2021年秋ドラマ-最愛一覧

最愛 10話(最終回) 感想|最愛の人を想って姿を消すのもまた最愛

 

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なるほど、なるほど…そうまとめてきたか…な最終回でした。

最終回を見終えた率直な印象を書くとするならば、

「お、おぉ…」が2割(初見時は3割)、満足感が8割といった所でしょうか。

 

まず、一応前提として書いておくと、全ての事件に関わっていた犯人が

加瀬(井浦新)だったのにはとても腑に落ちました。

共犯者もおらず、どれか1つの事件が違う犯人って訳でもなく、

全て1人で罪を背負っていた事にするとは

なんて設定なんだ!?と最初は呆然としてしまいましたが(もちろん驚きの意味で)、

パンドラの箱の中で眠っていた事件の一部始終を見ていくと、

不思議と、犯人は加瀬しか"あり得なかった"と思わされるのです。

それは、梨央(吉高由里子)や優(高橋文哉)を守るためだったらどんな手段を使ってでも動く…

言わば、"ライク"にも"ラブ"にも括れない、大切な妹や弟に向けた"家族愛"のような愛情が、

「ここまで献身的だと犯人じゃないのでは?」と一瞬錯覚するくらいには

ずっと描かれてきたから。

普通だったら、15年前の事件で死体を遺棄してしまった時点で

何事もなかったかのようにそばに付き添っていられる冷静さはなくなり、

怯んで逃げてしまいたくなるとも考えられるんですが。

そこは、まだ青かった弁護士時代に達雄(光石研)と出会い、

「私は家族の話をしている」の"家族"とはどんなものなのか?

法を犯してまで、自分の身を犠牲にしてまで庇おうとする動機はどこから来るのか?を知るために

彼=父親の目線に立って支え続ける道を選んだと思えば納得出来ます。

 

では、ここまで納得しておいて、

なぜ冒頭で「『お、おぉ…』が2割」という表記をしたかと言うと、

8話からの構成と加瀬の描写にあるんだと考えています。

最終回の前半、匂わせていた藤井(岡山天音)や大輝(松下洸平)が

事件に関わっていない事が早々に明かされ、

「じゃあやっぱり"あの人"なのか…?」と、真相を知りたいけど知りたくないような葛藤の中

残り30分をドキドキしながら見守る展開には確かに引き込まれましたが、

それと同時に、ちょっとした唐突感も覚えたのも事実で。

理由はいろいろあり、8,9話で2つの事件とはあまり関係のない

不正問題や寄付金詐欺のエピソードを膨らませたために、

加瀬から梨央への"最愛"の描写が薄れてしまった事。

9話終盤か最終回前半までで、事件に関わっていた事を匂わせる言動が盛り込まれなかった事。

そして、加瀬の生い立ちがほとんど明かされなかった事が大きいのかもしれません。

特に3つ目に関しては、回想をチラ見せするだけだったので、

親を幼い頃に亡くした時の心情や、親からの愛情を十分に受けられなかったが故の苦さ…

といった背景をもう少し掘り下げてみたら、

達雄と同じく事件を隠蔽し続ける形で支えようとした姿にも説得力が増したんだと思います。

 

「お、おぉ…」と感じた理由は以上で、今度は満足感について。

ハッピーエンドのようでハッピーエンドじゃない…という

"グレーゾーン"で完結させたのは、実に本作らしくて良かったです。

思えば、優の病気の設定や、15年経ってから梨央と大輝が

重要参考人と刑事として再会した関係性が効いていて。

学生時代の話が弾んで楽しそうにしていても、ようやく一緒にいられる事になっても

「この幸せは2つの事件によって再び壊されてしまうのではないか」という漠然とした不安が

常に隣り合わせにあり、それが物語の緊迫感や見応えを生み出していたと思うんです。

もう悲劇は起こって欲しくない…いつまでもこの状態が続けば良いのに…

事件の真相がはっきり明かされない中で描かれ続けた"ささやかな幸せ"。

最終回でも、墓参りの後に2人で手を繋いだ時に感じる温もりに

その"らしさ"が反映されていました。

視聴者の希望を叶えて、梨央に寄り添った全ての登場人物が幸せになるラスト、

逆に犯人が加瀬だと判明した時に、最愛の1人である梨央の幸せを願って自殺する

バッドエンドにも出来たかもしれませんが、

この良い意味で曖昧なラストが、本作の集大成としてはぴったりだったでしょう。

2人の前から離れるのも、ついでに言えば、優が「過去の記憶は戻らない」と言い切ったのも

また"最愛"とも言えますしね…。

視聴者に1人1人の言動の真意を汲み取らせて終わらせたのも印象的でした。

 

