「僕とあなたの願いは同じです」
なるほどねぇ…。悠麿(森山未來)のこの台詞が一番ハッとさせられましたな。
本作の登場人物って、年代から人生経験まで全てバラバラの人が集まって、
各々の心情に平等に踏み込んで描いていっているからか、
毎回新鮮な"気づき"を得られる事が多いんですよね。
今まで相容れない者同士だと思っていたのに、根本的な考えは一緒なんだ…と。
今回の場合で言えば、悠麿も朔治(矢島健一)も
「陸には幸せになって欲しい」が共通の願いだった。
けど…どちらかと言うと、「"普通"が絶対」という思考から抜け出せなくて
囚われ過ぎてしまっているのは悠麿な方な気がします。
「これで彼が世間から排除させられる事はないんだ」なんて強い表現、
今でも彼にほんの少しでも未練がなければ言えないでしょうし、
そもそも、朔治に会って説得しに行こうと考えもしないでしょう。
愛が…愛があまりにも重くて深い……(泣)
「幸せは2人で作るもの」という固定観念をなくして
3人で過ごすオチになるんじゃないかと思った時もありましたけど、
あの状況じゃ皐月(杉咲花)は到底敵いません…。
皐月ではなく、悠麿を想って涙を流したのが"答え"みたいなもんですよね。
大事なタイミングで朔治が自分に寄せた手紙を陸に見せてしまうのも
結構反則だと思っていて。
嫌悪の目を向けていた悠麿からの手紙をなぜとっておいたのかは…
彼の本音を知るのが怖くて、でもこのままで良いのかと葛藤する自分もちょっといて、
それで長年捨てずにいたままだったとも考えられますけど…。
うーん…陸に見せてきたのに関しては、自分がいかに心を閉ざしていたか、
見向きもしなかったかの反省の表れでもあるのかな?とも。
けれども、"今"やるべきではなかったですよね…。
時間が経ってから、朔治があの行動を起こしたのかの理由を何とか考えてみたものの、
リアルタイム視聴時では本当に理解出来ませんでした(汗)
思う所がいろいろあって、何だか内容への具体的な感想が多くなっちゃったので(苦笑)
ここで少し視点を(というほどでもないですが…)変えた感想を書くとするなら…
今回はバイオリンの弦の音が、全体の雰囲気を上手く引き締めてくれましたね。
前回の鉄筋と言い、本作の劇伴って基本シンプルな印象があるんですけど、
あくまでも台詞を際立たせる程度の挿入頻度で収まっているからか、
台詞と相まって妙に頭に残るんですよねぇ。
特に悠麿と朔治の対峙のシーン…感情を高ぶらせる事もなく、絵面も地味目ではあるものの、
バイオリンの劇伴がうっすら流れているお陰で、緊迫感がびっしり張り巡らされていて、
あのシーンから早く逃れたい気持ちにさせられてしまいました…。
トラックで2人の間に挟まれる皐月の様子も、中々来るものがありますね。
画面の1カット1カット、どれも台詞以上の想いが
登場人物から滲み出ているような感覚を覚えます。
そして、自然や緑が少ない代わりに1対1で向き合うシーンが多かった分、今回は重い内容でした。
次回もどうやら重そうで、このままクライマックスへと向かうんでしょうけど、
さて、どんな結末に辿り着くのか…?
正直、浅野妙子さんが携わられた作品の最終回は
あまり満足に終わった試しがないんですが…本作はどうかな??
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