#3「おでんとビール」
すごい…演技じゃなくて、日常生活でも
本当にこんな夫婦なんじゃないかと思えてくる(笑)
「ドラマ」という作られた世界で視聴者にそう思わせたら、作り手の勝ちですよねぇ。
「美食探偵」のれいぞう子並に放たれる、仲里依紗さんの圧倒的な存在感。
夫婦を対等な関係にするのではなく、
あえて奥さん>>>>旦那のアンバランスな関係にした事が
そのままドラマとしての面白さに繋がっていたお話でした。
最後は絶対ハッピーエンドで終わらないだろうなぁ…なんて思って見ていましたが、
やっぱり一捻りありましたね。
「やっぱおでんははんぺんだって」
そこか!母音絡みか!という意外性はあったけれど(笑)
今再放送されている某タイムスリップドラマのような巻き戻し展開も効いていて、
何したら奥さんの機嫌が悪くなるのか…旦那はどんな失言をしてしまうのか…という
2人の間から醸し出される緊張感をも楽しみました。
「落ちた靴下で最後の一滴」…夫婦あるある過ぎてグサッと来ます。
#4「敬遠」
出演:青木崇高、優香(声のみ)
1部屋に1人の男性…これが一番リモート要素が強かったですね。
と同時に、過去の自分が映った映像を未来の自分が見るというのには
「世にも奇妙な物語」を彷彿とさせられました。
「笑ってれば面白いと思ってるんだろうな」
「つまんないな。2秒で分かるだろ」「みんなよく喋るよね〜批判だ批判」
ザッピングしてはいちゃもんつけるシーンが妙に印象に残っていて、
坂元さん自身の今のテレビに対する思いを東山(青木崇高)に
代弁させているように聞こえて笑っていたら…
後半にはちょっぴり考えさせられる部分がありましたね。
全力で戦って負けるか、手段を利用して勝つのか、
どっちが後悔しないかどうかなんて、結局の所は分からない…。
成功と失敗は隣り合わせ。
スポーツみたいに、負けても美しい思い出として残る人生だったら良いのに…
なんて思ってしまいました。
***
前回の感想で「『今だから〜』は実験的だったのに対し、本作は挑戦的」などと
書いたものの、全話通して考えてみると、
15分×4本という僅かな話数の中で、自分の思想をどれだけ脚本に反映させられるのかという
坂元裕二さんなりの実験的作品でもあったんじゃないかと思います。
個人的には2>3>1>4話の順に好きで、全体的には
「コミカルに見えて実は深い、いや、やっぱりコミカルなのかもしれない」
という印象で見終えたものの、
家の中にいる狭い世界と外の広い世界の対比を緩やかに描いた点で、
同じ時間軸で全く違った生活を送るといった
パラレルワールド的世界観を楽しむ事が出来た作品でした。
「今だから〜」もそうでしたが、
こんな時だからこそ、テレビドラマだって、ここまで自由な発想を取り入れて
面白いものが作れるんだぞっていうのを世の中に伝えなくちゃという
ドラマ業界の意気込みが感じられます。
最後に、これは偏見かもしれませんが、
90年代がトレンディドラマで恋愛ブームが起こり、
2010年代で社会派のドラマが次々誕生したように、
これからのトレンドは「会話劇」を主体としたドラマになって行くんじゃないかと
ここ最近の作品を見てしみじみ思う時間でもありました…。
↓前回の感想はこちら↓