桃子(有村架純)は無意識のうちに鼻歌を歌いながら料理をし、
日南子(小池栄子)は心の中で「好き♥」「好き♥」と気持ちを叫びまくり、
和輝(高橋海人)はみゆき(奈緒)が初恋相手だと打ち明け、
おまけにヒゲみたいに付いたコーヒーの泡をペロッと舐めてみせる。
温かい雰囲気に包まれながらも、ちょっと呑気で、ちょっと浮かれてて、ちょっと初々しい
三者三様の「誰かを好きになるという事」が描かれる中、
吉岡(林遣都)が過去の出来事を再び思い出し、苦しみ続ける展開になってから
一気に現実の世界に戻される感覚を覚えました。
そのギャップが、ラストを印象深いものにしてみせた気がします。
吉岡はどんな風に人を好きになるのか?どんな時に人の温もりを感じるのか?
彼の場合、傷ついた心を動かしてくれる"強引さ"が必要だったのだと
よく分かるシーンでした。
「4人でバーベキューをしますよ?」
「返事は、はい、わかりました、OKの三つの中から選んでちょ」
桃子からお花畑なLINEが届く。
最初は「俺の気持ち、何も知らないで!」とか思うかな?と
不安になりましたけど、そんな事はなく。
震えて怯えていた声に笑いが入り混じり、表情も徐々に微笑みに変わって行く様子に、
ああ…彼女の"強引さ"に癒され、救われたんだな…と。
吉岡の心に少しだけ明かりが灯った瞬間を見たようで、自然と涙してしまいました。
突然のキスにドキッ!でもなく、"好きな人の存在"にやきもきするでもなく、
(そういうベタな展開も楽しい部分はあるけれど)
こんなにも"人を好きになる過程"をじっくり、かつ素朴に見せてもらった作品、
かなり貴重だなぁと思っています。
クリスマスツリーを見に行った吉岡の母・貴子(和久井映見)も
桃子の"強引さ"に救われた一人。
彼女の考えていたツリーのコンセプトが母親の心にも響いたなんて、最高じゃんね。
ある意味、運命の出会いを物語っているようなものですもん♪
吉岡の過去は結局明かされないままでしたが…
「もう良いんじゃない?」と母に言われた辺り、何やら恋愛が絡んでいるのかもしれません。
でも、今はそばには桃子がいる。
インスタ映えしそうな派手な飾りはないけれど、
ほのかに輝くオーナメントに、根強くしっかりと光るオレンジの明かり…
"ささやかな幸せ"を映し出すクリスマスツリーのように
2人の未来も素敵なものに変わって行けたら良いですよね。そんな最後が見たいな。
↓次回の感想はこちら↓
↓前回の感想はこちら↓