ザ・トラベルナース 6話 感想|部長の為ではなく自分の為のストライキ

 

 

女性同士による爆弾発言、大声で怒鳴り散らす愛川(寺島しのぶ)、

天乃(松平健)への「私の方が真面目に仕事やってます」マウント…

女性キャラを"強い女"に仕立てようとしている描写が、

いかにも中園ミホさんらしい作風だなぁって思います。

 

それだけに、肝心のナースたちのストライキ行為が、

自分たちの意見を貫き通すたくましさを見せる訳でも、言動の未熟さを反省する訳でもなく

中途半端で終わってしまったのが残念です。

 

愛川の退職を機に、菊子(安達祐実)を筆頭にナースがそれぞれ仕事を手分けするようになり、

くたくたになった所で「部長は何も言えないんじゃなくて、私たちがこうならないようにと

少しでも自分に負担をかけてくれていたんだ」と気づく女性ナースたちの"成長"が

盛り込まれていたなら、ストライキのシーンもちょっと感動的に見えたかもしれませんが。

あの感じだと、改善点すら考えずにぶつくさ文句を言い、結局全ての仕事を愛川に押し付ける…

要は「やっぱり部長の存在が必要」じゃなくて「自分の仕事を減らして楽になりたい」がために

愛川の復帰を求めたようにしか映らなかったんですよね。

 

せめて、愛人の噂が数年前から広まっているのを利用して、

本人に直接脅すくらいしてやったら痛快感で魅せる話にもなったでしょうに、

それもないので…。(だって、理不尽な理由でクビにしたのは事実なんだし…。)

愛川が本音を初めてぶちまけた前半と対にして、

後半では、今度は部下たちがグイグイ核心に迫る…という構成をとっていたら、

「愛川に長年指導してもらった立場」として、"成長"が見えて

面白味が増したんじゃないかとも思えてしまいました。

 

そして、これは今まで本作を見てきた上で感じた疑問なんですけど…

全9話だと想定して(14:00追記:確認してみた所、全8話でした)

もう2/3である6話に到達しているというのに、

歩(岡田将生)の成長があまり実感出来ていないのは私だけでしょうか?

静(中井貴一)の影響を受けている事が伝わったのは

4話での患者に嘘をつくくだりくらいで、

あとは基本的に、毎回振り出しに戻っている気がするんですよね。

日本の医療体制の愚痴を言う→偏見に囚われる→静の言葉で考えを改める→行動に移す

のローテーションといった感じ。

今回なんかは…着実に成長しているのなら、

少なからず、愛川があの日突然声を荒げた事に違和感は覚えるだろうし、

数ヶ月間彼女と関わっている以上は

「患者の事ももう少し考えてくれたら良かったのに」なんて考えには至らないはず。

最近は、メインエピソードに歩が時々首を突っ込む形になってしまっているのも含めて、

このままだと、"成長の集大成"とも言える最終回にちゃんと繋がるのかが不安です…。

 

当初は「ああ、『ドクターX』が長編シリーズになったのも分かるなぁ」

と思える出来だっただけに、

回を重ねるごとに、展開や設定に粗が出始めている感は否めませんね。

 

 

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自転車屋さんの高橋くん 3話 感想|「ぷりちー」の破壊力

 

 

※3話(11/18放送分)の感想ですm(_ _)m

 

父からいつも言われる言葉「誰からも愛される良い子でいなさい」を

守り続けてきた子供時代かぁ…。

一回なら分かるけど、幼さ故に気持ちをまだ上手く言語化出来ない、

周りを観察して学んでいる段階で何度も言われるとなると、

そんなつもりはないと理解しつつも、お父さんも中々罪な人だなぁ…と思っちゃいますね。

「自分が跳び箱失敗して笑われたらどうしよう」じゃなくて

「先生が悪いって笑われたらどうしよう」という考えが

先に来ちゃうのが朋子(内田理央)らしいというか。

笑われた事でいずれ責めてきそうな先生も、いつも怒っている母親も、

子供の頃の朋子にとっては大人がみんな怖い存在に映って、

そんなある種の"トラウマ"を今でも抱えて生きているんだろう…

というのが伝わるアバンから、今回の物語は始まりました。

 

