2022年12月一覧

silent 8話 感想|ただ一緒にいたいだけ

 

 

学生時代の奈々(夏帆)が眩しい。

「ありがとうございます」といつも自筆で返す姿は健気で、

会うたびあんなに純粋な笑顔を向けられたら、

そりゃあ正輝(風間俊介)も惚れるに決まってるよなぁ…と。

なのに、正輝に恋をして、距離が縮まっていってからはその笑顔も消えてしまった。

前々回での、レジュメに想(目黒蓮)と2人で書き込みながら会話するくだり、

そして前回で「話し相手が欲しかった」と想に本音をぶつけていたシーンが描かれていた分、

1人でどこか孤独な想いを抱えて過ごしている所に、相手が心を開いて近づいてきてくれた喜びは

奈々からしたらこんな感じだったのだろうな…というのが

今回の過去エピソードを通して直に伝わってくるようで、

最後のお別れには余計に悲しい気持ちにさせられてしまいました。

 

でも、正輝が周りに手話を広めてサークルを立ち上げようとした事と、

前回で奈々が想に友達を紹介してあげた事って、似てる気がするんですよね。

あの時の奈々にとっては、正輝がそばにいて欲しかっただけで、

あの時の想にとっては、奈々がそばにいて欲しかっただけ。

しかし、本人には中々上手く届かない。

奈々は正輝との"すれ違い"で「思いやりを重ねすぎると偽善に変わる」を

経験していたはずなのに、時間が経てば、結局自分も同じようにしてしまう。

相手を大切にしたいという想いを自分なりの形で伝えたい…

それはろう者とか、聴者とか中途失聴者とか関係なく、

全ての人物に当てはまる事なんだろう…と考えさせられます。

 

現在の紬(川口春奈)と想の関係性は、奈々と正輝にとって

「両想いになっていたであろう未来=ifの世界」なのかもしれないと思わせた前半から、

後半は、紬が母・和泉(森口瑤子)と関わって"気づき"を得るまでの話が描かれていきました。

紬と想の件もあるので、今回のエピソードは大分盛り沢山ではあるんですけど、

どれも「ただ一緒にいたいだけ」を共通項にしていて、

前半は「紬と想」と「奈々と正輝」、後半は「紬と想」と「母親の存在」と

段階を踏みながら二者の関係を照らし合わせるように描いていっているので、

散漫した感覚を覚えないんですよね。

 

後半のエピソードで特に心に刺さったのは

「言葉じゃ伝えきれないからさ、物に託すの」と言う母の言葉でした。

この言葉を聞いた時、何だか視界がぱあっと開けたような、

ちょっとだけ希望が持てるような気分になれたのです。

そして、同時に思ったのは、前々回と前回と今回で"三部作構成"になっているなぁ…という事。

 

それぞれ境遇が違えば分かり合えない所も出てきて、

終いには理解しようとするのを諦めてしまう

人と人が繋がる事の「難しさ」を描いたのが前々回なら。

相手の気持ちを分かりたい、気持ちを共有したいという想いが

相手を少しずつ変えて和解出来たという「可能性」を描いたのが前回。

で…今回は、不器用が故に自分の気持ちを上手く伝えられない事に

もどかしさを感じているのなら、

物と一緒に言葉を贈ってあげたらきっと伝わるかもしれないし、

それはどんな人でも喜んでくれるかもしれないよ?という、

こうあれたら良いよね…な「理想形」が描かれる。

今回の後半のエピソードが、前々回と前回にとっての"最適解"みたいなもので、

きちっとピリオドを付ける構成になっているように思えました。

 

青羽家にあるのも、佐倉家にあるのも、

恐らく萌(桜田ひより)が買ってきて想と食べているのも、種類は違えどみんなプリン。

律子(篠原涼子)が洗濯物を畳んでLINEを送った時、

想はちょうど洗濯機に服を入れている最中で、

和泉も紬が帰省している時には一緒に洗濯物を畳んでいた。

「プリン」と「洗濯」で共通点を作る事で、

「ろう者も聴者も中途失聴者も、みんな"今"を生きる1人の人間」

「大切な人を想う気持ちは同じ」が暗喩的に表現されている所も良かったです。

本作が描こうとしているのはきっと、

"恋愛"を超越した"普遍的な愛"なのだろうな…というのがこれらの描写からも感じ取れます。

 

