えぇ〜〜〜…ただの殺し損じゃん、竜一(玉木宏)よ…。
結局、復讐計画は遂げたんだろうけど、
源平(遠藤憲一)はせいぜい失業したサラリーマンと同じ程度の
不幸しか味わえていないですよね。
これは彼の割に合っていたのでしょうか。
軽くあしらわれたSNS拡散描写で撃退するくらいだったら、
最初からブラジル時代から共にしてきた凛子(奈緒)に真相を打ち明けて、
竜一は行動派・彼女はハッカー&頭脳派のコンビで、源平の情報収集をしながら動いていれば
サクッと解決したかもしれないのに…。
「竜の道」だけにくねくねと遠回りしていましたけど、
もしかして、終わらせようと思えば5話構成でも全然行けたんじゃないですかね?
そもそも、前回で銃を渡されたなら真っ先に源平を撃ってしまえ!って話ですし、
復讐計画とは無関係の沖(落合モトキ)は部屋に行った途端すぐに殺れる癖して
彼は撃てずに逃がしてしまうなんて、優柔不断にも程があるんですよねぇ。
最後まで「竜一は復讐に向いていない」というのがブレなかった所は
ある意味凄いとは思います(苦笑)
そうですね、まぁ、総括するとするならば…
本作の最大の失敗は「導入部分の分かりづらさ」と「登場人物の多さ」の
2つにあったと考えています。
まず、「導入部分」というのは初回の事。
以前にも同じような内容を書いたかもしれませんが、
復讐劇を描くにあたって最も重要になってくるのは「いかに視聴者を共感させられるか」です。
本作の場合は、子供時代に根付いてきた"兄妹愛"や"家族愛"を
じっくり見せながら描いていくのがマストでしょう。
しかし、せっかく2時間もあり、コロナの都合で恐らく2話分合体になったとは言え、
前半の1時間で家族間の心情を深掘りする事はせず、
肝心の動機の紹介は所々に回想を差し込んで終わってしまった。
そして、過去と現在を行き来する構成にしたが故に、それが余計に分かりづらくなり、
双子が長年培ってきた怨念と憎しみを同時に味わっていく"追体験"が出来ないまま
話が進んで行ったから、
源平を悪しきキャラクターに仕立て上げたのが「形だけ」にしか見えなかったのが
物凄く痛手だったと思います。
次に「登場人物の多さ」に関しては、名前の通り、
竜一や竜二(高橋一生)に関わる描くべき登場人物が多過ぎた事。
人数が多いと、自ずと1人1人の設定も盛り込まざるを得ません。
曽根村(西郷輝彦)の実の息子が沖だという設定は本筋に無関係ですし、
"双子を翻弄する"立場は、美佐(松本穂香)がいなくても
まゆみ(松本まりか)だけで成立出来たかもしれません。
いや…双子を「ダブル主人公」として描くから混乱したんでしょうか?
極端に言えば、竜一の動きだけに焦点を当てていれば
物語の印象もかなり違ってきたでしょうし、竜二の場合も然りだと思うのです。
一人に絞っていれば、今回は成功した、失敗した、はい次…という
簡潔な構成に見えるから。
しかし、本作はメインの人物を二人にしたがために、
竜一と竜二でそれぞれ違うフィールドで関わるキャラクターが出てきて、
そうなると人間関係の"もつれ"も各所で生まれる訳で、
それが「復讐劇」である事を薄める最大の要因になってしまいました。
最終回で物語の迷走に更に拍車をかけたのが、沖の存在。
ネタとしてツッコむ分には面白い。けど、本作の題材でどうしても描かなければ
ならなかったかと言ったら、また別の話ですよね。
ここまで本作に対して感じていたモヤモヤを書いてしまったけれど、
役者の演技は良くて、それに見応えを覚えながら楽しんでいたのも事実で。
皆さん、言葉で表さなくとも、"目"で"涙"で決意や葛藤を醸し出されていたのが
本当に素晴らしかった。
松本まりかさんも最初は土曜のドラマの方が魅力的だなぁと思っていたけれど、
回を増すごとに人間らしいイキイキとした感じを取り戻していく変化が伝わって、
最終的に私の中での一番の主人公になるくらいには好きになっちゃいました。
キャストは大勝利でしたし、
光と影を活かした照明も大人っぽい雰囲気があって、演出も良かったです。
少年の件が回収されていないのが丸わかりなカットだったので、
竜一が刺されてバッドエンドだろうな〜…というのは予想通りだったものの。
3人で幸せを味わいたかった…と後悔の念を抱え、
それでも自分が犯した罪を認めながら亡くなっていくラストは
「自分のやってきた事は必ず返ってくる」といった教訓も含んだものになっていて、
考えさせられる点でいつまでも余韻が残りそうで。
この締め方は個人的にはアリだと思いました。
だがしかし!最後が好みのものだったので
終わり良ければすべて良しって言いたい所なんですけど…
どピンクの照明の部屋が見られなかった!
最終回も「ドコヘユクンダー♪」って歌いたかった!!
あら、話よりも、むしろこっちの方が心残りな気がしてきましたな(笑)
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