10の秘密 3話 感想|何をもってして大丈夫なん?

 

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緊迫感がないな…から、感受性と計画性がないな…に変わる(苦笑)

娘を取り戻した代わりに地位も職も失った圭太(向井理)が、USBだけを武器にして

悪の組織に立ち向かう…という所はアンチヒーロー誕生ともとれる展開ですが、

その割には振り切れてなくて、

ただ自分の首を絞めているだけのダメ男にしか映らないのが残念。

脅迫するよりもっと保身に走れる方法なんて、いくらでもあるのに…。

 

火事の件はあれだけ燃えていたら「負傷者は出たけど死人は出なかった"らしい"」などと

楽観的な思考には走らないでしょうし、

瞳(山田杏奈)と繋がりのある翼(松村北斗)の前で

娘とラインしている事を普通に報告するのだってよく分からない。

娘が家を燃やした張本人かもしれないのに、

見つかって欲しくない真相に怯える素振りもないからまるで他人事みたい。

 

タイトルの「10の秘密」は圭太の秘密の事をさしていて、

実はサイコパスで誰かを復讐するために

全ての事件の鍵を握ってましたー!とかいうどんでん返しが最終回に来たら、

今までの行動にも納得出来るのかもしれませんけど…

今の所、正直言って「この人バカだなぁ」という印象しかないです(苦笑)

まぁ、どう見てもデータのコピーを取りそうにないだろうと思っていたものが

予め取っていたと分かったのは意外でしたかね。

っていうか、このドラマの人々…データの中身を確認しないまま渡したり壊したりする

無用心な人が多過ぎません?

 

翼が近づいてきた理由は、10年前の火事と関係しており、

自分は大きな火傷跡を負ったほど重症だったのにもかかわらず、

警察に伝える事なく何事もなかったかのように呑気に過ごす圭太に

恨みがあるからだと予想してます。

 

自分たちが被害者みたいな流れで進む割には、焦りってものが見えないなぁと

違和感を覚えてましたが…

真相を辿るミステリーというよりも、

サイコホラーなドラマとして見た方が良いのでしょうね。

だって…次回予告で、由貴子(仲間由紀恵)の本性が、なんて…王道中の王道ですし。

 

 

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病院の治しかた〜ドクター有原の挑戦〜 2話 感想|来る者拒まず、去る者追わずの精神。

 

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これは脚本の力が大きいでしょう。

主人公が魅力的に映るように、設定や見せ所が堅実に構築されています。

 

有原(小泉孝太郎)が発する言葉1つ1つに考えさせられるし、腑に落ちる…

それも、思い込みをせず客観的に物事が見られる奥さんの存在がいるからなんですよね。

お仕事ドラマでは話の腰を折りがちな家庭パートですが、

主人公が行う改革のヒントに繋がるキーポイントとして重要なものだと

思わされる絡め方が上手いです。

 

どんな対策を考えたか、何に疑問を持ったのか…といった

人事制度について話し合う様や、

倉嶋(高嶋政伸)が本来の職とは全く無関係の場所に出向させられ

改革案を任される様は、ちょっと「先に生まれただけの僕」を彷彿とさせられてしまったり。

やはり、企業のビジネスには必要不可欠な「戦略」が見えるドラマは、

そうも考えられるのか!という色んな意見が出て来て興味深いですし、面白い。

 

有原が「2・6・2の法則」とうたっていたように、

後は付いてきてくれる仲間が増えてくれれば良いのですが…

何かあったら集団で反対運動!プライドは高し!な

頭カチカチの医者や看護師だらけなので、ここはまだまだ道のりは長そう。

 

早く「"先生"と"さん"の線引きって何だろうね?」と言われないくらいの

プロになっていただきたいですね。

 

 

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僕はどこから 3話 感想|「自分」がない者同士が共鳴し合う

 

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てっきり今回で解決して、次回はまた別の案件を…なんていう

1話完結式だと思ってました。

毎回同じような事書いちゃいますが、起承転結の"起"が長いから

本来収めるべきであろう終盤のシーンの"転"の部分が持ち越しになっちゃうんですよね。

 

しかし、"起" いわば、玲(笠松将)の置かれる環境、玲と母親の関係性といった

人物紹介を多めに描写した事によって生まれた良さが感じられたのも確かで。

トイレで着替え交換をする時に、本作のタイトルを引き出す形で、

薫(中島裕翔)と玲が互いに「誰かに否定され続けた自分」である事が分かって

"共鳴し合う2人"を表現したシーンは、何とも印象に残るものがありました。

 