正直言って、最終回を見るまではあまり期待していませんでしたが、

あまり期待していなかった分、よくここまで上手くまとめられたなぁ…と驚かされました。

井浦新さんはこの手の重い過去を背負う役が似合い過ぎますね。

「Lemon」だけでなく「君に夢中」もすっかり井浦さんの曲に…(泣)

松下洸平さんは体全体を使って「視聴者に想像させる」ような

自然体な演技をされていたと思いますし、

何より、本作を見るまでは、

いわゆる「タラレバ」的なラフな女性のイメージが強かった吉高由里子さんが、

あそこまで"涙"を通して感情を魅せてくるとは…という新たな発見もありました。

本作に満足出来たのは脚本や演出の力もありますが、

この3人でなければ見え方が全然違っていたかもしれません。

 

「サスペンスラブストーリー」とはうたってはいるものの、

その中に含まれている"ラブ"には、共感してしまいたくなるものから

どうしたって同情出来ないものまで幅広い。それを覗き見るのも面白かったです。

物語の中に多様性を取り入れる傾向のある昨今のドラマラインナップを考えれば、

"現代だからこそ出来た"作品だとも思います。

 

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最愛 9話 感想|あとは最終回次第かな?

 

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フラグだらけですなぁ。

以前から少しずつ描かれていた真田ホールディングスの不正から発展した寄付金詐欺に、

前回で明かされたペンの所持者5人の動向に、再登場してきた藤井(岡山天音)の様子に、

そして、ラストには新たな事件まで…

様々な出来事を満遍なく描いては広げていっている感じ。

一方で、肝心の2つの事件に関しては、1話で梨央(吉高由里子)が血のついた手で

髪をかき上げるくだりが回収された以外は、特に進展はないまま。

 

もうこうなってくると…果たして最終回が整合性のとれた内容になるのか

だけが気になって仕方ありません。

出来事を追加している以上、(前回の感想で書いたのも含めた)数々の謎を

延長なしで全部回収し切るのは無理に近いだろうから、

あとは納得出来る仕上がりになるか。本当、そこだけなんです。

 

ここまで見てきた身としては、本作が「最終回だけ見ればOK」みたいな作りに

なっていない事は分かっているし、

「次回も見たい」という気持ちにさせる工夫として、怪しげな人物描写、煽り演出以外にも、

梨央と大輝(松下洸平)、優(高橋文哉)を中心にそれぞれの心の揺れ動きを

物やカメラワークで魅せてきたのには、

よく出来ているなぁなんて何度も思わされたりもしました。

正直言うと、後半はここ最近のミステリーと似通った展開になった感は否めないものの…

考察する面白さもありつつ、1人1人に感情移入して幸せを願ってしまいたくなるような、

そんな"余白"を与えてくれる本作は好きな作品の1つ。

だからこそ、その好意的に見てきた部分が

最後で裏切られてしまうんじゃないかという不安は隠せません。

途中までがどんなに良かろうと、脚本家の力量が最も問われるであろう最終回で転けると

作品の印象も変わってくるのでね…。

 

どこぞの膨らませるだけ膨らませて、SNSでバズらせるだけで

放置したまま終わった某局のヒット作ではなく、

この枠のヒット作を生み出してきた脚本家ですから、ある程度大丈夫だとは思うんですが。

…って、今回の内容だけでは何とも言えないので、

1つの事で引っ張るような感想になってしまいましたが(汗)

 

とにかく、"信じて"心待ちにしております。

 

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最愛 8話 感想|真田HDの不正の全容がほぼ明らかに

 

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最終章に突入する前に、以前から触れられていた

後藤(及川光博)が関与しているらしい真田ホールディングスの不正の全容を

ほぼ明らかにした…って所でしょうか。

梓(薬師丸ひろ子)が不正を知っていながら知らないフリをしていたのか、

その辺は曖昧にされた気もしますが、

とりあえず、渡辺親子の事件とは離れた出来事が1つ解決されたのには安心しました。

 

しかし、正直に言ってしまうと…過去から現在まで事件が多ければ"謎"も山積み過ぎて、

前回から混乱している自分もいます。

後藤の件が済んだと言えど、

・15年前に梨央(吉高由里子)に性的暴行を加えた康介(朝井大智)を殺した犯人は誰か?

