SPドラマ一覧

探偵・由利麟太郎 2話 感想|一番不憫なのは五月くんかもね。

 

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美沙子(柳ゆり菜)の死体は果たしてそこに存在していたのか?それとも幻覚か?の

1つの要点に絞られた話になっていたので、

前回よりも内容の分かりにくさは和らいだ気はしました。

 

ただ…事件の描写がやっぱり個人的には惜しいんですよね。

これは「シャーロック」で味わった感覚と似ています。

由利(吉川晃司)が手がかりを見つける姿、謎解きする姿をじっくり見ながら

一緒に推理をしたいのに、1時間内で収めなければならないという作り手の気持ちが強いのか、

彼が何を見てどう感じたのか…がまるまるカットされている、

大げさに言うならばダイジェスト版を見せられているように思えてならないのです。

 

見えていたものが全て実際にあるものだと分かったとしても

エマ(水上京香)の怯えようは心療内科を勧めたいくらい異常でしたし、

いないと思ったら突如エマの前に現れ、警察から逃げる謎行為をした五月(赤楚衛二)も

特に理由が明かされなかったので、

「なんかよく分からない脳筋彼氏」という印象で終わってしまいました。

最初の段階で病院に連れて行こうともしない人達を見て、周りが全員グルになって

彼女を陥れようとしている説を考えていたんですけど、そんな事はないんですよね(笑)

1時間きっかりじゃなくて、1時間30分×5本にした方が

あらゆる不足部分を補えていたかもしれません。

 

天井から黒い腕がうじゃうじゃ出るホラー演出は、結構物珍しく。

子供の時だったら1人で眠れなさそう。

犯人は安定のあの方でありましたが…

まぁ…「自分や家族が途中で亡くなって遺影になる役」の代名詞が○島さんであるように、

あの方も「猟奇的で変態な殺人犯」の代名詞になって行くのでしょうね…w

 

ところで、前回も薄々感じてましたけど、

このドラマ、若干トンチキ臭がしません?

ハイキックアクションの後の柔道みたいな構えのポーズ…

あれでフフッとなってしまったのは私だけでしょうか(笑)

 

 

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ドラマスペシャル スイッチ 感想|偏屈でもどかしい大人の"人間愛"

 

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いや〜…坂元裕二作品、やはりハズレがないですね。

刑事ドラマが多く、硬派なイメージのテレ朝ドラマにも溶け込めちゃう。

 

序盤の階段を上から突き落とすという2サスあるあるのシーンで

犯人の顔を既に見せる時点で、ただのサスペンスではないとは思ったけれど、

そこからの展開の切り替わりっぷりが容赦なかったですね。

「カルテット」らしいクセ強めの人物しかいない会話劇が繰り広げられて

クスクスさせられっぱなしだった途端、

星野(石橋静河)から告げられる真実の重さに

さっきまで楽しんでいた私の頭が鈍器で殴られたような感覚に襲われて、

また更に深い部分へと踏み込んでいく…。

「スイッチ」って何だ?ユルいコメディからシリアスへの方向転換?

あぁ!真の「スイッチ」はそれかーー!!

回を増すごとに物語がクライマックスに近づく連ドラではなく、

2時間の放送内で感情がグワングワン揺さぶられて惑わされる心地になる作品は

随分久しぶりでした。

(そういえば、松たか子さん、「カルテット」では終盤で偽名を使っていたという

大きな秘密を抱えていた役だったっけね…(笑))

 

途中まで見て、このヘビーな内容を連ドラにしないのは勿体なかったなぁとも

思いましたけど、最後まで見終わってみれば、単発で正解だったと思いますよ。

連ドラだと多分JOKERになりかける円(松たか子)を直(阿部サダヲ)が止めるくだりが

途中からパターン化して行きそうですし、

坂元さん自身も描きたい所は「不条理な世の中に対する怒り」「歪んだ正義感」じゃなくて

「ちょっと拗れた変わった形の"人間愛"」だったでしょうしね。

 