千佳(上白石萌歌)の方は、謎めいたキャラクターの割にはちょっと軽くて

本作の世界観で浮きがちな気もするのですが、

その分、主演の中島裕翔さんが、将来がどうなるか分からない不安や葛藤と

常に戦っているかのような現代の若者特有の心境を丁寧に演じられていたり、

気軽に近づけないような奇妙な佇まいがゲストの笠松将さんにハマっていたりと、

それぞれの役者さんがカバーして物語を魅せて行っている感じです。

 

自分が今やろうとしている行為の汚さと

「これで良いのだろうか」という純粋な心の対比=ズレが

薫が替え玉受験に堂々と取り組もうとする事で徐々に大きくなっていく様は、

滑稽でもあり哀しげでもあります。シュールさがあってまた面白い。

 

取り憑かれていると思える程、玲になりきっているという事は…

表面張力、最後に見えたほんの殺意から察するに、

次回は犯罪に加担してしまう衝撃展開が待っているのでしょうか。

 

 

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テセウスの船 2話 感想|YOU、何もかもバラしちゃいなよ。

 

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これは、あれか。

心(竹内涼真)の迂闊さと無計画さを見守るドラマか(笑)

ノートの事、佐野(鈴木亮平)が将来殺人犯になってしまう事を

周囲にバラしてしまった方が有利な気がするんですが。

父親だから言いづらいのは分かるけどさ…

先に言ってしまえば、佐野が自分に降りかかってくるリスクを回避する確率も高くなるし、

一緒に協力する事で手がかりも見つかりやすくなるし。

逆に単独行動したら疑う人は勿論多い訳で、その人たちに何とか誤解を解いてもらおうと

対処している間に、変えられるかもしれない過去だって変えられなくなっちゃいますよね。

大体ねぇ…"絶対に見せたくない"ノートに

"絶対に見せなくてはならない"イラストが描かれた紙を挟む事自体、

「本当に何も考えないで動いてるんだ」っていうのを

表しちゃってるようなもんですよ(笑)

最終的には都合良く佐野も信じるって言ってくれたから良いものの、

この「ノート見せろ!」「いや、見せたくない!」というくだりは

もしかして最終回近くまで繰り返されるんですかね…?

 

で、真犯人は誰だ?の件。

翼(竜星涼)は正直、最初から如何にも怪しげな言動をしていたので

これはミスリード要員だと思って候補には入れてなかったんですが、

まさか消されてしまうとは想定してませんでした。

初回で上野樹里さん、今回で竜星涼さんが退場…で、

「毎週、死にます。」がコンセプトの某ドラマを思い出してしまったりw

最後の最後で、紙を燃やすやら、鉛筆削りするやら…といった

匂わせ要素満載で各キャストを映していましたが、

もしかしたら1つ1つの事件に村の皆が関わっていて、

実は全員犯人なんじゃないかっていう可能性も出てきました。

でも、前回から目をつけている金丸(ユースケ・サンタマリア)…

丁度良いタイミングで2人の元にやって来たので、この人もまだまだ怪しい。

 

父の本音を知った次は、母の本音を知る事が出来た心。

どうやら終盤で、「家族の繋がり」を描く流れは定番化して行きそうです。

ただ…あの手を繋いで空を見上げるシーンは、

佐野は警察なんだから祈ってないで探して!とツッコんでばかりで

そんなに感動はしなかったけれども(笑)

 

ところで、イイハナシダナーで終わりましたけど…

仲本工事さんの火災事故の件、みんな、忘れてません?

 

 

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絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜(2020) 3話 感想|最初と最後が毎回めんどくさい。

 

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2話の感想に追記する形で書き残すつもりでしたが、

文章量がそんなに少なくもなかったため、普通に記事として残しちゃいます。

 

遅ればせながら3話を見ました。

今回の事件は自殺だというのは読めちゃったものの、内容はそこそこ見られるんですが…

最初と最後の時間軸行ったり来たりの意味深な伏線ばら撒きタイムが

ちょっと面倒臭いんですよねぇ、このドラマ。

ボケツッコミのほんの緩い会話劇が劇中にあるように、

もう少しくだけた作りでも良いんじゃないか?と思います。

 

田切(本田翼)の出番は多めで。

終盤の説得シーンも恐らく「過去に苦い思い出を抱えた者同士」で

リンクさせたかったのでしょうが、

今回のターゲットは"加害者"であって小田切は"被害者"であるから、

その熱さも微妙に伝わって来ない。

あの頑丈そうなドアも篠田(高杉真宙)と一緒に開けるのには無理があります。

っていうか…刑事なのに簡単に信じちゃって良いのか?

