親愛なる僕へ殺意をこめて 9話(最終回) 感想|綺麗にまとまったけど納得は行く。

 

 

なるほど…な最終回。

よく取り上げられていた"裏表"に因んで例えるなら、

表のテーマは「真相探し」である一方で、裏のテーマは「痛み」だった訳ですね。

 

京花(門脇麦)は幼少期に、虐待や差別で得た痛みを

受け止めてくれるような存在をずっと探し求めていたし、

エイジ(山田涼介)も同じく、「殺人鬼LLの息子」というレッテルを貼られ続けて出来た傷を

誰かに癒してもらいたかった。

亀一(遠藤憲一)は自分がこの世界に存在する意味を見出すために

"痛み"を知ろうとする行為を止める事はなかったし、

乙(夏子)も家族に必要とされたくて、人に危害を加えていた。

で…ナミ(川栄李奈)は親友の死で、エイジに出会うまでは心に深い傷を負っていた。

こんな感じで、登場人物全てに当てはまります。

そう考えると…唯一「肉体的な痛み」である

序盤のサイ(尾上松也)の拷問シーンも、必ずしも無駄ではなかったって事ですね。

(衝撃の真相続きで、視聴者がサイの存在を忘れていないかどうか心配ですw)

 

凄い綺麗にまとめたなぁとは思うし、

後半は答え合わせ展開とそれに伴う台詞量が多くて、やや難解な内容にはなっていたし。

正直、前回で真犯人が明かされてしまったために

今回の内容が蛇足気味だった気がしなくもなくて、

ミステリーの作りとしては完璧だったとまでは言い切れないんですが。

でも…個人的には、あの結末で終わるのも納得は行きましたね。

何より、この手の作品で扱われがちな「二重人格」の設定を、

客寄せパンダ的な"道具"として片付けない所が、

本作を好意的に見られた大きな理由だったのかもしれません。

二重人格になるまでに至った残酷な背景や、

エイジの二重人格をきっかけに周りが孤独を抱えていく過程、

また、エイジと同じく心が壊れそうな日々を送っていた事など…

設定を通して、それぞれにスポットライトを当て、

さらに役者さんの演技で立体的に魅せる形で

視聴者を引き込ませる作風に徹していたのが良かったです。

 

山田涼介さんの演技力の高さも光りましたね。

前にも書きましたが、おどおどした表情を筆頭に

コミカルな演技がお得意なイメージを勝手に抱いていたのが、

本作ですっかり払拭されました。

片目に思いっきりハイライトを入れて強い意志を見せたり、

逆に真っ黒な瞳で睨みつけて、絶望感と怨恨を増幅させたり…

目の中に取り込む光の調整で、今主人公がどう感じているのかを訴えかけてくる所が

素晴らしい役者さんだなぁと思います。

若干上からになってしまいますが、山田涼介さんの演技だけでも

見る価値のある作品だったのではないでしょうか。

 

 

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