叱られそうだから「大人が怖い」と何となく思い続けてきた中での、

貴美子(長井短)との出会いだったのでしょう。

彼女は誰に対しても飾らないし、良い意味でサバッとした性格。

意見をちゃんと言えない事に対して注意するんではなく、

むしろ、自分を尊重する言葉をかけてくれたのが、

朋子にとっては救われた心地だったんだと思います。

そして今ではもう1人…遼平(鈴木伸之)という、一緒にいてハッとさせられる人がいます。

 

我が道を貫く・"気づき"をくれる・頼り甲斐がある・でも実は繊細な面も持ち合わせている

(貴美子の場合、会社を辞めると事前に決めていた辺り、

誰も知らない所でストレスを溜めていたんだろうなと)。

貴美子と「キミちゃん」「パン子」と呼び合える関係になるまでの過程を描いたお陰で、

貴美子と遼平の共通点も見えてきましたし、

その上で、なぜ朋子が、自分とは正反対の立ち位置にいる遼平を好きになってしまうのか?も

同時に描かれていて。

回想をミルフィーユ状に重ねながら、

心情変化をじっくり追おうとしている作りには、大変好感が持てました。

 

栄養満点でもどことなく食べた気はしないカロリーメイトを昼ご飯にしていた貴美子に、

見た目も食べ応えも満点のポテサラサンドを渡す。

遼平が通っている中華屋さんを「汚い」とは全く言わず、

気持ち良いくらいに料理を平らげる。

そんな朋子の大らかさが、誰かにとっては"癒し"になる変化にも触れているからか、

今回は2人の関係が一気に進展したのには驚きつつも、遼平にとって朋子の存在が

いつしか心の拠り所になってるんだろうなぁ…っていうのが見て取れます。

 

ただ、現時点は朋子視点で話が紡がれていっていますが、

遼平視点での話も見たい気もしています。

親父と2人暮らしとか、自転車屋になるきっかけとか、まだまだ謎な部分がありますしね。

まぁでも…「自転車屋さんの高橋くん」というタイトルが、

"相手から見た主人公"という体でつけられているようにも思えるのを踏まえると、

基本的には、彼女主体の話を描く姿勢を貫き通すのかもしれません。

 

職場の唯一の同期である貴美子がいなくなると知って心細くなり、

どんどん孤独を感じていく彼女に対して、

「うちで働くか?」「その方がともちゃんのためになるやろ」

とか言って引き抜いて転職…という流れにもなりそうですが、

それは"ドラマ"でしか起こりえない奇跡であって。

多分朋子は、職場を辞めたいと思いつつも、結局辞めはしないんだろうなぁと想像しています。

本作は日常生活での出来事がベースになっていて、奇を衒う展開はほとんどしてこないので。

遼平の支えもあって、ノーと言えない朋子がちょっとだけ強くなる…

現時点でのバックボーンの積み重ねを見ていると、

心の成長も描いてくれそうだとつい期待してしまいますね。

 

で、最後に余談…可愛いを「ぷりちー」って言う遼平の方がぷりちーな件について(笑)

朋子もそうですが、彼の発言も中々聞き逃せなくて、

そういう意味でも惹かれてしまう作品ですw

 

 

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親愛なる僕へ殺意をこめて 8話 感想|父さんが犯人でした!←それはそう

 

 

かなりの急展開。

恐らくほとんどの視聴者が予想されていると踏んで、ネタバレしちゃいますけど…

登場人物が少ない以上、犯人が亀一(遠藤憲一)だという事実は揺らがないでしょうから、

残り2話で、犯人が彼だと想定し、有利な証拠を見つけるまでの過程を

どう描いていくのかは最も気になる部分ではあったんですよね。

 

しかし、今回の内容を見ると…放送前から全9話である事が決まっていたにもかかわらず、

正直、間をちょっと端折り過ぎだったかな?感は否めません。

「なぜ亀一が犯人だと決めつけたのか?」については、京花の姉・白菱凜(工藤美桜)が

当時スナックで働いていた様子を撮った写真を店主が見せてくれたから、

そこに記載されていた日付が決め手となったのだろうとは解釈出来るのですが。

肝心の「いつから亀一を疑っていたのか?」については、

視聴者の考察が先行しているだけで、

B一(山田涼介)視点では特に描かれていなかったのです。

 