2人は人生の中で恐らく一番辛い経験を分かち合っていて、

お互いが一番の良き理解者でもあるのだけど、

それは裏を返せば愛には発展せず、良くも悪くも"親友"の関係で止まってしまう。

時間を共にしている内に自ずとそこは分かってしまって、分かっていたから別れたし、

今後も元サヤに戻る事はないのかもしれない。

最初は馬が合わなそうな相手と付き合ってるなぁと感じたのも、

もしかしたら自分の中の闇と程よい距離感を取りたかったからその人を選んだ…

という可能性もあるんだと思いますよ。

でも、直と円だけしか知らない秘密があるように、

ロマン思考の持ち主の貴司(眞島秀和)と亜希(中村アン)も

恋人には言えない(言わない)秘密がある。

そんな、人って案外相手の事を分かっていないのかもよ…という

ほんの皮肉が混じったお話だと受け取りました。

 

(序盤の段階で)なぜこの人と付き合い出したのか全然理解出来ないと思わせる

眞島秀和さん&中村アンさんのキャスティングも妙にしっくり来ましたし、

本来なら重くぐったりとした内容になり、コメディとシリアスのちぐはぐ感が出てしまう所を、

阿部サダヲさんを主演にした事で雰囲気を和らげ、小ネタ要素を忍ばせる坂元作品の作りと

良いバランスが保てていたんじゃないかと思います。

 

ミニドラマ、SPと来たら、今度はやはり連ドラが見たいですねぇ…。

首を長くしてお待ちしてます。

あ、そうそう、来週の「必殺仕事人」の流れは狙いましたよね?(笑)

 


探偵・由利麟太郎 1話 感想|令和の世界に漂うは古風な雰囲気

 

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最近、CMでよく見かけるな〜…力入れてるんだろうな〜…と思っていた本作

(まぁ、このご時世で春ドラマのCMが流れないからっていうのもあるでしょうが)。

フジテレビの横溝正史作品となると

去年と一昨年の年末にやっていた某有名小説の実写化を彷彿とさせられ、制作局が違うとは言え

今回も大々的に宣伝しておいてガックリさせられてしまうのではないか…なんて

一抹の不安が過ぎりながらの視聴となりましたが、

原作を知らない私でも「ちゃんと忠実に作られているな」と感じさせてくれる

世界観に満足しました。

 

内容自体は約1時間に収めるためなのか、それとも単に私の理解力が悪いのか(多分後者?(苦笑))、

事件の背景や捜査過程が助手の三津木(志尊淳)から語られる形で

情報量がやや過多な印象を受け、自分なりに物語を解釈しながらの視聴となってしまいましたが、

璃子新川優愛)・瑛一(長田也哉)・瑛造(中村育二)の日下家の3人の関係性から

横溝作品らしい容赦ない"闇""ゲスさ"が強く感じられる描写を堪能出来たのは良かったです。

変な泣き落とし演出や同情シーンもなく、事件の後日談にほんの少しの希望をも含ませる

三津木の淡々としたナレーションでオチをつけたのも好感が持てました。

と、同時に、バディ2人のシーンに西部劇風の主題歌を重ねたエンディングは

なぜだかテレ朝木8枠ドラマっぽさもあったけれど…(笑)

 

最初は、なんで吉川晃司さんが主役?なんて思ったりもしましたが、

初回を見る限りは主役に起用したのも頷けるものでした。

恐らく時代設定は令和なのでしょうが、令和なのか昭和なのかがはっきりと分からない

"曖昧さ"がミステリー作品に馴染んでいて逆に惹きつけられましたし、

深緑の映像と日本の伝統的な京都の町並みが

吉川さんの醸し出す渋みをより引き立たせていたと思います。

主役が吉川さんだけだと視聴年齢層は高くなってしまうだろうから、

相棒に志尊淳さんを置く事でバランスをとったキャスティングも良い。

 

劇中で何度も出ていた由利の先端恐怖症の件も気になりますね。

自分で意識的に使う分には平気だけど、急に目の前に向けられると怖くなってしまうのか…?