奈々と正輝の方も、仲直り出来そうでホッとしました。

同じ方が演じているのに、8年という月日を感じさせるほど

大人びた佇まいになっているのが、流石役者さんだなぁと思わされますね。

別れてからも手話教室を開いて続けてきた正輝の意志の強さが、

何よりもの答えになっている事でしょう。

 

次回は、紬の言葉で背中を押された想が

いよいよ実家に帰省してからの話が描かれるみたいです。

予告を見ると、どうやら2人の軋轢に本格的に踏み込むようでドキドキしますね…。

 

 

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エルピスー希望、あるいは災いー 7話 感想|「自分は周りとは違う」という心理

 

 

3話の刑事・平川(安井順平)が再登場。

拓朗(眞栄田郷敦)に協力を申し出てくれたので、どういう風の吹き回し?と思ったら…

まぁ〜〜嫌味な男性に描かれていましたね。

組織が一度でも不正を起こせば崩れるという事も、

聞かない考えない話さないの思考停止の日々を送り続けていた事も自覚しつつ、

本人はあくまでも自己保身に走る。

おまけに、開き直って偉そうな態度をとる。

 

でも、分かっちゃうんですよね…組織の中にいながら

「自分は周りとは違う」「自分は正しい」と思い込みたい心理って。

誰しも長い事生きていれば、

そうやって自分を正当化して逃れようとしてきた経験があるかもしれない。

そして…今回は第3章スタートとあって、別々の日常を送るようになった片方の

拓朗(眞栄田郷敦)視点で物語が展開されていった印象が強いのですが、

拓朗からしてみれば、50万円を要求して警察の実態と憶測ばかり語る平川と、

ワインを片手に社会の恐ろしさを語る母・陸子(筒井真理子)は

同じ「そっち側」の人間なんだろうな…とも思います。

今回はそんな、組織の流れに呑まれる事で生まれる人間の"ズルさ"みたいなものが、

複数の登場人物を絡めながら描かれた回だった気がします。

 

自分は能天気ではないと信じている恵那(長澤まさみ)も

ある意味「そっち側」の人間になりかけている状態で、

自分の意思が…というよりかは、社会が、環境がそうさせてしまっているんですよね。

でも、彼女が完全に能天気な人にはならず、

「甘ったれないで下さい」

「悪いけど、酔っ払いの泣き言を聞いてる暇なんて、私にはもうない」

という強い考えに至らせているのは、

間違いなく村井(岡部たかし)の存在がいるからであって。

職場を離れてもなお、度々登場してきては2人の背中を遠回しに押してくれる

村井の"ガソリン"的キャラには、唯一ホッとさせられるものがあるのです。

 

マジクソはマジクソでも…50万円に見合う価値は提示してくれた平川のUSBメモリーと

被害者遺族の会を通して、拓朗はどんどん情報を入手していく。

その情報を聞かされた恵那も、あの時会った謎の男が何者だったのかに気づき始める。

人間の心理をメインに描きつつ、冤罪事件も確実に真相へと一歩ずつ近づいていってます。

組織の実態を目の当たりにして、2人は無事に真相を突き止める事が出来るのか?という覚悟と

目に見えない大きな"不安"を、

拓朗の場合は、八頭尾山の風景を画面じゅうに収めながら、

彼がぽつんとその中にいるように対比をとる(引きで撮る)形で。

恵那の場合は、「あの頃から変われた自分」を物語る机に向かって

字を書いている彼女の様子を、徐々にカメラで近づけて撮る形で

表している演出も面白く視聴しました。

 

本作は真犯人が誰かを謎解きする事をゴールとしている作品ではないので、

本城(永山瑛太)がそのまま真犯人ではあるんでしょうね。

冤罪事件の調査を通しての2人の変化を、本当に地道に描いている作品だと思います。

 

 

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PICU 小児集中治療室 9話 感想|死は待つという事を知らない

 

 

帰宅して、自宅介護に本格的に取り組み始めるカットを見せてからの

南(大竹しのぶ)のナレ死…

最初はあっけないとは思ったけれども、でも、死は突然やって来るもので、

大切な人のために待つという事を知らないものなのだと考えれば、

その展開にしたのも納得行く気がしましたね。

 

