其の七「アイスと夜の散歩」
面白いわ。金子茂樹さんの引き出し、凄いわぁ…。
どの家庭でも経験してそうな「アイス食べたでしょ」「食べてない」の
何気ない会話なのに、それがコメディホームドラマとして成立出来ちゃうとは。
名探偵気取りの満(生田斗真)、綾子(小池栄子)の事をさり気なく言いながら
彼女がコラー!!と追いかけてくる様は、まるでサザエさんとカツオの関係性を
見ているようでツボなシーンでした(笑)
しかし、ただの笑い話にならない所が、またよく出来てるなぁと思わされて。
満が「誰がアイスを食べたか」を熱心に語っている姿を見て
春海(清原果耶)もアイスを食べたくなり、光司(安田顕)が一緒に
コンビニに行こうかと誘って、距離が近づけた事にじわっと温かくなる流れ…
コメディからハートフルな物語への切り替え具合がとっても自然。
春海が言っていた「あいつも」の「も」は、多分登場人物だけでなく
この世の全ての人にかかっているんじゃないかな…と。
満はとっておきのアイスを味わえる時間を。
綾子は社会人&母親生活の中で唯一、自分のために使える時間を。
母・房枝(原田美枝子)は父の死という心のぽっかりを埋めるために、
牧本(西村まさ彦)を通して第三の居場所を作る。
そして、光司は春海の気持ちを知れた事に嬉しい表情を隠せず、
アイスを食べながら一人で反芻する幸せを味わう。
みんなどこかで「小さな幸せ」を求めている。
物思いに耽ったり、しんみりしたりしてしまうのは夜の時間…
そんなお話だったと思います。
其の八「バーニャカウダと犬の散歩」
満、凄い勢いで渡利(間宮祥太朗)を論破しにかかってくるじゃん…
と思っていたら、まさか遠回しに彼を鼓舞していたとは。
いや、分かりづらいわ!! 私も渡利と同じように涙目になってしまうかも(笑)
1・2話の時よりも屁理屈な所が強くなってきた満ではありますが、
同時に「同じ道を辿って社会人になれた人」へのリスペクトも感じられる
優しい心の持ち主なんだという事もまた新たに知れ、
彼への興味と魅力が更に増したお話でした。
しかし、渡利に話していた「動物園のライオンは戦ってないように見えて戦っている」論。
これ、満も「客に笑われて指さされた」経験を味わった事があるんじゃないか?
渡利のような時期があったんじゃないか?と想像してしまいました。
光司にもエールを贈るラスト…
今は人混みのサラリーマン達とは正反対の方向へと歩み出す満ですが、
いつか夢と孤独の戦いから抜け出して、
自分なりに次のステージへと進めたら良いなぁ、なんて願ってしまいますね…。
***
「アイスと夜の散歩」「バーニャカウダと犬の散歩」
今回はどっちも散歩の話なので、
どう対比させていくのかな?と思いながら見ていましたが、
前者は夜を主体とした話で、後者は朝を主体とした話なのだという印象を受けました。
上に書いた事と多少被りますが、
一人悶々と今日の出来事を考え込んでしまったり、
プチ贅沢の時間を与えたりするのが「夜の時間」。
一方で、心機一転頑張ろう、何か良い事があると良いなと
自分を奮い立たせるのが「朝の時間」。
別に、夜だけor朝だけで動く話だった訳ではないのですが、
各物語の向かうオチがその時間だったので…(この文章で伝わるかどうか…(汗))
今回は時間軸の捻りを効かせた点で、2つの物語を楽しんだ気がします。
しかし、ぱっと見は気軽に笑えるコメディですが、
実はどの世代にも共感出来るし、
どの人も間違っていないという背中を押してくれる作りにも思えるので、
話の奥には何が秘められているのか?とつい考えてしまうんですよねぇ。
私は満ほどではないものの、お暇していた時期があった事から
主に満の視点になって見ていますが、
将来家庭を持ったら、綾子や房枝の視点になって見るようになるんだろうなぁと思います。
二度でも三度でも楽しめそうな作品。ちゃんと録画を残しておこう…。
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