監察医 朝顔(2021) 19話(最終回) 感想|2クールじゃなくても良かったなぁ。

 

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そっか…本作で、しかも震災から10年というタイミングで

何を一番に描きたかったのかが、最後まで見てようやく気がつきましたよ。

里子(石田ひかり)の歯から始まり、骨の一部とか、体内の遺書とか、アリとか、

全体を通してやけに"生きた証"を強調してくる作りになっているなぁと思っていたけど、

今回の結婚式に帰結する話だったんですね。

もちろん、心臓をお墓に入れるというエピソードも。

世の中は理不尽さや哀しみ、痛みといった"見えない傷"で溢れているし、

人間の心も繊細で、脆くなってしまう事もあるけれど、

「この世界で生きていてくれて良かった」と思える大切な人との思い出が

"今そこにある物"でも、記憶の形でも残っていたら、

人はいつでも前を向けるのかもしれない…

最終的には、そんな強いメッセージに励まされる締め方になって良かったです。

続編が今作られるのも必然性が感じられました。

 

だからと言って、2クールに適した構成だったかと考えるとまた別の話で、

これは1クールでも全然描けたし、

その方が良さが増したんじゃないかなぁという勿体なさも残りました。

もう中盤が特にね…万木家に愛着を持っていなかったら視聴を止めようかと思うくらい

不運の連鎖が続いていたのが、ちょっとしんどかったです(汗)

登場人物、状況と色々形を変えてきてはいるけれど、

やっている事は「主要人物を辛い目に遭わせる」でワンパターンでしたし、

家族内だけでそれを描くのも飽きたのか、今度は警察内部にまで被害を及ぼして

緊張感を煽るっていうのは…ネタ切れだったのかとしか言えなくて。

そして、朝顔上野樹里)の人となりを表す

「監察医としての顔」「母・妻としての顔」のバランスが

中途半端になってしまったのも目立ちました。

これに関しては要は、プライベートでネタを盛り込み過ぎたために、

朝顔は家族につきっきりの状態にせざるを得なくて、

その抜けた穴を後輩や新人、茶子先生(山口智子)などが補おうとするんだけれども、

でも主人公も監察医なので"仕事もしてます"感を出さなきゃ

「監察医 朝顔」というタイトルに相応しくないと気づいたから、

結果的に、最後だけ美味しい所を持っていく形になってしまったんですよね。多分。

 

まぁ、最終回の「今日の事、忘れたくない」にも泣かされましたし、

終わり良ければ全て良しなんですが…

それだけに、なんで中盤をあんなに煽る作りにしちゃったかなぁ…という

残念に思える気持ちも同時に芽生えてきた続編でしたね。

もし予定通りオリンピックが開催されている頃だったら、話数も減って

コンパクトに収まったのかな?とも考えますが、そんな事言っても無意味でしょう。

 

モヤっとした部分もあったけれど、それでも完走出来たのは

やっぱり万木家の人々の真っ直ぐさや素直さが好きだからであって。

里美ちゃんも生まれた事ですし、

つぐみ(加藤柚凪)がお姉ちゃんお姉ちゃんしている所も

ぜひ「1クールかスペシャルで!」

再び続編をお願いします。↑ここ、大事(笑)

 

 

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リカ〜リバース〜 1話 感想|誰が本当の"リカ"?

 

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おかしい…………

エピソード・ゼロでリカの幼少期を知るために見たつもりが、

最終的に「レミ・28歳、怖ぇ〜!」という印象で見終えてしまってる(笑)

まぁそれも、大人になったリカも母・レミも高岡早紀さんが演じられていて、

同じショートの髪型だからややこしくなっているっていうのが大きいんですけどね。

しかも…夫役の小田井涼平さんと、連ドラの大谷亮平さん…似てますしw

好みも性格も、完全に母から遺伝したんですなぁ。

母があそこまでリカに似ているとなると、祖母も麗美のような人だったのかと

逆に母の生い立ちが気になってきましたよ。ループしているのかしら。

 