北海道旅行の家族写真には、以前確かに触れてはいたけれども…

B一自身があの写真を見て何か違和感を覚え始めたり、

頭のどこかでずっと引っかかったりしている素振りもない

(そういう演出にしていなかった)のが、

「いつの間に!?」という戸惑いに繋がったのかなぁと。

手の怪我も、"確認"の意味合いで、

亀一に会う時にアップにする頻度を増やしても良かったのかもしれません。

 

個人的には、どうせだったら今回は、もういっその事最終回に回して

90分スペシャルで見たかったな〜という気持ちですね。

無駄な引き延ばしをせずに、新情報を躊躇せず投下していく

本作のスタイルには好印象を抱いていて、

今回の畳み掛け方にしても、今まで「?」と思っていたいくつものピースが

次々とハマっていく所に快感を得られていただけに、

"真相探し"の過程ももっと上手く絡められていたら…と勿体なく思えてしまいました。

まぁでも、真犯人が他にいるそうなので、

やむを得ず最終回前1時間に収めた…という事なんでしょうね。

 

最近「強面なのに良い人」ではなく

「強面で悪い人」の役を演じる事も増えてきた遠藤憲一さん。

キリッと鋭い目で睨んでくる山田涼介さんと、

B一を憐れむかのような目で見てくる遠藤憲一さんの対比は絵になりましたねぇ。

サイコパスな一面は…手にナイフが刺さっても痛みを感じないよりかは、

冷蔵庫からお茶を取り出すという、日常的な動作をその後も平然とやってのけるのが

何気に一番怖いです(笑)

 

ここまで楽しんできたのは間違いないので、

あとは、どんな衝撃の展開が訪れるのか?を待つのみですね。

 

 

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拾われた男 7話 感想|兄も"拾われた男"だった…。

 

 

"兄弟"をあらゆる角度から描いた回でしたね…。

 

いつも「一枚上手な兄に負ける」人生を送ってきた諭(仲野太賀)。

それは15年以来のアメリカでの再会でも健在でした。

脳卒中による後遺症、諭と同じく仲間に恵まれた人生、活躍する弟への想い、不法滞在…

自分の知らない兄の顔を一気に吸収しなければならない上に、

介護をしながら兄が遠のいて行くのを覚悟せざるを得ない状況に立たされる。

結局、武志(草彅剛)に追いつく事は一度もなさそうで…。

夢で見た自転車のエピソードの挿入が、

武志との縁を切り、役者業が軌道に乗り出したからと言って、

「先に行こうとする兄」と「兄に追いつけない弟」の関係性は

一生涯揺らがないのだというのを物語っているようにも映りました。

 

諭が山村社長(薬師丸ひろ子)にスカウトされ、今ではすっかり有名俳優になったように、

武志もカラマズーの人々に愛され、雇ってくれたカフェでコメディアン的人気を博していた。

節々で共通している所はやっぱり、

子供の頃から行動を共にする事も多かった、血の繋がった"兄弟"らしいなぁと思わされます。

しかし…唯一違っていたのは「落し物に気づいたかどうか」。

諭は飛行機のチケットを拾い、武志は学費の入った封筒を拾い忘れたのを機に

運命を大きく変えてしまう。

回想も交えながら、初回からずっと"兄との確執"を描いてきたのがここで効いていて、

2人は表裏一体なのだと思わせるには十分に説得力のある内容だった気がします。

 

舞台も内容の方向性も変わるとなると、別ドラマに見えがちではありますが、

序盤での「おばあちゃんからもらった外国のお土産」が

今回のフックとして描かれていたので違和感も覚えません。

そして…武志のためにアメリカに行ったつもりが、結(伊藤沙莉)の予言の通り

内心では浮かれてしまっている諭の"変わらなさ"にもちゃんと触れていたのが、

シリアスな雰囲気が続く中で安心材料にもなっていました。

美人の看護師に飛びつく素振りを見せたり、

看護師にはそのまま握らせておいて、竹村(黒田大輔)が手を握ろうとしたら避けたり…

分かりやすい彼の様子に、今回も「おいおい!w」ってツッコませていただきました(笑)