4・5話の前後編でその症状になったルーツが語られるのか期待しつつ、

次回以降も見て行くつもりです。

 

しかし、もし犬神家の作品がまた今年の年末にやるとしたら、

このスタッフで作ってくれないもんかな…(笑)

 

 

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世界は3で出来ている 感想|絶望を味わった人。適応できた人。耐えた人。

 

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これ、いつ撮影したのだろう?とビックリさせられるほど、

今の状況に置かれた人々の心境を代弁してくれているかのようなお話でした。

「緊急事態宣言」解除後の世界。妙〜にリアル。

でもって、寝る前に気軽に見られる良い意味での"軽さ"と

現実を思わせてしんみりさせられる"重さ"のバランスも丁度良い。

 

タイトルの"3"が何の意味を指すのかずっと考えながら見ていましたが、

おそらく、「絶望を味わった長男」「変わりゆく世間の波に乗れた次男」

「何とか耐えられた三男」の3兄弟を通して

今の社会の縮図を俯瞰的に描きたかったのかもしれませんね。

"どんな3ヶ月間を過ごしてきたか"はサラッとしか描かれませんでしたが、

"どんな思いを抱えながら生きてきたか"は林遣都さん演じるそれぞれの役から

醸し出される雰囲気、声のトーン、顔つき、表情…で確かに伝わりました。

 

ぐだっとした勇人とお母さん味ある泰斗の対比も凄かったけれど、

三雄を初めて見た時は本当に「誰!?」って思っちゃったもんなぁ…。

微妙にもう中学生みたいな髪型していて可愛らしかったし、

あのあざといポーズも許せちゃうし。

もう少し三雄の話を聞いてみたかった。でも、長男の言葉には頷きっぱなしでした。

 

「これからどうなるんだろうって5歳みたいな事を考えてしまう」

「でも、人って良いよな。忘れるから。渋谷に人いるもんな。」

世の中がとんでもない事になっているのを知ってはいるものの、

それを完全に受け入れる余裕がないまま、気づいたら何もなかったように

日常が"戻ろう"としている…

この状況の変化にぽかんとした気持ちになっている人、

あんな事やこんな事、解放しちゃって良いの?とビクビクする人、多いと思います。

しかし、勇人と同じく自粛期間を上手く利用して出世出来る人もいる訳で、

世の中には本当にいろんなタイプの人間がいるのだとも痛感させられました。

テレビ業界も"進化"している真っ最中ですよね。

リモート機材で実験的に作ったドラマ、兄弟姉妹夫婦で作ったドラマ、

1人複数役で作ったドラマと、既存の枠に囚われない作品が。

バラエティの方は、例えば、本放送前に見た「VS嵐」の嵐のメンバーの合成も違和感なく、

内容自体も以前の形態に近づけようとするといった、

技術の進歩を感じさせられる番組がどんどん出てきました。

10年くらい前だったらあり得ない事でしょう。

 

話は逸れましたが、「当時(の思い出)があるから今がある」

3人が隠し味入りのバターラーメンを味わう姿と重ねつつ、心の片隅に本作の記憶を残したい…

私にとってそう思わせてくれる作品でした。

一人しか出演されていないのに進行もテンポもスムーズでしたし、

深夜にはちょっと勿体なかったですね。

そして、佐藤仁美さんは声のみという贅沢キャスティング(笑)

佐藤仁美さんバージョンで続編が見てみたいし、

もしそうなったら今度は楽しませる方向に行くのかもなぁ。

 

 


リモートドラマ Living 3・4話 感想|成功と失敗は隣り合わせの人生

 

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#3「おでんとビール」

 

出演:仲里依紗中尾明慶

 

すごい…演技じゃなくて、日常生活でも

本当にこんな夫婦なんじゃないかと思えてくる(笑)

「ドラマ」という作られた世界で視聴者にそう思わせたら、作り手の勝ちですよねぇ。

 

「美食探偵」のれいぞう子並に放たれる、仲里依紗さんの圧倒的な存在感。

旦那役の中尾明慶さんと交互に飛び交うマシンガントークなどで

夫婦を対等な関係にするのではなく、

あえて奥さん>>>>旦那のアンバランスな関係にした事が

そのままドラマとしての面白さに繋がっていたお話でした。

 

最後は絶対ハッピーエンドで終わらないだろうなぁ…なんて思って見ていましたが、

やっぱり一捻りありましたね。

「やっぱおでんははんぺんだって」

そこか!母音絡みか!という意外性はあったけれど(笑)

 

今再放送されている某タイムスリップドラマのような巻き戻し展開も効いていて、

何したら奥さんの機嫌が悪くなるのか…旦那はどんな失言をしてしまうのか…という

2人の間から醸し出される緊張感をも楽しみました。

 