で、一応「エピソード・ゼロ」に話を戻すとなると…

どうもストレートに梨花田辺桃子)=リカとは思えなくてですねぇ。

最初、聞き間違えたのかと思って、

ちょっと陰のある雰囲気もまとわせた、

出来る姉を密かに妬んでそうな結花(山口まゆ)がリカだと決めつけてました。

「太陽と月」「二卵性双生児」ってワードが出てきたら

どうしても今の時期的に「天国と地獄」を思い出しちゃう訳でさ。

後に入れ替わって"残酷な運命を背負う"展開が来るのかな〜…とか考えちゃいます。

でもって、家政婦の幸子(福田麻由子)も

連ドラの夏菜さん的ポジション(利用される側)にはならなそうな気がしますし。

素朴で素直だった少女が雨宮家に隠された秘密を知っていく事で

いつしか家族の弱みを握り、

自分が窮地に立たされそうになったら情報を突きつけて、破滅の道を歩ませて、

一人勝ちした幸子がリカと名乗る…っていう展開もなくはないんですけど。さて、どうなのか。

 

とりあえず、回想も絡めて、初っ端から「リカ、28歳」「死ねばいい」「ミートソース」と

お馴染みの台詞やくだりをガンガン飛ばして行った作りになっていて、

視聴者が何を求めているかよく分かっているな〜…という初回。

さらに、複数の人間による"冷たく睨む目のカット"が挿入されて、

ますますゾワッとくる恐ろしさに拍車がかかってきた感じですね。

誰が生き残るかのサバイバルゲームでもある(笑)

今後も楽しみです。

 

そう言えば、主題歌が「STRIP」じゃなくなっちゃったのは寂しいなぁ。

気持ちはぁ〜い…もっとした〜い…出だしから中毒性があって好きだったんですよw

 

 

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天国と地獄 〜サイコな2人〜 10話(最終回) 感想|運命から逃れられない2人

 

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本作の最終回を見て「これは名作だった!」「素晴らしかった!」と絶賛された方は、

私がこれから書く感想とは考えが合わないかもしれないので…

どうしても読みたいという方は自己責任でお願いします。

 

さて、最終回。

正直言うと、あの「入れ替わり」を匂わせるオチは蛇足だった気がしました。

最終章になってから途中まで、役者の演技の応酬で

これでもかと緊迫感と切ない余韻を味わわせる展開が続いていったのに、

結局最後はコミカルで締めるんだというズッコケた感覚が…(汗)

個人的に、世間が高評価するまでハマれなかったのはそこなんだよなぁ。

最近は「運命」のSEもコミカルな演出・くだりも控えめになっていって、

ようやく集中出来ると思ったのに…なんで温度差の違う要素を挿入して来るのかなぁ。

日高(高橋一生)から告げられた入れ替わりの理由は、

自分も朔也(迫田孝也)も何とか幸せに生きて欲しいと神頼みしたという

"母の願い"から来ているものだったはずなのに、

事件が解決して数年後になって、彩子(綾瀬はるか)も新たな人生を歩み始めている中で

また入れ替わってしまったら"母の悪戯"で意味が変わってきてしまいますよね。

 

そして、日高に殺意はなくても、物を隠す形で人の犯罪を隠蔽した罪を犯したのは

咎められるべき事実なんですが、懲役3年科せられるのもなんか腑に落ちず。

情状酌量で執行猶予の方が、彼に見合っていたんじゃないかと思います。

そもそも「天国と地獄」が、たった15分で運命が大きく変わってしまった

兄弟の事も指すのが明らかになった流れで、

しかも取り調べのシーンで

河原(北村一輝)が「お前にその(兄が唯一挙げた)声を奪う正義はあるのか」という

"きっかけ"を与えてくれたにもかかわらず。

法廷で「兄が挙げた声」について日高が言葉を選びながら語り、

それを聞いた裁判員が涙ぐむ…という"兄を想っている日高"を感じさせるやり取りもなく、

ダイジェストやナレーションでさらっと済ませるのは強引な気がしました。

 

