ああ、なるほど…そうなるんですね。
予告映像を見た限りだと、火10っぽいライトな雰囲気と
岡田脚本ならではの滲み出る温かさが半々…といった感じでしたが。
いざ蓋を開けてみたら、ラストの"ひょんな事"展開を除けば、
「姉ちゃんの恋人」や「ひよっこ」「にじいろカルテ」という三者三様の"傷"を取り入れた
近年の岡田脚本の集大成に近い仕上がりになっていて、良い意味で裏切られた初回でした。
そして…見ていて思ったのは、結構好みが分かれる作品なのかもしれないな…と。
"挫折"の描写が割とピンポイントで、一度でも似たような経験を過ごした事がある人には
本作は当時の自分を重ねたりして物凄く刺さるんだろうし。
一方で、物語の流れがゆったりしている事から、退屈と感じる人もいるんだろうし…
(実際に、一緒に見ていた母は、終盤以外は食いつきが悪かったようです)。
こういったスルメ系の作品は、「刺さる人にしっかり刺さってくれたら良い」みたいな、
見方次第ではかなり視聴者が限られる出来になりそうな気がしました。
で、私の場合は前者の方で…ピアノのシーン以前に
芦田(間宮祥太朗)が「いつまでうだうだ」と言われている時点で、
プレッシャーをかけられ追い込まれる彼に共感するかのように泣けてしまいました。
というのも実は、私も花枝(清原果耶)と同じで、
1年間ニートだった時期があったんですよね(笑)時間が経った今だから言える事ですけど。
正確には、アルバイトは週に何回かしていたものの、
肝心の職探しとなると過去の失敗を思い出して腰が重くなって、
「自分には何もない」と思いながら現実逃避の生活を送っていた…といった感じでしょうか。
だから、細々とした所は違くても、
花枝がなぜ秘密を周りに打ち明けようとしないのか、なぜ芦田が本音を言い出しづらいのか、
何となくでも分かるんです。
ああいう、意思表示がはっきり出来る人を前にすると、
反動的に自分の感情を隠したくなってしまうもんなんですよね。多分。
感情を出してみた所で、もしかしたらそれも…
自分自身も否定されてしまうかもしれないという不安な気持ちが働くから。
2人が共鳴したのもそこにあって、日々苦しい想いを抱えながら生きている様子を
片方ずつ丁寧に描いてきたお陰で、終盤の 音楽の話題になってからのくだりで
やっと感情を爆発出来るようになる…という"溜め"と"吐き出し"の展開には
心揺さぶられてしまいました。
可愛くて凛としていて、でも空手を辞めた途端その魅力は一気になくなり、
躊躇せず涙をボロボロ流すまでの清原果耶さんの強弱の演技も、
間宮祥太朗さんのポロっと呟いた「ありがとう。続けたいなぁ…」の、
自分の"作品"が誰かに必要とされている喜びを後からしみじみ味わっているのが
伝わってくる言い方も良かったです。
このお2人だからこそ、今後も見守っていきたい気持ちを
より一層強くさせられたような気がします。
ラストに明かされた病気の件は"涙の押し売り"要素に見えなくもないですが、
クスッとさせられるやりとりが随所に散りばめられているし、
全体的に重たげな雰囲気は漂っていないので、個人的にはそこも安心して見られそうです。
まぁ…あとは、ラブコメあるあるの「まずは恋をする事から始めよう」展開が
今後どう転ぶか次第かな?
でも、岡田脚本ですから、目先の胸キュン強めの話にはならないとは信じております。
最後に、"初回の感想限定"でもう1つ言いたい事としては…
Perfumeは好きでも主題歌が微妙に合っていない感じはしたので、
某ディ◯ニー映画のように、劇中ではアレンジバージョン(スタートライン)で、
エンドロールではオリジナルバージョン(STAR TRAIN)で
同じ曲を使った方が世界観にぴったりハマっていたんじゃないか…というのは置いといて(笑)
本作、好き系統の作品になりそうです。
この枠で初回から惹かれたのはかなり久しぶりかも…?
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