
最終回の感想を書く前に、まずはやっぱり、涼(山田裕貴)の死について触れておきたい…。
今期は本作の他に、登場人物が亡くなってしまう作品がもう1つありました。
個人的な事情ですが、実は某作品の最終回の方を先にリアルタイムで見ていて、
本作は数話溜まっていた分をコツコツ見て、
昨日の土曜日、ようやく9話に追いついたんですね。
この前久々に投稿した感想をご覧になって、「あれ?あっちのドラマにもあったのに?」と
思われた読者の方もいらっしゃったかもしれませんが、これが、スルーしていた理由です。
私がドラマを見る上で、絶対に揺らがないタブーが1つだけあります。
それは、物語上で大きな必要性を感じさせないまま、"病"や"死"を盛り込む事。
某作品でもただでさえガッカリしたのですが、正直、9話の展開には引いてしまいました…。
要素の盛り盛りした物語に思う所はありつつも、それでも、
伍鉄(堤真一)の語る「宇宙と車いすラグビー」と、
最初は仲間割れしていたブルズに活気が徐々に戻ってきて、一致団結するまでの過程に
魅了されながら見続けていました。…9話の途中まではね。
涼の死を機に、本作に注いでいた熱がバッサリ切られた状態での最終回の視聴なので、
ブルズが勝ったとしても負けたとしても、残念ながら私の心は響きません。
素直に喜べません。
血の通った言葉を綴った涼のノート…
母・君代(麻生祐未)が人香(有村架純)に託す想い…人香が書いた記事…
いくら感動を誘うシーンを立て続けに用意したとしても、
じゃあ、なんで涼を死なせたの?が頭の中でずっと付き纏ってしまうんですよね。
待ち構えたブルズvsシャークの決勝戦については、1点差でシャークの勝ち。
世間では、いやそこは勝ってよ!という声をお見かけしましたが、
私としては、ブルズがまたしても負けてしまう結末は「現実的」で、
不満には感じませんでした。(「マシ」とは言いたくないのでこの表現)
そりゃあ、負けて終わったら、ドラマの最終回としてはスッキリしないとは思います。
でも、勝って終わったら…チームの士気を高めてくれる陰のリーダーで
精神的支柱の涼がいなくても勝てた事がご都合主義に思えて、
1つピースが欠けた状態でも「奇跡」と言えるのか…?と、腑に落ちなかった気がするのです。
まぁ、あーだこーだ言った所で、涼が病で命を落とす展開を作らなければ
こんなにモヤモヤする事もなかったんですけどね。
ただ、5話でも描かれた同じ「たった1点差での敗北」でも、
5話と最終回では意味が全く違うのは確か。
本当にねぇ…何を涼を死なせなくても良かったでしょう…としか…。
圭二郎(本田響矢)がトライをした所で、
回復の可能性が低いとされていた涼が目を覚まして、ブザーが鳴ってゴール…とか。
病室のテレビかスマホで見守っているとか。
あ…昏睡状態の涼に、母・君代と父・達也(菅原大吉)がスマホで音を聞かせて、
やがて目を覚ます…でも行けるのか。
「感動」「奇跡」の描き方次第では、まだ挽回は出来たと思うんですね。
しかし、そんな流れになったとしても、今度は、
安易に病を盛り込む事に対する疑問は残っていた事でしょう。
だって、試合後半にイマジナリー涼を何度も登場させるのなら、
最初からブルズ完全体で、試合に参加している姿が見たかった…!
という感想が出てきますから…。
イマジナリー涼の登場のさせ方に関しても、なんかなぁ…感が拭えず。
谷口(細田佳央太)に立ち向かう時に、圭二郎の姿に涼の姿が重なる演出。
あれは胸熱シーンだったのかもしれませんが、せっかく圭二郎が覚醒しているのに、
肝心な見せ場で元エースにすり替わってしまう彼の立場を想像すると、
対等に見られていないというか、
彼だって頑張っているんだけどなぁ…と思えてしまうのでした。
最近は私もちょっと考えを改めて、
ドラマを見ては、要素を盛り込み過ぎ!とすぐさまツッコまないようにはしていて、
制作陣にとって、盛り込んだなりの理由がいつか分かるのかも…と
じっくり経過観察する体でいるんですね。
だから…伍鉄の息子である設定には最後まで必要性を感じなかったものの、
一度音楽の道を諦めた昊(玉森裕太)の存在も、
車いすラグビーに刺激をもらって、ブランクを乗り越え曲を完成出来たエピソードも、
物語を紡ぐ上で決して無駄だとは思わなかったのです。
年代も、背景も、家庭環境も、職種も、挫折の過程もバラバラな人たちが
車いすラグビーをきっかけに引き合い、
1つの星団を作り上げていくまでを描く作品として見ていましたし、
科学とスポーツを融合させた、新しい形のスポ根ドラマを作ろうとされている点で
応援の眼差しでも見ていましたから。
でも、やっぱり、全体を通して…涼の死(病)と、主人公の息子→家族関係の修復と、
伍鉄を阻む宗像(宮﨑優)と記者のくだりは、削っても支障のないものだったかなって。
日曜劇場枠での放送だっただけに、何もそんなに捻らなくても…という勿体なさが残ります。
脚本家・金沢知樹さんの直近の過去作品は好んで見られたのを考えると、
企画の段階で要素の引き算が上手く出来ていなかった可能性はあります。
上記の代わりに車いすラグビーにかける人々の想いをさらに足して、
王道の展開を楽しみたかったですし、感動の余韻に浸りたかったです…。
強いて言えば、国見(安田顕)がそこに最も近かったのかもしれませんが、
彼は彼で疑問はあって、ブルズを去り、
伍鉄に「お前が涼を殺したんだ」と怒りを見せておきながら
結局は署名活動の発起人になっていたのは、ちょっとブレがありましたね。
涼はいなくなり、目標に掲げていた「シャークに勝って日本一」は果たせず。
私は、この結末を「奇跡」とは呼びたくありません…。
ブラックホールに飲み込まれたままの最終回になるなんて…う〜ん……。