高杉さんだけに、ただの優しい記者には思えませんが…。

 

別につまらなくはないんですが、月曜日は深夜に見たいテレビ番組がある都合上

月9と月10どちらも書く余裕がない上に、「病院の治しかた」の方が面白いので、

今期はそちらの感想を優先する事にします。

今後書く場合は早くても祝日のある2/10or11辺りに上げるか、

月10が最終回を迎えた次週から(その頃には恐らく月9も最終回?)

再開する事にはなるでしょう。

 

 

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トップナイフ -天才脳外科医の条件- 3話 感想|欲張った作りなのが難。

 

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本作にハマれない理由が何となく分かった第3話。

それはやはり、無理やりコメディ要素を取り入れる所にあると思うんですよねぇ。

 

今回は、自分は死んでいると思い込む患者と、

大病の後に関西弁しか話せなくなってしまった患者の2人の話。

作り手の意図を考えるに、前者が少し哲学的でシリアスな分、

後者で釣り合いをとろうとしたのでしょうが、

「見やすい」のと「軽い」のは全然違いますからね。

その方言(言語)でしか喋れなくなるのも結構深刻なのにもかかわらず、

関西弁の設定にする事で親しみやすい感じの兄ちゃんキャラに仕立て上げ、

「プロポーズを成功出来るか否か」でその人の症状を描写するというのが

何とも脳の病気を面白おかしく扱っているような気がしてならないのです。

 

「軽い」と言えば、小机(広瀬アリス)の恋愛模様もそう。あの展開は、本当になくて良い。

ただでさえ主要人物の抱える謎、2人の患者のエピソードでてんこ盛りなのに、

小机が店主を好きになる様子まで描いてしまっては主軸がますますボヤけてしまいます。

…というか、前々から思っていたけど、病院以外に立ち寄る場所ってバーしかないの?

隣接…してるの?(汗)

 

大きそうな病院なのに、神戸(池田成志)が病室から出て行くのを止める医者や看護師が

周りにいなかったり、待合室に子供1人だったりと、

ここは患者が3人しかいないのか!と思えるほど閑古鳥状態なのも不自然。

 

手術シーンはドリルを使うなどして割とエグい見せ方をしていたり、

脳の病気に関する知識のない視聴者が「変な人」と捉えそうなものを

こういう病気もあるんだ〜とタメになる部分があったりと、

良い所もあるんですけどね。

ただ、要素要素にあり得ない箇所が目立つだけに、せっかく新たに知れても

「脳の病気って怖いんだね」くらいの薄い印象止まりにしかならないのが勿体無い。

せめてどれか1つは排除して、もっと"患者の人生"を見てみたいです。

 

 

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心の傷を癒すということ 2話 感想|形は違えど、しんどいのは皆同じ…

 

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全4話という短さで、初回は震災エピソードをほぼ絡めず、

安(柄本佑)が精神科医になるまでの生い立ちだけを描いたのは何故か?

と思っていましたが、その構成にしたのも意味があると感じられた2話でした。

 

安もまた震災をきっかけに、当たり前にあった生活を止む無く切り離され、

育ちも環境もバラバラの人々と共に過ごす事になった「震災経験者」の一人であって。

初回では一人の人間が味わった「苦しみ」「弱さ」「繋がりの温かさ」を描き、

今回はそれを大勢の被災者に落とし込む事で、

"単体"から"複数"へと物語を一段階アップさせて行ったように思いました。

 

記者を通して、本当に自分はこれで良いのかという葛藤。

普段違う環境で暮らしている人々が1つのフィールドに

集められた事から生まれる価値観のズレ。抱えている事情の違い。

しかし、心に傷を負った過去を持つ安が寄り添う形で、それらを解きほぐしてくれる。

誰が悪い、誰が正しいという「決めつけ」をしないように

描いているんだなぁというのが伝わります。

 