最後まで見てきて違和感を覚えた所は他にもあります。

「入れ替わり」自体は興味深く見られましたが、

謎の漫画とか、奄美大島との関係性とかで

「大きな歴史がある」ような雰囲気を醸し出させておいて、

最終的には何ら意味を成さない扱いに終わってしまった所。

あとは、日高のこれまでの動きと、回を重ねるにつれて露わになった"本心"との矛盾。

15分で運命が変わってしまった申し訳なさから、

兄を救うために自分が罪を被るという責任感の強い性格なのは分かったけれども、

じゃあ彩子に入れ替わった時に殺害を犯した"あの動画"を残した動機は何だったのか?

陸(柄本佑)と行為に及んだ理由は何だったのか?という疑問が生じてきます。

後者に関しては同性愛者だった…と補完してもおかしくないにしろ、

兄の罪を頑なに背負おうとする"善意の人間"である日高が、

他人の身体では好き放題やっちゃおうと羽目を外す人になるのかと

不思議に思えてたまりません。

責任感が強い人なら、借り物だから余計な事はしないようにしようって考えるはずなんですよね。

だから途中で「彩子と入れ替わる前に誰かと入れ替わったんじゃないか?」と予想した訳で。

 

モヤっとした部分、伝わったかなぁ…。伝わると嬉しいなぁ。

まぁ、確かに盛り上がった部分もあったけれど…

終始温度差を感じる作品になってしまった…って所ですかね。

唯一良かったのは、ドラマでたまにやりがちな"警察を無能"にしなくても

面白い展開は作れた事かと。

河原もある意味彩子と一緒で、警察という組織のルールよりも自分の正義を第一に動く

熱い人間である事が発覚したし、

八巻(溝端淳平)の存在は緊迫したムードで一息つかせる緩衝材になっていたし、

科捜研の新田(林泰文)も独特なキャラで印象強かったし…

主役2人以外にも愛着の湧く、それぞれ存在感を残すキャラクター造形になっていたお陰で

最後まで見られたんだと思っています。

 

 

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モコミ〜彼女ちょっとヘンだけど〜 7話 感想|"縛り"からの解放。"不変"の崩壊の始まり。

 

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反抗期になった俊祐(工藤阿須加)がまずやる事は…タバコ。

いや、中坊か(笑)むせる姿含めて、あまりにも発想が初々し過ぎて笑っちゃったわ!

そして、家族に悪口だらけのSNSを見られていると分かったら…

私だったら恥ずかしくて、もう一緒に暮らしているだけで気まずいかもw

 

でも、最終的に俊祐が戻ってきてくれたのは良いてしても、

「自分がいなくても萌子美が店を守ってくれているのが分かった」から改心した…

という解決方法になってしまっているのにはちょっとモヤる。

彼は両親が萌子美(小芝風花)ばかり構っていて、自分には見向きもしてくれないという

長年積み重なったストレスが爆発して家出をしたのだから、

(萌子美本人も「私とお兄ちゃんは違うかもしれないけど」とは言っていたけど)

何も言わずに、あたかも何事もなかったかのように普通を装いながら帰りを待つ対処法は

彼には適さないと思うんですよね。

俊祐みたいな承認欲求のあるタイプは、「どこ行ってたの?何してたの?」と質問攻めする

母の世話焼きっぷりくらいがちょうど心に響くかもしれない。

まぁ、これはもう置いておくとして…

 

