月曜日は休診日で、今日たまたまやってきたアメリカのケーブルテレビ局が
仕事ぶりを撮りたいと言うので、
久々にカンファレンスを開く事にした聖まごころ病院。
1つ1つのエピソード自体が色濃くて楽しめましたが、
カンファレンスで物語を展開していくという発想が、なるほどそう来たか!と思わされましたよ。
医療ドラマだと、病院の多忙な実態を演出するためか、
特に繋がりもないような2つの案件を同時進行で描く回は時々見かけますが、
確かに、「その日その日の出来事」としてしまえば、話に散漫さは感じられにくくなる。
元看護師が故に、医者に息子の治療方法を指示しようとし、
終始疑ってかかるモンスターペイシェント母。
大事な部分をカッターで切って搬送されてきたセラピストの男性。
失恋で生きる気力を失い、自殺を図ろうとした19歳の女性。
年齢も職業も動機もバラバラなエピソードが用意された事で、
歌舞伎町にある病院の日常ってこんな感じなんだな…と、
画面上では映されていない日まで想像しながら見られました。
そして、秀逸だと感じたのは、それぞれのエピソードと
個性豊かな医療従事者の絡め方にもあります。
例えば…1件目で、星崎(佐津川愛美)が強気な態度に出られたのは、
横山(岡部たかし)の顔が妻から「寝顔を見てると殺意が湧く」と言われるほど
逆撫でる顔だったからなんじゃないか…と周りに言われるのも妙に説得力がありますし(笑)
↑物腰柔らかな感じですもんねw
2件目で看護を担当した堀井(塚地武雅)も、前々回で、自分のカミングアウトで
母は本当は悲しんでいたんじゃないかと悩みを打ち明ける姿が描かれたお陰で、
患者にかける言葉にもより一層重みが増します。
3件目で担当した享(仲野太賀)は…個人的にはどうでも良く感じていた
南(橋本愛)と岡本(濱田岳)との三角関係話がここで活きてくるのか!?と
少し驚くくらいで、彼の着飾らない本音ダダ漏れの嘆きと、
歳の近いマユ(伊東蒼)がそばにいて心強かったからこそ、
患者もまた頑張ろうと思う事が出来た。
横山、堀井、享、マユ…個々のキャラクターが活かされており、
この患者にはこの人がいなければ成立しないと思わせてくれる
バラエティ豊かなエピソードに仕上がっていた気がします。
訴えようとしていた星崎のいる狭い診察室に、はずき(平岩紙)、享、啓介(柄本明)と
人が次々入ってきて混雑する流れも、事態はシリアスなんですけど
何だか舞台を見ているようでクスッとしてしまいました(笑)
ヨウコ(小池栄子)の説得により、星崎は改心。
そこからなんと1年が経過し…今回はあくまでも「嵐の前の静けさ」的な回だったのかと
思い知らされるラストで終わり。
嵐の前の静けさとなると、大体、次回に繋げようとして話が停滞する事が多いですからね。
内容が充実していた分、そんな悲劇が待っているなんて…という意外性がありました。
宮藤官九郎さんの脚本と言えば、定期的に震災が盛り込まれているイメージですが…
今回はまさかの、新種のウイルスによるパンデミック&コロナ再来ネタ。
宮藤さんからしたら恐らく、震災と同じくらい、ウイルス感染も
「巡り巡って、いつの時代にも起こり得る出来事」と捉えられているのかもしれませんね。
現実世界でも、あたかもコロナが消え去った風潮にはなっているけれど、
ニュースで明るみに出ていないだけで感染者はまた増えつつありますし、
地震、台風、コロナと、生きている間に様々な事を経験した今、
新たなパンデミックが起こってもおかしくはない…
もう「フィクション作品の中での出来事」とは思えないんですよね。
あえてこのタイミングで盛り込んだ意味。
それは…我々現代人への問いかけでもあるのでしょう。
コロナ禍が過去のものになりつつある今、果たして本当に乗り越えられたと言い切れるのか?
再び新種のウイルスが猛威を振るおうとしている時、
学びを活かしてきちんと向き合う事が出来るのか?
そんな考えが含まれていそうです。
来週は再び、病院がパニック状態になりそうですね。
最終回に向けて、どう着地させていくのか…ますます気になります。
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