2022年11月一覧

拾われた男 7話 感想|兄も"拾われた男"だった…。

 

 

"兄弟"をあらゆる角度から描いた回でしたね…。

 

いつも「一枚上手な兄に負ける」人生を送ってきた諭(仲野太賀)。

それは15年以来のアメリカでの再会でも健在でした。

脳卒中による後遺症、諭と同じく仲間に恵まれた人生、活躍する弟への想い、不法滞在…

自分の知らない兄の顔を一気に吸収しなければならない上に、

介護をしながら兄が遠のいて行くのを覚悟せざるを得ない状況に立たされる。

結局、武志(草彅剛)に追いつく事は一度もなさそうで…。

夢で見た自転車でのエピソードの挿入が、

武志との縁を切り、役者業が軌道に乗り出したからと言って、

「先に行こうとする兄」と「兄に追いつけない弟」の関係性は

一生涯揺らがないのだというのを物語っているようにも映りました。

 

諭が山村社長(薬師丸ひろ子)にスカウトされ、今ではすっかり有名俳優になったように、

武志もカラマズーの人々に愛され、雇ってくれたカフェでコメディアン的人気を博していた。

節々で共通している所はやっぱり、

子供の頃から行動を共にする事も多かった、血の繋がった"兄弟"らしいなぁと思わされます。

しかし…唯一違っていたのは「落し物に気づいたかどうか」。

諭は飛行機のチケットを拾い、武志は学費の入った封筒を拾い忘れたのを機に

運命を大きく変えてしまう。

回想も交えながら、初回からずっと"兄との確執"を描いてきたのがここで効いていて、

2人は表裏一体なのだと思わせるには十分に説得力のある内容だった気がします。

 

舞台も内容の方向性も変わるとなると、別ドラマに見えがちではありますが、

序盤での「おばあちゃんからもらった外国のお土産」が

今回のフックとして描かれていたので違和感も覚えません。

そして…武志のためにアメリカに行ったつもりが、結(伊藤沙莉)の予言の通り

内心では浮かれてしまっている諭の"変わらなさ"にもちゃんと触れていたのが、

シリアスな雰囲気が続く中で安心材料にもなっていました。

美人の看護師に飛びつく素振りを見せたり、

看護師にはそのまま握らせておいて、竹村(黒田大輔)が手を握ろうとしたら避けたり…

分かりやすい彼の様子に、今回も「おいおい!w」ってツッコませていただきました(笑)

 

ウォルト・ディズニー・ジャパンとの共同制作だからか、

アメリカの街並みも存分に見せてきて、外国人のキャスト陣もしっかり用意して…で

流石のスケール感でしたね。

そして…草彅剛さん、やっぱり素敵な役者さんだなぁと改めて。

本当に臭いが画面越しに伝わってくるような、気力の抜けた現在の姿と、

ムードメーカーとして活き活きしていた過去の姿の演じ分けが、

武志の人生において最も尊かったであろう"あの頃"を浮き上がらせているようで、

人物像を構築する丁寧な演技に、自然と涙してしまいました。

草彅さんの演技って何と言うか…

「役を演じる」じゃなくて「登場人物に命を吹き込む」感じなんですよね。

久々に堪能出来た事が嬉しいです。

 

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エルピスー希望、あるいは災いー 5話 感想|巡り巡ってまた合流

 

 

いや〜…第5話という折り返し地点で、思い切った構成になっていましたね。

 

今まで"勝ち組"のフリをしていた自分を断ち切るかのように、

ヒゲ面ボサボサ頭で別人になった拓朗(眞栄田郷敦)の物語から始まって。

甘くて心地の良い世界にどっぷり浸かりきった恵那(長澤まさみ)が

出口を見つけるまでの変化にも、正一(鈴木亮平)に潜む闇にも触れて。

最終的には、お互い心が離れていた恵那と拓朗の想いが

再び合致しようとしているまでを描いた今回。

起承転結の"転"から始まり"転"で終わる展開続きで、大変面白かったです。

 

