MIU404 2話 感想|残された者が抱えた"願い"という名の闇

 

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今回の話を見た時、ふと「アンナチュラル」の5話を思い出してしまいました。

あれは確か、大切な人がある日突然死んで、真実も分からぬままの夫が

犯人に復讐する話だったと記憶しています。

「アンナチュラル」の方が"被害者目線"の話ならば、

本作の方は無意識に人の命を奪ったり殺害を犯したりしてしまった"加害者目線"のお話。

内容こそ違いますが、「取り残された人々」を主体にした点では共通しており、

更には、どうしようもない、想いをぶつける所がなくやるせないという

残された者の得体の知れないごちゃごちゃとした感情を映し出す結末も

一致していた事から、二作品の人物を重ねずにはいられませんでした。

 

そして、今回の話の何がエグいって、ただの美談では終わらせず

「これが希望に繋がっていくのかな?」という

心の中がザワザワするような"モヤっと感"を残す着地のさせ方です。

 

犯人はそのまま加々見(松下洸平)だった訳ですが、

彼がある場所に向かおうとしている目的が父への恨みで、

上司と姿が重なり、自分が上司に殺害を犯してしまった原因は父のせいだという動機で

復讐しに行くのは、正直言って尋常ではありません。

しかし、志摩(星野源)や伊吹(綾野剛)から加々見の想いを聞かされても

それでも彼を信じてあげたいと断言し、

犯人だと分かっても未来でまた会う事を約束してくれる夫婦がいます。

 

なぜそこまで庇うのかというと、夫婦もただの優しい二人ではなく、

信じてあげられなかった故に息子を亡くしてしまった苦い過去があるから。

また、顔が似ている事から、彼をまるで息子と同じように接してもいた。

だから、無事に出所されるまで支えていく有難い存在になるのでしょうが、

これはある意味二人の間に"闇"も感じさせて怖かったのです。

「人は信じたいものだけを信じる」

志摩のこの言葉がまさに真理を突いていました。

 

全く血の繋がっていない関係なのに「顔が似ているから」と言うだけで

今までの自分たちの罪悪感を加々見を利用して晴らしている、

「自分たちがこんな親でありたい」という理想像を押し付けているようにも映り、

今後もそうやって依存していくのかと思うと、

最後にまた3人でドライブしようという約束をするシーンも

「守ってくれる人がいて良かったね」というより「この関係はまだ続いていくのか」という

恐ろしさの方が勝ってしまいました…。

ベタに希望を感じさせるハッピーエンドじゃないエンディングなのが良かったです。

 

松下洸平さんは「スカーレット」で認識して、

それから温かくて優しい八郎というイメージが個人的には定着していた分、

あんなに心が屈折して芯がどこかポッキリと折れてしまったような演技は新鮮に映り、

物語が終わってからもしばらく頭から離れない余韻がありました。

生々しい役も良いですね。

 

初回は私の想像していたものから遠ざかっていると感じ、あまりワクワクはしなかったのですが、

今回みたいな話なら期待出来るかもしれません。

というか、「アンナチュラル」スタッフなので、こんな風に容赦ない話が見たかったのです。

初回は奮発し過ぎて空回りしたって事で…(笑)

まだコンビにはもどかしさもありますが、回を増していくごとに

本作の世界観、機捜隊の人々が好きになれたら…と思います。

 

 

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Dr.コトー診療所2004 特別編 3話 感想|主題歌だけが不足(泣)

 

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※本作のシリーズは去年夏の再放送で視聴済みですが、特別編「2004」は未見です。

※本作への愛は足りない頭で1話の記事にしたためたので、

前回から純粋な感想として書き残しています。

 

私がドラマを名作だと感じる理由の1つとして「"間"がきちんととれているか」

挙げているんですが、やはりその考えは外れていないようです。

当時も思いましたが、台詞の量も、劇伴のかかるタイミングも絶妙なんですよねぇ…

 

島の人たちでどんちゃん騒ぎする時は思いっきり騒ぐ一方で、

大切な人の命と向き合う時は、やりきれなさと後悔の気持ちを

噛みしめるかのように沈黙の時間が続く。

ここで悲しげな曲調の劇伴を流せば山場として大いに盛り上がるだろうけど、

本作の場合は「あくまでも"添え物"だ」と言わんばかりに

劇伴がかかる頻度がとにかく少ない。

だから、どんな想いで話しているのか、その人にどんな思い出があったのか…

島で交わされている会話の内容にどんどん聞き入ってしまうし、

私たちは画面の外で無関係なはずなのに、

まるでその場にいる人々の間に流れる時間や空気感までダイレクトに伝わって来る

感覚にさえ襲われます。

 

