーのエピソードという事で、

現代の社会問題を取り扱った、より身近に感じられるお話に。

個人的には、日テレ土曜ドラマ×片岡鶴太郎さんと言えば「イノセンス」の8話で、

娘と面会室でガラス越しに手を合わせるシーンは今でも覚えているくらい

余韻の残るシーンだったのですが、今回もまた切ない役どころでしたね。

モノクロの映像で綴られる雪雄の生前の姿だけでも贖罪の日々を想像させるのに、

倒れる際のうめき声以外は片岡鶴太郎さんに台詞が一切なかった事がまた、

贅沢もせず、言い訳もせず、ただ自身の過ちによる後悔と息子たちの幸せを想って

何十年間も仕事に徹して生きてきたんだろうなぁ…と感じられて、

思いがけない死がより一層悲しく、気の毒に映りました。

 

1話完結型のエピソード自体は変わらずシリアスで、人情寄りの話だっただけに、

お仕事パートに"おふざけ"ともとれるやり取りが多く、

結果的にみんなが真面目に仕事をしていないように見えてしまったのが残念でした。

クスッと笑える描写の匙加減は、初回の方が好みです。

 

あと、見ていてもう1つ気になったのは…「歳の差同期バディ」と呼ばれる

桜(小芝風花)と真(大島優子)の描き分けでしょうか。

女性&歳の差バディ設定で風変わりな刑事モノとなると「ハコヅメ」を思い出し、

そちらは戸田恵梨香さん演じる藤に、頼れる姉御みたいなどっしりとした芯があり、

一方で永野芽郁さん演じる川合は結構ひよっこ

2人の凸凹具合で楽しめた部分もあったので、

その作品を見てからだとどうも物足りなさを感じてしまうんですよね。

ぶっちゃけて言うと、現時点では桜と真の違いがよく分かっていません。

桜を猪突猛進でおっちょこちょいな性格に、真を冷静で落ち着いた性格に…と

もっとキャラを明確にした方が、役者自身の個性も出て、魅力的に映るのかもしれませんね。

 

3話以降も2話のようなテイストだったら…ちょっと考えるかもしれません。

 

 

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