で…前回の感想で「恵那も拓朗も本質的には同じ人間である」と書いた通り、

本作の登場人物を車で例えるなら、

2人の関係性は"アクセル"みたいなものだなぁと、今回の内容を見て思えたんですよね。

というのも、2人とも、向かう先や大元は違えど、

「過去の出来事を突きつけられたのを機に『飲み込めない』体になる→食事を拒む→

冤罪事件を通して強い正義感・義務感が生まれる→暴走する→色恋に溺れる」

で同じ人生を歩んでいるように見えたから。

 

そんな2人とは反対に、正一(鈴木亮平)、拓朗の母・陸子(筒井真理子)、

さくら(三浦透子)など、恵那と拓朗以外のほとんどの人間が、

一歩踏み出す行為を阻み、冤罪事件の捜査中止を促す"ブレーキ"として描かれています。

(さくらは協力した側ですが…2人の暴走が彼女を精神的に追い詰めたともとれるので、

自分がやった事の責任を負わせる意味で、あえてそちら側に。)

村井(岡部たかし)だけがどちらにも属さない、

2人がまたアクセルを勢い良く踏めるようにエネルギーを注入する

"ガソリン"的存在とでも言いましょうか。

 

ブレーキを踏まれたら、もちろんアクセルでは飛ばせません。

正一と寄りを戻してしまった恵那は、まさしくその状態になっていた訳ですが、

拓朗の場合は、彼女と同じくボンボンガールの意中の相手と

ラブホテルで関係を持ちそうになっていた所を、

恵那の電話のお陰で何とか持ち堪える事が出来ました。

拓朗が1人で熱心に事件を追った痕跡がなければ、

恵那があの世界で目を覚ます事はなかったかもしれないし。

拓朗が正一に情報を持ち込まないまま電話に出て、恵那のいるファミレスへ行ったから、

久しぶりにちゃんとしたご飯を食べて再び"生"を見出せた。

2人が一緒にいて、同じ方向を向いて初めてアクセルが踏めるのだという、

そんな関係性が伝わる着地点になっていたのが印象的でした。

 

ペットボトルの水、ウイダー、カレー、オシャレな店での映える料理と、

恵那と拓朗のその場その場での状況とシンクロさせているような食べ物のチョイスも

中々粋な演出ではあるんですが、

今回で拓朗が「食べたい!」って思ったのが雑炊なのも、上手かったなぁと。

熱が出て食欲がない時にはお馴染みの、優しい食べ物。

まずはそれを口に運んでみて、徐々に回復していく様子が、

目力がトレードマークだった以前の自分を取り戻しつつある

彼自身の変化にも思えて、ちょっと安心させられもしました。

 

2人の関係性を描きながらも、

「パワーバランス」には疎いと言いつつ、結局自分もそれを利用して

人と関わろうとしてしまうという、現代社会に蔓延る"闇"も皮肉として混ぜるのにはゾワッと。

事件を追うのにマスコミ業界の実態にも触れるの?それって散漫しないの?なんて

当初は不安に思っていましたが、もうそれも杞憂に終わりそうですね。

人物像、人間模様に深みを持たせて、"意味のあるもの"にしているんだから凄いです。

 

正一のバックに副総理がついていると知った所で、真相にどう立ち向かっていくのか…

期待値が上がる一方です。

 

 

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PICU 小児集中治療室 7話 感想|ネグレクト少女の扱いが勿体なかったかも?

