今回は、絵麻の父・徳介(ベンガル)、結城(清原翔)、民代(高畑淳子)の
3人の言葉にハッとさせられてしまいました。
徳介「自分で(抗がん剤を)使ったことはあるのか?」
結城「娘が傷つかないと、親は気づけないんですかね」
民代「なんでこんなもんに騙されるか不思議でしょ。治りたいからよ。生きたいからよ。
何だって良いから、縋りたくなるのよ。」
どうか無事に治って欲しいという願いは、患者もその親も一緒。
ただ、世界でたった一人の娘を失うのが怖くて、失わないようにと必死になって、
それがいつしか"感情的"な言動に変わって方向性を間違えてしまう…
娘が病気になった事で複雑な心境に陥る親の気持ちを、端的に表した台詞でした。
元患者が配布した がんが治る水、
佐倉(小川紗良)がウィッグをネットで探し始めるエピソードも絡めて、
ただの群像劇ではなく「人は何かに縋りたくなってしまう生き物」という一貫したテーマで
それぞれの人物の内面を描く作りになっているのも、やはり良いです。
最初は「どう見ても普通の水なのに、なんで…」と思ってしまった私を
殴りたくもなりました。
私の周りにがん経験者はいないので、その人の死に直面した家族の想いを
重ねて見るという事はないのですが、だからこそ、
もし自分だったら…もし家族ががんにかかってしまったら…と
自分のいる環境に当てはめて考えるきっかけを与えてくれる本作の存在は有り難いです。
医療ドラマでお馴染みの手術シーンを「ここが山場じゃないよ」と言わんばかりに、
優しく包み込むかのような劇伴を通して、あえて静かに見せている所も潔いです。
「成功した!」「失敗した!」というシロクロはっきりさせた結末にしなくても、
ちゃんと「がん治療を受ける患者とその家族」「腫瘍内科医」を丁寧に描いていけば、
心が揺さぶられるドラマとして良質なものが出来上がるんだという点では、
新たな地位を確立しているな…とも思っています。
縦軸の方は、前回で薫(木村佳乃)の過去が発覚して、
今回でもう真犯人は須藤(田辺誠一)だと明かしてしまうのには意外でしたね。
(というか、間抜けキャラか悪役かのどちらかのイメージがある田辺さん…(笑))
あの症状があると知っていながら、薫に濡れ衣を着せようとしたって事になります。
しかし、当時の手術シーンを改めて見ると…
須藤の次にダメなのは、気づいていながらもスルーした隣の助手でしょう。
これは裁判にかけるべき案件…。
情報を自由に追い求める関河(三浦翔平)は、ただのジャーナリストではないのかも。
小さい子供の前では優しそうな表情を見せるので…
薫の事件に関係している?あるいは、同じ医療過誤の被害者とか?ですかねぇ。
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