「私は捨てる勇気を持つうちに、夫が必要でない事に気づき捨てました」
ゾッとする台詞から始まった今回のエピソード。
しかし、話を進めて行けば行くほど、それとは真逆の方向に進み、
ある物にまつわる思い出や感情を互いに共有する事で精神的な充足を得られ、
自分とは違う相手の価値観に触れて初めて幸せな人生に繋がる…という
ほっこりさせられる内容に。
前回の感想と若干被りますが、どんなネタでも忖度なしで
容赦なく追究するイメージのある女性週刊誌が舞台の作品から、
人の言いにくい本心や心境に寄り添っていく話が生まれるというギャップが魅力的です。
そして、1つの物事に対する新たな見方も教えてくれます。
物の取捨選択というテーマが取り上げられたら、
テレビでその話題を膨らますために指標になってしまいがちなのが
「今後も使う可能性があるかどうか」。
しかし、本作の場合は、物を捨てる事が全てだとは決して押し付けません。
周りに物が散らかっていたままだったとしても、
偶発的な出来事がきっかけでそれが創作物のヒントに直結する人だっているし。
子供が巣立って役目を果たし、母からしたら自分の好みに合わないただのテーブルでも、
父にとっては自分の半生を投影させるほどの思い入れがあったりする。
オークションで何に価値を見出すのかをみんなで語るシーンも含めて、
特定の物にこだわりを見せる姿を様々な視点で描いていく所もまた、
その人の人生の"片鱗"を覗かせる面白さがありました。
中でも、家には「いつか使うかもしれないから」「思い入れがあるから」
「資料になりそうだから」でいろんな物をたくさんとってあって、
捨てるのが大切だと分かりつつも、
ただの口先だけの状態で終わってしまっている風未香(芳根京子)には共感。
提灯記事というワードが劇中で出てきましたが、
日常生活でも、相手には捨てたら?って簡単に言えるけど、
自分の事になると積極的に捨てられないのと一緒ですね。
彼女の気持ちを汲むかのように「選べんのかな?本当に大切な物って」
と呟く宝子(永作博美)の台詞が真理だとも思います。
やっぱり、人そのものを分かっている脚本家がこの手の作品を書くと、
1つ1つの台詞にも突き刺さるものがあります。
娘たちが自立したんだから私も新しい事を始めたいと言う母の様子を見て、
「リコカツ」の宿屋に就職した某母のエピソードが頭に過ぎりましたが、
こちらの方は夫婦生活が長く続きそうな結末で良かったです。
ヨガ…可愛らしかったですね。テーブルで好みが分かれていただけで、
それ以外は愛し合っているというよりかは仲良しって感じでしたし。
最後に仄めかした宝子の"過去"は…
椅子での「5年以上生存した者はいない」に関係してくるのかな?という気もします。
無理し過ぎて病気を抱えてしまったとか?
まだ分からないですけども。
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