ばらかもん 6話 感想|ヤスばとの思い出は、これからも

 

 

初回での印象的なやり取りや要素を重ね合わせる形で

清舟(杉野遥亮)の心機一転を表す演出は洒落ていたのですが…

今回の構成について、ちょっとだけ気になった事を。

 

前半は母・えみ(長野里美)を説得するエピソード、

後半は住民たちがヤスば(鷲尾真知子)との別れを経験するエピソードで

分かれていましたが、正直、これ…それぞれ単独の話でも

良かったんじゃないかな?とは思ってしまいました。

単独でも行けそうな話をくっつける事で、まとまりがなくなると言うか。

いや、次回予告を見る限り、両親が島にやってきてお見合い話を持ちかける…

という展開をやるのであれば、えみの必死の抵抗や、

前半は丸々カットしても支障はなかったのかもしれませんね。

まぁ、気になった部分への言及はここで終わるとして…。

 

今回特に刺さったのは、後半のヤスばと住民たちとのエピソードでした。

劇中に登場する糸巻き車というおもちゃは、

何度も遊べばゴムが劣化するなどしてそのうち進まなくなる、

勢い良く進んではパタっと止まる点で「生と死」を象徴するアイテムとして描かれています。

このアイテムが後半のテーマに一貫性を持たせていたのはもちろん、

ヤスばに作り方を教えてもらった思い出は、当時は子供だった育江(田中みな実)にも、

美和(豊嶋花)や珠子(近藤華)にも根付いていて…

今度はその教えがなる(宮崎莉里沙)たちにも受け継がれていく様は

まさしく島ならではの「伝統」「世代交代」を物語っているようで、

話に深みを与えてくれました。

 

死を扱うとどうしても湿っぽくなりがちなんですが、

本作の場合は、感情を全面に出し過ぎない描写になっていたのが意外で。

いざ葬儀の準備が始まれば、忙しさに追われて悲しむ暇がなくなるにしても、

他人の家にフラッと入っては助け合いをするほど親密な関係性ならば…

ましてや、長年この島で暮らしてきたであろうヤスばが亡くなったとなれば

ショックが大きいんじゃないかと思っていたんですが。

きっと、なるにも言っていたように、みんなには笑顔でいて欲しいというのが

彼女の"願い"だったのかもしれないと分かってからは、

住民たちの賑やかな様子も腑に落ちましたね。

 

そして、島には大名行列という風習があるみたいなんですが、

これがまた、私としては結構衝撃的だったのです。

葬式と言えばやっぱり連想されるのは、黒い喪服に、白の空間。

でも、大名行列はそれとは真逆で…

桜の花びらを撒きながら、カラフルなのぼりがずらっと並ぶ光景を見て、

こんなに華やかな見送り方があるのか!と驚かされました。

でも、この感覚は、今まで都会で育ってきた清舟も同じく受けている事でしょう。

「俺、ヤスばとの付き合いは短いけど、村の人たちの中で生きているヤスばと、

これからも付き合っていければ良いなって思います」

微かに微笑みながら、育江に一礼をして去る彼の姿から、

彼もまたこの光景が、一生心に深く刻んでおきたい記憶になるのだろう…

というのが想像出来ます。

 

スタッフクレジットは冒頭で済ませて、主題歌も流さず

清舟となるが一緒に月を見るシーンで終わるのも、余韻の残る締め方でした。

その前に飛行機雲のカットが挿入されていたのも、より哀愁を漂わせていました。

今日(16日)が最終日ですが、親の実家にいるおばあちゃん・おじいちゃんと

遊んだ幼少期を懐かしんだり、大切な人との別れに改めて向き合ったりする

お盆の時期にはぴったりなお話だったと思います。

 

 

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