最愛の妻が小学生になる作品は見かけた事はないものの、
おじさんに生まれ変わるという設定ではよく見かけるこのパターン。
となると、妻だとは到底信じられないビジュアルになっている以上、
初回は"生きていた頃"の幸せな日常を存分に描き、
中盤辺りで小学生が妻であると分からせ、主人公にそう思わせるまでの話にし。
今度は主人公が娘を説得するまでの話を、次回で描くのが定番なイメージがありますが…
まさか、初回だけでそのどちらのエピソードも解決してしまうとは意外でした。
開始5分で妻の死を、アバンの段階で本作のコンセプトが何かを提示出来ていたのも含めて、
中々テンポの良い内容だったと思います。
そして、この手のドラマだと「妻が小学生になっている」と分からせるために、
終盤の自転車2人乗りのシーンのようなキャスト入れ替え演出を節々に施したり、
小学生のモノローグに妻の声を重ねたりしそうなものですが、
あえてそうしなかったのは、ひたすら親子で「本当に妻(ママ)なのか?」と訝しむ様子を
追体験させるため…だったんでしょうね。
個人的には、これが功を奏していた気がします。
堤真一さん、蒔田彩珠さん、そして朝ドラに幼少時代の主人公役として出演経験のある
毎田暖乃さんといった実力派の役者さんが揃っていれば、
妻の命が宿っている事、それが本当なのだと確信が持てる姿は
"演技だけ"でも見ていて伝わってきますし。
逆に、本作の設定がファンタジーなので、実際に上記の演出をしていれば
現実味を覚える視聴者も多く、世界観が壊れてしまっていたかもしれません。
ぱっと見は演技に頼っているようでも、実は意図が隠されている…
万理華(毎田暖乃)のスキンシップを受け、妻を重ねて心が浄化されていく時に
いつものシワやたるみがなくなり若返ったように見えた圭介(堤真一)のカットや、
生きる意味を見出した父娘の目に光を宿すなど、ライティングにも緻密さが感じられ、
演出部分でも好印象で見終える事が出来ました。
あとは、引っかかりがちな設定への配慮も抜かりないなぁ…と。
例えば、小学生の姿になって天上界から舞い降りたのではなく、
万理華としての記憶もありつつ、ある日突然「圭介の妻だ」と神から言い渡された事に
なっていたのには驚いて(笑)
それもあって、圭介や麻衣(蒔田彩珠)に1人で平気に会いに行ったり、
夜遅い時間帯でも自由に動き回れたりしているシーンには、親は心配しないの?
警察に捜索願でも出して探してるんじゃないの?というツッコミどころはあったものの…。
でも、小学生を持つ親なら、8時付近の時間であれば
子供の支度の世話をして早起きしているはずが、
万理華が家を出てから少し陰鬱そうな顔をして、ようやく起きてきたのを見る限りは、
少なからず、子育てが苦痛で現実逃避しているんだろうなぁ…とは何となく察せられます。
他には、不審者だと疑われそうな圭介の行動も、
(1〜3年なら分かるが)10年も経てば流石に前を向き始めているんじゃないかと思えそうな
圭介の心境もしっかり回収!
神から言い渡された件に関してはまだ言及はなかったですが、
そのうちメカニズムが分かる日が来るんでしょうね。
そして…新島家の再生物語であると同時に、白石家の再生物語にもなるのかも。
設定が設定なので、最終回には貴恵(石田ゆり子)としての記憶は消えて
普通の小学生になってしまう悲しいオチは読めますが、
良い意味でひょうきんな劇伴やSEのお陰もあって
コミカルとシリアスでバランスがとれている感じもし、最後まで興味深く見られそうです。
とにかく、まだまだ序章に過ぎませんが、
視聴予定の冬ドラマが出揃う最後の作品が本作で、
期待通りの出来になっていて良かった…の一言に尽きます!
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