転職の魔王様 2話 感想|彼女にとっての「やりたい仕事」は何だったのか?

 

 

やっぱり、目を逸らしたくなるほどのシビアな現実と、

たまにはこんな風に夢を見たって良いよね…という希望が

ちょうど良いバランスで描かれた作品だと思います。

「転職の魔王様」が通称になっているくらいなので、

視聴前は、転職する未来もそう遠くない私からしたら

見るのがキツく感じるのかもな〜…と不安ではあったんですが、

最後は必ずスカッと出来て、心晴れやかになるオチを用意してくれているお陰で

安心して見られると言いますか。

それは、来栖(成田凌)が

「人をよく見ている」からこそあえて辛辣な言葉を投げかけるのであり、

実は"思いやり"も奥底で持ち合わせている人物なのだというのを

初回で提示してみせたのも大きいのかもしれません。

 

初期設定の紹介をある程度済ませてからの今回は、

そんな彼と、彼とは真逆で優し過ぎる千晴(小芝風花)が

教育係と見習いとしてタッグを組み本格始動…といった所でしょうか。

前回に続き、来栖の描写は悪くありませんでした。

でも…第三者に転職先を提案する"通常回"となったからなのか、

生意気ながら「もっとこうなったら…」と思う部分がぼちぼち出てきたのも事実。

これから、言語化出来る範囲で1つずつ書いていこうと思います。

 

まず1つ目は、先ほど「人をよく見ている」と書きましたが、

来栖が魔王様と呼ばれながらも、なぜ内定者からの評判が高いのか?について

もう少し説得力のある内容になっていると、

より魅力的に映るんじゃないかな〜という気がしました。

例えば、彼は宇佐美(早見あかり)への評価で、

派遣で2年ずつ職場を転々としては環境に順応してきた事、

後輩の中田(大関れいか)が仕事で辛い時には励ましてくれていた事、

そして、克行(味方良介)が今の仕事を出来ているのも、

彼が1人ぼっちになっているのを他の会話に引き入れてくれた宇佐美のお陰だという事を

克行に伝えるシーンがありましたよね。

個人的にはそれらが…極端に言えば、後出しジャンケンに感じてしまったのです。

だって、展開されている話は基本"現在"がベースになっていて、

「派遣として働いていた10年間」についてはほとんど触れられていなかったから。

一応、彼女の事情や才能を知る場面はありましたが…

1人で彼女の働きぶりを遠くから観察するとか、後輩に普段の様子を聞いてみるとか、

履歴書や職務経歴書から分析してみるとか、

とにかく、秘密裏の行動がチラッとでも盛り込まれていれば、

克行に正論をぶつけるのにも重みが増したのかもしれません。

 

2つ目は、1つ目に関連する事ですが…全体的にやや間延び気味な印象を受けました。

これは、来栖の意外性を見せてギャップを持たせたいからなのか、

(中田も参加していたものの)ケーキバイキング店での合コン、

千晴とエージェント会社の社員たちとのランチ、

杖で阻止して犬飼(藤原大祐)に頼み事をするくだりと、

本題とはあまり関係のないサブエピソードが所々で挿入されたのが原因なんだと思います。

今回はまだ許容範囲でしたが、今後次第では蛇足に感じてしまいそうです。

だからその分、1つ目で書いた"主人公の描写"に尺を割いて欲しい気持ちにさせられましたね。

 

で、3つ目は…結末です。

まぁ、エージェントの仕事柄、求職者が考えもしなかった事を提案して

視野を広げてもらうというやり方は、私も実際経験してはいるのでリアルだとは思います。

ただ、流れを見ていると…

「(何が正解かは)自分の意思で決めてください」と来栖に言われて考えた結果、

宇佐美は「やりたいと思える仕事が出来る会社に就きたい」という

結論に辿り着いたのに、自分がどんな仕事をしたいのか、どんな事に興味があるのかを

自己分析する間もなく、来栖から通販会社の企画職を提案されたのが

どうしても気になるんですよね。

それ、結局、克行の言葉で正社員になると決めたように、

また相手の言葉で自分の将来を決めちゃってない?って。

間違ってはいないんですけどねぇ…何と言うかな…

来栖がノートの中を勝手に読んで企画職を提案するんじゃなくて、

宇佐美がふとした時にノートを見つけて、読み進めていったら「これだ!」ってピンとくる…

みたいな動機であの決断が描かれていたら、納得出来たんじゃないかという気がしました。

 

初回の感想は諸事情あって短く済ませましたが、今回はまぁまぁ長くなりましたね。

改めて、人間の欠けている部分を修復していくんだというのは

掴める話にはなっているんですけど、ちょこっとだけ惜しい感じです。

でも、説教でも人情の押し付けでもない"優しさ"が見え隠れする作りは好みではあるので、

まだまだ好意的に視聴していこうと思います。

 

 

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