家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった 3話 感想|七実にとって今の人生は…

 

 

「パパなんか死んでまえ」と言ってしまったあの日が頭から離れられず、

今も深い深い罪悪感から抜け出せずにいる七実河合優実)。

何か口に出すと「前のママが消えてしまう前に何とかせんと」

「また昔みたいに戻れるよう頑張らな」という、焦りから来る言葉ばかり。

 

周りの人たちは、母に尽くす七実を「立派」「ほんまにええ子」と褒め称えるけれど、

本人はそう言われるたび、いつもどう返して良いのか複雑な表情を見せる。

彼女にとって"今の人生"は贖罪の人生であり、今度は母まで悲しませないようにと、

父との失った時間・幸せを他のものに代えてでも

必死に取り戻そうとして生きているのが伝わってきます。

 

親孝行自体は、親にとっては嬉しいものなんですが…

七実の事情を知っているひとみ(坂井真紀)からしたら、自分(=七実)の人生なのに

自分のために生きていないように思えて、心が痛む部分もあるんじゃないかなぁ。

家での工事で作業員が来ており、七実が大学に向かうシーンで

「でも大学も楽しんで来なさい」と言っていた時の表情が、少し悲しそうに映りました。

 

ただ、ママを幸せにしなきゃという七実の気持ちにも共感出来まして。

と言うのも…これは個人的な話ですが、私の母からは、祖母が元気に過ごしていたのに

ある日突然家の中で足を滑らせて、今から考えたらとても早い年齢で亡くなってしまったので

「もっと親孝行すれば良かった」とは聞かされていましたし、

父の場合は、あまり帰省出来ていなかったために、久々に祖母のお見舞いに行ったら

顔を忘れられていたという苦い経験があったからなんですよね。

両親どちらも、後悔は抱えている。

私自身も七実ほどではないものの、たらればの将来になってしまわないように

お祝い出来る時にちゃんとお祝いしたり、

どこか一緒に行ったりして親を喜ばせようとは心掛けているので…

悔いを少しでも作らないように生きる彼女を、同じ娘目線で見守りたくなってしまうのです。

いや、でもな…やっぱり、今の七実を見ていると苦しい。

少しでも自由になって、幸せになって欲しい…とも思います。

 

車椅子でも大丈夫なのかと不安視されていた沖縄旅行については、

さすが観光業が主要産業になっているからか、

バリアフリー化がかなり進んでいるのには驚き。

特に、グラスボートに気後れしていたひとみを、周りのお客さんが何の気取りもなく

運んでくれている所なんかは、考えさせられるものがありました。

従業員じゃなくて、まさかの遊びに来ていた家族持ちのお客さんなんですよ。

物事を楽しめるかどうかは本人の気持ちだけでなく、周りがどうやって接しようとするかも

重要なんだな…と、勉強にもなったエピソードでした。

 

そして最後には、冒頭のシーンで、昔はそんなにええもんか?と持論を唱えていた

芳子(美保純)の真意が明らかに。

「変わらんでええ。昔もええ。今もええ。

一生懸命食べて、一生懸命生きてればそれでええ。」かぁ……。

長い時代を生きてきた人の言葉は重みが違います。

本作の舞台は2015年なので、そこから逆算すると…多分、60代なんでしょうか?

回想で一瞬映ったのは、さつまいもが入った茶碗だったかも。

戦争が終わり、しばらく貧困の生活を送っていた中で、

主食がさつまいもだったとしてもご飯を食べられる事に幸せを感じていたあの頃を考えると、

今では自分の足で大阪に戻れたり、仲間とワイワイ出来たり、

食べたいものをたくさん買って好きな時間に楽しんだり…

自分らしく過ごせる選択肢が増えて、それが嬉しくてしょうがないんだろうなと、

ちんすこうを噛み締めるように食べる彼女の姿を見て、ふと、想像してしまいました。

 

ああ、今回も充実した話だったなぁ…。

時折シュールな小ネタを挟み込んで来るんですけど、

描いている内容はとても濃密なんですよね。

 

↓前回の感想はこちら↓

 

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