萌子美は"普通の人"の洗礼を受けた感じですね。

子供の時に見えていたものが、大人になってから見えなくなってしまった…

みたいな段階に入ってきている。

毎日孤独な想いをして、物だけが友達だった萌子美が、

今では岸田(加藤清史郎)と、人間と仲良くなれた。

これは彼女にとって大きな進歩で、

一般的に見たら"成長の証"としてかなり嬉しくなる出来事なんですが…

やっぱり相棒のトミーの声が聞けなくなるのは寂しいもので。

岸田に出会って、花屋で働いていろんなお客さんと交流していなければ、

こんな事はなかったはず。

自分の気持ちを押し殺して、誰かになりきるために物から力を借りるのは

タブーなんでしょうね…。

 

 

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知ってるワイフ 11話(最終回) 感想|どうせ…と思ってしまう自分がいるw

 

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まぁ…まぁ…そうなんだろうけど。元サヤで終わるのが相応しいんだろうけど。

なんというか…どことなくむず痒さが残りますな(笑)

だって、澪(広瀬アリス)は「選択肢Bの世界にいる(た)澪」で、

「元春(大倉忠義)のダメ男っぷりを知らない澪」な訳でしょ?

彼と一緒にいる事に夢見ていた期間よりも、関係がギスギスしている期間の方が長くて、

その記憶がこびりついて夢に出てきた場合だったら

果たして元サヤを選択していたのだろうか?って話ですよ。

夢に出てきた男=元春な所に運命を勝手に感じているだけで、

どこに魅力があるのかも分からずじまいだし…。

"記憶がない"、都合良い設定ですよねぇw

 

元春の方も、沙也佳(瀧本美織)に対して同じ別れ方をしているから、

「結婚して、子供も生まれて、幸せな家庭になりました…ちゃんちゃん♪」みたいな終わり方は

はて、本当に幸せなままでいられるのかな?って疑って見てしまう自分もいて(笑)

そう考える理由として…アイロンがけ、自分でやらないっていうのがね。

「ありがとう」「ごめんね」を素直に言う事を心がけるようにしたのは

大きな変化だったとしても、

結婚してからしばらくは、お互いに優しく接してきた所は

タイムスリップしてもしなくても共通していたと思うんですよ。

問題は、仕事が忙しくなって、育児と両立しづらくなってから。

最終回ではそこは触れていなかったから、今度は上手くいきそうっていう実感が持てない。

自分がお迎えの当番のはずなのに、急な仕事が入ってきてLINEに返事もよこさないで…

仕事で頭がいっぱいいっぱいになっている中で同じ場面に出くわしたら、

言い訳もしないで対応出来るのかどうかという"段階"まで描いていたら

この夫婦2人に現実味が増したんじゃないですかねぇ。

 

それ書いても仕方なくない?って事でも、今思いついたので書き残しておくとすると…

本作は元春がタイムスリップをして"気づき"を得ていく物語なので、

あくまでも主人公の成長物語に重きを置く作りだったんでしょうけど。

「誰かと人生を生きていくとはどういう事なのか?」をテーマにするんだったら、

澪もタイムスリップをして、お互いもう出会わない選択をしたはずなのに

ある日同じ職場でばったり出会ってしまって、

最初は嫌だと思っていたけど、一緒に仕事をしていくうちに

「自分が気づかなかっただけで、本当はこんなに苦労していたんだな…」

「あの時ちょっと言い過ぎたかもな…」といった誤解が解けて、

良い所も悪い所も、本心も知った上で改めて相手に惹かれ始める…

みたいな話にしてもアリな気がしました。

 

久恵(片平なぎさ)が過去を知ってそうな描写は、結局何だったんでしょうね。

小池(生瀬勝久)と繋がりがある訳でもなかったし。

っていうか、小池がタイムスリップしてやり直した理由が結構重くて…

こっちをメインにしたドラマでも面白かったかもしれません(笑)

 

まぁ、元春は誰とも関わらない選択をしたのを、澪がついてきたんだし、

元春も元春でわざわざ顔見に銀行まで行ったんだし。

どうしても頭の中から離れないのであれば、

気の済むまで一緒にいたら良いんじゃないかという結論ですね。

中盤までは秀作になりそうな予感もしたんだけど…

最終的には惜しさが残る作品だったかなぁ。

 