 

ウォルト・ディズニー・ジャパンとの共同制作だからか、

アメリカの街並みも存分に見せてきて、外国人のキャスト陣もしっかり用意して…で

流石のスケール感でしたね。

そして…草彅剛さん、やっぱり素敵な役者さんだなぁと改めて。

本当に臭いが画面越しに伝わってくるような、気力の抜けた現在の姿と、

ムードメーカーとして活き活きしていた過去の姿の演じ分けが、

武志の人生において最も尊かったであろう"あの頃"を浮き上がらせているようで、

人物像を構築する丁寧な演技に、自然と涙してしまいました。

草彅さんの演技って何と言うか…

「役を演じる」じゃなくて「登場人物に命を吹き込む」感じなんですよね。

久々に堪能出来た事が嬉しいです。

 

 

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拾われた男 7話 感想|兄も"拾われた男"だった…。

 

 

"兄弟"をあらゆる角度から描いた回でしたね…。

 

いつも「一枚上手な兄に負ける」人生を送ってきた諭(仲野太賀)。

それは15年以来のアメリカでの再会でも健在でした。

脳卒中による後遺症、諭と同じく仲間に恵まれた人生、活躍する弟への想い、不法滞在…

自分の知らない兄の顔を一気に吸収しなければならない上に、

介護をしながら兄が遠のいて行くのを覚悟せざるを得ない状況に立たされる。

結局、武志(草彅剛)に追いつく事は一度もなさそうで…。

夢で見た自転車でのエピソードの挿入が、

武志との縁を切り、役者業が軌道に乗り出したからと言って、

「先に行こうとする兄」と「兄に追いつけない弟」の関係性は

一生涯揺らがないのだというのを物語っているようにも映りました。

 

諭が山村社長(薬師丸ひろ子)にスカウトされ、今ではすっかり有名俳優になったように、

武志もカラマズーの人々に愛され、雇ってくれたカフェでコメディアン的人気を博していた。

節々で共通している所はやっぱり、

子供の頃から行動を共にする事も多かった、血の繋がった"兄弟"らしいなぁと思わされます。

しかし…唯一違っていたのは「落し物に気づいたかどうか」。

諭は飛行機のチケットを拾い、武志は学費の入った封筒を拾い忘れたのを機に

運命を大きく変えてしまう。

回想も交えながら、初回からずっと"兄との確執"を描いてきたのがここで効いていて、

2人は表裏一体なのだと思わせるには十分に説得力のある内容だった気がします。

 

舞台も内容の方向性も変わるとなると、別ドラマに見えがちではありますが、

序盤での「おばあちゃんからもらった外国のお土産」が

今回のフックとして描かれていたので違和感も覚えません。

そして…武志のためにアメリカに行ったつもりが、結(伊藤沙莉)の予言の通り

内心では浮かれてしまっている諭の"変わらなさ"にもちゃんと触れていたのが、

シリアスな雰囲気が続く中で安心材料にもなっていました。

美人の看護師に飛びつく素振りを見せたり、

看護師にはそのまま握らせておいて、竹村(黒田大輔)が手を握ろうとしたら避けたり…

分かりやすい彼の様子に、今回も「おいおい!w」ってツッコませていただきました(笑)

 

ウォルト・ディズニー・ジャパンとの共同制作だからか、

アメリカの街並みも存分に見せてきて、外国人のキャスト陣もしっかり用意して…で

流石のスケール感でしたね。

そして…草彅剛さん、やっぱり素敵な役者さんだなぁと改めて。

本当に臭いが画面越しに伝わってくるような、気力の抜けた現在の姿と、

ムードメーカーとして活き活きしていた過去の姿の演じ分けが、

武志の人生において最も尊かったであろう"あの頃"を浮き上がらせているようで、

人物像を構築する丁寧な演技に、自然と涙してしまいました。

草彅さんの演技って何と言うか…

「役を演じる」じゃなくて「登場人物に命を吹き込む」感じなんですよね。

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エルピスー希望、あるいは災いー 5話 感想|巡り巡ってまた合流

 

