冒頭の和輝(高橋海人)のモノローグが効いたよなぁ。
「楽しそうに働く人が好きだ。」
「辛い仕事でも楽しみを見つける事が出来る人は、
生きるという長くて地味な仕事でも見出せる人だから。そう言ってたよね、姉ちゃん。」
この台詞のお陰で、本作をどういうスタンスで見て行けば良いのかが
前回よりもグッと掴まれたような気がしました。
ああ、多分これは、ホームセンターを舞台に、
「陰」を抱えながらも日常のどこかに「幸せ」を見出しながら前を歩んでいく人々を、
温かく、時に微笑ましくなりながら見守り続ける話なのだと。
そう考えれば、優しくフォローし合う職場の描写は勿論、
"崩し"パートとなる市原(小池栄子)の恋の話を時折挟み込んで
2人のシリアスな部分と対比をとる構成になっているのも納得が行く感じがします。
桃子が両親を失ったエピソードは、想像以上に辛いものでした。
てっきり家族揃ってドライブしている最中に事故ったのかと思っていたけれど、
まさか目の前で轢かれる姿を見てしまっていたとは…。
これは、事故のニュースでわざわざ弟がチャンネルを替えてくれたり、
トラックに乗って震えたりしてしまうのも無理ないですよねぇ。
(車のエンジン音聞いただけでトラウマになりそう…
でも自転車通勤は平気なんだ?とはちょっと思ったけど。)
しかし、そこにささやかながらも寄り添ってくれたのは、吉岡の存在。
桃子の過去を知れば知るほど、2人で見た妄想に切ない気持ちにさせられます。
妄想世界の中で乗る車が赤いワゴンって所がね…
鮮やかな色合いで、コンパクトで可愛らしいフォルムになっているから、
道路を渡ると絵本に出てくる魔法のアイテムのように映えてしまって…
その画が余計に「こうなったら良かったのに」という"叶いそうにない未来"を物語っていて
悲しくなるんですよ(泣)
あの事故がなければ、今頃免許をとって家族とお出かけ出来ていただろうに…。
公式が煽ってきた「肝っ玉姉ちゃん」も、
本人自体が元からそういう気質があるという訳ではなく、
可愛い弟達からの愛や上司の心配りがあって
初めて強くなれる…という意味合いで「肝っ玉姉ちゃん」なのだとよく分かりました。
桃子の過去話を聞いたエピソードがあっただけに、
姉ちゃんが帰ってくるまでトマト鍋を食べるのを待っていたみんなの温かさが沁みます。
弟は姉を、姉は家族を、母は息子を、息子も母を…お互いがお互いを思いやる姿が美しい。
一方で、吉岡の過去は次回明かされるそうで。
終盤で急に展開が進んだけど、まさか某ドラマみたいに妄想予告ではないよね ←ぉぃ
桃子の両親を轢いた前科持ちだと思っていたんですけど、
それならトラックを運転したりしないよなぁ…と。
でも右手は震えている。母・貴子(和久井映見)を庇うために誰かを殴ったとか?
桃子の叔父で保護司でもある菊雄(光石研)と会わせなかったのも
絶対意味があると思うんですが、どうなんでしょう。
前回よりもホーム&ラブコメディらしからぬ「陰」が強くなってきた気がしますが、
コロナ禍を匂わせる発言がなかったお陰で、物語にすんなり入り込む事は出来ました。
そして、恐らく「地球」が本作の象徴なのでしょうね。
まるで「これはとある小さな惑星のお話…」とストーリーテラーが読み上げるかのような、
ファンタジーな世界観である事を引き立てるアイテムとして
一役買っている演出が良いです。
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