 

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にじいろカルテ 9話(最終回) 感想|3人の心には今日も虹がかかる

 

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良かった…。このドラマにはハッピーエンドがお似合いですね。

 

予告で真空(高畑充希)が倒れる所を見てしまっているものだから、

38分くらいまで、村人達が怪我したと騒ぎまくったり、

のど自慢大会に向けて一致団結をしたり…という"いつもの日常"の連続で

いつ不幸な出来事が起こってしまうのかと内心ドキドキしながら見ておりました。

病気の進行を匂わせる場面は、序盤で真空が食事中に手の違和感を覚えるシーンくらいで、

後は特に気にかけるような素振りはなかったですからね。

その分、ああ…病気はなんて意地悪な事をするんだと、

ついにこの時が来てしまったのかというショックが大きかったです。

高畑充希さんの演技がまた上手くてねぇ…

「なんで今なの…」って思っているのが表情から伝わってきたから、

凄く痛ましい気持ちになりました。

 

でも、「セミオトコ」でも未来で再会させるハッピーエンドで終わらせた

岡田脚本の事だから、真空を死なせたりはしないと踏んでいましたよ。

今後はまともに歩けなくなって寝たきりになるかもしれないし、

白衣を着て診察する事も出来なくなるかもしれないけど…

元気に帰ってくる真空の姿を見られて、3人が笑顔で。

喧嘩しながらも笑い合って過ごす3人の生活は、これからも続いて行くんだろうなぁという

余韻の感じられる締め方になっているのが本作らしい。

 

セミオトコ」「姉ちゃんの恋人」そして本作…と、

岡田脚本に出てくる登場人物はみんな"人と人との繋がり"に拘る傾向にあって、

「誰かの悩みはみんなで共有するべし!」「隠し事がないほどアットホームな関係!」

みたいな描かれ方をしているから、そこで好き嫌いは分かれるかもしれませんが、

私は好きな作品でした。

個人的には大人数でいるより一人でいる方が好きだから、

毎日毎日何かしらのイベントやらパーティやらがある

虹ノ村での生活は疲れちゃうとは思うけれどw

でも、真空や朔(井浦新)、太陽(北村匠海)の相思相愛な関係を見ていると

羨ましいなぁとも思えたり。

 

「この村は本当に存在するのか?」なんて途中まで疑って見ていた自分が小さく感じてくるほど

ひたすら純粋な、陽だまりのような医療ドラマは初めてでした。

まぁ…正確に言えばヒューマンドラマですけどね。

"日常"を描いているものの、そこには病気との向き合い方の"新たな可能性"も含まれていて、

今作られるべき作品だったような気がします。

 

 

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俺の家の話 8話 感想|親がいない家は実家と呼べるのか

 

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なんかもう…今回のラストは泣くしかない。

今までの思い出が走馬灯のように蘇っていく演出は、やはり涙腺に訴えかけるものがありますよ。

グループホームで寿三郎(西田敏行)を見送ってから実家に一人ぽつんと佇むまでの流れに、

"TOKIOとしての人生"や"クドカンドラマでの思い出"を本作の中に残して

仲間も知り合いもいない新たな世界に飛び込む長瀬くんの心境と、

子供達が自立して家を出て、大切な人も他界して行って一人残される親の心境が勝手に重なって…

後者に関しては、うちのおばあちゃんがそうだったから。

遠く離れた実家で、娘も息子もいなくなって部屋もガラ空きになった家で

余生を送る側の気持ちってあんな感じなんだろうなぁ…なんて、想像しながら見ていました。

 

帰ってきた時に親がいて、家族ならではの"温もり"を感じさせるのが実家であって。

寿一(長瀬智也)にとって親がいなくなった今の家は、実家とは…呼べないですね。

 