また、南の病気については以前からずっと描かれてきたのもあって、

今回はタイトル通り「PICUで働く主人公」のエピソードはお預けして、

彼女を看取るまでで1話分まるまる使うんだろうなぁと覚悟していた部分もあったので。

自覚介護が始まって、数日後に死に際のベッドで南が武四郎(吉沢亮)に

最後のメッセージを贈るという、いかにも"ドラマらしい"感動を誘うような手法をとらず、

本作の舞台がPICUである事を忘れまいと、

母の死を経験しての武四郎の心の機微を見せる方向へと

話を徐々にシフトしていったのも、英断だったと思っています。

 

今回新しく搬送されてきた紀來(阿部久令亜)の「強い自分の"フリ"をしたい」という所が、

同じく親1人で育てられてきた武四郎と重なって見えました。

紀來にかけた言葉はきっと、早くに気づけなかった

彼自身に向けた言葉でもあったのかもしれません。

自分はもう大切な人を失ってしまったけど、

父も娘も生きている限り、彼女にはまだ希望が残っている。

退職願を出したのも、話してみてその現実に改めて直面させられたのが

きっかけではあったんでしょうけど…

後悔を上積みしていくかのような優里(新垣来泉)の

「なんで見捨てたの」「医者なら最後まで治してよ」で

ボディーブローを食らってしまった訳ですね。

 

同級生3人とすぐ会える環境にいるから…

可愛いやり取りをしている子供たちに救われているから…

そんなつもりで、仕事を騙し騙しでやってきた武四郎ですが。

やっぱり毎日、いろんな子供たちの命に向き合わければならない職業ですし、

みんなが最後は必ず元気になって退院していくとは限らないという事は

本人もよく分かっているはず。

 

何やら理不尽な交換条件を出されている植野(安田顕)の今後も気になる所。

植野同様、PICUを去ってしまいそうな2人の行方が

最終回前と最終回でどう描かれるのか…見届けます。

 

しかしこれ…タイトルのつけ方と、作品概要の紹介の仕方で

本当に損している作品なんですよねぇ。

エピソード自体は、命の尊さや人間の弱さを真っ正面から描いていて、

質の良い内容にまとまってはいるんです。

吉沢亮さんと安田顕さんの演技も含めて、

だから、最後まで好意的に見たいという気持ちは働くんですけど。

何度も言っている通り、最初から「理想のPICUが出来るまで」をうたわなければ…

脚本家の過去作品の「アライブ がん専門医のカルテ」みたいに、

主人公の成長記を絡めるような言葉をタイトルに持ってきて、

副題を「小児科医・志子田武四郎の〇〇」としていれば…と思わずにはいられないんです。

タイトルと作品概要は、どんな作品なのか?を視聴者に印象づけるための

名刺だと捉えているので。

勿体ない事したなぁ…と思っています。

 

 

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アトムの童 8話 感想|ゲーム開発の話を見たいだけなのに

 

 

いかんいかん、某ドラマの感想のサブタイトルにつけていた

「何の話だ?」をまたつけそうになってしまった…(苦笑)

それくらい、プロットに連続性が全くないと言っても良いでしょう。

 

当初は、倒産の危機に遭いそうなアトム玩具が、那由他(山﨑賢人)とタッグを組んで、

大手企業となった宿敵・SAGASもとい興津(オダギリジョー)をあっと言わせる

「ワクワクするような」ゲームを開発する…という話で進んでいたはずなんですけど。

最終章に突入した今では、ゲームの"ガワ"だけを借りた経済ドラマもどきの作りへと

すっかり変わり果ててしまっています。

ゲームの頃にはあまりやってこなかった解説が

株主総会に関するワードだと丁寧に施されていたのが、もう迷走している証拠です。

 

警察が出てくる事で無理やり窮地に追いやらせる終盤の構図も、

那由他と隼人(松下洸平)の対立構造も、興津のキャラ変も、

そもそも「宮沢ファミリーオフィス」の存在も、

正直、最終章で盛り上げるための"その場しのぎ"のネタにしか思えず…。

特に興津に関しては、「奪ったつもりはない」と言うのなら、

じゃあなぜ5話の買収のくだりで、してやったりと言わんばかりの憎たらしい表情を

見せてきたのかも疑問でしかないんですよね。

心情変化の描写にまともに尺を割かずに、いきなり年月を飛ばす形での

二段階の章立て構成にこだわったから、こんな違和感が生まれるんだと思います。

 

