物語は、東日本大震災当時の2011年から始まり、
1995年、1996年、2000年と時が移り変わっていく。
時間軸が行ったり来たりするのはややこしくて、個人的には好みの手法ではないんですが、
本作に関してはその流れの速さもすんなりと受け入れられちゃうんですよねぇ。
エピソード自体も、今までの回もそうでしたが
特段「これ!」というどれか1つを強調した作りではないものの。
1つ1つのエピソードを満遍なく描く事で、作り手が伝えたいメッセージが浮かび上がり、
ミステリーのように、そこの結末に落とし込むのかという面白さもあります。
今回は「人と繋がりがある事の価値」がテーマだったと思っています。
避難所の責任者であり、他人の幸せを最優先してきた事で
自分を傷つけてきた校長(内場勝則)が、窮屈な想いをしていた奥さんを励まし、
それで元気付けられた奥さんはイカナゴを持って恩返しをする。
差別発言を浴びせられ続け何もかも失った父・哲圭(石橋凌)の
心のポッカリを埋めてくれたのは、第一線で活躍してきた息子の存在。
そして、どうやって現実を向き合おうとするかは"患者の意思"であり"自分の意思"では
決められない事に無力さを覚える安(柄本佑)もまた、
師匠の永野(近藤正臣)の存在によって救われる。
「耐えられへんような苦しさと悲しさの中で、生き延びる方法を見つけようとしたんや」
「生きる力が、強いんや。」
片岡(清水くるみ)にかけたこの台詞の重みに、泣く…。
安を始め、相手に対する優しい気持ちがあれば、いつかそのご恩が
自分に返ってくるのだという例を見たようでした。
一人一人が尊重される社会。
震災をきっかけに、傷つきやすい人間誰しもが居場所を見つけられる
社会であって欲しいし、これからの時代もそうあって欲しい…と
願わずにはいられない回でした。
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