ユキコ(杉咲花)と職場、ユキコとハチ子(生見愛瑠)の和解、
森生(杉野遥亮)の過去、獅子王(鈴木伸之)の森生への想い、2人の関係のすれ違い…
いろんな人があらゆる方向で事情を抱えては、
勇気に出して言葉にしたり、本心をさらけ出すのに迷いがあったりする形で
自分自身や相手と向き合う話が描かれた今回。
今まで以上にエピソードを盛り込んでいた感じがありました。
「かわいそう」「普通じゃない」というイメージを植え付けさせないようにする
優しさなんですよね。きっと。
主人公だけじゃなく、みんなに平等に焦点を当てる事で、
ユキコも"日々生きづらさを抱えながら生きている1人"なのだと思わせる。
今回で例を挙げるとするなら、ファストフード店で
ユキコの存在を受け入れてくれる人が増える中、
唯一「そこまでする?」みたいな顔をする紺野(大友花恋)の様子が印象に残りました。
職場から取り残されているようにも見えます。
最初は「甘え」と言っていた彼女に対して、それは差別では?
もしかして成長した自分を褒めてくれないからって八つ当たりしているのか?とも思っていたけど、
結局は仕事への責任感が人一倍強くて、
その想いが誤解される方に拗れてしまっただけだった。
「(文字を大きくしたら)1つもオーダーミスがなかった。私たちに関係なくなかった」
自分の過ちに反省して、気づいた事をはっきり言ってくれる人で良かったです。
ユキコは「顔色が読めない分ちゃんと口に出して欲しい」と森生に言っていましたが、
それは彼女が弱視である分、言葉にしてくれる事に頼っているとかそういうのは関係なく。
みんなに共通する事で。
どうして生きづらさを抱えているのか?何にもどかしさを感じるのか?を
境遇の違う人たちがお互いに口に出して初めて
世界が広がっていくんだよ…という、
最終的には"コミュニケーションの大切さ"に気づかされる結論にまとめられていたのも素敵でした。
これをやってみたい!相手を知りたい!
そんな好奇心旺盛な主人公でなければ、
森生も母親との苦い思い出を打ち明ける事もなかっただろうし、
レシートの文字を大きくするのだって、本当は老眼の人にも助けになるのに
「今の状態でも使えているし」「印刷が面倒だから」と言って
避けたままだったのかもしれません。
ハチ子の嫌がらせにもうじうじしないで向き合った所も好き。
他の登場人物のエピソードだらけでも、
主人公らしい存在感はちゃんと残す作りもよく出来てますね。
森生の件は、アルバムが置いてあったのを考えると
まだまだ解決したとは言えない気もするし、終盤の方で母親が出てきそうな気もしますが…
今後どうなるんでしょうかねぇ。
ただ、1つだけ不安になったのが、獅子王が森生に特別な感情を抱えている事について。
同じ施設育ちで、長い付き合いの親友だから
あんなに温かく見守ってくれているんだと想像していたんですけど、恋愛から来ていたとは。
うーん…確かに"多様性の尊重"と言えば悪くないんですが、
そこに踏み込んでいくとなると、ちょっと次元が違ってくるし、
ユキコと森生の"自分は普通じゃないと感じる部分を普通に思わせてくれる"
2人の関係の変化を描くという主題が薄まってしまうような…?
よくある三角関係の恋愛モノに発展しない事を願うばかりです。
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