演出面にも結構変化があり、初回ではピアノ調の劇伴を多く取り入れて

重たい雰囲気にせず見やすくする事を心がけてきた一方で。

今回では極力劇伴を排除し"間"を増やす事で

当時の人々の気持ちをダイレクトに届け、思わず視聴者がそれぞれの経験を

登場人物に重ねて見てしまう作りになっていた印象でした。

 

対立が生まれていた者同士が、キックベースボールでワイワイ楽しそうに遊ぶ図は、

まるでみんなの心が1つになった象徴のようで思わず涙…。

しかし、今回をきっかけに復興へと希望を見出している人が多くなるであろう時に、

たった一人だけまだ前を向けずにいる

所謂「マイノリティ」側(この表現が合っているか分かりませんが)の心情にも

踏み込んでいくのがリアルです。

次回はそこを中心に描いて行くのでしょう。

 

NHKのドラマは、ドキュメンタリー番組を抱えている事から

調査力に長けている所が強みだとは前々から書いて来ましたが、

その長所を活かして「今何を視聴者に届けるべきか」という役目は

しっかり果たせています。

 

本作は、そう強く思わせてくれる作品です。

 

 

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女子高生の無駄づかい 1話 感想|キャストの無駄づかい感が凄い!!←褒めてます

  

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岡田結実さんが再びこの枠の主演で「私のおじさん」を思い出される事から、

作り手の笑いのセンスと自分の好みがまた合わないんじゃないかな〜という

期待度低めの状態で見てみましたが…

なかなかどうして、結構面白かったです(笑)

 

先ほどの「ハムラアキラ」もそうでしたが、

本作のキャスト陣も「こんな役がハマるんだな」という新たな発見を得た気分でした。

ド深夜にやりそうな如何にも漫画原作のコメディっぽい話に、

ある程度の知名度と経験を重ねた若手女優&名脇役を起用する、

ギャップの大きさの勝利だったんじゃないかと思います。

論理的に返すロボ(中村ゆりか)、キレと素早さのあるヲタ(恒松祐里)、

そして、「戸籍謄本持ってこい」など少しズレているワセダ(町田啓太)の

ツッコミ的ポジションにいる3人のキャラクターが特に良い!

 

役者が全力でふざけている演技をするならば、演出もそれに応えてくれているようで。

初回は朝ドラのパロディや妄想劇、

漫画の実写化(←まさか再現すると思っていなかったから、これには今期一番笑わされるw)

などてんこ盛りな印象でしたが、今後もこれくらいぎゅうぎゅう詰めだったら

仕事疲れの後の娯楽として思いっきり楽しめそうな気がしました。

4コマ漫画のようなショートストーリー構成が

テンポの良さを生み出せているのかもしれませんね。

 

という訳で、本作は視聴継続決定です。

しかし、感想を残すと「ここが面白かった!」ばかりの内容になってしまいそうなので、

初回のみにして、次回以降はツッコミながら純粋に楽しむ事にします。

執筆本数もちょっと調整したいので。

 


ハムラアキラ〜世界で最も不運な探偵〜 1話 感想|"家族という名の理不尽"の真意

 

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アンティークな内装の喫茶店で、コーヒーを飲みながら推理小説を嗜むかのような

感覚を覚えるドラマでした。

 

前半はモノローグが多めで、ちょっとテンポがもたついてるのかな?

そして、淡々と語らせる事で、これは「自分の身の回りに起こった不幸な体験談」を

シュールな世界観を交えてお届けするドラマになるのかな?と思っていましたが、

後半になってからはみるみると引き込まれる。

暗めの映像に、しきりに流れるジャズ調の劇伴。

そこに切れ者同士が推理戦を繰り広げて行く展開は、

まるでセッションを見ているようで心地良い。

 

探偵モノならではのミステリー要素も、

台詞や回想などを多用してあえて分かりやすい作りにしないのが良く、

前半で起こった出来事、登場人物の行為を反芻していく事で

「あの行動はここに繋がっていたのか!」という妙な清々しさもありました。

個人的に、葉村が旅行のチケットを本に変えた事に対して

珠洲MEGUMI)が怒りを露わにして机を乱暴に扱うシーンに、

ちょっと感情の起伏が急じゃないか?と違和感を覚えていたので…

「あんたも私と同じ黒い羊なんだよ」と放たれた言葉に、ああ…なるほどね…と納得。

後から見返すと、もっと隠されていたヒントが分かったりするのかも。

 