 

いや〜…第5話という折り返し地点で、思い切った構成になっていましたね。

 

今まで"勝ち組"のフリをしていた自分を断ち切るかのように、

ヒゲ面ボサボサ頭で別人になった拓朗(眞栄田郷敦)の物語から始まって。

甘くて心地の良い世界にどっぷり浸かりきった恵那(長澤まさみ)が

出口を見つけるまでの変化にも、正一(鈴木亮平)に潜む闇にも触れて。

最終的には、お互い心が離れていた恵那と拓朗の想いが

再び合致しようとしているまでを描いた今回。

起承転結の"転"から始まり"転"で終わる展開続きで、大変面白かったです。

 

で…前回の感想で「恵那も拓朗も本質的には同じ人間である」と書いた通り、

本作の登場人物を車で例えるなら、

2人の関係性は"アクセル"みたいなものだなぁと、今回の内容を見て思えたんですよね。

というのも、2人とも、向かう先や大元は違えど、

「過去の出来事を突きつけられたのを機に『飲み込めない』体になる→食事を拒む→

冤罪事件を通して強い正義感・義務感が生まれる→暴走する→色恋に溺れる」

で同じ人生を歩んでいるように見えたから。

 

そんな2人とは反対に、正一(鈴木亮平)、拓朗の母・陸子(筒井真理子)、

さくら(三浦透子)など、恵那と拓朗以外のほとんどの人間が、

一歩踏み出す行為を阻み、冤罪事件の捜査中止を促す"ブレーキ"として描かれています。

(さくらは協力した側ですが…2人の暴走が彼女を精神的に追い詰めたともとれるので、

自分がやった事の責任を負わせる意味で、あえてそちら側に。)

村井(岡部たかし)だけがどちらにも属さない、

2人がまたアクセルを勢い良く踏めるようにエネルギーを注入する

"ガソリン"的存在とでも言いましょうか。

 

ブレーキを踏まれたら、もちろんアクセルでは飛ばせません。

正一と寄りを戻してしまった恵那は、まさしくその状態になっていた訳ですが、

拓朗の場合は、彼女と同じくボンボンガールの意中の相手と

ラブホテルで関係を持ちそうになっていた所を、

恵那の電話のお陰で何とか持ち堪える事が出来ました。

拓朗が1人で熱心に事件を追った痕跡がなければ、

恵那があの世界で目を覚ます事はなかったかもしれないし。

拓朗が正一に情報を持ち込まないまま電話に出て、恵那のいるファミレスへ行ったから、

久しぶりにちゃんとしたご飯を食べて再び"生"を見出せた。

2人が一緒にいて、同じ方向を向いて初めてアクセルが踏めるのだという、

そんな関係性が伝わる着地点になっていたのが印象的でした。

 

ペットボトルの水、ウイダー、カレー、オシャレな店での映える料理と、

恵那と拓朗のその場その場での状況とシンクロさせているような食べ物のチョイスも

中々粋な演出ではあるんですが、

今回で拓朗が「食べたい!」って思ったのが雑炊なのも、上手かったなぁと。

熱が出て食欲がない時にはお馴染みの、優しい食べ物。

まずはそれを口に運んでみて、徐々に回復していく様子が、

目力がトレードマークだった以前の自分を取り戻しつつある

彼自身の変化にも思えて、ちょっと安心させられもしました。

 

2人の関係性を描きながらも、

「パワーバランス」には疎いと言いつつ、結局自分もそれを利用して

人と関わろうとしてしまうという、現代社会に蔓延る"闇"も皮肉として混ぜるのにはゾワッと。

事件を追うのにマスコミ業界の実態にも触れるの?それって散漫しないの?なんて

当初は不安に思っていましたが、もうそれも杞憂に終わりそうですね。

人物像、人間模様に深みを持たせて、"意味のあるもの"にしているんだから凄いです。

 

正一のバックに副総理がついていると知った所で、真相にどう立ち向かっていくのか…

期待値が上がる一方です。

 

 

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PICU 小児集中治療室 7話 感想|ネグレクト少女の扱いが勿体なかったかも?

