人情味ある江口洋介さん、良いなぁ…
島田(江口洋介)も歌うんだとは驚いたけれど、
「生活の柄」の歌詞の内容といい、同じ場所で気持ちを分かち合ったシーンといい、
2人にしか持っていない"共通点"を提示した上でのあの流れだから、
彼が歌うのにも物凄く納得しちゃいました。
原曲のチョイス、塩見三省さんや倍賞美津子さんといった渋いキャスティングからして、
多分人生を長く過ごしてきた人ほど刺さるんじゃないかなぁと思う作りなんですけど、
それでも私みたいな若い方の世代でも登場人物の心情が汲み取れるように出来ていて、
とても丁寧な脚本だと感じています。
「傷を抱えた者にしか分からない心の叫び」が表向きのテーマならば、
「その人の"生きた証"には価値があったのか?」を全世代に向けて問いかける事が
裏向きのテーマだったように思いました。
一番年齢が近いであろう和子(倍賞美津子)の「ダメな事をしてしまうだけよ」という慰めの言葉。
私たちのした事に意味はあったのかという後悔の念が先に来てしまう亜花里(上白石萌歌)。
力になれた事を信じたい寺本(志尊淳)。
そして、武本(塩見三省)の一番の理解者になれた島田。
苦難や挫折を何度も味わってきた大人世代と、
まだまだ人生はこれからの、ちょっとした青臭さが残る若者世代の両者間で
価値観の違いが見えてくる結末が興味深い。
亜花里が「なんで逃げなかったの?」と疑問に感じるのも無理はないと思いますし。
渋いばかりのキャストの中で、上白石萌歌さんと志尊淳さんが
本作のスパイスとしてちゃんと存在感を残しています。
1話から描き続けてきた息子を失った時の回想、
「捨てようとしても過去はついて来る」という言葉が一人だけ忘れられない様子を描いていたから、
亜花里も察していたように、武本の所から離れなかったのにも
「もういっその事このまま死んでしまえば…」と自暴自棄になっていた部分が
あったのかもしれませんよね…。
人生の価値を自分で見出すのは難しくて。
誰かに認められて、初めて自分の人生が価値あるものに感じられる。
そして、今一番見出せていないのは島田自身…。
死に向かいそうになっている彼を、サイレントエンジェルのみんなが救ってあげて欲しい。
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