葉村に付きまとう不運の根源は、"家族という名の理不尽"。

うちの姉が面倒な人なんですよ〜といった自虐でも何でもなく、

家族は一生縁を切ろうとしても切れない呪いでもあるという残酷さを、

淡々とした物語の中にエッセンスとして含ませる。

 

葬式を断られたんならもう放っておいても良いんだけど、

全然自由にはさせてくれないし。

珠洲には妹=自分より年"下"だからこそ引きずり下ろしたいという執念、嫉妬心が

詰まっているから、静かそうに見えて実はゲンナリとさせられるほど重い。

黒い羊と言った意図、残されたペンダント…

葉村にとってはこの先一生悶々としたまま抱え続けなければならない、

ある意味"十字架"のようなモノになるのでしょう。

 

予告を見た時点で、このハードボイルドな雰囲気&主人公は

シシド・カフカさんに合っているかも…と思っていましたが、

予想以上にしっくり来ましたね。

ちょっと冷たさを残しつつも落ち着きもある、声のトーンも良い感じです。

そして何より…私、間宮さんが初めて「良いなぁ」とも思えたり。

(これは語弊を生んでしまいそうだけれど。苦手な訳ではないです。)

目線から漂うミステリアスな佇まいや、感情を表に出さない役が合うんだなって。

暑苦しいだとか盛り上げ隊長だとか、今まで見てきた役を踏まえて

そんなイメージを勝手に持っていたから、今回の役はちょっと新たな収穫を得た気分でした。

ゲストという事で惜しくも退場してしまったMEGUMIさんも、

「スカッとジャパン」で嫌味な役を演じられた経験を応用したかと思わせられ、

救いようのないゲスい女性を見事に体現されていた印象です。

 

金10枠だけでなく土9枠やよるドラ枠も含めて、

最近のNHKドラマは「我が道を行く」点では、テレ東ドラマに近しいものを感じますね。

視聴率に囚われない。やりたいと思った事を突き詰める。

既視感のないジャンルも取り入れる。

だから、地味ながらも上質なドラマがどんどん生まれてくるんですよね。

 

視聴前は「初回を見てみないと分からないな〜」状態でしたが、

中々面白かったです。お坊さんよりもこっちかも。

でも、リアルタイムで見るよりは、巻き戻したりして自分のペースで見た方が

本作の世界観にどっぷりハマれる気がしたので、

今後は録画にして後日感想…って形になるかも。

 


コタキ兄弟と四苦八苦 2話 感想|何かを犠牲にしてでも欲しかったモノ

 

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豪勢で賑わった結婚式のようで、実は新郎も友達も

レンタルおじさんだったというトンデモ設定。

けれども、そんな手鞠(岸井ゆきの)が逞しく、かっこいい女性に思えてしまいます。

ここ最近の岸井ゆきのさんは、ゲストとしても脇役としても、

視聴者の目に止まる存在感を着実に発揮されていて良いですね。

 

いつも"クソ"が付くほど真面目で、人の気持ちには鈍感な一路(古舘寛治)が

最後に「何もない日という事は、何かが始められるという日でもあるという事」と

励ましの言葉を送れたのも、親を幸せにしたいという手鞠の確固たる意志に、

ほんの少しでも感情を揺さぶられる部分があったからなのかもしれません。

 

前回では、何事にもまずはアクションでしょ!といった

"動"だからこその良さを二路(滝藤賢一)が見せた一方で、

今回では、踊らずにただその人のそばにいてあげる…といった

"静"だからこその良さを一路が見せる。

「兄弟それぞれの魅力」が解決シーンでも対比の形で提示されている所がまた面白い。

 

構成的には、「何かを犠牲にしてでも欲しかったモノ(物・者)」を共通点として、

恋人や夢、理想よりも家族の幸せを一番に選んだ新婦を描く前半と、

地位や周囲からの期待よりも自分らしさを選んだ二路を描く後半で

二部構成に分かれていた印象。

手鞠さんにはいつか嘘をつく必要がなくなるほど幸せになって欲しいな…と

思わせてからの、たった1つのモノすら手に入れられない二路のほろ苦さが

何とも余韻の残るお話でした…。

 

兄弟2人の行動にハラハラクスクスさせられつつ、

最後にはちょっとした温かさと切なさを醸し出す「人間賛歌」を思わせる作りは、

去年の同じ時期の「フルーツ宅配便」にも通ずるものがありますね。

 

しみじみ、良いドラマです。

 

 

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