「落ちた靴下で最後の一滴」…夫婦あるある過ぎてグサッと来ます。

 

 

#4「敬遠」

 

出演:青木崇高、優香(声のみ)

 

1部屋に1人の男性…これが一番リモート要素が強かったですね。

と同時に、過去の自分が映った映像を未来の自分が見るというのには

世にも奇妙な物語」を彷彿とさせられました。

 

「笑ってれば面白いと思ってるんだろうな」

「つまんないな。2秒で分かるだろ」「みんなよく喋るよね〜批判だ批判」

ザッピングしてはいちゃもんつけるシーンが妙に印象に残っていて、

坂元さん自身の今のテレビに対する思いを東山(青木崇高)に

代弁させているように聞こえて笑っていたら…

 

後半にはちょっぴり考えさせられる部分がありましたね。

全力で戦って負けるか、手段を利用して勝つのか、

どっちが後悔しないかどうかなんて、結局の所は分からない…。

成功と失敗は隣り合わせ。

スポーツみたいに、負けても美しい思い出として残る人生だったら良いのに…

なんて思ってしまいました。

 

 

***

 

前回の感想で「『今だから〜』は実験的だったのに対し、本作は挑戦的」などと

書いたものの、全話通して考えてみると、

15分×4本という僅かな話数の中で、自分の思想をどれだけ脚本に反映させられるのかという

坂元裕二さんなりの実験的作品でもあったんじゃないかと思います。

 

個人的には2>3>1>4話の順に好きで、全体的には

「コミカルに見えて実は深い、いや、やっぱりコミカルなのかもしれない」

という印象で見終えたものの、

家の中にいる狭い世界と外の広い世界の対比を緩やかに描いた点で、

同じ時間軸で全く違った生活を送るといった

パラレルワールド的世界観を楽しむ事が出来た作品でした。

 

「今だから〜」もそうでしたが、

こんな時だからこそ、テレビドラマだって、ここまで自由な発想を取り入れて

面白いものが作れるんだぞっていうのを世の中に伝えなくちゃという

ドラマ業界の意気込みが感じられます。

 

最後に、これは偏見かもしれませんが、

90年代がトレンディドラマで恋愛ブームが起こり、

2010年代で社会派のドラマが次々誕生したように、

これからのトレンドは「会話劇」を主体としたドラマになって行くんじゃないかと

ここ最近の作品を見てしみじみ思う時間でもありました…。

 

 

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リモートドラマ Living 1・2話 感想|軸がないようであるのかも

 

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2話構成につき、1話ずつ簡単に感想を書いてから

最後にまとめの形をとる事にします。

 

#1「ネアンデルタール

 

出演:広瀬アリス広瀬すず

 

さて1話。実はリアルタイムで既に見ていたものの、

話の内容が独特過ぎるのでもう一度見てから感想を書こう…と思った理由が

主にこの回だったわけですが…

うん、2回目を見てもよく分からん(笑)

詳しく言うと、坂元さんがこの話を作った意図は何となくは分かったけれど(最後に記述)、

なぜ「ネアンデルタール」の設定にしようとしたのかは謎…という感じ。

でも、二人の間で矢継ぎ早に飛び交う会話がひたすら楽しかった。

色んな感じ取り方があるかもしれませんが、

本作の楽しみ方はそれで良いのだろう…とも思いました。

 

今までにありそうでなかった、広瀬アリスさん&広瀬すずさん姉妹の共演ってだけでも

ワクワクしながら見られましたし、

本当の姉妹や兄弟なだけに会話の"間"のバランスも心地よければ、密になっても安心な点でも、

 「リモート」との相性がバッチリな企画を用意したなぁ…と感心させられた初回でした。

 

冷静で真面目なタイプの役にすずちゃん、

楽観的そうなサバサバした役にアリスちゃんというキャスティングもぴったりでしたね。

特にすずちゃんは「anone」に起用されただけあって、

坂元さんにとっては、今回の設定はあて書きがしやすかったんじゃないかなぁ。

 

 

#2「国境」

 

出演:永山瑛太永山絢斗

 