 

 

以前の感想でも触れたように、吉沢亮さんの目の演技って

いつもこちら側に訴えかけてくるものがあるんですけど、今回は中々凄まじかったですね…。

もうそのために見ていると言っても過言ではないんです(笑)

 

特に印象に残ったのは、南(大竹しのぶ)から衝撃の事実が次々と語られた事、

「私は治療はしない」と独断していた事に対して、

目をかっ開いて食い入るように見てきたシーン。…でも、瞳にはうっすら涙が溜まっている。

"強さ"と"弱さ"が波を打って、同時に襲いかかってくるアンバランスさが、

本当はしんどくて、今にも泣きたい衝動に駆られているのに、

毅然とした態度をとって何とか自分を保とうとしている

武四郎(吉沢亮)の不器用な性格を物語っているように映りました。

武四郎の本来のキャラと馴染んでいるんですよね。

良い役に恵まれたなぁとしみじみ思います。

 

内容に関しては…まぁ、次回予告で南の告白があると判明した以上、

PICUの話ではなくなるとは分かっていたし、予想通りではあったので、

そこについては割愛するとして。

個人的に最も気になったのは、親からネグレクトを受けているらしい

七海(宮崎莉里沙)の扱いが薄かった事でしょうか。

初回で搬送されてきた子供と症状が同じだったのを踏まえると、

描写次第では、初回から地続きで描かれてきた「武四郎の新人奮闘記」が

ターニングポイントを迎え、また1つ壁を乗り越えられた"成長"を演出出来たはずなのに…

南の件、圭吾(柊木陽太)の件とエピソードがまた複数存在しているからか、

あっさりと別の施設に移ったように見えてしまったのが残念。

本作、あれこれと話を広げるのは良いんですが、広げるだけ広げて、

どうも整理しきれていない感じが拭えませんね。

 

圭吾の状態は何も変化がないまま、終盤で一気に異常をきたした辺り、

極端に言えば、今回は次回への"繋ぎ回"だったとも捉えられるでしょう。

南も病気をカミングアウトして、植野(安田顕)に治療法を提案してもらった事ですし…

今度は妊婦の桃子(生田衣梨奈)を巻き込むなんて展開が訪れないと良いんですが。

 

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アトムの童 6話 感想|ゲームアンチのママの過去が気になる

 

 

前回のラストでアトム玩具が買収され、事務所が差し押さえられたと思ったら、

今回ではもう取り返して「アトムの童」で再復帰を図るって…

なんつう浮き沈みの激しさよ………(笑)

 

じいさんズはあれだけSAGASを嫌がっていたのに、

1年後になったらすっかりSAGASの社員として、

時間外でも作業着を着ているくらいイキイキしているし。

海(岸井ゆきの)は、あんなに酷い仕打ちをされた銀行に、

契約社員とは言えなぜか再就職(敵対関係にいた彼女を採用する方も採用する方でしょ…)。

ファンタジーにしてもあまりにも前後の繋がりがなさ過ぎる上に、

1年を通しての各々の苦悩や葛藤に一切触れなかったのも疑問でしたが、

一番「なんでこんな話にしちゃったの?」と思えてしまったのは、

学童保育の生徒の保護者を露骨に悪者に仕立て上げてまで、

「保護者会のボスvs那由他チーム」というぶっちゃけショボい対立構造で

盛り上げようとしてみせた所。

 

何年かははっきり明かされていないから言いますけど…

本作って、令和の世界のつもりで作っているんでしょ?

プログラミングを使った授業を導入している小学校もあるはず。

なのに…今時、「漫画は頭を悪くする」とよく言われていた

昭和の時代を生きているような母親が存在するんですかねぇ。

子供の頃に夢中になってゲームをやっていたせいで、母が倒れたのにも気づかず、

早く病院に連れて行けば助かったかもしれない命を失わせてしまった訳でもないし。

大好きで尽くしていた彼氏に「お前よりゲームの方が好き」と言われて

ショックを覚えた訳でもない。

でも「ゲームは有害」だと決めつける。

そこまでに至った背景がないから、モヤモヤする。

今回作っていたシミュレーションゲームが、結局、保護者には納得が行くものだったのか?