「…嫌だったら、別に良いけど」

「そうだねぇ、行ってみっかなぁ」

「…嫌なら、断るけど」

「行くよ。行って欲しいんだろ?」

「良いよ行かなくて」

「行くよ。お前と二人っきりよりはマシだよ」

「じゃあ行けよ!なんだよ面倒くせぇな」

寿一と寿三郎によるこの一連のやり取りも、凄くこの二人らしいなぁと思えて印象的で。

どちらも客観的に今後を考えた上で、もう自分も良い歳なんだからと妥協して

新たな提案をしよう(受けよう)としているんだけど、

本当は「離れ離れになりたくない」っていうわがままな思いがせめぎ合って、

その気持ちが言葉の節々に、本音の形でも、強がっている形でも

滲み出ている所が親子揃って似てます。

 

でも…直接グループホームまで送り届けられるまで一緒にいられるのって、

よくよく考えたら凄く幸せな事だし、

舞(江口のりこ)や踊介(永山絢斗)のように

心が離れ離れのままで終わってしまう事の方が多いと思います。

いつ終わりを迎えるか分からない日々だから、

こういう時こそ家族全員で支え合っていかなければならないだろうに、

あの「家族写真」が絶頂期だったと言わんばかりに

その先の日常が徐々に崩壊していく展開は…見ていて切ないです。

介護が取り入れられた話だから今回のような"リアルな過程"を表現したんでしょうけど、

やっぱりドラマだからさ。

家族が涙を流しながら、枕元を囲んで最期を看取る"理想"も見たいですよね。

 

「俺の家の話」だけではなく、「私の家の話」にもなっていた今回。

男だらけの芸能一家に生まれて、"女だから"と切り捨てられる舞と、

危うく離婚した元旦那に出産立ち会いされそうになったユカ(平岩紙)の話。

「家の話」なだけに、本当にいろんな登場人物にも焦点を当てる作りになっているなぁ。

ユカの件は、コメディタッチで「元旦那なのに出産に立ち会っちゃった!」なんて

笑いをとる描き方も出来ただろうけど、

何やってんだ!出てって!とちゃんと言ってくれる助産師の存在を作った所に、

本作に対する、クドカン先生に対する信頼が持てました。

女性だからこその生きづらさ、繊細で赤裸々な想いにも向き合おうとしているんだという

意思を感じましたね。

 

 

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青のSP−学校内警察・嶋田隆平− 10話(最終回) 感想|全部岡部のせいでした。

 

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はぁーー…ツッコミばっかりしてた最終回だったわ。

警備強化するって言いながら全然姿を見ないのとか、

2人のちょうど真ん中に映るアレンくんとか、いろいろ挙げていったらキリがないから

特に思った事を書きますけど。

何が一番謎で笑えたかって…

隆平(藤原竜也)が教室で岡部(遠藤雄弥)に撃たれた後のシーンよ。

普通だったら笑えるシーンじゃないんですよ?

でもさ…もう岡部も命がけで捕まえて事件がひと段落したんだから逃げる理由もないのに、

「必ず救急車呼んで来るからな!」って言って瀕死状態の隆平を置いてけぼりにするのは…

可哀想過ぎるでしょ。いや、さっさと救急車呼んでくれよって話でしょ(笑)

そんなにスクポリの事が大好きだったんか?と感じるくらい

みんなが心配そうに集まってきたのに、

止血処置したり救急車に連絡したりする者が誰もいないのは傍観者と一緒な訳で。

隆平想いに見せておいて…ある意味生徒達が怖いですw

怖いと言えば、西田(池田優斗)が"隆平が自分にとっての恩人"みたいなキャラに

しれっとなっている所もね。

「あんた置いて行けねぇよ!」いや、いつからそんな良いヤツになったんだよ!と

思ってしまいましたわ。

 

