レンタルなんもしない人 10話 感想|真逆の道を進んだ者たちの行く末

 

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滝口(磯村勇斗)の部屋に入った途端、外の世界とは分断されているような、

彼がその閉じられた空間で余生を過ごすかのような異質感を覚えたんですよねぇ。

レンタルさん(増田貴久)の服装も相まって余計に"白"が強調された部屋、

雨戸が閉めてある窓の上から大量の光が漏れているさま、

そして、左下部分にずっと映されている仏壇と、中に飾られている不揃いの2つの位牌…

彼にいったいどんな過去があったのか?と引き込まれもしましたし、

回想を通して片方の位牌が母のものだと分かった時、

あぁ…決して裕福な家庭ではなかったのだと、当時置かれていた環境を

スッと理解する事も出来ました。

 

本作の数々のエピソードの中では珍しく、見ているだけで心が抉られるお話でした。

滝口の背景がおばあちゃんとの生活を通して描かれたという前提があったために、

殺意が芽生えてしまうのも、友達だったはずの相手を殺してしまった時の悔しさにも

共感せずにはいられなくて。

この子が罪に問われるのであれば虐めていた方は何なのだと、

世の中の不公平さに憤りさえ湧いてきました。

 

「ある事をきっかけに友達が全くいなくなった」と言っていた滝口。

回想で"あいつ"が憎いという一心で行動に移した時、

自分の足音や、周りの人達の慌てふためく声がかき消されていった演出、

遺族に漫画を投げ飛ばされた際の怒号が聞こえなかったシーンからして、

彼は罪を犯して以来、本当に誰とも関わりを持たずに

自分一人で全てを背負いながら生きる日々を過ごしてきたのだろうと思います。

だから、レンタルさんに過去の事を打ち明け、少しでも"人と人との繋がりの貴重さ"を

知る事が出来た彼の遠くで子供達のはしゃぎ声が聞こえてきた時は、

「外の世界にいても良いんだよ」と慰めてくれているようにも感じられて

嬉しくなってしまったなぁ。

 

なんもしなくても、さり気なく社会の役に立っているレンタルさん。

誰しもが、毎日会えていたものが、明日には突然いなくなってしまう事は

十分にあり得る世界だから、悩みを話して一歩前進した滝口にとっては

人生において重要な"分岐点"の一つになったかもしれません。

誰と出会うか、出会わないか…ってやつですね。

 

一方で、「線を踏み外した者」を共通項とすると、

滝口とは真逆の方向へ進んでしまった神林(葉山奨之)。

アンチに目覚めるまでの神林の気持ちには同情出来たけれど、

さすがに今回のストーカーはやり過ぎ。

そう思う人がいっぱい出て来ると、「なんで!」って反発したくなる訳で、ますます悪循環。

アンチになる瞬間を垣間見た8話の瀬戸(松尾諭)の時のように、

レンタルさんでなくても もっと早い段階で誰かに打ち明けられる人に出会えていたら、

今立っている道も違っていたのではないかと思いますけど、

残念ながら、プライドが高い人には通用しづらい話なんですよねぇ…。

 

そんな神林が、次回ではレンタルさんに依頼する事に。

そして、いよいよ生計問題に差し掛かる森山夫婦…。

クライマックスに相応しいお話となりそうです。

 

 

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