1話よりもさらにカオスな設定でしたが、

内容自体は世の中の現状を暗喩的に捉えたものになっていた印象。

コロナの新規感染者の行動歴が明らかになった途端、

SNSでその人に対して攻撃&差別的なツイートをしたり、特定しようとしたり、

ハッシュタグを使ってのデモが起こったり…

ここら辺の出来事が、今回の「国境が出来る」話を作るきっかけとなったのかな?と思いました。

(あくまでも個人的考え)

「俺たちなんかよりずっと頭の良い人たちが始めた事だと思う」

という発言も妙に自分の中でしっくり来ちゃいましたね。

 

最初は男子高校生みたいに管理人さんの事で盛り上がる

2人の様子に笑わされたかと思いきや、

戦争の話題になった途端、今まで繋がっていたものがプツンと途切れる

人間関係の恐ろしさも感じさせ、でも最後は同じ釜の飯を食べて仲直り…という

緩急のある内容でした。

 

ところで…永山瑛太さんと永山絢斗さんが兄弟な事が本作を知るまで初耳だったのは

ここだけの話で(笑)

雅史が弟かぁ。そうかぁ…←雅史じゃないw

 

 

***

 

久しぶりの坂元裕二作品が地上波で見られるって事で期待していましたが、

間が空いてもやはり独特の世界観を生み出すセンスは健在でした。

リモートを扱ったドラマとしては、まだ「家政夫のミタゾノ」の方は見ていないものの、

同じNHKの「今だから、新作ドラマ作ってみました」は

リモート機材や通話画面を使って"実験"を思わせる作りに特化していたのに対して、

本作は出来る限り普通のドラマの形に近づけようとする"挑戦"が感じられる

企画だったと思います。

 

1、2話の共通点としては、これまた個人的な考えが強めに出てしまいますが、

きっと「コロナ禍で家にいる機会が多くなった人々」の視点に立って作られた

話だったのかもしれません。テレワーク、休業などなど…

私自身も、緊急事態宣言が出されていた時は、出勤回数が減ってしまったために

家で過ごす機会はよくありましたが、

それと同時に、家にいると外で起こっている出来事が、もしかしたらどこか遠い国の

話なんじゃないかとふと他人事に感じる時もあったりしたんですよねぇ。

凄く能天気な発言ですみませんが…(汗)

何というか、家の中での世界と外の世界が分離しているような感覚。

(自分は大丈夫だと言いたい訳ではなく、勿論、感染防止対策はするように日頃から心がけています。)

 

現在、緊急事態宣言は解除されてひとまず安心ですが、

もしその期間が長引いていたとしたら、

「リモートドラマ=ワンシチュエーションドラマで力を発揮出来る」

新人脚本家を発掘するチャンスにもなったのかもしれませんね。

 

3、4話も楽しみです。

 

 

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今だから、新作ドラマ作ってみました 第3夜 感想|「案外悪くないかも」と思える強さ

 

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第3夜「転・コウ・生」

 

柴咲コウさんのコメディエンヌっぷりが新鮮だったわぁ。

ムロツヨシさんの魂に入れ替わった役を演じた時の、あの男勝りな動き…

二重あごを作りながら胸を覗こうとしたり、おじさんのノリで変な歌歌ったりする姿…

あんなに大胆な表情を魅せるイメージがなかったから、

次々と発せられる言動に目を奪われっぱなしでした。すっごい、可愛い(笑)

 

歌手と入れ替わっているっていうのが伝わるムロさんの美声も面白いし、

猫と入れ替わっている時の高橋一生さんの少し怯えたような目、強張った顔が

まさしく"猫"そのもので、やっぱり人を惹きつける力があるなぁ…とも再認識させられます。

そんで、3人(匹?)の猫はずっとそばで観察していたい!!