・遺体を遺棄したのは達雄(光石研)単独ではなく2人と言われていたが、そのもう1人とは?

・優(高橋文哉)に池に落とされた後に上がってきた昭を殺したのは誰か?

それに加えて…

・転落死した橘(田中みな実)は自殺か?他殺か?他殺だとしたらその犯人は?

・(終盤での記憶喪失がサラッと描かれた事から)優がやはり何かの(どれかの?)

 事件の殺害に関わっているのでは?

恐らく残り2話の時点で、まだこんなにも片付けられていない謎が残っているんです。

橘の件に関しては、新たに勃発した割に次回以降も引っ張るのであれば、

渡辺親子の事件のどちらかでも結びつくものであって欲しい…というのが本音。

もっと言うなら、今回で「もしかして?」などと、

何か繋がりを匂わせる"手がかり"も欲しかったような。

なので、謎を次々と足して肝心な所を引っ張り続けた挙句、風呂敷を畳みきれないまま終わる

連続ドラマがここ最近で増えてきているのもあって、

本作もそうなってしまうのではないか?という不安な気持ちは特に変わっていません。

 

ただ一方で、そのぼかし具合が

脚本を描いていくうちに"そうなってしまって"出来たのではなく、

最終章のために"あえて残して"出来たのが何となく伝わる部分もあるんですよね。

そう思わせてくれたのは、梓のラスボスっぽさをまとった存在感。

「見〜つけちゃった♪」「ふふっ」と梨央を軽く弄んでから、

今まで誰が犯人か想像の域を出なかった状態だったのを、

ボールペンの所持者を教える形で候補者を一気に断定づけてきた急展開っぷりには

ワクワクさせられてしまいました。

梓、梨央、兄の政信(奥野瑛太)、後藤、加瀬(井浦新)の5人。

そこから、加瀬はミスリード要員なんじゃないか?とか、

事件に関わる人々は皆"最愛"の誰か(何か)を大事にしながら動いているから、

そう考えると兄って何か関係あるのか…?とか、

優が借りていたように他の誰かにペンが行き渡っているんじゃないか?

まだ出番の少ない藤井(岡山天音)は??とか、

いろいろ考えられる楽しさも生まれる訳で…。

次回を早く見たい!早く真相を知りたい!

そんな興味をそそられる内容で終わったのは良かったです。

 

どことなく怪しい印象のあった梓が頭角を現してきた今回。

次回で渡辺親子の事件が大きく動く事を期待したいです。

 

 

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最愛 7話 感想|初回から飛ばしていただけに…

 

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優(高橋文哉)も釈放されて、事件もひとまず解決(?)して第2章突入…って事なのかな。

今回は最終回に向けての準備みたいなもので、

「嵐の前の静けさ」と言ってしまえばそれまでなんですが…

梨央(吉高由里子)のパートの方は、3人での幸せな同居生活の日々やら、

優が治験を受けるのか気にする様子やらと

サスペンスからはかけ離れた"日常"ばかり描かれていたために、

終盤でしおり(田中みな実)の過去に触れるまでは

ほぼ内容がないに等しい仕上がりになっていたのが気になりました。

 

そして、これまでとは異質な印象を受けたのは、ある意味本作の"縦軸"ともなっている

「真田グループの不正疑惑」を追求するくだりが前面に押し出されたのもそう。

現時点では、梨央はその不正に関わっていないだろうと予想されます。

だから、特に関連性のなさそうな主人公で見せ場を作るには、大輝(松下洸平)を絡めて

ラブストーリー仕立てでやるしかなくなった…って所なんでしょうね。

それが結果的に、主人公の動向と縦軸が分離してしまい、

1話の中で噛み合っていないように感じられた原因に繋がったんだと思います。

いや、2人は幼馴染みだし、「再会した時には刑事と重要参考人の関係になっていた」

初期設定がある以上、今回の内容が描かれても不思議ではないんですけど、

本作は一応「サスペンスラブストーリー」なので…

別ドラマを見ている感覚に陥ってしまった残念感がありました。

 

