私が今期(春ドラマの中で?)星5を付けるほど期待度は高めだった本作。
"がん"だけでなく、それに真摯に向き合う所謂"スーパーマン"ではない医師達の描写や
現代医療のあり方にも踏み込んできた名作「アライブ」に続く、
従来の作りとは一線を画した令和版医療ドラマが生まれてきて欲しいと思っていましたし。
脚本家も、個人的には最近脂が乗っている印象のある黒岩勉さん、
プロデューサーに野田悠介さんといった「モンテ・クリスト伯」のスタッフ×木10枠という事で
かなり楽しみにしていました。
しかし、まぁこの前置きがあるって事は
後の感想がどんな流れになるのか大体察しは付くと思いますが…(笑)
いざ蓋を開けてみたら結局は薬剤師版「ラジエーションハウス」みたいなもので、
あれ?なんでこうなっちゃった?というモヤモヤした感覚が残る初回でした。
いや、勿論良い所もあったのです。
現場で医師と一緒に救急処置をしていたにもかかわらず
患者家族からお礼をされるのは医者だけというエピソードの後に、
「感謝されたいの?」「じゃあこの仕事は向いてないね。」
このみどり(石原さとみ)とくるみ(西野七瀬)のやり取りを繋げた事によって、
薬剤師がどんな立場にいて、どんな物語が描かれていくのかを
端的に示したアバンは、初回としては上出来なまとめ方でした。
全体的にふわっとした白い照明も、恐らく「賞賛されない彼女達にスポットライトを当てる」
という縁の下の力持ち的な意味を含んだ演出でしょうし、
薬剤師版ラジハとは言いましたが、全員暇そうではなく
常に調合や対応に忙しなく働いているのが伝わる
"薬剤師業界のリアリティ"も感じられはしました。
ただ、困ったのが「医師」と「薬剤師」の書き分け方です。
いくら新しい視点の医療ドラマが出て来たとしても、結局は…で片付けられてしまうのは
そこに原因があります。
治療において専門的な知識を備えていない人が
スペシャリストである医師に"勝つ"展開があってはいけません。
その手法をやられると一気に作品のオリジナリティがなくなります。
薬剤師が今回のように、実際に医師と救急処置を施したり、心臓マッサージをしたり、
薬の服用の確認をしに病室に出向いたりする事があるのかは分かりませんが、
それにしたって主人公が専門外の領域に立ち入るシーンが多過ぎです。
医師が誤診で、薬剤師の方が診断が正しかったというのはあまりないでしょうし、
周りに看護師の姿が見えないのも何か不自然。
そして、まだ取り上げられていない職業が主役のドラマだと
仕事内容が地味なのもあって話が広げられづらいのか、
活躍の場を増やすために医師側を安易に"悪人"に仕立て上げちゃう。
そうした方が今後の話を考えるのも楽でしょうし、
視聴者にとっても"勧善懲悪"でとっつきやすいでしょうからね。
林(飯田基祐)が中心となった会議でみどりの処分について揉めて、
最終的にはお咎めなしの結果に喜びコーヒーを飲むみどり…のシーンが
今回の山場のつもりだったかもしれませんが、そこも腑に落ちませんでした。
「薬剤師としての仕事のやりがい」をしっかり示した上であのシーンを見たかったですし、
糖尿病の若者2人のようなエピソードが最も本作らしかった気がします。
何というか、「こんな想いで働いているんだな」という
責任感が伝わる、もっと共感出来る部分が欲しいです。
まぁ、初回で拡大放送だから蛇足な要素が多くなってしまったのだろうと思ったら、
次回もまた拡大放送…
「悪人」サイドによくあるパワハラしがちなキャラクターももう見飽きました。
そういうのは失敗しない系の痛快医療ドラマで十分です。
強く印象に残ったのは桜のシーンと主題歌のかかるタイミング、
その後を描くエンディングだけ…(汗)
今は仲違いの状態にある医師と薬剤師だけれど、それぞれに自分なりの正義があると分かって、
でも立場が違うからやっぱりぶつかりあって…を重ねていくうちに
チームで協力して患者と向き合っていく…という流れに早めになるよう願っています。
うーん…それにしても、延期が続いてようやく放送されたドラマ達。
今の所、微妙か惜しい…のどっちかで、
初回だけで掴まれるっていう作品がないなぁ(一部はメキメキと良くなっているけど)。
期待していたけど、「アライブ」を見てしまった以上、
同等かそれを超える医療ドラマは暫く出て来ないのかなぁとも思っちゃいました。
↓次回の感想はこちら↓
kimama-freedays.ddns.net
7/24追記:
本題とは外れますが、この感想を見てくださったとある読者様から
批判的なコメントをいただきました。
(私自身精神が弱い人間なので、それを見て傷ついた衝動でそのコメントは
承認待ち状態から削除してしまいました。ご了承下さい。)
ブログ名「りんころのひとりごと。」からもおおよそ分かるように
本ブログは思った事を出来る限り本音で書くというスタンスでやらせていただいています。
しかし、今回の件でその本音により
誰かの怒りを買ってしまったという事案が発生してしまいました…。
言い訳に聞こえるかもしれませんが、
勿論私はそのつもりでいつも感想を書いている訳ではありませんし、
逆に「この拙い内容でも共感してくださる方がいると良いなぁ…」という思いで
ブログ運営を続けています。
今回勇気を出してコメントをしてくださった方だけでなく、
この記事を読んで不快に思われた読者の方々も含めてお詫びいたします。
本当に申し訳ありませんでした。
以後、文章表現には気をつけます。