2025年冬ドラマ-東京サラダボウル一覧

東京サラダボウル 2話 感想|逐次通訳の重要性

 

 

前半でなされた同時通訳・ウィスパリング・逐次通訳の紹介。

インタビューを受けている人の横で囁く映像はよく目にするけれども、

なるほど、それは同時通訳とは違うんだ…とタメになりましたね。

で、面白かったのが逐次通訳。

言い淀みも言い間違いも一言一句そのまま、意味の変化を生むから文章の入れ替えもダメで、

言葉に滲む感情やニュアンスも含めて出来るだけ正確に訳すんだそう。

 

その逐次通訳の良さが早速活かされたのが、中国人女性・リン(梅舟惟永)を再度取り調べる

有木野(松田龍平)と大内田(マギー)のシーン。

冒頭の飯山(皆川猿時)に関しては、ことわざも人生経験からつい出ちゃうもので、

悪気があって言っているんじゃないんだろうというのは分かるんですけど、

大内田は常に周囲を見下しているかのような態度で、感じ悪い人なんですね。

リンも有木野が馬鹿にされているのは何となく察していたみたいで、

2人のやり取りをじーっと見ていた様子から、

最初は、もしかして日本語が分かる人なのかな?とも思ったんですが…

言語が通じなくても今どんな空気で、自分がどんな悪口を言われているのかっていうのは、

やっぱり読み取れてしまうんですよね。

 

「比喩表現?って言うんですか?そのままの意味にとっちゃいまして。すみません。」

「いやまったく、誤訳なんぞ本来あってはならん事です。全く不徳の致すところですわ。」

性格が出まくりな大内田の言葉をそのまま翻訳する有木野にはクスッとさせられましたし、

大内田が置いていかれた状態でどんどん会話が進んでいき、

しまいには後ろの記録係も笑っている所も含めて痛快なシーンでした。

良かったですね。仕事ぶりを真面目に見てくれている人は、ちゃんといます。

 

事件パートについては、3種類の通訳の紹介もあり、複数案件だったのもあって

前回よりはやや薄味感は否めなかったのかなと。

最後にまとめて描かれたのでそりゃそうだろうとも思うんですけど、

事件内容よりかは、有木野の「堕ちるよ」発言、意味深な過去の方が印象に残った回でした。

犯罪に手を出してしまった外国人も決して悪者とは言い切れず、

何か事情があっての事だというのは分かるので。

台詞で少し説明はしていたものの、

前回のキャンディ(喬湲媛)と同じくらいにとは言わないけれども、

アシャン(BANUKA)の視点も取り入れるなどして

もうちょっと彼の境遇を覗き見してみたかったですね。

 

ただ、3・4話は前後編で、1つの家族をじっくり掘り下げてくれそうなので、

次回に期待してみたいと思います。

事前に前後編だとアナウンスがあるのもありがたいです。

 

 

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東京サラダボウル 1話 感想|食べ物のインパクトが強いけどメッセージは伝わる。

 

 

お正月のSPドラマはまだ録画したままなので…今年初ドラマが、本作。

秀作が生まれやすいNHKドラマだから、

気を引き締めて見なきゃという気持ちに自然とさせられるのはもちろん。

外国人居住者が題材なのもあり、シリアス寄りの作風になるのだろうと想像していたため、

正直、本作を見る前にワンクッション挟んでおきたかったな…とも

思いながら視聴を始めたのですが、意外や意外、サクサクと見られちゃいました。

 

取り調べで刑事に問い質されて、微かに声が震えて、

今にもこの場から抜け出したくてたまらないかのような素振りを見せる中国人女性。

外国人男性がオドオドして何か言いたげにしているうちに、警察に自転車を移動させられ、

職務質問へと誘導させられそうになっている光景。

たくさんの人で混雑している歌舞伎町の映像を流しながら、

外国人移住者の割合が4.8%だと告げられる。

数字にしてみたら僅かに感じるかもしれないけれども、

人数に換算してみたら68万人だそうで、それって結構多いんですよね。

サクサクと見られたとは書きましたが、

「慣れない日本社会で心細い想いをしている人が埋もれないように、手を差し伸べたい」

本作はそんな作品なのだという作り手のメッセージは確かに伝わってくるのです。

 

今回登場したキャンディ(喬湲媛)も、日本社会で危うく埋もれかけた1人でした。

車の窓を開けてみると、多彩な色で光り輝く夜の街に、

アニメのキャラクターが大きく映ったモニターに…

日本でしか味わえない景色を、キラキラとした表情で目いっぱい浴びて、

さっきまで夢のような時間を過ごしていたのに、

言語が通じて心強く思っていた男性に麻薬で嵌められ、急に犯罪に巻き込まれる事になる

キャンディの心境を考えたら…見ている私も胸がキュッとなってしまいました。

やっぱり、"言語の壁"は大きいんでしょうね。

今回は彼女のそばに鴻田(奈緒)と有木野(松田龍平)がいてくれたから解決したけれど、

実際はまともな通訳士をつけてもらえず、疑いを晴らせないまま逮捕されるケースは

よくあるんだろうと思わされます。

周りが日本人ばかりで、自分だけが外国人であるという現状に怯えてしまって、

母語で経緯を説明しようにも、目の前で取り調べをしている相手には

伝わらないんじゃないかという不安が先走って、思うように言葉が出せなくなるとか…きっと。

 

どちらかと言うと、土10で3〜4話くらいで放送されていそうな

作品な気がしていて(個人的には、土10の方が社会派要素が強いイメージ)、

初回視聴後もそのイメージはあまり変わらなかったのですが。

多様性を理解し、尊重し、どんな人も優しさで包み込もうとする点では、

"集団"から"個人"に絞られてはいるものの、

前作の「宙わたる教室」と通ずるテーマなんじゃないかな?と思います。

私自身も本作を見ながら、多様性に触れた瞬間がありました。

麻薬犯罪は中国では重罪にあたるんですね。初耳でした。

外国人居住者が日本の良さも現実も経験するように、

私も本作を通して国の事情を少しずつ知っていけたら…とも思います。

 

劇中で出てくる食べ物は、サソリやカエル肉、牛のペ…など

インパクトの強いものばかりですが、日本では馴染みがないだけで、

中国料理店では当たり前のようにメニューに並んでいるんですよね。

食べ物が本作の象徴にもなっているし、

それを平気で食べている鴻田は、何事にも好奇心旺盛で

常識に囚われない性格であるという事を表しているのかもしれません。

 

奈緒さんと松田龍平さんによって繰り出される、自然体で淡々としたやり取りも好感触。

回によってしんどい展開が待ち受けているかもしれませんが、

今後に期待が持てそうな初回でした。

 

 

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