1話のパニック症も、2話の双極症も事前に名前は知っていたけれども、
今回のパーソナリティ症は初耳。
これは…知っているのと知らないのとでは、彼女への印象も相当違うでしょう。
怒らせると厄介で、面倒臭い子で済まされてそうですが、きちんとした病名があったんですね。
知識の浅い私には、すごく勉強になった回でした。
彼氏の優(細田佳央太)のリスカも、両親の共依存にも驚きましたが、
それだけ、誰もがパーソナリティ症にも、共依存の関係にもなりやすいって事なんですよね。
まぁ、そんな事を言ってしまったら、他の病気だってなる可能性は秘めているんですけど。
でも…この病に関しては「こういう性格だから」で自他共に納得しちゃって、
精神疾患だとは自覚しづらい。
1話で「日本は隠れ精神疾患大国」という言葉もありましたが、
パーソナリティ症を抱えた患者も、中々多いのではないかと思います。
私も…風花(白石聖)の言動を見ながら、自分の学生時代を思い出しておりました。
リスカまでは行かなかったけれども、私も昔は、友達にべったりくっつくタイプだったなぁって。
部活で仲良くなった子が自分を嫌いだと分かった(そう言わせるほど怒らせちゃった)時には
ショックを受けて、それ以降、人とどう関わっていけば良いのか分からず部活内で孤立して、
結果、退部…なんて過去もありましたし、
大学に入ってからは、自分が一番仲良いと思っている高校の友達が
大学で新しく出来た友達と遊ぶ頻度が増えた事に対してやきもちを妬いて、
1人、部屋で怒ったり、泣いて落ち込んだりもしてました。
だから、自分に優しく接してくれる相手が救世主のように思えて、手放したくないっていう
風花の気持ちも、手にとるように共感出来たかな。
今思えば、当時の私も…だったのかも?なんて考えちゃいます。
パーソナリティ症と診断され、「変わりたい」と思って以降、
何に怒りを感じるのか、その時々どんな気持ちになっているのかを冷静に分析して、
改善策を見つければすぐに実行出来る風花の吸収力の速さは凄まじい。
病気としっかり向き合わなければ、自分を責めるばかりで良さに気づけなかったでしょうし、
弱井(中村倫也)を筆頭に、様々な人との関わりも大きく作用していると思います。
あの施設も、通い続けていたら自己肯定感が間違いなく上がる。
やっぱり…人と話してみて、何かを共有するって大事なんだと、
本作にはつくづく学ばされます。
ただ…1つ、心残りもありまして。
母・昌子(中島ひろ子)の今後は大丈夫なのかと心配にもなりました。
風花が実家に帰ってきた時、風花の後ろにあった鳥が2羽向かい合って並んでいる絵が描かれた
大皿が妙に印象に残ったんですね。
両親は今でもあの関係で、今後も互いの方向が変わる事はないんだろうなと…。
きっと、ドラマでたまに見かける「昭和の頑固親父」も
キャラクターにして消化されがちだけど、
現実世界では、パーソナリティ症が絡んでいた人もいるのかもしれない。
歳を重ねれば重ねるほどプライドが増して、病院に行くなんて発想にもならなそう。
風花が1人前になってから、娘の紹介でひだまりクリニックへ
診察を受けにいく未来がいつかあったら良いけど…どうでしょう…?
風花の前向きさには嬉しい反面、複雑な気持ちにもなりました。
実際はこんなに上手く行かない事ばかりでしょうし、ファンタジーとか絵空事とか、
そういった意見も多かったと思います(それも、決して否定はしません)。
でも、「もしかして自分も…?」と今不安を抱えている人や家族にとっては、
治らない訳じゃないんだと安心して、少しでも希望に繋がるでしょうし、
全視聴者にとっては学びにもなる。
そういう意味ではやっぱり、前回の感想と同じような事を言いますが、
放送する意義はあったな…と。
演出家は「きのう何食べた?」「大豆田とわ子と三人の元夫」の中江和仁さんでしたが、
全体的に漂う淡く穏やかな雰囲気も好みでした。
配役も毎回手堅く、「この役はこの役者だからこそ」といった感じで、
そんな方が集っているからこそ…患者とその家族、支えとなる相手を演じるのも
相当エネルギーがいるんだとも思わされました。
弱井の身の上話や彼女との事は、結局謎のまま終了。
ドラマを数年見てきた経験上、大きな病院で働いていたけど、
病院の方針と自分の考えに齟齬を感じて独立したのかな…とか、
彼女が当時抱えていた心の病に気づけなかった後悔があったのかな…とか、
やんわり想像はつきますが、弱井の過去はやっぱり本人や関係者の口から知りたいですね。
先ほど書いた役者さんの件もあって、またすぐに、今度は1クールで…は難しいでしょうけれど。
またこのような形で、インターバル期に3話程度を不定期で放送…でも良いので、
続きの話が見たいです。
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