世界は3で出来ている 感想|絶望を味わった人。適応できた人。耐えた人。

 

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これ、いつ撮影したのだろう?とビックリさせられるほど、

今の状況に置かれた人々の心境を代弁してくれているかのようなお話でした。

「緊急事態宣言」解除後の世界。妙〜にリアル。

でもって、寝る前に気軽に見られる良い意味での"軽さ"と

現実を思わせてしんみりさせられる"重さ"のバランスも丁度良い。

 

タイトルの"3"が何の意味を指すのかずっと考えながら見ていましたが、

おそらく、「絶望を味わった長男」「変わりゆく世間の波に乗れた次男」

「何とか耐えられた三男」の3兄弟を通して

今の社会の縮図を俯瞰的に描きたかったのかもしれませんね。

"どんな3ヶ月間を過ごしてきたか"はサラッとしか描かれませんでしたが、

"どんな思いを抱えながら生きてきたか"は林遣都さん演じるそれぞれの役から

醸し出される雰囲気、声のトーン、顔つき、表情…で確かに伝わりました。

 

ぐだっとした勇人とお母さん味ある泰斗の対比も凄かったけれど、

三雄を初めて見た時は本当に「誰!?」って思っちゃったもんなぁ…。

微妙にもう中学生みたいな髪型していて可愛らしかったし、

あのあざといポーズも許せちゃうし。

もう少し三雄の話を聞いてみたかった。でも、長男の言葉には頷きっぱなしでした。

 

「これからどうなるんだろうって5歳みたいな事を考えてしまう」

「でも、人って良いよな。忘れるから。渋谷に人いるもんな。」

世の中がとんでもない事になっているのを知ってはいるものの、

それを完全に受け入れる余裕がないまま、気づいたら何もなかったように

日常が"戻ろう"としている…

この状況の変化にぽかんとした気持ちになっている人、

あんな事やこんな事、解放しちゃって良いの?とビクビクする人、多いと思います。

しかし、勇人と同じく自粛期間を上手く利用して出世出来る人もいる訳で、

世の中には本当にいろんなタイプの人間がいるのだとも痛感させられました。

テレビ業界も"進化"している真っ最中ですよね。

リモート機材で実験的に作ったドラマ、兄弟姉妹夫婦で作ったドラマ、

1人複数役で作ったドラマと、既存の枠に囚われない作品が。

バラエティの方は、例えば、本放送前に見た「VS嵐」の嵐のメンバーの合成も違和感なく、

内容自体も以前の形態に近づけようとするといった、

技術の進歩を感じさせられる番組がどんどん出てきました。

10年くらい前だったらあり得ない事でしょう。

 

話は逸れましたが、「当時(の思い出)があるから今がある」

3人が隠し味入りのバターラーメンを味わう姿と重ねつつ、心の片隅に本作の記憶を残したい…

私にとってそう思わせてくれる作品でした。

一人しか出演されていないのに進行もテンポもスムーズでしたし、

深夜にはちょっと勿体なかったですね。

そして、佐藤仁美さんは声のみという贅沢キャスティング(笑)

佐藤仁美さんバージョンで続編が見てみたいし、

もしそうなったら今度は楽しませる方向に行くのかもなぁ。

 

 

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