いろんなドラマを見ていると、
「あの役は良かったけど、この役は何だか固いかな…」とか、
「この役者さんとこの役者さんで役を逆にした方が、しっくり来たんじゃないか?」とか
思う事もたまにある分。
魅力的に映る役っていうのはやっぱり、
役者さんと脚本家・演出家の相性の良さが大きいんだろうな…と
改めて気づかされる回でした。
否定的な声もあるようですが、私は本作での本田翼さんは好きなんですよね。
演じられている「水森ひかり」という人物の展開次第で、
本田翼さんもここまで良さが引き出されるのかと思いました。
例えば…前回では、多くを語らないキャラとして徹底して描く事で、
「掴み所のない女性」という第一印象を与えていましたが。
今回では、もしかしたら、星太郎(高橋一生)との2人での会話が増えたから
必然的に…な部分もあるんでしょうが、
ひかり自身の喜怒哀楽の"感情"や"本音"を含んだ台詞運びになっていたために、
前回とはガラッと印象を変え、彼女がミステリアスな存在である事を
より際立たせていた気がしました。
で…最後に、母親疑惑もほんのり匂わせて、次回へと繋げる。
どんな人で、どんな結末へと向かっていくのか…先が見たくなるような仕掛けも
さり気なく作り込んでいるのも上手いです。
航(橋爪功)の出番に関しても…
前回は星太郎と航との会話劇がメインだったので、
多少の差は感じるのも無理はありません。
ですが、前回で感じた、シュールかつ少し温かみのある作風は
引き続き踏襲されていたのかな?と思います。
航を"ちょっかい役"的な立場に回したのが効いていて、
それがまた、出るタイミングが絶妙で(笑)
謎めいたひかりの掘り下げで異質な雰囲気を覚えてしまいそうなものを、
彼の存在感が内容に緩急を生んで、和らげていっていたのも良かったです。
「結局、記憶に残るのは、誰とどんな気持ちで見たとか、そういう事なんじゃないんですか?」
ひかりのこの言葉には、とても真理を突かれた感覚がありましたね…。
もちろん、"モノ"自体がよほど強烈だったのであれば、
全然覚えてないって事もないと思うんですが、
何かを思い出せば、その時、こんな大変な事があったっけかなぁ…とか、
あんな感情で見ていたかなぁ…とか、
そういった"出来事"の方が自然と浮かんで、それきっかけで話も広がるもんなんですよね。
ひかりが「記憶に残った出来事」として、
花火を見ながら鼻で笑うまでに至る過程を話していたのを受けて、
星太郎が初心に戻ってみよう…と決心する流れもスムーズでした。
前回の時点では、航の「すまん…」の理由を見つけるまでの、
感動を誘う物語になるのかと思って見ていた節もありましたが。
花火を通しての2人の心境・変化を描いてきた辺り、
ひょっとしたら、人間再生物語になっていくのかもしれませんね。
「僕らは奇跡でできている」や「モコミ」を描いてきた
橋部敦子さんならではの作品だなぁ…と、しみじみ思います。
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