学校ではどんな影響を及ぼしたのか?も曖昧に済まされたのも含めて。

なんかもう…"その場しのぎ"の悪役を用意して、主人公と対立させておけば

視聴者が勝手にスカッとしてくれるだろうっていう…

こんな事は言いたくなかったですが、安直な考えで今回の話が作られたと

思えてなりませんでした。

 

第2章開幕にしても、那由多(山﨑賢人)がゲーム制作に意欲的かそうでないかが違うだけで、

アナログなおもちゃを作ってきた社員と一緒にゲームを作る点、

気持ちも職場もバラバラだった社員がチームになる点、

ジョン・ドゥを交えて「"潰され(かけ)た"アトム玩具」の立て直しを図る点では

第1章である初回と同じ事を描いているんですよね。

だから、個人的には"二番煎じ"に見えて、イマイチ気持ちが乗りませんし。

今回の内容が、わざわざ買収の展開を盛り込んでリセットさせてまで

やりたかった内容なのか?とも思えてしまって…う〜んって感じです。

それだったらせめて、アトム玩具の面々をバラバラにさせずに、

SAGASにがむしゃらに対抗し続けての逆転劇の方が見たかった…。

まぁ…本当に見たかったのは、因縁にこだわるがために端折られてしまった

ゲームが完成するまでの紆余曲折や、

大賞を受賞するまでの過程だったんですけども……(滝汗)

 

他にも、「アトム」を社名に使うのと言い、

あの実験的なゲームを5,000万円で買ってくれたのと言い、

ツッコんだらキリのない回でしたね。

次回予告だと、興津(オダギリジョー)が助けて欲しいって言ってましたけど…

ただの罠ですよね?

なんか、前回からの迷走っぷりを見ていると、

キャラ変する可能性もありそうなのがなぁ(苦笑)

 

那由他たちの真っ直ぐさや青さが、モノづくりに励んでいた学生時代と重なって

好意的に見ていたのに。なんでこうなっちゃったかなぁ…(泣)

 

 

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PICU 小児集中治療室 6話 感想|息子にバレるのも時間の問題では?

 

 

すっかり小児科医が舞台の医療ドラマになりましたね。

まぁでも…綿貫(木村文乃)の医療裁判を傍聴しに行ったり、

悠太(高杉真宙)の件があったりと、

本来は、医師と子供たちの関係性を描くべき作品のはずが、

ここ最近はエピソードをいろいろ盛り込んでは脇道に逸れる話が続いた分、

今回は「圭吾の心の治療」を集中的に描いてくれたお陰で

逆に見やすくなったような気がします。

 

いつもの武四郎(吉沢亮)と南(大竹しのぶ)の家庭パートも、

初めて「良いなぁ」って思えました。

いや、というのも…今までは何だか、毎回中盤で挟み込む必要性をあまり感じていなくて、

緩急のつもりなんでしょうけど、むしろ話の流れを遮っているとさえ思っていたんですよね。

「監察医 朝顔」の場合は、主人公が監察医であると同時に

"1人の人間"でもある…がテーマとなっていたから、

ごく平凡な日常生活の様子を取り入れるのにも意味を見出せていたものの、

本作の場合は、その作品での家庭パートが好評だったからただ入れた…みたいな。

でも、今回は「誰かの命のために、心臓移植を頑なに拒む」圭吾(柊木陽太)の姿に南を重ね、

さらには、感情の隠し方が不器用なあまりに人につい当たってしまう

圭吾の青臭い性格に武四郎を重ねる形で、

親子でのやり取りが、武四郎が圭吾に向き合うようになる"きっかけ"づくりとして

描かれたお陰で、わざわざ取り入れたのにも納得の出来る内容になっていました。

 

当時はギスギスしていた綿貫も、今では自然な笑みを見せるほど丸くなっていっていますし。

綿貫とは足りない所を補い合い、

今成(甲本雅裕)は全体を見ては動き、かけて欲しい言葉をくれて、

植野(安田顕)は部下の意志を尊重する…で

各々の役割分担も明確になってきて、良い雰囲気を生み出せていますね。

最初から、深刻な人手不足…ドクターヘリ…知事への交渉だので現代の医療問題を絡めて

「理想のPICUが出来るまで」をチラつかせずに、

今回のような、設立してまだ駆け出し状態の病院で奔走する医者たちにスポットを当てる

物語として展開していったら、早々に"形"も定まったのではないかなぁと思います。

 

