恋せぬふたり 1話 感想|"人"に恋する前提の日常に苦しむふたり

 

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はぁ〜…なるほどねぇ……。

「アロマンティック」ってそういう意味なのか…と。

恋愛に興味がないというのは何となく分かっていても、

じゃあ仕事が生き甲斐なんだな…とか、1人で自由に過ごすのが好きなんだろうな…とか

"他人と一緒にいる時間に縛られたくない"を指す事から生まれた言葉なのだと

思い込んでいた私としては、

「恋愛には興味がないが、1人でいるのは好きじゃない」でハッとさせられる感覚があり、

中々興味深く見られそうな仕上がりになっていました。

 

ただ、題材が題材だけに、部分部分の描写に違和感を感じたのも事実で。

すぐ恋愛に直結させる上司と、感情の起伏が激しい勘違い後輩の描き方が

個人的には記号的過ぎたんですよね…。

「恋愛をしない私っておかしいのかな?」というモヤモヤを生むきっかけの人物である事、

アロマンティックがどんなものか?を説明をするための配置である事は分かるんですが、

もう少しマイルドに描いても良かったような気がします。

特に上司の方は…何かにかこつけて「恋始まっちゃった?」

「仕事だけじゃなく恋愛もな?」って茶化されたら、誰だって嫌な気分になるでしょう。

ましてや、今は部下に恋愛を過剰に勧めるのもセクハラだと捉えられがちな時代ですから、

上司と近い世代の人なら、まず訴えられないように気を遣う人の方が多いかもしれません。

友達とのケーキバイキングでのエピソードが一番しっくり来る例で、

初回でアロマンティックを映像で説明する以上、

多くの人にとっては他愛もない、何の悪気もない会話ややり取りでも、

咲子のように深く傷ついたり、仲間外れにされた気分を味わったりする人もいるのだ…といった

(語弊が生まれそうな表現ですが)"マイノリティ側とマジョリティ側のズレ"を

もっと自然と描き分けてはじめて、

本作をあえて放送するだけの価値が増したんじゃないかという勿体なさがありました。

 

とは言え、意味はもちろん、アロマンティックという名前すら知らない状態でも、

咲子(岸井ゆきの)に自然と寄り添いたくなるような演出には好印象でした。

例えば、彼女目線で日々何となく感じている"孤立感"を

顔部分のアップで劇伴の音量を徐々に大きくさせていく形で強調したり、

検索ワードを打つスピードで、自分の考えといまいちリンクしていない感じや

これを付け足して希望通りの結果が出てくるのかな?という一瞬の躊躇いを表現したり。

腑に落ちた途端、次々と出てくるカラフルな枠や

カラフルな服を着た人々が通るカットで「私だけじゃないのかも…?」と

一気に"広がり"を覚える様子を視覚的に表したりと、

彼女の心情変化をじっくりと描いていたからこそ、

彼女がこれからどんな生活を送っていくのか見守ってみようという気にさせたのだと思います。

 

最近は多様性を取り扱ったドラマは多くあれど、

「アロマンティック・アセクシュアル」というあまり聞き慣れない言葉を題材にする所は

NHKのこの枠らしいですね。

あとは、結末を見ない事には分かりませんが…

もしかしたら、「"人に恋する"事が前提とされている日常」に嫌気がさしているのを

軸として描いている辺り、

最近では推し文化が世間で広がっているように、

"人"ではなく、音楽とか本とかペットとか…キャベツとか、

とにかく"物"を推す="物"に恋して、最終的に"自分"に恋する=自分らしくいる 過程を

描いていくのかな?という気もしています(あくまでも思いつきですが)。

 

まぁ、少なからず、恋愛に興味ない者同士が恋をしました!っていう

なんじゃそりゃな結末にはならないでしょうから(笑)

次回以降も楽しみです。

 

↓次回の感想はこちら↓

 

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