 

 

以前の感想でも触れたように、吉沢亮さんの目の演技って

いつもこちら側に訴えかけてくるものがあるんですけど、今回は中々凄まじかったですね…。

もうそのために見ていると言っても過言ではないんです(笑)

 

特に印象に残ったのは、南(大竹しのぶ)から衝撃の事実が次々と語られた事、

「私は治療はしない」と独断していた事に対して、

目をかっ開いて食い入るように見てきたシーン。…でも、瞳にはうっすら涙が溜まっている。

"強さ"と"弱さ"が波を打って、同時に襲いかかってくるアンバランスさが、

本当はしんどくて、今にも泣きたい衝動に駆られているのに、

毅然とした態度をとって何とか自分を保とうとしている

武四郎(吉沢亮)の不器用な性格を物語っているように映りました。

武四郎の本来のキャラと馴染んでいるんですよね。

良い役に恵まれたなぁとしみじみ思います。

 

内容に関しては…まぁ、次回予告で南の告白があると判明した以上、

PICUの話ではなくなるとは分かっていたし、予想通りではあったので、

そこについては割愛するとして。

個人的に最も気になったのは、親からネグレクトを受けているらしい

七海(宮崎莉里沙)の扱いが薄かった事でしょうか。

初回で搬送されてきた子供と症状が同じだったのを踏まえると、

描写次第では、初回から地続きで描かれてきた「武四郎の新人奮闘記」が

ターニングポイントを迎え、また1つ壁を乗り越えられた"成長"を演出出来たはずなのに…

南の件、圭吾(柊木陽太)の件とエピソードがまた複数存在しているからか、

あっさりと別の施設に移ったように見えてしまったのが残念。

本作、あれこれと話を広げるのは良いんですが、広げるだけ広げて、

どうも整理しきれていない感じが拭えませんね。

 

圭吾の状態は何も変化がないまま、終盤で一気に異常をきたした辺り、

極端に言えば、今回は次回への"繋ぎ回"だったとも捉えられるでしょう。

南も病気をカミングアウトして、植野(安田顕)に治療法を提案してもらった事ですし…

今度は妊婦の桃子(生田衣梨奈)を巻き込むなんて展開が訪れないと良いんですが。

 

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アトムの童 6話 感想|ゲームアンチのママの過去が気になる

 

 

前回のラストでアトム玩具が買収され、事務所が差し押さえられたと思ったら、

今回ではもう取り返して「アトムの童」で再復帰を図るって…

なんつう浮き沈みの激しさよ………(笑)

 

じいさんズはあれだけSAGASを嫌がっていたのに、

1年後になったらすっかりSAGASの社員として、

時間外でも作業着を着ているくらいイキイキしているし。

海(岸井ゆきの)は、あんなに酷い仕打ちをされた銀行に、

契約社員とは言えなぜか再就職(敵対関係にいた彼女を採用する方も採用する方でしょ…)。

ファンタジーにしてもあまりにも前後の繋がりがなさ過ぎる上に、

1年を通しての各々の苦悩や葛藤に一切触れなかったのも疑問でしたが、

一番「なんでこんな話にしちゃったの?」と思えてしまったのは、

学童保育の生徒の保護者を露骨に悪者に仕立て上げてまで、

「保護者会のボスvs那由他チーム」というぶっちゃけショボい対立構造で

盛り上げようとしてみせた所。

 

何年かははっきり明かされていないから言いますけど…

本作って、令和の世界のつもりで作っているんでしょ?

プログラミングを使った授業を導入している小学校もあるはず。

なのに…今時、「漫画は頭を悪くする」とよく言われていた

昭和の時代を生きているような母親が存在するんですかねぇ。

子供の頃に夢中になってゲームをやっていたせいで、母が倒れたのにも気づかず、

早く病院に連れて行けば助かったかもしれない命を失わせてしまった訳でもないし。

大好きで尽くしていた彼氏に「お前よりゲームの方が好き」と言われて

ショックを覚えた訳でもない。

でも「ゲームは有害」だと決めつける。

そこまでに至った背景がないから、モヤモヤする。

今回作っていたシミュレーションゲームが、結局、保護者には納得が行くものだったのか?