肝心のしおりと康介(朝井大智)の方は、やっぱり当時の被害者と加害者の関係性でしたね。

薬に盛られて意識が朦朧としていた時に、梨央に救いの手を差し伸べたのだけれども、

向こうは気づいてくれなかった事が真田家に執着するようになった"きっかけ"…。

確かに当時はあれが精一杯のサインで、心に傷を抱えたまま生きてきた

彼女の不条理さを思うと同情は出来るのですが、

だからと言って、それと社会的に成功した梨央を天秤にかけるのは逆恨みも良い所で、

最後まで梨央につきまとう理由には納得出来ず…。

 

むしろ憎むべきは康介なのに…先に死なれてしまって、

感情をぶつけるやり場がなかったって事なのでしょうか?

でも、そんな彼女もいきなり退場というラスト。

(最後の活躍なので本音を書いてしまうと、しおり自身の苦い人生を反映させるために

あの陰鬱とした台詞回しや無表情の演技だったのかな?とは思いますが。

新境地という感じで浮いている印象はそこまでなかったですが、

正直、市川○日子さん辺りの女優さんだともっとハマっていたのかも…って気もしたり。)

 

しかし、この段階で「しおりの不可解な死」という現在進行系の新たな謎を盛り込んだとなると、

15年前の事件は前々回と前回の真相が描かれて解決した事になったのかどうか、

自分の中でどう片付ければ良いのかよく分からなくなってしまいました。

前回の感想でも書きましたけど、真相には触れても"ゴール"までは描かれていないから

イマイチ終わった感じがしないのです。

最終章でこのモヤモヤを取り除いてくれると良いんですが、ここにきて新展開…

全10話だと想定すると、残り3話になりますよね?

う〜ん、謎を付けるだけ付け足して風呂敷を広げて、

収拾がつかない状態で終わらないかどうか、少し不安になってきました。

 

 

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最愛 6話 感想|橘しおりも当時の事件の関係者!

 

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ラストシーン、ああ、ちゃんと視聴者のツボを分かってるなぁ…と思える見せ方で、

上手いを通り越してズルいのよ(泣)←褒めてる

歩道橋と路上で距離がある状態で主題歌がかかるタイミングよね。

1話では梨央(吉高由里子)が大輝(松下洸平)を探して、

今回では大輝が梨央を探す。

当時は東京に行く梨央を見送る事は出来なかったんだけど、

今度は見つけて抱きしめる事が出来たっていう2つの対比も良かった。

ハグシーンもね…この例えはふさわしくないのかもしれませんが、

街灯や看板の照明がバックでぼやけていて、中央で2人が抱きしめている構図もあって

2人を照らすイルミネーションみたいで、うっとり見とれてしまいました…。

イルミネーションとなると本来はハッピーエンドで終わるはずなんですけどね。

本作の場合、ロマンチックな光景なのに、到底幸せになれなそうな所に

切ない感情が襲ってくるんです……。

 

前回の終盤で捕まった優(高橋文哉)が、今回でもう釈放という展開の速さ。

首を絞めた件は、先に昭(酒向芳)がそうしてきたからで、正当防衛とも言える行為だったし、

池に沈んだ後の目撃者の証言で、昭は生きていた事が分かった。

ただ、これは前回の達雄(光石研)のカミングアウトもそうなんですけど、

"謎が解明されたようで、していない"んですよね。

つまり、1つ1つの真相には触れていても、そのゴールまで辿り着いていないというのか。

だから良い意味でモヤモヤが残るし、まだ6話なのを考えると

間違いなく衝撃的な"何か"があるんじゃないかと胸を膨らませてしまいます。

 

その衝撃的な"何か"のキーパーソンだと見ている人物は

加瀬(井浦新)と橘(田中みな実)の2人でねぇ。

加瀬の方はひたすらスマートで、もはや紳士のよう。

いちごパフェを食べるという癒しも押さえてくる(笑)

