「インテリジェンスの欠如」から「思いやりの欠如」の展開に…。
祝儀袋に入れる用の新札を手に入れようと机に一枚ずつ並べては
必死に探している時のカメラワークがもろ防犯カメラ(第三者)の視点になっていて、
「何やってんだ、この人達は…w」みたいな
ちょっとした呆れ笑いが含まれているようなシーンが可笑しかっただけに、
トキコ(吉田羊)が生まれる前の哲也(國村隼)の醜い部分が明かされた過去には
胸が抉られるものがありました…。
昔の男はみんなそうだったという伯母(三林京子)のフォローは入ったけど、
何度も流産させるほど奥さんを労わろうとしなかったんだから相当酷い。
それを特に物語っているのが、妊娠して間もない奥さんに高い所にある物をとらせたエピソード。
手を伸ばした時に流れた感覚を覚えた事に医学的根拠があるのかどうか不明ですが、
少なからず、奥さんは病院で胎児の死を知り「あの時のあの行動が悪かったのか」と
自分や旦那を責める日々が続いたのは間違いない訳で。
哲也はその繊細な気持ちに気づこうとせず、
奥さんを支える事、子供について話し合う時間をほったらかしては
仕事や女遊びに邁進していたらしい過去があった事が分かります。
「自分が生まれる前の母を癒せない事が、私には猛烈にもどかしい」
「ありのままを書くつもりでいたのに、いつの間にか良いお話を紡いでいただけのような気がする」
自分が送ってきた人生は良い思い出の方が多いと信じたかったトキコの心情と、
本作でこれまで描かれてきた、父との関わりと通してのほっこりエピソードがシンクロ。
そして、時間をかけて考えて出た想いが
「どんなに下衆な話でも、どんなに無様で不都合な話でも、笑い倒して書こうではないか」。
父の話をエッセイに綴る意味をもう一度自身に問いかける"決意"の表現ではあるけれど、
今回の様々なエピソードは全てこのモノローグに集約されているんじゃないかなぁ…とも思いました。
後半戦に突入するための"転換回"という役割だけでなく。
このまま夫婦2人で生きて行くべきなのか葛藤するリスナーや、
成り行きに任せれば良いとする旦那に対してどうやって説得しようか
これから模索する形になるリスナーにも。
赤ちゃんを授かって今最も幸せそうな雰囲気が漂っていても、
今後待ち受ける育児や子育ての大変さを乗り越えてこそ真の幸せが得られるのかもしれない…
とも考えられる新婚夫婦にも言える事で。
複数の出来事が積み重なって一見ややこしそうでも、最終的に語られるトキコの決意によって
「"今"と向き合って生きる事が大切だ」という…
見終わってから、不思議とそんなエールをもらえたお話でした。
トキコが変化を見せてからの次回は、3話で登場した友人・ミナミ(石橋けい)と
カオリ(中村優子)が再び登場するとの事で、
どんな展開が繰り広げられていくのか楽しみです。
ガッツリ触れる所が見たいなぁ…という気持ちもありますね。
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