物語は正一(小林薫)と剛洋(富岡涼)の試練のお話。

まずは正一のターン。昌代(朝加真由美)の看病をしながら足を踏み外し、

夫婦共々倒れてしまった時の「自分が"いつもの彼女"を奪ってしまった現実」に

ハッと目が覚めたような表情が切なくて…。

ノートの隅っこの「死にたい」という文字を見た時の彼の心情を表した

小刻みに揺れるカメラワークも、

奥さんとの馴れ初め話を聞いたコトー先生(吉岡秀隆)のシーンも

静かに募る絶望感を覚え、胸がキュッとせずにはいられませんでした。

剛洋の方も、ひな(尾崎千瑛)を危険な場に連れて喘息を起こさせてしまった事に対して

こんな自分が医者になって良いんだろうかという葛藤が最初はあったかもしれません。

 

しかし、どんな状況でも人を支えてくれるのは、自然いっぱいの大らかな島の風景の存在。

崖から見上げる夕陽。辺りいっぱいに咲くひまわり畑。

エメラルドグリーンの透き通った海。そして大海原の中照らされる朝日まで…

風景をメインに人物を引きで撮る映像が多くて、

それが島で懸命に生きる人たちを細やかながら見守ってくれているようで。

どのエピソードもウルッと来てしまいました。

途中でかかった「Believe」も、これからの未来に幸あれ!という

さり気ない鼓舞の気持ちを込めた上での選曲ですよね。

(合唱で歌ったわ。懐かしいねぇ…)

 

剛洋の行為に対して良い所に気づいてくれた親御さんも素敵だけど、

真正面からしっかり叱ってくれる父の存在もまた頼もしく。

人間性が良い人ばかりだから、コミュニティの輪が深まっていくのも頷けます。

富岡涼くんの寝ぼけ眼な演技も、作られた感じがなくて上手かったなぁ。

急に叩き起こされて父の船に乗った不思議な真夜中のこと、

大人になってもふと思い出す時が来るのでしょう。

 

来週で最終回。

お話自体は何も言う事ないし、もう十分満足なのですが…

銀の龍の背に乗って」成分が足りなさ過ぎる。

提供バックで流れただけじゃ満たされん!!(笑)

最後こそあの崖と海のシーンと共に、ガッツリ流してくれますように。

 

 

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ハケンの品格(2020) 3話 感想|SNS啓発でも真相探りでもなくカレー作り

 

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えっと〜…会社には正社員がいて、ハケンがいて、スーパーハケンがいるけど、

社員食堂には正社員以上の業務をこなすアルバイトが一人いて

後はみんな業者さんって感じなの?

よく分かんない社員体制だなぁ。

そういう場所は普通、パートやアルバイトが多くいるもんではないのかな。

美味しいカレーを作れるレシピがその人しかいない事になっているのも謎すぎる。

労働者は誰が管理してるの?材料費の生計は?領収書は?

色々と設定に無茶があり過ぎでしょ。

 

SNSに動画投稿した新人社員を叱って教育するでもなく、

"バイトテロ"と言われた牟田(六角精児)にあの時の真相を確かめて

炎上騒動を釈明しようと問題解決に動くでもなく、

不味くなったカレーを以前の味にすれば顧客との信用関係を取り戻せるとも到底思えません。

美味しければ良いの?そんな単純で終わる訳ないじゃん。

ニュースで取り上げられて、スーパーで調味料が売られていれば

回収してくれと申し付けるまでお怒り状態なのに、

「ブロガーがここのカレーを褒めてたから行ってみよっか♪」ってなるのでしょうか。

  

大前(篠原涼子)の描写にしたって、「彼は誰よりも職場を愛していた」と美談をする割には

やっている事はただカレーを作っているだけ。

"汚れた社内をぶった斬る、主人公による痛快スカッと話"が見たいのに、

シーズン2になってからどうも"主人公をどう面白おかしく見せるのか"に焦点を当てて、

活躍する尺を長めにとっている内容になってしまっているのが気になります…。

それに、片付けを頼むシーンも、正社員ではなく新人派遣2人に任せているのも

「派遣は任された仕事を時間内でこなすのみ!」という

彼女のポリシーと矛盾しているような…?

