「人が死んでます!」から保育園の早口説明まで、
台詞の1つ1つがいつにも増してキレッキレ(笑)直球過ぎてあ〜面白い。
おまけに、今ではもう懐かしいビデオテープの趣を感じさせる怪談話を取り入れて、
「素敵な事故物件」なんていうパワーワードも飛び出すもんだから、
今回は味変回で、事故物件にどうしても住みたがる節子(風吹ジュン)の実態を描く
スピリチュアルな雰囲気漂う話になるのかと思いきや…
まさか、高齢者にも優しく寄り添うハートフルな内容に仕上がるとは!
いやはや…どんな結末になるのか読めない点で最後まで飽きさせない、
あっという間の45分間でした。
そして、物語の意外性だけでなく、もう1つ"逆転劇"を上手く使った展開だと思えたのは、
気味悪がられて避けられてしまうネガティブなイメージのある事故物件を
"自己"(自分に合った、自分のために用意された)物件と置き換えて、
1人の価値観を尊重するように見せてきた所。
「ピンチをチャンスに」とよく言うけれども、要は物は捉えようなんですよね。
噂が一人歩きしてしまっただけで、実際はただの故障だったりする。
本当の事故物件になるからと高齢者の居住を不安がっているんだったら、
高齢者でも安心して住めるマンションへにすれば良い。
本作が取り扱う不動産エピソードだけにとどまらず、1つの考えばかりにこだわって
視野が狭くなりがちになってしまうのは誰でもあるある…。
そんなちょっとだけ考えさせられる要素もあった分、
高齢者向けマンションへの方向転換を提案し、
「機器を取り扱う会社を紹介する」と言い切り、契約成立後のサポートまで約束した
永瀬(山下智久)の柔軟な姿はとても頼もしく映りました。
"正直"という単純な言葉では括れない、彼なりの良さが滲み出ていましたし、
また、嘘を使いこなして楽に契約を取っていたらしい
"ライアー永瀬時代"の頃を仄めかす台詞を度々盛り込んでから、
さらに"正直者・永瀬"が関わったお客様の回想を走馬灯のように挿入する形で
過去と現在の対比を思わせる描写があったのも効果的で、
頭をフル回転させて全力で契約交渉した事で初めてやり甲斐を覚える
彼の心情変化にも説得力が感じられたのは良かったです。
あとは…裏と表の二面性はありつつも、
応援したくなるように描かれているんですよね、永瀬のキャラって。
例えば、私が何とかしてみせます!とは言ったものの実はノープラン…といったくだりがあって、
本当にノープランならいつもみたいに風が吹いて
「本当は何も考えてないけどね!」なんて本音を漏らしちゃいそうなもんですけど。
そうならないって事は、お客様のために良い物件を探したい
想いの方が強いんだろうなぁと読み取れる。
そんな誠実な所が言動の根っこから伝わってくる所もまた、好感が持てるんです。
永瀬が"正直"を使いこなしていく過程も丁寧に描かれているし、
少しぶっきらぼうな彼に対して、違う意味で"正直"な
喜怒哀楽が顔に出やすい月下(福原遥)とバランスが取れていて、
キャスティングも絶妙だなぁと思わされます。
うん…やっぱり、今期の中では一番良い作品な気がしてきましたな。
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