心が和らぐような温かみのある物語なんだという予想に反して、
ある意味見ていられないほど「しんどい!」の連続で始まった本作。
感想を書きそびれた初回について軽く触れるとするならば…
最終的に、小さな希望を見つけるために明日も精一杯生きて行く人物を描く
群像劇だという方向性は分かりはしたものの。
コロナ禍であろう劇中の舞台から8年前=2012年だと想定すると、
実際にあったものなのかどうかが気になったり(どちらかと言うと2000年代のイメージ)、
主人公の解決の仕方に「半沢直樹」を参考にしたかのようなヒーローっぽさを感じさせたり、
それも自分本位でしかなかったり…という様々な部分が引っかかってしまい、
中盤までが辛い展開だったのもあって、
個人的にはあまり腑に落ちる内容ではなかったんですよね。
しかし、今回はかなり見応えがありましたよ…。
段田安則さんの関西弁と後ろ姿で魅せた話だったと思ってます。
秀人(原田泰造)に逃げられて一気に沸いてきた感情を吐き出した時も。
自暴自棄になって「殺してくれ!」と頼み込む時も。
ビールを美味しそうに飲んでる時も。
ずーっと泣いてた。
時が経ってから「もっと子育てを上手くやっていれば」と後悔する事自体は
どの親でも必ず訪れるものでしょうけど、
本作の場合は、それに息子の死と、
定年退職して自由になったからこその"孤独"が重なるから尚更辛い。
けど、決して復讐しようとはしなかった。
泰造はいつでも優しい人だった。
その優しさが息子にはきちんと届いていて、友達にも伝わっていた。
心に抱えた憎しみは、息子がどれだけ友達に慕われていたか、
どれだけ愛されていたかという"生きた証"を知る事で取り除ける。
憎しみからは何も生まれないから、前を向いて生きるしかない。
自分の人生ややってきた事を否定するような形で
命を絶つ人間は作り出したくない…という"強さ"を感じさせるお話でした。
「お風呂が沸きました」のくだりも印象的で。
最初に口ずさんでいる時はもう
自分だけが生きている事に希望を見出していないんじゃないかと思っていましたが、
あんな思い出があったと知って、また泣けるっていう…。
世の中にはいろんな音楽で溢れていて、
それが本当に小さなもので、何気ないものだったとしても、
誰かにとっては心に響く"何か"が隠れていたりするんだと考えさせられます。
あまり関係ないけど、ある音楽を聴くと、大変だった受験期の頃が蘇るのと
同じ原理なのかもしれませんね。
次回は恐らく、秀人がメインの話になるという事は、
やはり誠(古舘佑太郎)を共通項に
4人それぞれの視点で描かれるオムニバス形式になるのでしょう。
今回は泰造が主役の物語だったために、工事現場で生き生きとしている秀人に対して
「なんでそんな笑ってられんねん!」と怒りたくもなりましたが…
それが一変して、心境の変化に共感出来る内容だったら良いなぁ。
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