 

とにかく、なんで13年間も経営が保てているのかは知りませんが、 

「人」よりも「お金」しか目がない会社だって事は理解出来ました。

 

主人公を立たせるために周りの設定や人物を露骨に無能にするのは

個人的には好きではないし、

こういったエンターテインメントな作品は、コメディ強めの大衆受けする話に見せかけて

実は世相を反映させた考えさせられるような要素をも含ませているべきだと考えています。

 

なので、私には合わないって事でもうリタイアしちゃおうかなぁ…と思ったんですが…

次回は東海林とのやり取りが復活するとの事で、あと1回だけ様子見します。

これで少しはモチベイション♪が上がってくれると良いのだけど。

 

 

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探偵・由利麟太郎 3話 感想|歪んだ愛を生んだ雅なピンヒール

 

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今回の殺害動機は単純明快。

単純明快ながらも、腕時計を見られるくだりや、帰宅した時の旦那の受け答えの間、

そしてハーブティーに使用する葉っぱをちぎる所をわざわざ映すといった

いくつもの"ヒント"を視聴者に提示していた印象で、

今までよりも自分で動機を推理する時間が作れて、楽しく見られた気がします。

 

三津木(志尊淳)第一発見者=重要参考人として牢屋に入れられて出番が減ってしまった分、

今回は由利(吉川晃司)の台詞量が多めでしたが、

その分「由利が手がかりを掴む」「考え事をする」といった捜査過程を

じっくり描写してくれた満足感も覚えました。

こうして見ると、三津木に喋らせ過ぎてたんだろうな〜…と。

でも、寡黙で落ち着いた先生と気さくで行き当たりばったりな助手の

正反対の組み合わせだからこそミステリーものは面白い訳で、

4,5話は前後編になりますから、2人の見せ場をもう少しバランスよく出来たらと思ってます。

 

単純明快と言っただけあって、

犯人も前回に引き続き序盤の時点で分かりやすい。

犯人探しよりも役者のクレイジーな演技に重点を当てたというのが頷ける結末。

ネタバレしちゃいますけど、浅利陽介さんが悪そうな顔してるのは

何だか新鮮味がありましたねぇ。

しかし、ピエロ…黒い服で仮面被れば良いものを、

なんでピエロなんて目立ちやすい格好にしたんだろうってのは置いといて…(笑)

 

強いて言うなら、脱いだピンヒールの捨て方はちょっと無理がある気もしましたが、

3話が一番展開的には良い出来でした。

ピエロの題材に合わせた軽快で奇妙な劇伴、ピンヒールで顔を突き刺された遺体のグロさ…

「気味悪い」と恐怖心を駆り立たせる演出の安定感よ!

 

 

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美食探偵 明智五郎 9話(最終回) 感想|コロナのせいって事にしておこう!

 

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美食探偵、お主もか…。

この枠の最終回、変にスケール壮大な話にして自滅していくパターン、

もはや定着しつつありませんか?(汗)

作品を完走してもしてなくても、

SNSの評判見ると「最終回がひどい」って意見を多く聞きますよ。

30分延長もあって間延び感を覚えたためか、

大台に向けて役者がせっかく良い演技をしてくれているのに

ポエムじみた台詞がばんばん飛び交うから話について行けないし、

シェフ(武田真治)が死に際にタバコを吸おうとするシーンも

「これ入れたらカッコイイだろ」的なとってつけた感じにしか見えないし…。

では、肝心の恋愛描写の着地点はどうだったかと聞かれたら、それもまた微妙。

 

苺(小芝風花)が明智中村倫也)に想いを寄せているくだりが

何度も描かれていたので、私は途中から本作をミステリーではなく

役者の演技を堪能するラブストーリーとして見ていたのですが、

最終章に突入して「明智と結ばれるのは苺か?マリア(小池栄子)か?」などと

予告や展開に力を入れた割には、明智自身の"答え"も出ぬまま

中途半端に終わらせてしまったのがなぁ…。

(まぁ、誰とも結ばれないのは予想はついていたけれど。)

 

