へぇ…なるほど…な初回。
個人的には、初回を見ただけではまだ「これは間違いなく面白い!」と
絶賛するまでには至っておらず、
どちらかと言うと、甘いカフェラテに混ざっていた砂糖が
口の中にずっとまとわりついている…みたいな、そんな感じでした。
つまり、じわじわと余韻が残るタイプの作品です。
近年のドラマは、分かりやすい導入にするのと、
中間地点で描かれそうな内容を2,3話辺りに持ってくるスピーディな展開が多くなっていて、
もはや最近ではそれが主流になりつつあるのに対して、
本作は今のそういった"流行り"とは逆行した作りになっています。
まぁ、こうは書いたものの、物語がサクサク進んでいくのも、
先がもう読めている話を引っ張ったり、何も進展がない内容で何話も引き延ばされたりするよりは
全然良いと思っているので、特に否定はしません。
でも…本作の何がよく出来ていたかって、
下手したら「導入部分が長い」「結局何を描きたいの?」と言われそうな内容を
あえて逆手にとって、断片的な情報を全体に散りばめる事で"ノイズ"を作って
視聴者を引きつけていった所。
もっと具体的に書くとするなら、テレビ業界のお仕事事情を
拓朗(眞栄田郷敦)のモノローグを通してコミカルに…
事前情報の割には空回って見えるくらいに?進んでいった冒頭だったのが、
開始13分辺りからの、ヘアメイク・大山(三浦透子)が拓朗に
録音したのを聞かせて脅迫するシーンをきっかけに、
ちょっとした異質感を徐々に覚えさせる展開になっていたのが良かったです。
「飲み込みたくないものを、飲み込まない」が本作のテーマなんでしょうね。
何となく、「石子と羽男」がずっと唱え続けてきた
「声を上げたって良い。声を上げてくれれば、法律は守ってくれる」に
通ずるものがあります。
本当は口に出して吐きたい鬱憤は、現実世界ではいろんな"しがらみ"があって吐く事が出来ず、
その代わりに何かを食べたり飲んだりして吐く…の
繰り返しだったであろう恵那(長澤まさみ)が、
自分が強く伝えたいもの以外はもうそうはしない!という決意表明ともとれるラストは、
劇伴の後押しもあってか、とても頼もしく見えました。
まだよく分かっていない恵那や拓朗、正一(鈴木亮平)の謎がある以上、
今後どういう方向に転がっていくのか不透明ではありますし。
それ故に、登場人物の話を膨らませ過ぎて、
回を重ねるごとに話が散漫にならないかという不安も拭い切れてはいませんが…
「次も見てみたい」気持ちにさせられたのは確かです。
次回以降も見守っていこうと思います。
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