最後に…「監察医 朝顔」の時と言い、

主要人物に試練を与えるの好きですよね…このスタッフ(苦笑)

次回予告で「ついに、母の告白」と書かれていた辺り、

南の病気のくだりを引っ張るのも来週で終わりでしょうね。

隠し続けたとして、やっぱり医者の息子と同居している以上はバレるのも時間の問題ですし、

隠せば隠すほど妊婦さんや職場の人々にも迷惑をかけるだけですし。

そこに早く気づいて欲しい限りです。

 

 

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一橋桐子の犯罪日記 5話(最終回) 感想|依存ではなく共存の人生

 

 

私が松坂慶子さんをしっかり認識したのは、

お恥ずかしながら「まんぷく」で「ブシムス」という愛称で呼ばれていた

主人公の母親役だったのですが、

本作もそんな松坂さんのチャーミングな持ち味が光る作品となりました。

 

当初は、語尾に必ず「ぉ〜」がつくような喋り方のパンチ力が大きくて、

なんで主人公を分かりやすく乙女キャラにしたんだろう?

なんでそんな喋り方にさせたんだろう?と疑問に思っていて。

見ていくごとに、それは、親友を失い一文なしであるために、

刑務所でお世話になるしかないと考えるほど過酷な状況に立たされている主人公を見て、

視聴者にあまり過酷だと感じさせないように

コミカルさで中和させる意味を持たせているのだと気づけたのですが。

最後まで見てみれば…桐子(松坂慶子)の存在感が

本作が伝えようとしているメッセージみたいなもので。

彼女を「能天気」で「自由奔放」で、時に「自己肯定感の低い」性格に描く事によって、

「老いる事が悲しい事とは限らない」

「出会いは無限大で、幸せは人との繋がりあってこそ」という、

"孤独"が先行し不安を抱えがちな老後問題にメスを入れる

社会派の面も覗かせる作品に仕上がっていました。

 

桐子の行動によって、周りの人々が次第に前向きになっていく様も、

逆に、桐子に影響を受けた人々が"恩返し"にと

彼女の考えや今後の人生を後押ししていく様も、本当に見ていて微笑ましくなれました。

ムショ活を通して知り合った人同士のやり取りや、

そこから生まれる気づきや変化を描写するのに徹していたからこそ、

最後の彼女の決断も納得のいくものになっていた気がします。

 

知子(由紀さおり)が見せたいと言っていた景色がある島で、1人で暮らす。

文面だけなら、誰も自分の気持ちを分かろうとしてくれない、

孤独に耐え切れなくて始めたムショ活を諦め、

結局また孤独の道を選んでしまった…ともとれるかもしれませんが、

初回と最終回とで違うのは、"依存"ではなく"共存"の人生を選んだ事。

親友と過ごした日々=過去にいつまでも縋るのではなく、

親友も含めいろんな人と育んできた思い出と、

今日もどこかで元気に過ごしていて、夢を叶えようと頑張っている

人と人との繋がりを活力にしながら生きていく…。

新天地でも子供たちに愛され、近所の人々に進んで挨拶する桐子は、

死んだ方が良いなんて弱音を吐いていたあの頃とは全く信じられないほどたくましく見えて、

思わず涙が溢れてしまいました。

 

娘夫婦から知子の形見を分けてもらえた事。札束入り白菜。薫子(木村多江)の登場。

サーフィンは孤独な闘いだという榎本(長澤樹)の教え。父との対立。

寺田(宇崎竜童)の誘いを受ける桐子。

そして…「秋桜が好きよ 自由に生きるから」。

各回の登場人物やエピソードを再び掘り起こす事で

桐子の変化を裏付けしていく畳み掛けの展開も、"集大成"感がありましたね。

 

行き詰まる現実と犯罪行為に伴うリスク、出会いの尊さを

5話という短い話数でコンパクトに、かつコミカルに描いていたと思います。

個人的には、NHKの「土曜ドラマ」枠の作品の中では、久々の秀作になりそうです。

 

