其の九「銀杏と爪切り」
大切な我が子だし、優秀な高校に入っても今の状態に至る満(生田斗真)を
間近で見てきた訳だから、
偏差値の高い高校に行かせたい綾子(小池栄子)の気持ちはとても分かる。分かるよ。
でも…母親としてのその想いは届かず、
親でも兄でもない満の高校時代の話の方が、
春海がすんなり聞き入れちゃうというのがまた切ない。
友達と一緒に受けていた野球の名門校に自分だけが受かったものの、
結局甲子園には出られないまま終わってしまい、
逆に普通の高校へと行った友達の所属する野球部が決勝進出にまで勝ち進むという
満の話がとても面白かったです。
なんて理不尽なって思うんですけどね。
でも、そんな「昔はこうだったなぁ…」と自ら笑い話にする程の経験を重ねて
生きている人の方が多いのかもしれませんよねぇ。
銀杏を割る音と爪を切る音が同時に響き続ける中での、
満と綾子の会話、そこに途中から参加する春海のシーンも印象的でした。
言い返して、喧嘩して、ご飯を食べて落ち着いて…の繰り返しをするのが家族だという事が
今までのエピソードで描かれてきましたが、
今回はそれとは別の方向から「家族のあり方」を提示していたような気がして、
ただ思い出話で盛り上がっているだけなのに
なぜだか見ていて心が温かくなってしまった回でした。
其の十「シャンパンと合い鍵」
これから恋愛方面の話も繰り広げられてきそうな感じを仄めかす
明日香(倉科カナ)の登場は意外でしたね。
でも、折り返し地点なのを考えると、"家族以外の別の顔を持つ満"という点で
所謂マンネリ化を防いできたような印象で、これはこれでアリ…なんて。
しかし、満は将来、明日香の家に世話になるつもりなんでしょうかね。
最後のシーンで「文句があるなら家から出てったら」と言う春海の言葉が
妙に引っかかってしまいました。
仮に一緒に過ごす事になったとしても、
はたまた、明日香から資金をもらう形で、再び喫茶店を立ち上げる決意をしたとしても、
母・房枝(原田美枝子)の元から旅立ってしまうのには変わりなくて。
秋葉家の3人が住む新築がもうすぐ出来上がるらしく、
それと同時に出て行く日も刻々と近づいてきている訳で、
更に満も…となると、相当寂しくなりますよね。
いつかまた夢をまた見つけて欲しいと思う反面、
賑やかな家族をずっと見ていたいとも思えるジレンマ。
自立するためなら、親の元を去る運命も避けざるを得ないのかな。
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