2020年10月一覧

天使にリクエストを〜人生最後の願い〜 3話 感想|傷を抱えた者にしか分からない心の叫び…

 

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人情味ある江口洋介さん、良いなぁ…

島田(江口洋介)も歌うんだとは驚いたけれど、

「生活の柄」の歌詞の内容といい、同じ場所で気持ちを分かち合ったシーンといい、

2人にしか持っていない"共通点"を提示した上でのあの流れだから、

彼が歌うのにも物凄く納得しちゃいました。

原曲のチョイス、塩見三省さんや倍賞美津子さんといった渋いキャスティングからして、

多分人生を長く過ごしてきた人ほど刺さるんじゃないかなぁと思う作りなんですけど、

それでも私みたいな若い方の世代でも登場人物の心情が汲み取れるように出来ていて、

とても丁寧な脚本だと感じています。

 

「傷を抱えた者にしか分からない心の叫び」が表向きのテーマならば、

「その人の"生きた証"には価値があったのか?」を全世代に向けて問いかける事が

裏向きのテーマだったように思いました。

 

一番年齢が近いであろう和子(倍賞美津子)の「ダメな事をしてしまうだけよ」という慰めの言葉。

私たちのした事に意味はあったのかという後悔の念が先に来てしまう亜花里(上白石萌歌)。

力になれた事を信じたい寺本(志尊淳)。

そして、武本(塩見三省)の一番の理解者になれた島田。

苦難や挫折を何度も味わってきた大人世代と、

まだまだ人生はこれからの、ちょっとした青臭さが残る若者世代の両者間で

価値観の違いが見えてくる結末が興味深い。

亜花里が「なんで逃げなかったの?」と疑問に感じるのも無理はないと思いますし。

渋いばかりのキャストの中で、上白石萌歌さんと志尊淳さんが

本作のスパイスとしてちゃんと存在感を残しています。

 

1話から描き続けてきた息子を失った時の回想、

「捨てようとしても過去はついて来る」という言葉が一人だけ忘れられない様子を描いていたから、

亜花里も察していたように、武本の所から離れなかったのにも

「もういっその事このまま死んでしまえば…」と自暴自棄になっていた部分が

あったのかもしれませんよね…。

 

人生の価値を自分で見出すのは難しくて。

誰かに認められて、初めて自分の人生が価値あるものに感じられる。

そして、今一番見出せていないのは島田自身…。

死に向かいそうになっている彼を、サイレントエンジェルのみんなが救ってあげて欲しい。

 

 

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あのコの夢を見たんです。 1話 感想|そもそも妄想の世界の話なので…

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これは本作だけにかかわらず、どのドラマでも言える事ですが…

1つの作品が終わった次の週にはもう新しい作品が始まるという詰め詰めの形式、

「昔の事はさっさと忘れなさい」と言われているような気がして悲しくなりますな(笑)

 以前の4クール制に戻したいのは分かるけどねぇ…せめて2週間後にして欲しい。

 

こう書いたのも、前作の「浦安鉄筋家族」に個性的な作り込みの高さを感じただけに、

本作の話に物足りなさがあったからなんですよね。

何と言うか、「世にも奇妙な物語」内で放送されてもおかしくないような。

そもそも妄想の世界の話なので、

「クラスで一番モテる女子」なんて一人の男性の思いつきから膨らませて行っても、

女優の魅力頼りで行っても何でもありになってしまう訳なのですが、

それにしてももうちょっと展開に"捻り"があったら良かったのかな?という気がしました。

まぁ、原作者の山里亮太さんだけが得する内容止まりではなく、

実は山里(仲野大賀)も諒(加藤諒)もアプリ会員だった!といった

ニヤリとさせられるオチが用意されていて、

一応"ドラマ"としての形にはなっていたのが救いでしょうか。

 

しばらくは様子見ですが、次回の芳根京子さん回は楽しみではあります。

あと、OP映像は最近自分好みのものが多くて良いなぁ…とも思っています。

マカロニえんぴつの主題歌が

メガネしか存在していないファンタジーな世界観にしっくり来ている感じ。

 

 

10/17追記:

2話の芳根京子さん回を見ました。

クスッと出来る部分もあるけど、感想を書き残すまでには行かないなぁ…って事で、

こちらは視聴のみとします。

超余談ですが、あの勇者の服装の上部だけ見たら

色合い的に「ドラ○ンボール」かと思いました(笑)

 


キワドい2人-K2- 池袋署刑事課神崎・黒木 4話 感想|母娘よ、そこに愛はあるんか?

