アンチヒーロー 2話 感想|異色の作品になる予感…♪

 

 

緋山(岩田剛典)は無罪なのか?それとも有罪なのか?

という謎を残して終わった前回からの今回で、

なぜ姫野検事(馬場徹)のDNA鑑定改ざん疑惑を重点的に描くんだろう…

(緋山が罪を犯したのかどうかが気になるのに…)と疑問に思いながら見ていたのですが、

法廷のシーンで、またしても「お?」と引っかかる台詞が聞こえてきました。

 

長くなりますが、後で聞き直してでも書き留めておきたかった台詞だったので

ここに書かせて下さい。

明墨「生活のため、家族のため、感情を押し殺すしかない。

   こうだと決められている事には、中々反対しにくいものではないですか?

   緋山さんがパワハラに声を上げなかったのも、

   尾形さんが耳の病気の事を隠し続けたのも、全ては生きていくために仕方のない事。

   残念ながら今の日本はまだ、そんな社会です。」

 

  「ただ、我々を含め、司法に携わる人間は、

   人の一生を左右する立場にあるという事を1秒たりとも忘れてはならない。

   歪んだ思考が、平穏な暮らしを求めていた、罪なき人の人生を奪ってしまう。

   それだけは絶対にあってはならない。」

 

  「裁判長、あなた方にも同じ事が言えます。

   裁判の数をこなす事に精一杯で、検察が提出する証拠を疑おうともせず

   判決を下しているのなら、あなた方も役割を果たせていないのと一緒です。」

 

この時点では、理にかなっていると同時に、凄い事を語るな…と思っていたんですが、

終盤の赤峰(北村匠海)に向けた台詞で、

明墨(長谷川博己)がなぜ上記のような事を言ったのか、ハッとさせられたのです。

明墨「大事な人を守るために、止むを得ず人を殺した者。

   殺意を持って人を殺そうとしたが出来なかった者。

   罪が重いのはどっちなんだろうねぇ。正義とは、何なんだろうねぇ。」

 

緋山は確かに殺害を犯しており、真犯人を野放しにしたのは事実だけれども、

明墨が重要視しているのは無罪か有罪か?ではなく。

時代とともに形成されてきた「正義」の定義の曖昧さ、歪さを問い、

そしてそれに、検事も裁判官もいつしか染まってしまっていた制度や社会そのものに

疑問を抱いている人物なのだというのが分かりました。

まぁ要は、正義に対してかなりの潔癖症の持ち主なんですよね。

前回だけではまだぼんやりとしていたのですが…今回の件で、彼の解像度が高くなった感じです。

 

弁護士モノと言えば、残酷な判決を下す検事や裁判官を敵対視し、

個(主人公)vs個(検事や裁判官)の壮大な戦いを繰り広げる作品を多く見てきただけに、

制度や構造を疑うというアプローチの仕方はかなり珍しいです。

そして…日曜劇場でかつて放送されていた同じジャンルの「99.9」についても言及。

明墨は既に「99.9」が放送されている世界を生きており、

それも含めた従来の作品とは全く違った作品を生み出すぞ!という強い意志も感じさせます。

 

前回の感想で「従来の作風とはアップデートされている気もしていて。」と書きましたが、

ちょっとだけ補足を。

「〜ねぇ」「〜だぁ」と語尾を伸ばして話す長谷川博己さん、野村萬斎さん、

悔し顔を見せる馬場徹さんといった中堅〜ベテラン俳優が

癖の強いキャラを演じられている一方で、

北村匠海さん、大島優子さん、堀田真由さんといった若手俳優

抑えた演技で魅せているバランスの良さが、日曜劇場特有のギトギト感を覚えず、

新感覚だと感じる理由に繋がっているのではないかという気がしました。

…役者さんに関してもう1つ言えば、岩田剛典さん演じる緋山の寡黙さも良かったです。

岩田さんは個人的には、台詞が少ない方が魅力的だと思っているので、

最後の、力強くかつ冷たさも残る視線にはゾクゾクさせられてしまいました。

 

緒方直人さんの役所も、あの少女が何者なのかもまだ不明なまま。

でも、明墨のあの終盤の言葉は、もしかしたらこの2人がきっかけとなっていて、

その因縁に伊達原(野村萬斎)も絡んでいるのかもしれませんね。

2話で方向性が見えてきた事で…

やっぱり本作は、伝統ある日曜劇場に挑戦状を叩きつける作品になるのでは?と、

ついつい期待したくなってしまいます。

どこまで爪痕を残せるか、最後まで見届けたい気持ちがより一層高まりました。

 

↓前回の感想はこちら↓

 

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