本作だけの話じゃなくなりますが、

結局、私が日頃から日テレドラマを苦手とする理由って

「心情描写の浅さ」

にあると思うんですよね。

あれだけ悪戯を楽しんでそうに見えたマリアファミリーの3人も、

最後になったらコロッと良い子ちゃんに落ち着いて解決。

悪者も最後には改心する。最終回はとにかく盛り上げるべき。

これが「ドラマ」としての美学だろうと言わんばかりに

大袈裟で奇抜な要素ばっかり取り入れてくるから、

登場人物の言動に心を揺さぶられるほどの"感動"は生まれなければ

ガワだけは良いように見せた所謂"装飾的な"作品で終わってしまう。

心情が丁寧に描けないから、人気や旬のキャストを起用して

サービスシーンをいっぱい見せて誤魔化す手法も多いんですよね。

 

原作は未完なので、結末はオリジナル。

となると、脚本家の力量も問われてくる訳で…

コロナがなければ元々10話分用意出来て、強引でも何とか収められるように

急遽書き換える事はなかったんだろうなぁ…なんて想像してしまいました。

途中までは良い意味で日テレらしくない映像美にうっとりしていただけに、

ああ、何という勿体無さよ…(泣)

 

色々残念な部分はありましたが、

魔女の見た目にも劣らず、周りの視線を一気に奪う圧倒的な存在感を放った小池栄子さん、

自由自在なテンションの強弱で一辺倒なコメディ演技にせず、時に"愛""絶望"など

大粒の涙に何パターンもの感情を含ませてみせた小芝風花さん、

そしてその2人の女性としっかりと対峙出来るような柔軟性を備えた中村倫也さんと、

三者三様の熱演ぶりは堪能し、最後まで見る価値はあった作品だったと思います。

 

小芝風花さんは、このままの勢いで来期主演の「妖怪シェアハウス」も期待しています。

 

 

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未満警察 ミッドナイトランナー 1話 感想|キムタク教官を呼びたくなるガバガバ警察学校

 

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本作の原案は韓国映画。そっちの方も若手俳優を起用しているっぽい。

ゲストの真木よう子さんと伊勢谷友介さんのキャスティング、

ダークめいた予告映像からし「ボイス 110緊急指令室」みたいだと思っていましたが、

初回を見た限りだとやはりサイコパス&ホラーな路線で行くらしい。

向こうの作品はこんな感じのものが多いんですかね。

 

で、肝心の内容はと言うと…

ごめんなさい、昨日の作品よりも色々と雑でした(苦笑)

この枠&主演が主演だけにファンサービス丸出しなシーンがあるのは分かっていましたし、

そこは大目に見るんですが、

「警察学校」が舞台である事が活かせていないのは結構致命的だと思うのです。

今の状態では、破天荒な新人刑事が現場に潜入し、捜査して事件解決!…なんていう

そんじょそこらの刑事ドラマと何も変わりません。

2人と事件を絡めるにしても、同じジャンルのSP「教場」と被っちゃいますが

警察学校内部で起きた事件にするとか、先輩刑事や教官と連携プレイをとる形で解決させる

作りにするとか、何かしらの関連性はあった方が"本作らしさ"が出るかもしれません。

 

延長なしが災いしたのか分かりませんが、全体的に内容が詰まっていない割には

上司が現場に駆けつけて助かる流れは凄く強引な終わらせ方ですし、

事件自体も、サイコパスな登場人物を用意して凶器を持たせれば

視聴者ウケするだろうといった印象しかなく、

殺害動機もその人の背景も薄っぺらいと感じたまま見終えてしまった…というのも

正直な感想です。(対応してくれなかった刑事っちゅーのは…伊勢谷さんじゃないよね?)

施設の中から覗き見を指摘される事を恐れて、勝手に脱出して不法侵入。

人のウィンナーをもらうほど食いしん坊なはずの一ノ瀬(平野紫耀)が

夕食を忘れて2時間覗き見する事に夢中。

脱出しても監視カメラに記録されていなければ警報音も鳴らない

ガバガバセキュリティの警察学校。

…しまいには、あれだけの危険行為をしておいてお咎めなし。 

…………展開もキャラ設定も、甘い。

風間教官@キムタクだったら

初回でとっくに退学命令出してます(きっぱり)

それだと話が続かない?あ、はい。そうですね…。

 