そして、新キャラの伊原(山崎努)の登場も後出しじゃんけんと言いますか。

アトムの童が制作したゲームに以前から興味を持っていて、

評価をしているという設定なのであれば、

6話のシリアスゲームの時に、本人が直接名刺を渡してくる形で

「君たちに投資したい」と言わせて登場させていれば、

まだ最終章への唐突感は薄まったのかもしれません。

 

私が今回の内容を見ていて唯一心が躍ったのは、

繁雄(風間杜夫)がSAGASの社員たちに

アトムの技術の活かし方を熱弁していたシーンくらいですかね…(泣)

あんなシーンをもっと見たかったですし、

むしろ、初回の時には見せてくれそうだと胸を膨らませていたんですけどね。

「最高のゲームを作る」という当初の軸は変えずに、

ゲームを制作していく過程を地道に描いていれば、

ゲームに疎い世代にも彼らの"熱意"が伝わって、分かってもらえたと思うんですが…

なんで強引に従来の「日曜劇場」の型に嵌めてしまったのか、勿体ない限りです。

(もう総括じみちゃってますけど…(汗))

 

 

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PICU 小児集中治療室 8話 感想|大切な人の命を看取るということ

 

 

圭吾(柊木陽太)の容体の悪化に、

事故で新しく運ばれてきた大輝(森島律斗)と光(寺嶋眞秀)の件に、

まだ治療に向き合い切れていない南(大竹しのぶ)に…と、

再び盛り沢山な内容だった今回。

 

いつもだったら、どれか1つをメインにすれば散漫にならずに済んだのに…とか、

南のエピソードはPICUの話ではないのだから…とかツッコみたくなるもんですが、

今回に関しては、患者や患者家族、主人公家族を絡めながら

"死"を意味する「終末期」と"生"を意味する「奇跡」で対比をとるような構成になっていたし。

また、複数のエピソードを重ねていった結果、武四郎の成長物語に厚みを持たせ、

差し迫る現実の中で、彼が大きな決断を下すのにも説得力を感じさせていたと思います。

 

特に、圭吾に優しい嘘をつくシーンなんかは、

同じ状況で「なんてバカ正直に話すんだ!」と思いながら見ていた2話の事があった分、

武四郎の成長をより実感させてくれました。

真実を真実のまま話さないようになった代わりに、

人に真っ直ぐな性格である彼は、部屋を出て、誰もいない所で泣き始めるんですね。

様子からして泣いてはいるんですけど…

彼の表情をあえて映さないように撮っているカメラワークが、

人前で弱さを見せたくないという

彼の強い意志や人間らしさを反映しているようでグッときます。

普段そんな行動をとらないであろう植野(安田顕)が、

武四郎の腕をポンと叩いて「頼もしくなったね」と言っているのを見て

もう涙腺が崩壊してしまいました(笑)

 

植野がストレートな言葉をかけてくれたのも、

まぁ…異動の件が関係しているんでしょうけども。

今回は内容の質の良さに、純粋に泣かされてしまったものの、

鮫島(菊地凛子)の計画に立ち入ろうとする渡辺(野間口徹)の件だけは、

どうも本作の雰囲気に合わない陰謀論の香りがぷんぷん漂っていて嫌ですねぇ。

あんまりそこは露骨に膨らませないで欲しい限りです。

 

東京の病院に検査しにいくと決意した南。最終章でまた本格的に描かれる事でしょう。

息子である以前に医者でもあるから、それだけ母親のために何とかしてあげたいという想いが

南に伝わったのは良かったですが…

辛いのは、家族を前にして「諦められる」事が本当に出来るのかどうかですよね。

武四郎の場合、子供の頃からずっと2人で過ごしてきましたから…

死を覚悟するなんて、中々至難の業だと思いますよ。

 

 

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作りたい女と食べたい女 2・3話 感想|餃子にはご飯でしょ〜

 

 

2話

 

初回の感想でも触れていたけれども、春日(西野恵未)ってやっぱり、

一緒にいてくれるだけで安心感があるんですよねぇ。

おまけに、気配り出来るし、薬の瓶やらプリンやら+αもいろいろ用意してくれるし…

女性同士だから、言いにくい事も相談しやすい。

今の野本(比嘉愛未)にとって"いて欲しい存在"だというのがよく分かる、

彼女の魅力が光る回でした。

 

