お…今回のモノローグは拓朗(眞栄田郷敦)なんですね。
初回でも彼が担当していて、その時は単純に、登場人物やそれぞれの置かれた状況を紹介する
"語り手"として見ていた訳ですが。
拓朗→恵那(長澤まさみ)→正一(鈴木亮平)とローテーションでやらなかった辺り、
恵那の変化を描く物語だと思わせた前回を踏まえて、
今度は「別視点から見た主人公」を描こうとしているんだな…というのが窺えました。
視聴者にも客観視させた事で、彼女がどんな風に変わったのか?が
より強調されるようになった感じです。
拓朗がモノローグ側に回って、彼の持ち前の呑気さを表す描写が若干薄まった代わりに、
シリアスな雰囲気は強めに。
今回の内容を考えれば、この手法も成功していました。
突然のゲストにも驚かされましたけど…
特に凄かったのは、主人公サイドと上司の二者間で
"正しさ"と表裏一体になっている危うさや狂気も、さり気なく提示してきた所。
岸本がふと呟いた「正しい事がしたいな〜」も、
被害者遺族に「救われた」という言葉をもらえたから
やり遂げなければいけないみたいな恵那の義務感も、
一見ヒーローっぽくは見えたんですけど、欲が増したようで
ちょっと怖くもあったんですよね。
確かに、警察たちによって理不尽な目に遭わされ、
冤罪をかけられたまま今も牢屋で暮らしている松本(片岡正二郎)の実態を
隠蔽するなんておかしい!こんなマスコミ業界ぶった斬ってやる!と思う気持ちは分かるんです。
でも…彼女らの行為が本当に"正しい"のか?と聞かれたらはっきりと答えられませんし、
極端に言えば、自身の過去の罪を償うために冤罪事件を追っているとも捉えかねません。
被害者遺族の目にはどう映るのか?
「真相を突き止める」のが"つもり"に変わって、家の前を張ったり
配慮のない言葉を投げかけたりしてズカズカ踏み込んでは遺族を傷つけてきた、
"当時のマスコミ"と同じ立場に回ってしまうんじゃないか?と考えると…
最後の恵那の騙し討ち作戦も、ただ「スカッと」では終わらない苦い余韻が残りました。
上司たちにしても、チャレンジ精神を取り入れずに
ぬるま湯にずっと浸かっているのが"正しい"っていう風潮になりつつあるのが怖いです。
ここの描写は、ある意味、皮肉にもなっていますよねぇ。
報道すべき事実には目を逸らし、目先の欲望や願望に従い続けた結果、
マスコミ業界が大きく変わる事なく現代を迎えてしまった…というのを示しているようなもの。
「フライデーボンボン」で芸能人が若い女性たちに囲まれながら
足つぼを押してはダル絡みする画なんかは、もう時代錯誤も甚だしくて(笑)
セクハラ感満載なのに、なあなあにやっていたら
いつの間にか長寿番組になってしまったのが伝わってきて、
僅かなシーンでもリアルを押し出してくる辺り、
本当に隅々まで凝って作られているんだな…と思わされました。
「くたびれた女が缶チューハイ飲みながらだらだら見ている」と分かっていても、
変化を恐れて全くテコ入れを図ろうとしない「フライデーボンボン」という番組がある事。
冤罪事件を取り扱う事に意欲的ではない上層部の存在。
生々しいがために、フィクションなんだから…と却下されそうな設定に、
関西テレビとフジテレビがGOサインを出したという事実は
しかと受け止めておかなければなりませんね。
そして、スポンサーとなっている企業にもね。
果たして、最後まで見届ける覚悟はあるのか?を試されているような1時間でした。
面白いのでもちろん見ますけども!(笑)
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