学校ではどんな影響を及ぼしたのか?も曖昧に済まされたのも含めて。

なんかもう…"その場しのぎ"の悪役を用意して、主人公と対立させておけば

視聴者が勝手にスカッとしてくれるだろうっていう…

こんな事は言いたくなかったですが、安直な考えで今回の話が作られたと

思えてなりませんでした。

 

第2章開幕にしても、那由多(山﨑賢人)がゲーム制作に意欲的かそうでないかが違うだけで、

アナログなおもちゃを作ってきた社員と一緒にゲームを作る点、

気持ちも職場もバラバラだった社員がチームになる点、

ジョン・ドゥを交えて「"潰され(かけ)た"アトム玩具」の立て直しを図る点では

第1章である初回と同じ事を描いているんですよね。

だから、個人的には"二番煎じ"に見えて、イマイチ気持ちが乗りませんし。

今回の内容が、わざわざ買収の展開を盛り込んでリセットさせてまで

やりたかった内容なのか?とも思えてしまって…う〜んって感じです。

それだったらせめて、アトム玩具の面々をバラバラにさせずに、

SAGASにがむしゃらに対抗し続けての逆転劇の方が見たかった…。

まぁ…本当に見たかったのは、因縁にこだわるがために端折られてしまった

ゲームが完成するまでの紆余曲折や、

大賞を受賞するまでの過程だったんですけども……(滝汗)

 

他にも、「アトム」を社名に使うのと言い、

あの実験的なゲームを5,000万円で買ってくれたのと言い、

ツッコんだらキリのない回でしたね。

次回予告だと、興津(オダギリジョー)が助けて欲しいって言ってましたけど…

ただの罠ですよね?

なんか、前回からの迷走っぷりを見ていると、

キャラ変する可能性もありそうなのがなぁ(苦笑)

 

那由他たちの真っ直ぐさや青さが、モノづくりに励んでいた学生時代と重なって

好意的に見ていたのに。なんでこうなっちゃったかなぁ…(泣)

 

 

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PICU 小児集中治療室 6話 感想|息子にバレるのも時間の問題では?

 

 

すっかり小児科医が舞台の医療ドラマになりましたね。

まぁでも…綿貫(木村文乃)の医療裁判を傍聴しに行ったり、

悠太(高杉真宙)の件があったりと、

本来は、医師と子供たちの関係性を描くべき作品のはずが、

ここ最近はエピソードをいろいろ盛り込んでは脇道に逸れる話が続いた分、

今回は「圭吾の心の治療」を集中的に描いてくれたお陰で

逆に見やすくなったような気がします。

 

いつもの武四郎(吉沢亮)と南(大竹しのぶ)の家庭パートも、

初めて「良いなぁ」って思えました。

いや、というのも…今までは何だか、毎回中盤で挟み込む必要性をあまり感じていなくて、

緩急のつもりなんでしょうけど、むしろ話の流れを遮っているとさえ思っていたんですよね。

「監察医 朝顔」の場合は、主人公が監察医であると同時に

"1人の人間"でもある…がテーマとなっていたから、

ごく平凡な日常生活の様子を取り入れるのにも意味を見出せていたものの、

本作の場合は、その作品での家庭パートが好評だったからただ入れた…みたいな。

でも、今回は「誰かの命のために、心臓移植を頑なに拒む」圭吾(柊木陽太)の姿に南を重ね、

さらには、感情の隠し方が不器用なあまりに人につい当たってしまう

圭吾の青臭い性格に武四郎を重ねる形で、

親子でのやり取りが、武四郎が圭吾に向き合うようになる"きっかけ"づくりとして

描かれたお陰で、わざわざ取り入れたのにも納得の出来る内容になっていました。

 

当時はギスギスしていた綿貫も、今では自然な笑みを見せるほど丸くなっていっていますし。

綿貫とは足りない所を補い合い、

今成(甲本雅裕)は全体を見ては動き、かけて欲しい言葉をくれて、

植野(安田顕)は部下の意志を尊重する…で

各々の役割分担も明確になってきて、良い雰囲気を生み出せていますね。

最初から、深刻な人手不足…ドクターヘリ…知事への交渉だので現代の医療問題を絡めて

「理想のPICUが出来るまで」をチラつかせずに、

今回のような、設立してまだ駆け出し状態の病院で奔走する医者たちにスポットを当てる

物語として展開していったら、早々に"形"も定まったのではないかなぁと思います。

 