食べてくれる相手が見つかってからは、デカ盛り料理を作る日々。

初回で綺麗に収まった自分のためのご飯を見ていた分、

ミートボール盛り盛り!卵8個米4合!ご飯こんもり!といった

見た目も材料も規格外で、良い意味で非現実的な料理が続いているのを見ると、

ああ、本当に作るのが楽しくて、

いっぱい作れるのが嬉しくてしょうがないんだろうなぁ…とも思えてきます。

 

作ってくれるお礼にと食費を払い、何かに困っていたらサポートする。

もらった食費が「次はどんな料理に挑戦してみようか?」というモチベーションに変わる。

この例えをするのも何ですが、パートナーとの新しい形を構築していく点では、

一時期の火10ドラマ(TBS)を彷彿とさせますね。

それも、本作の場合は恋愛が絡んでいない、

あくまでも「需要と供給」で成り立っている関係性に思えるから、

これから残り6話で、この"未知数な関係"がどう発展していくのか、

先を見守りたい気持ちにもさせられてしまうのです。

 

3話

 

餃子にはご飯でしょ!!!!!

と声を大にして言いたくなってしまった(というか心の中ではツッコんだ)春日の新人時代。

餃子にも焼肉にも、ご飯は欠かせませんよ。

まぁ、あのおじさんも若い女性に

「仕事終わりの流儀」とやらを伝授したかったんでしょうけどねぇ…

自由時間をどう満喫するかは自分で決めるもんなんですよ。

 

「ぐび」の音に合わせて、春日の飲み姿を段階的にアップで撮っていく演出も…

いろいろ考えさせられましたね。

常にゆったりとした映像になっているのに対して、

リズミカルなカメラワークが挟み込まれる"異物感"の作りもそうですが。

春日がその場で感じている、普段頼まない食べ方を自ら実践している違和感と、

周りに「"正しい"食べ方かどうか」をジャッジされている圧迫感も

同時に伝わってきて、ちょっと心苦しいものがありました。

 

本作って、語り過ぎない所が良いんですよね。

回想の盛り込むタイミングや映像を使い分けながら、

視聴者にある程度"想像を膨らませる時間"を適度に残してくれる

加減が上手い作品だなぁと思います。

 

餃子でぎっちぎちに詰められていたのが、

最後には窓からの自然光が反射するほどすっからかんになったホットプレートは、

それだけお互いが心から食事を楽しめたし、美味しかったという証拠にもなっていて。

相手の食べっぷりをお酒のつまみにする2人が可愛らしかったです。

 

「食べる」という行為はずっと大好きで続けてきたけど、

漬け卵でアレンジしてみたり、食器を変えてみたりで

質を上げる方向に徐々に変わってきている春日さん。

無意識でも確実に影響されていっている所で、次週は外に飛び出してみるとの事で…

2人がどんな"気づき"を得ていくのか、楽しみですね。

 

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ザ・トラベルナース 7話 感想|礼くんがどうしても叶えたかった夢

 

 

今回の脚本、中園ミホさんだったんですね…。

女性の本音や、女性同士のバチバチを描いていた前回の内容を描いた方と

同じとは思えないくらい、普通〜にハートフルなお話でした。

 

ただ、エピソード自体は悪くなかったんですけど、

見ていてちょっと気になったのは、「看護師が無茶を通す」点では

2話の孤独のグルメ回と共通しているのかな?という事。

あの時は確か、脳梗塞になったばかりの患者に固形食を食べさせての治療法に

最初は良く思っていなかった歩(岡田将生)だったのが、

静(中井貴一)の真意を知って、やがて医者と協力するまでの過程が描かれていたんですが…

それを考えると今回の内容も、

"看護師の本来の仕事"を通して魅せる事は出来たはずなんですよねぇ。

 

例えば、強行する人物が、2話では静だったのが、

今回では歩になっていた所まではまだ良かったものの。

うーん…何と言うか、最後の夢である映画撮影に1日付き添う形ではなく、

骨転移で手術は難しいと言われようが、

母とスイス旅行に行けたり、今後も自主制作が出来たり…と

小さい頃からいくつか叶えたかった夢を叶えられるような体にするために、

多くの医者に反対されながらも治療を諦めない描写があった上で、

あの映画撮影のくだりを最後に盛り込んだ話になっていたら。

本作のもう1つの軸である「歩の成長」もより伝わってきたし、

「医療モノ」から脱線しかけているようにも映らなかったんじゃないかと思ってます。

 

