今回のアバンは、事件の内容をチラ見せするいつもの形ではなく、
蒲郡(小日向文世)が伊吹(綾野剛)の目の前で逮捕されるという
前回のおさらいから始まりました。
この時点でもうズルいんですよねぇ…。
だって、あんなショッキングなシーンを改めて見せられてからでは、
ますます伊吹に感情移入しながら見てしまうに決まっているから。
それを更に煽ってきたのが「或る一人の死」というサブタイトル。
前回の事があったために、「死」のワードにはかなり敏感になってしまう。上手すぎる流れ。
サブタイトルの効果もあり、
伊吹はかつての志摩(星野源)みたいに一線を越えてしまうのではないか?
今度は成川(鈴鹿央士)と麦(黒川智花)を助けられない悲劇を味わってしまうのではないか?
という二重の意味で、物語全体の面白味と緊迫感に拍車がかかった内容になっていたと思います。
「全部表だったら良いのにね」「機捜のみんなが守ってる街だね」
麦の1つ1つの言葉が全部伏線にしか聞こえなくて怖い。
本来ならジーンと来るはずであろう夕陽と穏やかな劇伴も全然落ち着いて見られない。
そんな「どうか助かりますように…」なんて気持ちでいたから、
最後の怒涛の展開にはまんまとやられてしまいましたよね。
桔梗(麻生久美子)がそばにいなかったら、危機的状況でも車のナンバーを覚えている
麦の柔軟さはなかったと思うし、
麦の真っ直ぐな言葉と再会がなかったら、成川は後戻り出来なかったかもしれない。
そして、2人を探す警察が伊吹と志摩でなかったら、無事ではなかったかもしれない。
みんながみんな、自分にとっては必要不可欠で、自分の人生を変えてくれる
スイッチ的な存在になっている終盤のシーン。もう…胸が熱い。
中でも一番盛り上がったのは、九重(岡田健史)が成川を救うシーン。
麦をあんな目に遭わせてしまった過ちから、彼女が助かる代わりに
自分は罪を償って溺死しようと思い立ったのを体を張って助けて、
「全部聞くよ!」なんて全てを受け入れる男らしさを見せる所には惚れてしまいましたわ。
目をかっ開いて本気モードをバリバリ出す表情も最高!
(その後の陣馬(橋本じゅん)の表情で視聴者の気を一瞬でも和らげてくれる対比も最高!!w)
最初の頃は某中学生のドラマは見ていないので、何とも思っていなかったんですけど、
回を増すごとに九重という人物を通して秘めたる熱意を滲ませているのが伝わる演技に
「ああ、良い顔してるなぁ」なんて魅力的に映る俳優さんになりました。
しかし、ハッピーエンドの方向に向かっている所、
忘れかけていたものをふと思い出します。
…あれ?「或る一人の死」だけどまだ誰も死んでな…
…………あーーーーー!エトリ?まさかエトリなのか!?
と気付いた時にはもう遅かった。最後まで翻弄され続けたわ。
麦の言っていた表の話には、裏がないと表は成立しない訳で、
麦と成川が間に合った一方で、エトリは間に合わなかった事となってしまうのかというのと、
後で「或る」を調べてみて、あえてその漢字にしたのは
背景も正体も明かされる事なく消されたエトリにかかっていたのか!などと、
心のどこかで引っかかっていた謎が一気に解き明かされていく
長編を読み終えた読後感さえ覚えました。
視聴者にとって一番分かりやすい"盛り上がり"の見せ方は
演出や劇伴の挿入の仕方にあると思うんですけど、
それが連続モノになると、脚本の力が見えてくる。
成川と九重の関係性も、伊吹の支えあっての志摩の行動も、スイッチも…
「このタイミングで以前のエピソードを絡ませれば視聴者の心に響くだろう」
というのがよく計算され尽くした内容だと思います。
アバンでもう証明されちゃってますしね。
綾野剛さんの、蒲郡を失ってから常に、頭の角度や身振りを通して
どこかぽっかりと穴が開いているような様子から、
麦が行方不明と知った時のタガが外れた緩急のつけ方も、
声なしで叫ぶラストシーンも…いろんな顔を見せる演技に目を奪われた回でもありましたわ…
そして、あまりにも出来が良過ぎる話だっただけに文章化するのに時間がかかり、
感想を上げるのが遅くなってしまってごめんなさいm(_ _)m
(その割には書きたい事あり過ぎて、まとまっていない感じですけど(苦笑))
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