冒頭から、ジャンルも放送枠も放送時期も
全く関係のないドラマの話題を出す事になりますが、すみません。
個人的に凄く響いた部分があったので、書かせてください。
(個人的な話もちょろっと絡んでくるので、興味がない&本作の感想だけを読みたい方は、
「ここ」から飛んでいただいても構いません。)
私がドラマを見ては深く心に刻まれる台詞はいくつかありますが、
今回の終盤で描かれた春斗(菅田将暉)と里穂子(有村架純)のシーンで
すぐさま思い浮かべたのは、
陸王の「彼らのゴールを、勝手に作るな」という台詞でした。
その時の背景は確か、一生懸命就職活動をしても全然光が見えず、
努力したって無駄なのだと嘆く息子に対して、
父(主人公)がエールを贈る形で出た流れだったと記憶しています。
当時の私も彼と大体似たような状況で、自分の取り柄は何にもないんじゃないかと思いつめて
毎日のように泣いていた日々を送っていたので、
その台詞を聞いて「ああ、今がダメだからこの先もダメって事はないんだな」と
元気付けられていました。
そして今回、その時の感情と重なったのが、
学生時代に華道部部長としてコンテストに全力を注いできた時の経験が
決して無駄ではなかったと気づいた里穂子のエピソード。
「こうやって過去の努力が報われる事があるんだって思う時に、
昔の頑張ってきた自分を始めて肯定してあげられる気がしたんです。」
努力は必ず報われるとは言い切れないけど、だからと言って必ず報われない訳でもない。
今はダメでも、人生という長い目で見れば経験が役立つ時が来るかもしれない。
そんなささやかな優しさを込める彼女があまりにも聖母に見えて、
春斗がその言葉で励まされたのが、表情やちょっとした冗談を言えるくらいになるまで
気持ちが和らいだ"変化"で伝わってきたと同時に、
彼女の存在が彼らにとっていかに大きいものかも痛感して
思わず泣けてきてしまいました…。
良かったなぁ。このやりとりを見れば、解散を決意するのも納得ですね。
確かに、マクベスとして10年間歩み続けてきた
彼らの"高校時代の延長"っぽい関係性は魅力的ですし、
傍から見たらしょうもないと捉えられそうな なりきりじゃんけんも、
修学旅行みたいに川の字で夜も語り続ける3人も、
そしてコントももっともっと見ていたいとは思うし。
カラオケの延長のくだりはマクベスそのものを象徴しているようで、
このまま延長し続けていて欲しい…とも思います。
でも、「変わらないでいて」を押し付けるのは傲慢に近い。
「高校の頃から時間が止まってんじゃねぇの?」と同じ。
春斗の言っていた通り、自分が進みたい道に行けて成功して、
初めて"余裕"が出来たから周りを俯瞰的に見られるようになったのであって、
そもそも生活が充実出来ていない人は自分の事で精一杯で
周りなんかとても見ていられないか、嫉妬ばかりの日々が続くかするはず。
勇馬(浅香航大)本人はそんなつもりで言ったんじゃないんでしょうけど、
今まさに芸人を続けるか諦めるかの大事な時期に差し掛かっている3人に
「何にも変わってないんだね」というニュアンスで
"不変"という名の現実を突きつけるのは嘲笑と一緒なので、
同情されたくないと怒りを露わにする春斗の方に同感します…。
で、「力になりたい」は余計なお世話ですよねぇ。ここには特にイラっとしましたw
先ほど里穂子のエピソードを挙げたように、解散=終わりではないし。
本格的に喧嘩して絶交するまで行かなかったのだから、
今は離れても、芸人を続ける人、全く別の職業に就く人と進路はバラバラでも、
何年か時を経て(マクベス再結成じゃなくても)3人でまた新しい"何か"を
築き上げて行けたら良いんじゃないかと、
今回の結末に対して前向きに捉えています。
つむぎ(古川琴音)の自立の件も里穂子にとっては辛いだろうけど…
なぜ自立しなきゃいけないと思ったのか、
もう少し大人になったら分かる日が来るかもしれないから。
今はまだお互いの気持ちが上手く伝わっていないだけだから。
まぁでも、1つの出来事の終わりが絶望の始まりでもあり、
自身が成長していくためのきっかけでもあるという事を描いている本作だから、
簡単にハッピーエンドにはしないんでしょうねぇ…。
それにしても、まだ5話なんですね。
もう8話くらいまで見ている気分(笑)
登場人物1人1人に奥行きが感じられるドラマは見応えがあります。
演技面のクオリティの高さが大きいけど、
今回で印象に残ったのは菅田将暉さんのキレた時の演技かなぁ。
ある程度のキャリアと知識を蓄えた先輩ヤクザ(?)から出る威厳が
ちらっと表情に表れて、一瞬ビビってしまいましたよ。
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