だからこそ、あまりにも"良い人"過ぎて、今回で優の釈放に導いたのも

本人の巧みな交渉術で言いくるめる事が出来たからなんじゃないかと

穿った目で見てしまうんです。

まぁ、ここまで見ていると一途に梨央を支えているイメージが強いから

何とも言えないんですけど…彼の思惑にまんまと嵌められている気がしてなりません。

 

一方で、橘の方は当時の事件に関わっている事が判明。

彼女も関係者として絡めてくるのかと意外でした。

「梨央社長みたいに生きてるだけで注目浴びる人もいるのに」

これは完全に梨央に対する一方的な恨みから来る発言でしょうね。

そこで考えられる動機は、梨央と同じく康介(朝井大智)の被害者だったか、

康介の元カノか…なんですけど、

もし前者だとしたらお門違いも良い所ですし、

後者だとしたら、悪いけど殺されるべき人だったんじゃ…?と

共感出来そうにありません。

梨央につきまとって嫌がらせをするだけの説得力ある動機が欲しいです。

 

そう言えば、今書いていて思い出したんですが、

確か1話ぶりに登場した藤井(岡山天音)も十分怪しいとは言えますね。

達雄と一緒に遺体を運んだ人だったりして…どうなんでしょ。

 

ミステリーとしても、ラブストーリーとしても面白いなぁ。

上手く絡み合っている印象。

ヨーグルトで精神状態を表す演出も秀逸でした。

 

 

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最愛 5話 感想|愛は時に人を惑わせる

 

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ああ、もうどうしてくれようか…

切ない以外の感情が見当たらないんですけど…(泣)

優(高橋文哉)と方言で会話しているだけなのに、

澄んだ空と緑に包まれた故郷の風景を映しているだけなのに、

懐かしさと美しさで涙腺がやられる。

本来だったら、故郷を懐かしむ2人を見て微笑ましくなれるはずなんですけどね。

何度だって恨んでやりますよ…渡辺(朝井大智)の犯した行為を。

 

大輝(松下洸平)も彼に運命を狂わされた1人。

当時の事件がなければ、思い出話に浸って一瞬でも過去の関係に戻ろうが、

刑事である自分と重要参考人である梨央(吉高由里子)の関係性は崩れないという事実に

苦しみ続ける事はなかっただろうし、

"刑事になってしまった"自分を受け入れざるを得ない酷(こく)さを

味わいながら過ごす事もなかったのかもしれない。

大輝がその時どんな表情をしていたかを誤魔化すかのような

引きのカメラワークからの「向いてるよ」…

「朝宮優です」と報告した時の声の裏返り具合…

"最愛の人だから"反射的に桑田(佐久間由衣)の腕を引っ張っるんだけれども、

本当は梨央と優の所に駆けつけたくても"刑事だから"遠くで見る事しか出来ない現実…

刑事か、本来の自分か?

今の自分は何が出来て、何をしてやれば相手のためになるか?

そんな境界線で揺れ動く大輝の葛藤が、松下さんの表情から、目線から、演出から…

いろんな所から伝わってきて、いたたまれない気持ちになりながら見てしまってました。

 

それで考えて出た結論が、刑事として優を逮捕する事だったんでしょうね。

当時から大切に想っていた2人を、自分の手で引き離したくはない…

でも、優のためを思えば、この方法しかなかった。

優も優で、「逃げんって決めた」「姉ちゃん、ここまで一緒に来てくれてありがとう」と

梨央に真っ直ぐ伝える姿が印象に残りました。

今の優にとっての最愛は父・達雄(光石研)なのかもしれません。

相手を守るためについた優しい嘘は、時に惑わせ、時に傷つける…。

亡くなった父親のせいにはしたくなくて、真相を知った上で、

ちゃんと事件と向き合いたいという"決意"が伺えるシーンでした。

 

最終的には、大輝が刑事としての使命を果たした今回。

次回は加瀬(井浦新)がその役割を担う事になるのかなぁ。

ラストはとても頼もしいと思えたけれども、そのまま信じて良いのかどうか…?

