じわっと温かい気持ちにさせられるお話でした。
一星(北村匠海)の言っていた「生と死はあまり変わらないのかも」
「人は、明日は当たり前に来ると思うから、近しい人の死に戸惑ってしまう事も多い」…
それは、赤ちゃんが無事に生まれるのも、死産も
日常的に目の当たりにしている、鈴(吉高由里子)の産婦人科としての仕事にも、
"生きた証"を伝え続ける一星の遺品整理士としての仕事にも言える事ではあるけれど。
生と死…もっと言えば、出会いと別れが繰り返される日々の中で、
大切にしたい人とごく当たり前の日常を毎日送れるというのも
また"奇跡"ではあるんですよね。
今回はその"奇跡"が、北斗(水野美紀)と桜(吉柳咲良)、
鶴子(猫背椿)と正憲(駒木根葵汰)の2組の母子を通して描かれた回だったと思います。
正憲に関しては…完全にコメディリリーフ(深刻な場面において緊迫感を和らげる存在)
のつもりで見ていたので、彼の背景にも触れるのは意外でした。
2組のエピソード自体、それぞれ違った形で子供から親への愛が伝わってきて
印象に残るものでしたが、個人的に「良いなぁ」と思ったのは、
柊家で展開されていくシーンのメインとの絡ませ方。
一星とカネ(五十嵐由美子)と鈴の3人で朝ごはんを食べる(作る)シーンの直後に、
同じく北斗と桜で食卓を共にするシーンが描かれていたのが良かったです。
一見何気ない流れなんですが、何品ものお洒落な朝ごはんをずらっと映した上で、
いつも一星が作ってくれるんだと鈴に嬉しそうに話すカネの描写が挟まれたからこそ、
その後の、残り物のご飯を雑炊にアレンジしたり、とっておいたコロッケを用意したりで
忙しい朝を柔軟にこなし、雑談をしながら食べる2人の"日常感"が際立つというか。
私たちが見たのはほんの少しでも、長い間このやり取りが行われて、
そうして家族が作られていったんだろうな…という余白を感じさせました。
鈴と一星がすっかり恋人関係になり、心の距離が縮まってきているからなのか、
今回はコミカルとシリアスの緩急のつけ方も絶妙でしたね。
その2人だけでなく、「マロニエ産婦人科医院」や「遺品整理のポラリス」には
基本的に陽気で明るい人ばかりだというのを、本編を邪魔しない程度に強調した事で
コミカル要素へと繋がり、それが物語の中で良いアクセントを生んでいました。
だから、陰湿な行動をとり続ける伴の異様さが増す訳で…。
中々執念深そうな感じではありますが、今回の雰囲気が丁度良い塩梅だったので、
最終章に向けて、あまり重苦しい方向に寄らないよう願いたいです。
↓次回の感想はこちら↓
↓前回の感想はこちら↓