 

こういった成り切りタイプの話は、日頃から付き合いのある関係で、

かつ細部まで再現してみせる演技力の高さがないと難しい訳で、

コウさん、ムロさん、一生さんの3人じゃないと作れない

世界観だったのではないかな〜と思います。

 

脚本家が森下佳子さんなので、ただのカオスな入れ替わり劇で終わらせないだろうと

踏んでいましたが、それでもラストはそんな風にコロナを絡ませて行くのだという

意外性がありました。

世の中の不条理な状況を、ある日突然誰かと入れ替わってしまった3人に置き換えて、

その不条理を逆手にとって今を生きて見せるのだ!なお話。

普段通りの生活ではなくなってしまったけれど、それはそれで何かを見つけながら、

工夫しながら生きていけば、案外楽しい日々は送れるかもしれないじゃない?といった

森下さんなりのコロナに対するポジティブな考え方を投影させているように感じられました。

 

終盤での「俺たちでこの時代超えるんだろ!新しい時代の幕開けにゃーーー!」

と叫ぶシーンも印象的で。

3人の活気に溢れた姿で、見てるこっち側も不思議とワクワクさせられて。

本作がトリで良かったなぁ…と思えるほどでした。

 

「コロナあるある」「現代を過ごす人々の願い、希望」の作りはどれも共通していたものの、

現実に沿った第1夜、ファンタジー要素を取り入れた第2夜、そしてコメディ寄りの第3夜と、

同じテレワークドラマでも役者や物語の展開次第でかなり個性が出ていて

最後まで楽しめました。

わざわざ外で打合せや撮影をしなくても作品は作れてしまう点で、

これからのドラマの可能性を感じさせられましたし、今後もまた今回のような

斬新な作品が出てきて欲しいです。

 

しかし、劇中でもあったように、もう放送出来るものがなかったりだとか、

企画を立てたは良いがロケが出来ない…と苦しむ作り手が多い訳で、

"いつも当たり前に流れている"ドラマがいかに貴重で、時間と費用をかけながら

いかにじっくり作られているかを再認識させられる機会でもありました。

 

スタッフ、役者、全ての人々のドラマ愛が詰まった企画を、ありがとうございました。

 

 

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今だから、新作ドラマ作ってみました 第2夜 感想|脚本がセンスの塊!

 

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第2夜「さよならMyWay!!」

 

もうすぐ第3夜が始まるので、簡単感想で。

 

面白かったです。

現実を生きる人々の視点で描かれた第1夜も良かったですが、

第2夜の方が脚本も言葉選びも一歩上手だったと思います。

 

夫婦間で行われたクイズの「あと1問で離婚よあなた!」の台詞から漂うシュールさ、

コミカルな劇伴に笑わされる所から始まり、

今度は「素敵な選TAXI」を彷彿とさせられるような繰り返しの展開になったと思いきや、

終盤にはまさかの衝撃の事実が待っていたりと、

最後まで先が読めない内容で目が離せませんでした。

起承転結の「転」に持って行かせるメリハリの付け方も心地良いです。

 

そして、個人的に最もグッと来たのがこの台詞…

「近くて遠かったあなたの存在が、今では遠いのに近くに感じられるわ」

テレワークの利点と、奥さんの率直な心境を重ねたダブルミーニングになっていたのには

くぅ〜、そう来たか!という気持ちにさえさせられました。

 

テレワークで直接対面しないが故に、

ついつい言えなかった本音をぶつけてしまう「あるある話」に加え、

大切な人を失った悲しみは消えなくとも、こうして亡き人と話せるテレビ電話があったら

後悔の悲しみは少しでも和らぐかもしれない…という夫婦の願い。

「終わり良ければすべて良し」な世界に早くなって欲しいという全ての人々の願いが

複雑に絡み合った、よく出来た話だったと思います。

 

通話が終わると画面が真っ暗になったり、途中で旦那の動きが止まる形で

通信環境が悪くなる表現をしてみたり、最後では旦那がいない部屋をずっと映していたりと、

「テレビ電話」ならではのギミックが施されていた演出も楽しみました。

 

 

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今だから、新作ドラマ作ってみました 第1夜 感想|こんな夫婦でいられたら

 

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第1夜「心はホノルル、彼にはピーナツバター」

 

「100文字のアイデアを〜」など、視聴者がnoteに投稿する形で

制作に参加出来るという作品を生み出した事が記憶に新しい

テレビ東京がやりそうな企画だな…NHKもこんな最先端なネタを

取り入れるようになったんだな…という印象を持ちながら見始めたドラマ。

 