 

 

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最愛 4話 感想|それぞれの「守りたいもの」

 

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梨央(吉高由里子)と優(高橋文哉)の再会シーン…何と言うか、ショックでした。

情報屋が優だという事は前から予想がついていたし、

そのうち再会する展開もあるんだろうと分かっていたから、その2点に特に驚きはないんですが…

個人的には、1話のラストで梨央と大輝(松下洸平)が出会った時の

光景と重なってしまいましてね。

学生時代の話は弾んでも、"現在"になるとその2人が

「重要参考人」と「刑事」の関係から中々変わらないように、

姉弟も昔のような関係には戻れないんだろう…と思うと、ちょっとしんどいものがありました。

そう、全ては渡辺の起こした事件のせい。

宇多田ヒカルさんの主題歌が余計に切なくさせます…。

 

事件の真相に関する謎は、あとは500万円の詳細のみって所でしょうか。

まだ不透明なのは朝宮(光石研)の件もそうなんですけど、

ここまでで欲しかった情報を勿体ぶらずに明かしたとなると、

朝宮のあの夜の様子も視聴者の予想通りで、大きな捻りはないはずで。

やっぱり本作が描きたいのは「ミステリー」ではなく、

真相を知った者たちがどう感じて、運命をどう乗り越えていくのか?なんだと思います。

 

その象徴的なシーンは、信号機の演出ですよねぇ。

本作って、いつもはそんなに露骨には演出しないイメージがあるんですが、

今回は「ここを見てくれ!」と言わんばかりにピンポイントで映しているのが気になって。

梨央目線で見ると、普段は赤信号の時間経過バーはすいすい下がっているのに、

赤信号から青信号に変わるまでの瞬間"だけ"は、彼女の心境を投影しているかのようで

妙に長く感じてしまったのです。

このもどかしさこそが2人の関係を表しているのはもちろん。

それをあえて映した事が、

真相を知った2人の今後をじっくり描いて、最終回までに盛り上げてみせるという

製作陣の強い意志表示にもなっているんじゃないかと思わされました。

 

真相が明かされるまでのそれぞれの動きも興味深く視聴。

「最愛」は、今回においては「守りたいもの」とも言えますね。

冒頭の後藤(及川光博)の「かけがえのないものと聞いて何を思い浮かべるだろうか」

というモノローグが印象的でした。

梨央の守りたいものは、大切な弟と、弟を救うための薬の開発。

後藤の守りたいものは、真田ウェルネスの名誉。

優の守りたいものは、お姉ちゃん。

大輝と加瀬(井浦新)の守りたいものは…言わずもがな。

 

そう考えると、優の病気を治す薬を作りたいという固い目標がある以上は、

仮に優を庇って自分が渡辺の父を殺したと自供したら、梨央の人生は終わってしまうだろうし。

梨央が優を逃がす展開があってもおかしくありません。

 

いやぁ…本当にサクサク進んでいくので、どんな話が待っているか未知数です。

 

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最愛 3話 感想|物理的にも心理的にも遠くなってしまった2人…

 

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もんじゃ屋では、加瀬(井浦新)は奥のくつろげる席で梨央(吉高由里子)の隣に座り、

大輝(松下洸平)はテーブル席で向かい合うように座る。

梨央が襲われそうになった時には、加瀬はすかさず体を張って助け、

大輝は後を追って暴漢を捕まえる。

2人の「最愛」は梨央なはずなんだけれども、

その本人が"今"どちらに心を開いているかは、

この2つの動きだけでももう一目瞭然なんですよね…。

 

"一緒にいたあの頃"から現在まで間が空けば空くほど、2人の距離も遠ざかる。

その2人が15年ぶりに肩を並べようとしても、

あの頃とは環境も守りたいものも何もかも違う。

それが刑事と重要参考人という立場なら尚更。

もちろん、大輝にも「梨央を助けたい」って気持ちはあるし、

当時の関係にまた戻りたいとも思っていて。

そういった強い想いが、梨央と向き合う時には

じっと見つめる眼差しになったり、

自然と前のめりの姿勢になったりっていう態度に現れるんだろうけど…

もうその姿は"刑事"に見えて、"あの頃の大輝"ではなくなってしまっているのが何とも切ない。

会話も弾まない。弾むのは事件の話。

事件の話になると、お互い微妙に目を逸らしがちだったのが、

相手の顔を見ながら話す事が出来てしまうのもまた切ないんです…。

 