 

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クロサギ(2022) 5話 感想|役者さんが頑張ってるだけに…

 

 

先週の「アトムの童」で銀行が我が物顔で急に差し押さえしてきたのと言い、

(最新話まで追いついていないものの)

「君の花になる」でいつの間にか主人公に好意を寄せる描写と言い…

今期のTBSのドラマはどこも「なんでそうなるの?」というモヤモヤした感覚が残りますね。

本作も残念ながら、その1つに入ってしまっています。

 

本作の場合、「詐欺師が詐欺師を喰う」設定自体が珍しいので、

唯一のクロサギである主人公のキレの良さをじっくり描いて初めて

その設定が活きると踏んでいるんですが、

何しろ、肝心の黒崎(平野紫耀)の"手口"が分かりづらいのが

勧善懲悪としては盛り上がりに欠けてしまっているんですよね。

最大の原因は、"縦軸"の過度な強調なんでしょうけど…

今回はそれに加え、上海を舞台にして大規模な世界観に仕立て上げた事が

物語の難解さに拍車をかけていた気がします。

 

内容を見ていると…こんな悪い方向には捉えたくなかったのですが。

「20億」「50億」といった非現実的な数字や団体名を頻繁に言わせて、台詞量を多くして、

上海だけあってたまに現地の映像を挿入したり、

そこそこ顔圧の強い癖のある役者さんを大量にキャスティングしたりすれば

「大掛かりな詐欺」をやっているように見えるでしょ?

という風に思えてなりませんでした。

平野紫耀さんと坂東彌十郎さんの終盤の対峙のシーンは良かったですが、

役者さんの演技と劇伴頼りな感じは否めないですし…。

せめて「ボスを喰った」を表現するなら、

御木本(坂東彌十郎)の目の前にアタッシュケースを置いて

大金を見せびらかすくらいの演出を取り入れた方が、

まだ主人公の凄さが際立ったのかもしれません。

 

そして、個人的に疑問に思っているのは、神志名(井之脇海)の描写について。

なぜ彼の背景を深掘りしようとしないんでしょう?

私は最近まで2006年版の「クロサギ」を視聴したのもあって、

彼がなぜあそこまで黒崎にこだわるのかは脳内補完は出来るんですが。

10年以上前の作品ですし、そもそも見ていない視聴者の方が圧倒的に多いでしょう。

前作も見てくれているだろう…という"視聴者頼み"で作っているのかどうかは知りませんが、

このままだと「警察の本来の仕事をほっぽり出して、特定の詐欺師に会うためだけに

わざわざ有給使って上海に飛んだヤバイ奴」の印象だけが残ってしまいますよ?

彼が抱えている"傷"を描いてこそ、黒崎への執念も、

雨の中「自身の行為がかえって人を殺してしまった」事を悔やむ黒崎の涙も

深みが増したのではないでしょうか。

 

佐々木蔵之介さんの登場は嬉しいですけど(ファンなので)、

新たな黒幕を投入してくるとなると、御木本を倒すまでの話と

構成は似通ってしまいそうな気はしますね。

縦軸の他に、どうやら黒崎・氷柱(黒島結菜)・鷹宮(時任勇気)の三角関係も

匂わせたいようですし…

何だか、本当に「詐欺師が詐欺師を喰う」部分が霞んでいってしまいそうで心配です。

原作があるから仕方ないのかもしれませんが、

初回のような1話完結型の内容をもう少し見たかったなぁ…というのが正直な気持ちです。

 

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ザ・トラベルナース 5話 感想|元嫁に命拾われた男

 

 

「命拾いした」と言っていたのでね…もうサブタイトルは↑しか思いつきませんでした(笑)

 