事前情報を特に入れていなかったので、カップル同士が将来について話し合う

生々しい展開が続いたのには驚きましたが、

放送中断したのも含めて、今期までに制作されてきたドラマは

「外出自粛」「コロナウイルス」が存在しない架空の世界観で

構成されているものばかりな訳であって。

そう考えると、緊急事態宣言を受けて外出自粛の選択を取らざるを得なくなったカップルが

テレビ通話を使って延々と会話している様子を視聴者が覗き見る…という作りは

今の時代だからこそ出来たものであり、

「現代(当時)」を象徴する作品にこうして出会えた事が感慨深くなるような

仕上がりになっていたと思います。

 

私は結婚や子供についての話し合いは勿論、誰かと付き合った経験も

テレビ通話をした経験もないので、「きっと現実ではこんな話をしている事が多いんだろうな」

「たまに耳にする「コロナ離婚」ってこういうのがきっかけだったりするんだろうな」

なんて、共感するよりも想像する立場で見てしまっていましたが。

身近に相手がいない、直接対面しないからこそ、

言い過ぎたり、本音が止まらなくなったりする…という所は、

SNSと重なる点でも割とあり得る事なのかもしれないと、

そんな「リモートの"リアル"」を突きつけられる感覚を覚える内容でもありました。

 

私たち視聴者が「画面」を通してドラマを見ているように、

本作も序盤で撮影された部屋やカメラワークの作り込みはあえてカットして、

演出的には、テレビ通話で二人がやりとりしている事から生まれる画面の変化

(ネット回線速度の違い、映像の荒れ具合、大声を出した事による音割れ…など)

だけに焦点を当てた作りにしてみても、「テレワークドラマ」らしさが出て

更に面白くなった気はします。

しかし、「テレワークって大変だね」「今の状況辛いね」といった

現実を如実に映し出した展開で終わる事なく、

最後には「もう少しの辛抱だよ」という、今を生きるカップル、視聴者に

ちょっとした"希望の光"を導き出してくれるような

ドラマらしい着地点でまとまっていたのは良かったです。

 

今夜放送される第2夜は、今回のよりもファンタジーな話になりそうで、

そちらも楽しみです。(何とか感想間に合った…(笑))

 

 

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あと3回、君に会える 感想|あと1回は、どこで会う?

 

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U-NEXTと連携したSPドラマである事、山本美月さんが出演される事は知っていたけれども、

どんな内容なのかはあまり情報を入手しないまま見始めた本作。

 

タイトルから察するに、告白出来ないまま後悔していた人にチャンスを与える

タイムスリップモノなのか?

いや、無難にラブストーリーなのか?

おやおや、突然超能力の設定が出てきた…こりゃどんな話なんだ?

などと途中まで困惑した状態で見ていましたが、

征史郎(眞栄田郷敦)の 相手の背中にあと何回会えるかの数字が見える能力が

生まれつき備わっていたものだと分かった途端、物語にみるみる引き込まれてしまいましたね。

(放送中にとある芸能人がまた一人コロナにかかったというニュースを知って

パニック状態になりましたが、"何とか"乗り切りました…(泣))

 

少しでも運命に抗おうとはしないのかと最初は思いましたが、

いざ能力が備わってしまうと、しかも付き合っていく月日が長ければ長いほど

人は運命の前では無力である事を痛感させられてしまうのかな…と。

 

別れから何年か経って、同じ仕事先でクライアントになる相手がたまたまあの人だった…とか、

人ごみの中、通り過ぎた時に「もしかして…?」とお互いが振り返るだとか

といったドラマチックなラストではなく、

2人とも運転している最中にばったり出会うという

"ごくごく普通"のラストで幕を閉じた所に好感が持てました。

その後をあえて見せないのも、妙な清々しさと

胸がきゅっと締め付けられるほんの切なさが感じられて、個人的には中々好きです。

「エモい」なんて普段は使わないけど、こういう時に使うんだろうなぁ…と。

 

ヒゲダンの曲になると音量がデカイな(笑)なんてツッコンでたりもしていましたが、

大人で、哀愁があって、甘酸っぱくて…という、一言では表しきれない

様々な要素が入り混じったムードを演出するには、最適過ぎるチョイスでしたね。

 

カメラワークや青みがかった映像が映画っぽくて、特殊な設定を織り交ぜているとなると、

編成のインターバル期に30分×四夜連続の深夜ドラマを見ているような

不思議な心地になれた作品でもありました。