でも、刑事として動いている時は

"あの頃の大輝"のような柔らかさがふと見える瞬間はあるんですよね。

病院で梨央の隣に座って「ずっとどうしてるんか、気になっとった」って言った時は

どんな顔をしていたのか…

大輝の表情をあえて映さないカメラワークが、

彼の想いが梨央に届いて、少しでも前の関係に戻れると良いな…という

視聴者の想像力を掻き立たせているようで、ここも印象に残りました。

 

一方で、加瀬が梨央に向ける眼差しはいつも優しい。

そして、いつも彼女の近くにいて、献身的に支えてくれる。

それは冒頭で言っていた「人に見返りを求めてはいけない」が

人と接する上での根っこの部分になっているからなんだと思います。

ただ、その忠誠心から来る愛情がなぁ…逆に怪しいんじゃないかと疑いたくなる自分もいて。

確か、昭(酒向芳)は高身長だから、首に傷跡をつけるのは梨央では難しい

みたいな言及がされてましたもんね。

本当に彼を殺したのが梨央ではないのなら、もしかしたら加瀬が事件に関わっているのか…?

という可能性もちょっと出てきましたねぇ。

 

そんな感じで、今回は事件の真相に大きな進展がない代わりに、

大輝と加瀬を対比させる事に焦点を当てた内容になっていた気がして、

2人の梨央に向ける目線や言動についつい注目しながら見てしまっていました。

 

そして、唯一真相が明かされたと言えば、情報屋が優である事はほぼ確定でしょうね。

でも、月一のポストカードは…優本人からではないと思うなぁ。

顔文字も!もなくて、「僕は元気です 優」の文字と写真のポストカードが

壁じゅうびっしり貼られている図、何となく恐怖を感じましたもん…。

後でそこだけ見返してみたら、筆跡も違ってましたし。

 

 

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最愛 2話 感想|犯人は弟!全ての発端は渡辺からだった

 

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ええ〜!あと1,2話くらい引っ張ると思っていた14年前の真相…もう明かしてしまうとは。

という事は、やっぱり「最愛」というタイトルだけあって、

本作が最も描きたい所はミステリー要素ではなくて"もつれ"の部分なんでしょうね。

 

渡辺(朝井大智)を殺した犯人は弟・優(柊木陽太)。

正直、前回の優の病気の紹介が分かりやすいほど

丁寧に描かれているなぁ…という印象があったので、

ここもやっぱり「絡めてきたか!」とは思いました。

正確に言えば、渡辺は実力の差で思うような結果が出せない憤りから薬に手を出し、

その薬を梨央(吉高由里子)にも飲ませて眠らせてから

性行為しようと動かしていたのを、

たまたま見かけた優が恐怖を感じて、その場にあった棒で突き刺してしまった…

という一部始終になっていたらしい。

 

マネージャーを含めた複数の女性と性行為をし、

さらにはパソコンにその画像や映像を収め、薬が世間に知られて部活は活動停止になり、

大輝(松下洸平)の内定も取り消しに。

おまけに、記憶が飛んでいた梨央は、優の携帯の映像を見るまでは

自分が殺ってしまったのではないか…という不安に怯えていた。

 

要は、渡辺が周りの人の人生をめちゃくちゃにしたって感じで、

誰から恨まれても仕方なかったんですよね。

(って事は…トドメを刺したのは優以外の誰かの可能性も?と疑ってしまうけど、

ここはもう解決したのかも…ですね)

 

ただ、そんな彼にも父親はいた。

父・昭(酒向芳)も何者かに殺されてしまった。

梨央は14年前の件についてはシロだったけど、

こちらの件についてはクロなんじゃないか…という気がしています。

 

渡辺はクズには育ったものの、

小さい頃は愛でたくなるほど可愛い男の子だったのかもしれない。

昭にとってたった1人の我が子だから、息子との思い出はいっぱいあるだろうし、

今でも心の片隅に残しておきたい記憶になっている。

だから、行方不明になった時も、後にニュースで取り上げられた時も、

うちの子に限ってそんな事はないと、

"可愛い息子である"事実を頼りに信じて探し続けていたから

あの必死な様相だったんでしょう。

 

息子の行為に関わっていない上に、

一途な性格である昭を(おそらく)殺したのは…残念ながら、まぎれもなく"犯罪"。

となると、梨央には明るい未来は訪れないのかな…と、

今はバッドエンドの方向しか考えられません。

予想だけで、まだ謎だらけではあるからなぁ。

 