「拾われた男」は元々夏クールにBSプレミアムで放送されていた作品ではあるものの、

今期はその作品含め、「PICU」「ジャパニーズスタイル ※2話ゲスト」「舞いあがれ!」と

かなりドラマに出ずっぱりの松尾諭さんがゲストだった今回。

ドラマ好きからしたら、また出てる!なんて話題に上がりやすいですが、

それだけではまだまだ足りず。

本作の中で唯一謎めいた我が道を進むタイプの吉子(安達祐実)をメインに仕立てる事で、

元夫婦だった過去を紐解きつつ、

お2人のやり取りで楽しませる方向に舵を切った…といった感じでしょうか。

 

今回は何と言っても、安達祐実さんの存在感が光りましたね。

特に、五反田(松尾諭)がヒモからクズになったとカミングアウトするシーンでは

「同情するなら金をくれ!」と言わんばかりの気迫とエネルギッシュさがありました(笑)

回想含めてあまり深い掘り下げはなかったのですが、あの怒りをぶちまける様子から、

売れない頃から支えつつ、二人三脚の生活を長年送ってきたものの

五反田のだらしなさに付き合うのにも苦労し、

愛していたはずが徐々に心が疲弊してしまった…という

離婚するまでの過程や心境が感じ取れたのが良かったです。

"想っていた"描写があったからこそ、実はファンの1人である事にも、

最後の「ここに来ないで」が優しさの裏返しである事にも気づけたような気がします。

 

しかし、3〜5話と、ここまで脇役をメインに置いて

歩(岡田将生)と静(中井貴一)が一歩引いてサポートに回るか?

あえてメインの人物に絡めて対立させる形で"チーム"を描くか?

といった話が続いてきましたが、そろそろ1・2話のようなコンビの活躍を

またガッツリ見たいなぁというのが正直な気持ちですかね。

不足している訳ではないけど、

今回に関しては完全に、吉子と五反田による"人情劇"で魅せる話になっていましたからねぇ。

 

もっと具体的に書くなら…

いつにも増して「人を見て人を治す事が出来るナースになって下さい」を

強調していたのが気になっていて。

それが「吉子の動き」を通して学びや気づきを得る…というより、

ナースが医者より下だと思っている偏見を突かれたり、

そんな偏見を抱えているから何気なく告知をしてしまったりした

"歩自身の過ち"にかかっているようで、

2つのエピソードがちょっと分断されている感覚を覚えてしまったのです。

つまり、いつものように"歩の成長物語"を兼ねた内容としては

分かりづらくなっていたというか。

まぁでもここは…静のもう1つの顔が明かされた以上、

最終章に向けての準備を始める意味合いも込められているのかもしれません。

 

前回の感想で、ゲストの名前に数字がついているから、

話数で考えると「九鬼」静も患者側になるのでは?なんて書きましたが、

どうやらその線はなくなりそうですね。

あとは…静がなぜ歩に近づいたのか、かな?

 

 

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親愛なる僕へ殺意をこめて 7話 感想|はた迷惑過ぎる真相だった…w

 

 

すげぇ〜〜………………………そう来ますかぁ…………。

ああ、あまりの展開に「すげぇ」って言ってしまった(笑)

なんと言っても、みんなの銃を向ける回数の多さですよね。

ここ、日本!今、令和!洋画の世界じゃないんだから!

ファッション感覚で銃を扱う様子に、ツッコミどころか笑いさえ込み上げてきましたよw

 

真相自体は「自分勝手」と「はた迷惑」もうこの二言に尽きますね。

お前らは大きな勘違いをしていると釘を刺しておきながら、

桃井(桜井ユキ)から語られた真相は…なんかまぁ…個人的な恋愛事情から始まって。

明かされれば明かされるだけ、桃井と猿渡(高嶋政宏)の行為が

エイジ(山田涼介)や真(早乙女太一)、さらには協力してくれたナミ(川栄李奈)までも

巻き込んでいったという事がひどく伝わってくる内容になっていました。

退場間際の、天使のお迎えが来たかのような安らかな劇伴が、

「地獄が終わった」と思い込む2人の解放感と安堵感を助長しているようで

余計にモヤッとしましたね(笑)

 