周りに迷惑をかけがちのポンコツ主人公はあまり好きじゃないですが、

本作の本間(中島健人)と一ノ瀬は根っからのおバカでド天然な性格なのは伝わるので、

ドタバタやってても「まだまだ青いな〜」「やってる事が男子高校生だな〜」などと

ゆるくツッコミながら見られるのが唯一の救いって所でしょうか。

 

しかし、訓練生活描写はベタですし、

今後も2人のやり取りだけが見所となると感想を書き続けるのかどうかは…。

暫し、様子見です。

 

 

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MIU404 1話 感想|初回を見た限りでは「保留」って感じ。

 

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野木亜希子さんの描く作品は好きです。その事を前提にして書くとするならば…

正直、さすが野木脚本!!と手放しで褒め称えるような感じではなく、

「悪くないね」くらいの印象だった…というのが率直な感想でした。

私は基本的に名作や秀作だと思った作品は、初回を見ただけで大体は

「あ、これ好きかも」「これハマるかも」なんて"野生の勘"が働くもので、

本作もあのスタッフという事で期待度を上げていただけに、

カーアクション以外の視聴後の興奮が特に生まれなかったのが少し悲しい…(泣)

 

いや、冒頭にも書いたように、決して微妙だった訳じゃないのですよ。

良さもきちんとあります。

物語の展開やキャラクターのやり取りには

作品紹介の「ノンストップエンターテインメント」の名に相応しい、

1分1秒ごとに新鮮な空気を運んでくるようなリズミカルなテンポの良さを感じさせましたし、

初回だけあって全体的に情報過多になりがちになってしまう所を

白黒の背景に何か事件の鍵となりそうなものをカラーでピンポイントで映したり、

画面上にテロップを表示させたりなどして、事件の要点を分かりやすく整理しようという

演出の工夫が見受けられたのは良かったです。

ただ一方で、いまいちハマれなさそうな部分もあって、「微妙」というよりは、何というか…

「本作はどんな作品にして行きたいんだろう?」という

先行きが不透明な要素も何個かありました。

 

同じスタッフとなるとやはり比較せずにいられないのは「アンナチュラル」で、

この作品の魅力の一つは何と言っても、見える物から見えない物まで

いくつか点在させておいた小さな伏線を、最終章に近づくにつれ華麗に回収してみせる

どんでん返しの巧みさだと思っています。

本作も謎を散りばめるスタイルは、確かに踏襲されていました。

ですが、初回を見た限りだと、回収の仕方も話の肉付けも少し雑です。

 

中盤でおばあちゃんと女の子が登場してきた時点で、事件に何か大きな関わりのある

キーパーソン的な立場として描かれるのかと予想していましたが、

雨のしたたる家に留まるあの意味深なシーンを映した割には

結局ただの迷子ネタで終わったのが肩透かしでした。

初期設定として、伊吹(綾野剛)が人想いだという一面を紹介したかったとしても、

今回の話にその2人の件は要るのか?というねじ込み方ですし、

大体、序盤のシーンで車が停車する場所とおばあちゃんが倒れていた場所の距離間も

不自然だったような…?

 

不自然と言えば、カーアクションも、向こうにいる人達とまだ間隔が空いているのに

そこまで強引な止め方する?というやり過ぎ感もありましたし。

あおり運転をした動機にしたって、日常の鬱憤関係なく

嫌がらせをしたかったからというのも弱い気がして、

調査力に長けている印象のある野木脚本にしては

珍しくリアリティに欠けているようにも思えてしまいました。

 

で、一番"分からない"のが…「コンセプト」なんですよね。

「アンナチュラル」だったら「ヒトの死を通して知る"生きる事の尊さ"」、

「逃げ恥」だったら「ビジネス×価値観×ムズキュンの新感覚ラブストーリー」と、

初回を見てパッとどんな方向性になるかが凡そ掴めますが、

本作に関してはあらゆる要素をかじってきたくらいで、それも見えてこないのです。

とにかく、機動捜査隊として働くやりがいを描くのか、

事件解決に向けてのカタルシスを描くのか、早い段階でしっかり定めた方が良いかもしれません。

 