最後に…「監察医 朝顔」の時と言い、

主要人物に試練を与えるの好きですよね…このスタッフ(苦笑)

次回予告で「ついに、母の告白」と書かれていた辺り、

南の病気のくだりを引っ張るのも来週で終わりでしょうね。

隠し続けたとして、やっぱり医者の息子と同居している以上はバレるのも時間の問題ですし、

隠せば隠すほど妊婦さんや職場の人々にも迷惑をかけるだけですし。

そこに早く気づいて欲しい限りです。

 

 

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一橋桐子の犯罪日記 5話(最終回) 感想|依存ではなく共存の人生

 

 

私が松坂慶子さんをしっかり認識したのは、

お恥ずかしながら「まんぷく」で「ブシムス」という愛称で呼ばれていた

主人公の母親役だったのですが、

本作もそんな松坂さんのチャーミングな持ち味が光る作品となりました。

 

当初は、語尾に必ず「ぉ〜」がつくような喋り方のパンチ力が大きくて、

なんで主人公を分かりやすく乙女キャラにしたんだろう?

なんでそんな喋り方にさせたんだろう?と疑問に思っていて。

見ていくごとに、それは、親友を失い一文なしであるために、

刑務所でお世話になるしかないと考えるほど過酷な状況に立たされている主人公を見て、

視聴者にあまり過酷だと感じさせないように

コミカルさで中和させる意味を持たせているのだと気づけたのですが。

最後まで見てみれば…桐子(松坂慶子)の存在感が

本作が伝えようとしているメッセージみたいなもので。

彼女を「能天気」で「自由奔放」で、時に「自己肯定感の低い」性格に描く事によって、

「老いる事が悲しい事とは限らない」

「出会いは無限大で、幸せは人との繋がりあってこそ」という、

"孤独"が先行し不安を抱えがちな老後問題にメスを入れる

社会派の面も覗かせる作品に仕上がっていました。

 

桐子の行動によって、周りの人々が次第に前向きになっていく様も、

逆に、桐子に影響を受けた人々が"恩返し"にと

彼女の考えや今後の人生を後押ししていく様も、本当に見ていて微笑ましくなれました。

ムショ活を通して知り合った人同士のやり取りや、

そこから生まれる気づきや変化を描写するのに徹していたからこそ、

最後の彼女の決断も納得のいくものになっていた気がします。

 

知子(由紀さおり)が見せたいと言っていた景色がある島で、1人で暮らす。

文面だけなら、誰も自分の気持ちを分かろうとしてくれない、

孤独に耐え切れなくて始めたムショ活を諦め、

結局また孤独の道を選んでしまった…ともとれるかもしれませんが、

初回と最終回とで違うのは、"依存"ではなく"共存"の人生を選んだ事。

親友と過ごした日々=過去にいつまでも縋るのではなく、

親友も含めいろんな人と育んできた思い出と、

今日もどこかで元気に過ごしていて、夢を叶えようと頑張っている

人と人との繋がりを活力にしながら生きていく…。

新天地でも子供たちに愛され、近所の人々に進んで挨拶する桐子は、

死んだ方が良いなんて弱音を吐いていたあの頃とは全く信じられないほどたくましく見えて、

思わず涙が溢れてしまいました。

 

娘夫婦から知子の形見を分けてもらえた事。札束入り白菜。薫子(木村多江)の登場。

サーフィンは孤独な闘いだという榎本(長澤樹)の教え。父との対立。

寺田(宇崎竜童)の誘いを受ける桐子。

そして…「秋桜が好きよ 自由に生きるから」。

各回の登場人物やエピソードを再び掘り起こす事で

桐子の変化を裏付けしていく畳み掛けの展開も、"集大成"感がありましたね。

 

行き詰まる現実と犯罪行為に伴うリスク、出会いの尊さを

5話という短い話数でコンパクトに、かつコミカルに描いていたと思います。

個人的には、NHKの「土曜ドラマ」枠の作品の中では、久々の秀作になりそうです。

 

 

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