終盤の、礼(荒木飛羽)がいたベッドの横に1つの椅子が置かれている構図も、

シングルマザーで忙しい日々を送っていた分、

2人きりで話す時間が欲しかったんだろうな…という

母の本音と不器用さ(ある種の"夢"?)が覗き見えただけに。

内容"だけ"で捉えると、母がただの過干渉で

お見舞いにまともに来ない人で終わってしまったのも勿体なかったですね。

「人を見て人を治す」なら、親子の関係の修復も取り入れて欲しかったです。

 

で…視聴率は良い方なのに、登場人物が多いせいか、なぜか駆け足に見えるまま最終回。

静と天乃(松平健)の関係性もはっきり明かされてませんよね?

でも、それ以上に個人的に「そこは触れなくて良いの?」と思っているのは、

太郎(泉澤祐希)を立ち直らせる回がなかった事ですかねぇ。

実は…途中まで太郎役が泉澤祐希さんだと気づかなかったんですよ(笑)

それくらい、小者感たっぷりなキャラなんですよね。

だから、今までの出演作で爪痕を残されていたのを考えると、

あの役が本当に泉澤さんである必要があったのかという疑問がず〜っと残っております。

 

 

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親愛なる僕へ殺意をこめて 9話(最終回) 感想|綺麗にまとまったけど納得は行く。

 

 

なるほど…な最終回。

よく取り上げられていた"裏表"に因んで例えるなら、

表のテーマは「真相探し」である一方で、裏のテーマは「痛み」だった訳ですね。

 

京花(門脇麦)は幼少期に、虐待や差別で得た痛みを

受け止めてくれるような存在をずっと探し求めていたし、

エイジ(山田涼介)も同じく、「殺人鬼LLの息子」というレッテルを貼られ続けて出来た傷を

誰かに癒してもらいたかった。

亀一(遠藤憲一)は自分がこの世界に存在する意味を見出すために

"痛み"を知ろうとする行為を止める事はなかったし、

乙(夏子)も家族に必要とされたくて、人に危害を加えていた。

で…ナミ(川栄李奈)は親友の死で、エイジに出会うまでは心に深い傷を負っていた。

こんな感じで、登場人物全てに当てはまります。

そう考えると…唯一「肉体的な痛み」である

序盤のサイ(尾上松也)の拷問シーンも、必ずしも無駄ではなかったって事ですね。

(衝撃の真相続きで、視聴者がサイの存在を忘れていないかどうか心配ですw)

 

凄い綺麗にまとめたなぁとは思うし、

後半は答え合わせ展開とそれに伴う台詞量が多くて、やや難解な内容にはなっていたし。

正直、前回で真犯人が明かされてしまったために

今回の内容が蛇足気味だった気がしなくもなくて、

ミステリーの作りとしては完璧だったとまでは言い切れないんですが。

でも…個人的には、あの結末で終わるのも納得は行きましたね。

何より、この手の作品で扱われがちな「二重人格」の設定を、

客寄せパンダ的な"道具"として片付けない所が、

本作を好意的に見られた大きな理由だったのかもしれません。

二重人格になるまでに至った残酷な背景や、

エイジの二重人格をきっかけに周りが孤独を抱えていく過程、

また、エイジと同じく心が壊れそうな日々を送っていた事など…

設定を通して、それぞれにスポットライトを当て、

さらに役者さんの演技で立体的に魅せる形で

視聴者を引き込ませる作風に徹していたのが良かったです。

 

山田涼介さんの演技力の高さも光りましたね。

前にも書きましたが、おどおどした表情を筆頭に

コミカルな演技がお得意なイメージを勝手に抱いていたのが、

本作ですっかり払拭されました。

片目に思いっきりハイライトを入れて強い意志を見せたり、

逆に真っ黒な瞳で睨みつけて、絶望感と怨恨を増幅させたり…

目の中に取り込む光の調整で、今主人公がどう感じているのかを訴えかけてくる所が

素晴らしい役者さんだなぁと思います。

若干上からになってしまいますが、山田涼介さんの演技だけでも

見る価値のある作品だったのではないでしょうか。

 

 

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