尾崎(鈴木梨央)と涌井(米倉れいあ)が岡部を嵌めたみたいな話になっていたけど、 

まるで生徒側に非があるかのように説教をだらだらする展開になるのもなんかモヤる。

誰かに陥れられて人生を狂わされた訳でもなく、

ただのロリコンで変態だった岡部と、性行為を受けた涌井。

どちらが悪いかなんて一目瞭然。

(ついでに、慰謝料を請求されるのは自業自得。)

仮に2人が手を組む事がなかったとしても、岡部の性格に原因があるので

他の生徒も襲って事件になっていたかもしれないんだけど。

その可能性には触れず、生徒に対して口を開けば香里香里で…

小川先生(明日海りお)が岡部に巻き込まれたって話と

"教師になるまで苦労した話"は今関係ないし、

しかもそんなデリケートな事情を持ち込んでまで彼女への愛を訴える

公私混同極まりないこのスクポリはなんなのかと、ちっとも心に響きませんでした。

 

彼が事件を防いだのに導入制度を見直す流れになっているのもよく分からないですけど、

彼がいなければまた部下に仕事を押し付けようとしている教師がいて

根本的な解決になっていないのに、

「学校に警察はいらないですね」「校内だけで解決出来る学校になっていけば良いですね」

で綺麗に終わらせるのはもっと意味が分かりません。

逮捕するべき相手を逮捕しないで、野放しにしておく。

失った大切な人の真相を探るために学校に来る。

"学校に革命をもたらすほど変わった教師"ではなく、"スクールポリス"にした事で、

従来のとは違った特別なドラマに映ったか…と考えると、ちょっと疑問です。

いじめた生徒に対して手錠をかけていた初回が懐かしいな…

もっと「悪とは何か?」「善とは何か?」を問う作品になるのだと

期待していた部分もあったけれど、

全体的に軽いな〜と思いながら、最後まで見終えちゃいましたね。

 

「あっちの世界」って言ってたから

てっきりあのまま三途の川を渡って行ったのか…と思っていたんですけど、

普通に田舎で交番勤務してたんですね。田舎=あっちの世界なのね…(泣)

っていうか、初回〜3話くらいまで出てきたピアノ弾きの少女って

結局何だったんでしょうね?

いつの間にかぱったり見かけなくなりましたけど。

何か秘密を握ってそうな感じで匂わせていたけど、

小川先生の自殺に関わっていた張本人でも、娘でもないの。

えっと…幽霊?(笑)

 

 

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監察医 朝顔(2021) 18話 感想|俳優・りんたろー。アリかも。

 

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個人的な事情でちょっとバタバタしてて、この時間になっちゃったので、簡単感想で。

 

今期は"忘れてしまう"話や設定が多いけれども、

中でも平(時任三郎)が家族の事を忘れてしまう様はすこぶる辛いものがあります…。

「結婚式、2人がもたもたしてるから…もう挙げたらどうだ?」「つぐみか…良い名前だな」

前者に関しては多分、「知ってるワイフ」の母じゃないけど、

里子が生きている間に挙げていれば...という意味合いで

記憶を混同しちゃってる部分もあるんだと思います。("もたもた"の表現が気になったので。)

回想での柔らかさをまとったあの頃とはまるで別人で、

この2つの言葉を少し険しい顔で、冷静なトーンで流暢に語る演技があまりにも衝撃的で、

事件の結末がちょっと吹っ飛んでしまうほどでした。

 

今はつぐみ(加藤柚凪)の顔を見れば、すぐに"今の日常"には戻れるけれども…

またいつああなるか分からない。

もう一回忘れてしまったら、その先ずっと忘れてしまうのかもしれない。

今回は、そのための"記憶"の話なのかな…。

 

嶋田(柄本明)が着ていたスーツは遺族の手にわたる。

10年の付き合いだったという秘書は、

アリ好きの松本先生(片桐はいり)への配慮で、

ムネアカオオアリというレアなアリの巣を壊してしまわないようにと、別の場所を選んだ。

でも、"アリの事を、私の事を思ってくれていた"という優しさが松本先生の頭の中では残る。

たとえ何かが変わってしまっても、戻らない人になったとしても、

"物"だけは消えない…そんなメッセージが伝わったお話だったと思います。

 

で、黒フードの正体は、りんたろー。さんである事が発覚。

まだ演技は分からないけれども、個人的には、俳優…アリですね。

なんとなくシャドーボクシングをやってそうなイメージが(笑)

森本(森本慎太郎)は助かるのだろうか…。

 

 

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天国と地獄 〜サイコな2人〜 9話 感想|SDカードが気になって仕方ない!