コンビにはただただ青臭いイメージが強く、2人の間にほのかに漂う小洒落たムードや

大人の余裕といった"唯一無二"感がまだないのもコンビものとしては惜しいのですが、

そこは回が進むにつれて深まる絆描写に期待するしかないですね。

スタッフがスタッフですから、さすがに初回にあったカーアクションの大胆な見せ場や

伊吹や志摩(星野源)が過去を思い出してキレる&殺す殺す詐欺は

ワンパターン化もしないでしょう。

とりあえず、次回は期待度を抑えた状態で見てみます。

 

ところで…2人が相方や犯人と話す時、某芸人の鉄板ネタかと思うくらい

顔が近い事が多かったですね。

撮影中断前だったんだろうなぁ。どのくらいストックを溜めていたのかしら。

次回以降、分かりやすく1m程離れていたりして…(笑)

 

 

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Dr.コトー診療所2004 特別編 2話 感想|絶望と希望の狭間で

 

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※本作のシリーズは去年夏の再放送で視聴済みですが、特別編「2004」は未見です。

※本作への愛は足りない頭で前回の記事にしたためたので、

今回からは純粋な感想として書き残していこうと思います。

 

次回予告もエンディング映像もないまま、突然シャットダウンしたかのように

ぷっつりと幕を閉じる。

こんなにも登場人物に未来の兆しを感じさせない

スペシャルはあっただろうか…と驚かされました。

 

連ドラから1年経ったスペシャルとなると、主人公達にまた会えて嬉しいという

懐古的な気分に浸れて、何か話が出てくるたびに「そんな事あったよな〜」と笑えて、

イベントがあるにしてもなんだかんだで解決出来る(?)内容が多いイメージなのですが、

本作の場合は連ドラと変わらないくらいの重い話を持ってくるので容赦ないです。

連ドラなら本数が多いから、ぐったりとさせられる回は続くものの

最終的にはホッとする終わり方になるのだろうというある程度の安心感がありますが、

今回に関しては「これはスペシャル内で解決出来るのか!?」という不安の方が大きいのです。

 

日常を忘れるかの如くお祭り騒ぎを夢中で楽しむ人々の一方で、

頭が病気で蝕まれていく昌代(朝加真由美)のカウントダウンを思わせる対比。

自分が母の異変に気付けなかった事に目を向けたくないからって

「同じ立場」だった父を責めてしまう彩佳(柴咲コウ)と、

悲しい後ろ背中を見せる正一(小林薫)の姿。

そのシーン、2人の様子を延々と映す。

人によってはもしかしたらこれがクドイ演出だと受け取られるのかもしれませんが、

いざ自分が重症の親の子供の立場になって考えてみれば

「あの時ああしていれば」「こうしていたら」のタラレバばっかり

頭の中で反芻してしまうものであって…

それを具現化してみせたようなリアルな長さだったと思います。

うちの母も、歳を取っても全然ボケてないし、週に何回も運動しに行ったりしているけど、

「ピンピンしてる人が病気にかからないとは限らない」んですよね…。

 

コトー先生(吉岡秀隆)は彩佳に

「辛いだろうから、今回は休んでて良いよ」なんて優しい言葉はかけないけれど、

彼女のやりたい事に対しては否定的な発言はせず、素直に受け入れる。

あの騒ぎを見て怒鳴ったり、説教したりする訳ではなく、いつも見守ってくれている。

しかし時に、医者とはどうあるべきか?というプロの厳しさを教えてもくれるから

作品の中心にしっかりと存在感を残す。

医療ドラマでは珍しい"見守り型"の医者でも、人間性や信念は確かに伝わる…

このさじ加減は中々出来ません。

 

絶望に追いやられている人もいれば、

絶望した人の姿を見ても「医者になりたい」という強い夢を持つ人もいる。

生きていくとはどういう事か。人生とは何なのか。

そんな事を考えさせられる回でした。

手術シーンに剛洋の作文音読を重ねる演出は、多様性をも表しているようで

ジーンときてしまったなぁ…。

 

 

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ハケンの品格(2020) 2話 感想|周りを見れてない社長にモヤっとボール!