 

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山田くんはジャニーズの中でも童顔で可愛い!ってイメージがいつまでもあったけど、

いざ学ラン姿を見てみたら、ああ、歳をとったんだなぁ…と感じましたわ。

目元のメイクが濃かったからなのかしら?

でも、前の時間にやっていたMステの最初のカットでも物凄く大人っぽかったもんなぁ…

視線に色気があった…あ、ドラマと関係ない話になってしまったので戻しましょうw

 

今回の内容も、刑事ドラマなのに誘拐犯をあっさり拘束して、

放置したままお説教タイム続けて大丈夫なのかよ…とか、

刑事の仕事ではないとは言え、いじめの首謀者にはその後どんな処分を下されたのか

ちらっとでも映して欲しかったかな〜とか、

誰の手も借りず頑張ってきたと言い張る母(奥貫薫)から"10年間の重み"が

伝わってこないから、最後まで「児相に通報する人が出てくるほど恐れられている毒親

というイメージしか湧かず、果たして親子間に愛は本当にあったのか?とか

所々の詰めの甘さがちょっと気になったんですけどね。

しかし、残り2話だと分かった今、もう良い意味で"ユルさ"が売りだと捉えて、

それが"本作らしさ"だと思って見るしかないのでしょう。

 

逆に、コンビの書き分けはどうだったか?で考えてみたら、

今回が一番際立っていた印象はありました。

同じ説教でも黒木(田中圭)は少女に対してありのままに意見をぶつけるんだけど、

その"勢い"のシーンの後だったからなのか

神崎(山田涼介)の「お母さんに会いに行こう」と言った時の声色がとても優しく聞こえて。

飴と鞭の関係性に、この2人はそれぞれ違う母親からこんな風に育てられてきたのだという

"異母兄弟"の設定ならではの背景が透けて見えたのは良かったです。

 

K2コンビは普通に楽しい。

なので、もう一方の木村(江口のりこ)&諸星(ジェシー)コンビも

前回のダンスで爪痕を残すくらい個性があるのだから、

もっと出番があっても良いのにな〜と思っています。

特に江口さんなんて「半沢直樹」の次作なのに…

「ほら、あの大臣も出てるで?」と宣伝するみたいに適確に使っていった方が

会話劇にもハリが生まれそうなもんですけどね。

八嶋智人さんもシリアスな場面が多くて、なんか違う感が。

 

 

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天使にリクエストを〜人生最後の願い〜 2話 感想|十字架を背負って生きる大人たち

 

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島田(江口洋介)の粋な計らいで終わるのかと思いきや、

なるほど、そう来ましたかぁ…

二転三転する「嘘」が、互いに思いやっての「優しさ」だったと分かる結末。

これは前回と合わせて1セットで生まれる面白さでしたよ。

前後編で切らないで、民放の初回拡大放送みたいに1時間30分にして

一気に見せちゃった方が、"本作らしさ"が徐々に現れていく作りに

引き込まれたりしたのかもな〜…なんて。

まぁ、終わり良ければすべて良しですが。

 

今回は、十字架を背負って生きている(た)大人達のお話。

生まれたばかりの我が子を捨てた母・幹枝(梶芽衣子)は

死ぬ前にその子に会いたいと言う。

しかし、ヤクザの組長となった息子・克美(六平直政)は

再会してひたすら詫び続ける母に対して「息子ではない」と嘘をつく。

 

人生を狂わせた張本人に、なぜあえて嘘をついたのか…

その根底にはきっと、自分の罪まで背負わせたくない…という想いがあったのかも。

ヤクザになって人を殺した前科のある彼にとっては、

親としてやってはならない事をした母の苦しみや、今もなお抱えて生きている

罪の重さが痛いほど分かったのかも…と思っています。

 

本物の息子ではないにもかかわらず、手をとって心の底から泣いてくれる

お医者さんに治療してもらえて良かった。

たくさんの優しい大人達に出会えて支えられた最期。

幹枝さんのような死に方が出来たら幸せだろうなぁと、ちょっと羨ましくなっちゃいました。

 

一方で、銃の暴発で息子を亡くしてしまったという重い過去を持つ島田。

そんな彼が、これから死にゆく人達とどう向き合って、

どんな風に変わって行くのかも見届けたいです。

 

そう言えば、タイトルをいじって

天使の歌声を持つ上白石萌歌さんに歌謡曲を「リクエスト」する…

という遊び心ある演出も面白かったですね。

急に歌い出したのはびっくりしたけど(笑)ああ、良い声…

 

 

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