 

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途中までは「面白いっちゃ面白いんだけど、

どことなく演出が軽いのが引っかかるんだよな〜…」と思っていた本作で、

まさかうるっとしてしまう日が来るとはなぁ。

やはり、たった15分という違いだけで、

天国と地獄に分かれてしまった兄弟の運命を描こうとしているのが分かった回。

今までなんとなく悪役のイメージがあった迫田孝也さんだけど、

悲しさと苦労を背負いながらも

弟と再会出来た喜びだけを噛み締めるように逝ってしまった演技を見て、

あんな複雑で繊細な役もされるのかと、見る目が変わりましたわ…。

 

日高(高橋一生)と朔也(迫田孝也)の出会いや関係性を見ると、

物語の真相はいたってシンプルで。

入れ替わりもあの時が初めてだったらしい。

視聴者が考察する形で謎が一人歩きしていった…

で、結局それがミスリードに繋がってしまったのには、

本作が「入れ替わり」から始まる物語である事、

「入れ替わりをあっさり信じてくれる存在」がいる事という2つの非現実な要素が重なった作りに

原因があるのかも…ですね。

しかもその2つを初回〜序盤の段階で盛り込んでいる訳だから、

もっと驚くべき"何か"が待ち受けているんじゃないかという勝手な思い込みが生まれてくる。

視聴者と作り手の間で考え方に大きなズレが現れるようになったのは、

偶然だったのか、それとも計算済みだったのか。

もし後者だったとしたら、そんなに深く考察はしていなかった私でも

森下先生の「こう表現すれば、視聴者はきっと盛り上げてくれるだろう」という策略に

まんまと引っかかった事になるので…うーん、悔しい!(笑)

 

彩子(綾瀬はるか)と日高も元の姿に戻って、

(最終的には2人とも捕まっちゃったけれども)まぁ一安心と言えるのか。

日高が目を覚ましたときの、今にも人を襲いそうな獣のような目つきで

元に戻ったと分からせるんだから凄いよなぁ…。

そして、その後も「入れ替わり」の要素も「元に戻ったからおしまい」じゃなくて、

ちゃんと活かした話になっているのもまた凄い。

彩子が感情的になって朔也を殴ったのだって、

今回の殺人事件の真相を追い続けて、長い間入れ替わっていた日高の体を使って

"日高の人となり・人生"も家族や社員を通して知っていった過程があるから

説得力が増すんですよね。

 

ミステリー部分は今回までで複雑な構造にしていない事が分かったので、

目の前で殺したとかっていう確かな証拠がないのは気になるけれども、

朔也は空集合=犯人で、日高は共犯なのは、もうこれで確定なんでしょう。

でも、最終回のようで、まだ最終回ではない。次回こそが、本当の最終回。

一瞬だけ意味深に映したSDカードが、物語の鍵を握ってそうな気がしてなりませんねぇ。

あれには何が入っているのか。

入っているデータ次第では、真犯人は別にいて、

朔也は嵌められただけだという可能性もわずかに期待してしまうんだけど…

果たしてどうなんだろうか。

あとは、八巻(溝端淳平)は2人の入れ替わりを警察にバラすつもりなのか。

スマホの電源がついた事が吉と出るか凶と出るかも気になるし。

あれだけ片付いた感じに見えても、まだ75分もあるんですよ?

まだ何かどんでん返しがありそうだって思っちゃうでしょ!

 

 

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