 

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う〜ん、なんか、なんかなぁ…ですね。

昨日のドラマの「オリジナルを超えられるリメイクなどない」じゃないけど、

高視聴率で視聴者のハードルが上がっている作品の続編は成功しづらいっていうのを

モロに表しちゃっている感じ^^;

 

今回は「頼まれなくても仕事が入る充実した正社員たち」vs

「頼まれた仕事以外はやってはいけない派遣」の構図。

派遣は責任がとれない立場だから、企画書を作ってはダメだと言う。

せっかく作っても努力は報われず、自らの手でシュレッダーにかける羽目もなってしまう。

しかし、千葉(山本舞香)の考えた企画がクライアント先に気に入られるも、

企画書は廃棄してしまったので今から作り直して会場に提出しなければならない…

そこで春子(篠原涼子)がピンチヒッターとして活躍!という展開でした。

 

権利のない自分でも、正社員と同じように企画書が作れた。

本来なら出来ないであろうプレゼンも任された。

この下克上の流れで春子がとったのは…語尾を言い切らない手法。

……え?そこだけ"派遣たる者"をなんで頑なに守ろうとするの?

なんで肝心な所を笑いに変えちゃうの??

ここが個人的には引っかかりました。

(漫才みたいなやり取りもくだら…あんまり面白くないし…)

大体、今回に関しては春子が前に出るのも違う気がしますし、

どんなに時間かけても(あるいは電話越しでも?)千葉に説明させた方が

王道の逆転劇になって、現実で働く派遣の人々が明日も頑張れるような

話になると思うのですが…。

どうしても主人公の見せ場を作りたかったためかもしれませんが、

"突飛さ"をまたどこか履き違えてる感じがしてなりませんでした。

 

「派遣はいらない」「社員は家族だ」と言っている社長(伊東四朗)も

色々と矛盾してるんですよねぇ。

今あなたが引き連れてる社員、食堂で気を遣わせている社員、

派遣に注意する度仕事しないで、密状態で突っ立ってる野次馬ばっかり

なんですけど、それ、分かってます?

「アットホーム」を売りにするトップは、やっぱり信用ならないですな(笑)

派遣の採用は社長の知らないうちに、勝手に進められているんでしょうか。

 

前作はくるくるパーマとのやり取りがあったから笑える部分もありましたが、

その人がほぼ登場しないとなると、

全体的にギスギスした雰囲気が強まっているのも否めませんね。

ポジション的に一番近いのは宇野(塚地武雅)なんでしょうけど、

特に"崩し"の要素がないからなぁ…。

春→夏ドラマもぼちぼち始まるので、次回を見てから視聴継続するかどうか決めます。

 

 

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探偵・由利麟太郎 2話 感想|一番不憫なのは五月くんかもね。

 

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美沙子(柳ゆり菜)の死体は果たしてそこに存在していたのか?それとも幻覚か?の

1つの要点に絞られた話になっていたので、

前回よりも内容の分かりにくさは和らいだ気はしました。

 

ただ…事件の描写がやっぱり個人的には惜しいんですよね。

これは「シャーロック」で味わった感覚と似ています。

由利(吉川晃司)が手がかりを見つける姿、謎解きする姿をじっくり見ながら

一緒に推理をしたいのに、1時間内で収めなければならないという作り手の気持ちが強いのか、

彼が何を見てどう感じたのか…がまるまるカットされている、

大げさに言うならばダイジェスト版を見せられているように思えてならないのです。

 

見えていたものが全て実際にあるものだと分かったとしても

エマ(水上京香)の怯えようは心療内科を勧めたいくらい異常でしたし、

いないと思ったら突如エマの前に現れ、警察から逃げる謎行為をした五月(赤楚衛二)も

特に理由が明かされなかったので、

「なんかよく分からない脳筋彼氏」という印象で終わってしまいました。

最初の段階で病院に連れて行こうともしない人達を見て、周りが全員グルになって

彼女を陥れようとしている説を考えていたんですけど、そんな事はないんですよね(笑)

1時間きっかりじゃなくて、1時間30分×5本にした方が

あらゆる不足部分を補えていたかもしれません。

 

天井から黒い腕がうじゃうじゃ出るホラー演出は、結構物珍しく。

子供の時だったら1人で眠れなさそう。

犯人は安定のあの方でありましたが…

まぁ…「自分や家族が途中で亡くなって遺影になる役」の代名詞が○島さんであるように、

あの方も「猟奇的で変態な殺人犯」の代名詞になって行くのでしょうね…w

 

ところで、前回も薄々感じてましたけど、

このドラマ、若干トンチキ臭がしません?

ハイキックアクションの後の柔道みたいな構えのポーズ…

あれでフフッとなってしまったのは私だけでしょうか(笑)

 

 

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