誰かにとっての「最愛」。

梨央は弟を"姉心"から来る愛をもって見守り、

優はお姉ちゃんを何としても救うスーパーヒーローになり、

大輝は今でも梨央を愛し、昭は息子を大事に想い、

加瀬(井浦新)は「私が守る」と忠誠を誓い…

愛1つでも、"純粋な愛"から"歪んだ愛"まで幅広くて、

それぞれの抱えている愛がぶつかり合って交差していく展開に惹きつけられます。

 

事件の真相の方も着々と動きがあるし、

着々と動きがあると思っていたら、そう来るの!?という変化球も入れ込んでくる。

シンプルに「面白い」ですね。

あと個人的に気になるのは…情報屋が優なのかどうかかな。

自分が犯した行為を思い出して失踪したとか?

 

 

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最愛 1話 感想|黒と赤をまとう姿は魔女のような美しさ

 

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「その人をいつ好きになったのか覚えていない」から始まるモノローグから漂ってくる、

まるで文学作品のプロローグ部分を読み進めているかのようなほろ苦さと哀愁よ…。

これは絶対面白いと確信出来るアバンは早々ない。

宇多田ヒカルさんの主題歌も、もう切なくなるに決まってるんだからズルい(笑)

これから主題歌が流れるたび、両想いだったはずなのに

ある日を境に物理的にも心理的にも離れ離れになってしまった過程を描いた

今回の内容を思い出しては泣くんだろうな…と思えるくらい、

掴みは抜群過ぎる初回でした。

 

以前金10枠で放送されていた「リバース」、

視聴者は口を揃えて面白いと言う「Nのために」は恥ずかしながら未視聴なもので、

個人的には、本作のような重ためラブサスペンスをこの枠で見る事に

新鮮な感覚を覚えましたね。

ロケーションは「テセウスの船」を彷彿とさせます。

(劇中の汁物も一瞬はっと汁に見えちゃった(笑))

あっちは雪山で、こっちは緑一面の田んぼ…

作品に引き込ませるためなら大自然も押さえちゃうTBSの"ガチ"さは半端ない。

白川郷も雪が積もった状態のをいつか見に行きたいなぁ…。寒いのは苦手ですがw

 

内容に関しても、恋人同士だった梨央(吉高由里子)と大輝(松下洸平)が

容疑者と刑事の真逆の関係になってしまうのは事前に分かりきっているし、

アバンの時点でもそういう方向性になる事を匂わせていたのに、

ラストまでの物語を進めていく中でいろんなからくりがあって、夢中で見てしまってました。

劇伴のメリハリが効いてますよねぇ。

笛の演奏でセンチメンタルな雰囲気を醸し続けていた分、

渡辺(朝井大智)の登場とともにかかる女性ボーカル付きの劇伴には、

梨央と同じように、これをただの日常の出来事で済ませてはならないような

異質な印象を受けましたもん。

風が吹いているのさえ不気味に映る。

あとはブラックボックスの演出もキレがあったなぁ。

あの日の事をなかった事にしたい…

再会してあまりの変貌に、仕事柄 動揺を隠したくても完全には隠しきれない…

そんな本能&心理状態の時に現れる謎の箱。

OPとラストで毎回この演出はやるでしょうから、

今後、物語の流れや心情描写とどう重ね合わせてくるのか、

ちょっと楽しみになっている自分がいます。

 

目覚めるとなぜか腕が血まみれになっていた梨央。

興奮すると記憶が飛ぶ弟。息を切らして帰ってくる父。

そして、15年経って…若い男性の登場。

私が考えている真相は多分、多くの視聴者と同じだと思うんですけど…

もっとそれ以上の衝撃が待っているのか。

それとも、あくまでも2人の関係の変化を描くのに特化した話なのか。

でも、どう転んでも、この初回がある限りは信頼出来そう。

 

ロングで赤リップ、黒い服をまとった梨央は魔女のよう。

肌が白くて、黒い服とコントラストが効いているから、よりそう見えます。

血のついた手で髪をかき上げる仕草も、妖しい美しさがありましたね…。

「危険なビーナス」の時よりも「危険なビーナス」かも?(笑)

 

 

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