しかし、2人の動機に関してはあまり感情移入出来なかったものの、

物語全体の構成を考えた上での今回の展開の仕方は、

エンタメ性に溢れていてよく出来ているなぁと思わされます。

前回の感想でも書きましたが、本作の登場人物の人数は元々少ない。

それ故に、真犯人もとっくに限られている。

ある程度結末が読めて、ラストスパートに差し掛かって来れば、

訳ありな演出で引き延ばすとか、引っ張り続けて終盤でようやく手がかりを掴ませるとか

そんな話になってもおかしくないのに、

本作に関しては衝撃を残しつつも、出し惜しみを一切していないんですよね。

一歩ずつ前に進んでいっている。

だって…桃井と猿渡が互いに特別な感情を抱いていた事が

殺害のきっかけになっていたなんて、誰が想像出来たのか(笑)

もしこれも考察していた方がいたなら凄いですけど、

「そう来るのか!?」って口を半開きにさせながら引き込まれるように見た視聴者の方が

圧倒的に多かった気がします。

 

最後の退場劇も含めて、いや〜……衝撃としか言いようがありませんでしたね。

これで明らかに怪しい人物は、亀一(遠藤憲一)と義姉・乙(夏子)の2人となりました。

前者はあえて影をチラつかせていない描写をしていますし、

後者は最近存在感が薄いですからねぇ。

結末へとどう繋げるのか、身を任せて楽しむ事にします。

 

 

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親愛なる僕へ殺意をこめて 7話 感想|はた迷惑過ぎる真相だった…w

 

 

すげぇ〜〜………………………そう来ますかぁ…………。

ああ、あまりの展開に「すげぇ」って言ってしまった(笑)

なんと言っても、みんなの銃を向ける回数の多さですよね。

ここ、日本!今、令和!洋画の世界じゃないんだから!

ファッション感覚で銃を扱う様子に、ツッコミどころか笑いさえ込み上げてきましたよw

 

真相自体は「自分勝手」と「はた迷惑」もうこの二言に尽きますね。

お前らは大きな勘違いをしていると釘を刺しておきながら、

桃井(桜井ユキ)から語られた真相は…なんかまぁ…個人的な恋愛事情から始まって。

明かされれば明かされるだけ、桃井と猿渡(高嶋政宏)の行為が

エイジ(山田涼介)や真(早乙女太一)、さらには協力してくれたナミ(川栄李奈)までも

巻き込んでいったという事がひどく伝わってくる内容になっていました。

退場間際の、天使のお迎えが来たかのような安らかな劇伴が、

「地獄が終わった」と思い込む2人の解放感と安堵感を助長しているようで

余計にモヤッとしましたね(笑)

 

しかし、2人の動機に関してはあまり感情移入出来なかったものの、

物語全体の構成を考えた上での今回の展開の仕方は、

エンタメ性に溢れていてよく出来ているなぁと思わされます。

前回の感想でも書きましたが、本作の登場人物の人数は元々少ない。

それ故に、真犯人もとっくに限られている。

ある程度結末が読めて、ラストスパートに差し掛かって来れば、

訳ありな演出で引き延ばすとか、引っ張り続けて終盤でようやく手がかりを掴ませるとか

そんな話になってもおかしくないのに、

本作に関しては衝撃を残しつつも、出し惜しみを一切していないんですよね。

一歩ずつ前に進んでいっている。

だって…桃井と猿渡が互いに特別な感情を抱いていた事が

殺害のきっかけになっていたなんて、誰が想像出来たのか(笑)

もしこれも考察していた方がいたなら凄いですけど、

「そう来るのか!?」って口を半開きにさせながら引き込まれるように見た視聴者の方が

圧倒的に多かった気がします。

 

最後の退場劇も含めて、いや〜……衝撃としか言いようがありませんでしたね。

これで明らかに怪しい人物は、亀一(遠藤憲一)と義姉・乙(夏子)の2人となりました。

前者はあえて影をチラつかせていない描写をしていますし、

後者は最近存在感が薄いですからねぇ。

結末へとどう繋げるのか、身を任せて楽しむ事にします。

 

↓前回の感想はこちら↓

 

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