其の十三「ジンライムと商店街」
綾子(小池栄子)の言う通り、誰にも相談せず勝手に家を出て行った者が
人の家庭事情に口出す資格はないと思うし、
むしろ、新居で一緒に暮らす計画を既に想定していて、
母親が孤独死にならないで済む事に感謝すべきではあるんですよね。
しかし、満(生田斗真)の「ルンバの充電=実家」論も
例えとしてかなり飛躍し過ぎているものの、
実家があるから自分は頑張れるという考えにも共感出来て。
要は「当たり前にあったものが突然消える」のが怖いんですよ…。
今までの回を見ていれば、満にとって唯一屁理屈を気の済むままにぶつけられるのも、
それを受け入れてくれるのも実家なのは伝わるから、
いつまでも「生きる糧」であって欲しかったんだと思います。
でも、口出しした事がきっかけで思わぬカミングアウトがあったり、
一人でショックを受けたり、結果的に自分の想いを打ち明ける形で
夫婦で仲直りしたり…という、次の行動の読めない所が家族の面白さでもあって。
実家も親も永遠にある(いる)訳ではないのに、それを手放したくないという
人間のズルさを描きつつも、綾子&光司(安田顕)夫婦を通して
しみじみと「家族って良いな」と思えるまとめ方が自然に感じられるお話でした。
其の十四 「カレーライスと実家」
俺は陸(水沢林太郎)と同じだったかもしれないのにな…と
満は言っていたけれど、個人的には陸と明日香(倉科カナ)がそうなんじゃないかなぁ。
陸が春海(清原果耶)を振った理由は詳しく明かされはしなかったものの
「自分のために人生を犠牲にして欲しくない」のが2人の共通の考えだと思うんですね。
明日香にとって満のカレーはとても美味し過ぎて、
使用しているスパイスがかなり本格的で、
時間をかけてじっくり作ってくれたんだろうなぁ…というのも
一口食べてすぐ分かった。
だから、その全力を自分のためだけに全て使い切るのは勿体ない…といった優しさが
「逃げずに次の夢を探して欲しかった」の言葉の真意なのかもしれません。
ストレートに「専業主夫になる=逃げ」とは言っていない。
しかし、明日香の言い分も分かりますが、
満のあの涙は少なくとも嘘ではなかったと思います。
ノートに嫌ではない事を書き留める行為からして、
明日香の人生をサポートする生き方に充実感を覚え始めた上での
本気の決断だっただろうから。
もう、明日香とはこれっきりなのかなぁ…と思うと、ちょっと切ないです。
具材が違くても我が家のカレーはいつも同じ味だと言う満の言葉にも妙に納得。
いつからなのかは分かりませんが、子供から大人まで好きな料理といえばカレーで、
具材ごろごろルーはドロドロ…が「家庭的」だというイメージが
勝手に作られちゃってるんですよね。
満のカレーと房枝(原田美枝子)のカレー。
そこには作り手の愛情が込められていて、食べた者の心を満たしてくれる所は同じでも、
前者は失恋、後者は童心に帰ったような安心感を覚える…という
真逆の結末となっているのが面白かったです。
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